2008/06/30
レフティやすおの楽しい読書 0806(No.6)『宝島』海賊ゴッコの聖典
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レフティやすおの楽しい読書
― 読書で豊かな人生を! ―
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本日も、
若い頃は本屋の店員だった本好きのレフティやすおといっしょに、
このメルマガ「レフティやすおの楽しい読書」を通して、
古今東西の古典、名作・名著から選りすぐった一冊にふれ、
豊かな人生の時をすごしましょう。
読書とは、他人(ひと)様の人生を追体験することです。
そこから何かを学ぶか、ひと時の愉快な時間をすごすか、
それは人それぞれ。
自分なりの楽しみ方でいいのです。
まずは楽しい読書を心がけましょう。
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2008(平成20)年6月号(No.6)-080630-
『宝島』海賊ゴッコの聖典
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『宝島』海賊ゴッコの聖典
ロバート・ルイス・スティーヴンスン/作『宝島』
"TREASURE ISLAND" (1983) by Robert Louis Stevenson
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... 世には地図などに興味を持たぬ人々があるとも聞くが、
私にはほとんど信じ得ぬことである。地名、森林地帯の形、
道路や河川のつくる線条、... ここにこそ、もし人が物を見
る目を持ち、理解するための一文(いちもん)ばかりの想像
力を持つならば、尽きることのない驚異の宝庫があるのだ!
...「宝島」の地図をじっとながめたとき、いってみればそ
のようにして、未来の作品の人物がそこの空想の森林のあい
だに見えだしてきたのである。...
「私の第一作「宝島」」
ロバート・ルイス・スティーヴンスン
(「アイドラー」誌 1894年8月所載)
ロバート・ルイス・スティーヴンスン/作『宝島』
阿部知二/訳 岩波文庫(1963) より
上の一文にもありますように、
この『宝島』は作者の描いた一枚の地図から始まりました。
... これは少年たち向けのものだ。心理だの洗練された文章
だのの必要はない。そして試金石となるべき少年は手もとに
いる。女たちは考慮の外にあるのだ。...
(同上)
それは当初、義理の息子ロイドを喜ばすためでありましたが、
いつしか作者の幼年時代から持ち続けた想像力を育て上げ、
さらにもう一人の読者を得ることになりました。
それは、世界的な灯台建築技師であった父親でした。
父親のアイディアをも取り入れたこの物語は、
ついに彼の長編小説の第一作となったのでした。
そしてそれは、彼をしてイギリス(スコットランド)
を代表する文豪へと押し出す第一歩ともなりました。
私もまた、この物語に胸躍らせた少年の一人でした。
義理の息子ロイドはこの物語に女性は不要だといったとか。
当時の私にもこの冒険物語に女性は不要でした。
私はただひたすらジムに感情移入して読みました。
彼が海賊に追い詰められて、二丁の拳銃を放ったとき…
私もまた、ジム同様に少し「大人の男」になりました
(ような気がしました)。
...「一番にいっておくことは、こうだ。きみたちの状況は
絶望的だよ。... たくらんだことはすべて失敗だ。だれのせ
いだと思う。ぼくのせいさ。島が見えたあの晩、りんご樽の
なかできみたちの話をきいたんだ。... それから船だけど、
錨綱を切ったのはぼくで、船にのこったふたりの見張りをか
たづけたのもぼく、船をきみたちのだれにもわかりっこない
ところに隠したのもぼくだ。だから最後に笑うのはぼくで、
最初からぼくのほうが一枚うわてだったんだ。...」
『宝島』スティーヴンスン 村上博基/訳
光文社古典新訳文庫(2008) 301-302p
「それをいうなら」と、元コックがいった。「ええくそ、も
うひとついっておく。ビリー・ボーンズから地図を盗み取っ
たのもこの小僧だ。結局おれたちは、最初から最後まで、ジ
ム・ホーキンスにこけにされどおしなんだ」 303p
この物語のタイトルですが、当初、作者スティーヴンスンは
「船の料理番(コック)」と名づけていました。
実はその名の通り、この物語の本当の主人公は、
語り手のジム少年ではなく、
複雑な性格を持つ人物ジョン・シルヴァだったのです!
その証拠に、最後にこの男は…
(おっと、これは内緒! 後は読んでのお楽しみ。)
でも、その事実に気付くのは、大人になって
この物語を読み直したときのことだったのです。
単なる海賊と宝探しと、南海の孤島で少年が大活躍する
ただの面白冒険物語ではなかったのです。
この作品が少年向け雑誌に連載中はさほど人気がなく、
本になってから、
子供はおろか大人まで巻き込んでの大人気小説となったのは、
きっとそういう理由からだったのでしょう。
大人になった今こそ、読み直して欲しい一冊です。
少なくとも「昔男の子だった人」には、
堪(こた)えられない冒険譚です。
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【付録】R・L・スティーヴンスンを楽しむために
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★『宝島』田中西二郎/訳 旺文社文庫(1969)
第二号で紹介した『トム・ソーヤーの冒険』に続いて、高校時代
に買った愛蔵本。オリジナル挿絵(高田勲)付。ただし冒頭の序
文「買おうかどうしようかと迷っている人に」がない。残念!
★『宝島』村上博基/訳 光文社古典新訳文庫(2008)
村上水軍の末裔の訳者による新訳。大人になってからの再読に最
適。年譜、小林章夫の詳しい解説付。挿絵がないのが残念!
★『宝島』阿部知二/訳 岩波文庫(1963)
巻末に収録のスティーヴンスンの「私の第一作『宝島』」という
この作品が生まれるまでの経緯を語るエッセイが、興味深い。
『宝島 完訳』増田義郎/訳 中公文庫(1999)
筆者未見。新訳、“海賊について”の詳細解説付、とのこと。
●その他のスティーヴンスンの本:
★『ジーキル博士とハイド氏』田中西二郎/訳 新潮文庫(
原著1886)
善と悪の二重人格を扱う、『宝島』と並ぶ著者の代表的名作。
★『ジキル博士とハイド氏』夏来健次/訳 創元推理文庫(2001)
巻末の北原尚彦の「解説」で、ジキルとハイドもののパロディ、
パスティーシュものを紹介していて、資料としておもしろい。
『新アラビア夜話』南條竹則・坂本あおい/訳 光文社古典新訳文
庫(2008 原著1882)
魔都ロンドンで起こる冒険譚を「アラビアン・ナイト」に見立て
た、ボヘミアの王子フロリゼルと従者ジェラルディーン大佐の物
語。「ロンドン」誌に連載された奇妙な発端が興味深いミステリ
風連作短編「自殺クラブ」「ラージャのダイヤモンド」の二話。
もっと複雑なストーリイとセンセーショナルな内容の小説が増え
ている現代では、タイトルと発端の奇妙さに惹かれはするが、読
んでみるとそれほどでもない? 巻末「年譜」に吉田松陰伝「ヨ
シダ・トラジロウ」を執筆したことが記されている。
『自殺クラブ』河田智雄/訳 講談社文庫(1978)
上記『新アラビア夜話』に同じ。昔タイトルに惹かれて読んだ。
★『箱ちがい』ロイド・オズボーンと共著 千葉康樹/訳 国書刊行
会(2000 原著1889)
『宝島』創作のきっかけとなった義理の息子との最初の共作。生
き残った最後の一人が保険金を独り占めする組合年金に入ってい
る伯父を持つ従兄弟兄弟は、伯父が事故死したとカン違い、その
死体をかくそうとするが…。死体があちこちするストーリイも、
滑稽な登場人物も見事なドタバタ・コメディ。奇妙な、ミステリ
ともいえないミステリ。さすがは文豪、意外に楽しめる。
★『難破船』ロイド・オズボーンと共著 駒月雅子/訳 ハヤカワミ
ステリ(2005 原著1892)
継子との合作第二弾長編。難破船を巡る謎。大人版『宝島』とあ
るが、単なる絵空事に終わらないように、主人公たちの背景をじ
っくり書き込んだ大人の読み物。芳醇なミステリ。巻末エピロー
グにこの作品の成立までの経緯や形式について解説されている。
★『バラントレーの若殿』海保眞夫/訳 岩波文庫(1996 原著1889)
新訳聖書「ルカ伝」の放蕩息子の帰還と史実を絡めたスコットラ
ンドの歴史もの。名家バラントレーの当主には父親に溺愛される
魅力的な兄と堅実で地味な弟の二人の息子があったが…。悪と善
の兄弟の争いを、夜の決闘、海賊船、大西洋横断の嵐の船旅、生
き埋めなど冒険の要素をちりばめて描く悲劇。
『スティーヴンソン怪奇短篇集』河田智雄/訳 福武文庫(1988)
筆者未見。「死骸盗人」「ねじけジャネット」「マーカイム」等。
『子どもの詩の園』よしだみどり/訳 白石書店(2000)
筆者未見。子供を描いたスティーヴンスンの詩集。英和対訳絵本。
続編あり。
●R・L・スティーヴンスン関連本:
★『物語る人(トゥシターラ) 『宝島』の作者R・L・スティー
ヴンスンの生涯』よしだみどり/著(挿絵も) 毎日新聞社(1999)
スティーヴンスンの詩集『子どもの詩の園』を出版した著者によ
る世界をまたにした伝記。この詩集からの詩と挿絵(訳も絵も著
者よしだによる)も交えて綴る。毎日中学生新聞に連載に加筆。
★『烈々たる日本人 日本より先に書かれた謎の吉田松陰伝―イギ
リスの文豪スティーヴンスンがなぜ』よしだみどり/著 祥伝社 ノ
ン・ブック(2000)
松陰死後23年後(1882年)にイギリスで出版されたスティーヴンス
ンの本に収められた「ヨシダ・トラジロウ」に関する著作。筆者
はこの事実に心底驚きました。知りませんでした。乞う一読。
● その他の海洋冒険小説:
『ロビンソン・クルーソー漂流記』デフォー/作 新潮文庫ほか
『ガリヴァ旅行記』スウィフト/作 新潮文庫ほか
『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ/作 創元SF文庫、集英
社文庫(新潮文庫版は完訳とあるが、実際は抄訳ダイジェスト。)
―以上の作品は、子供向けで有名ですが、ぜひ大人向けの完訳もの
をお読みください。全く新しいお話にふれる気分でしょう。
「黄金虫」エドガー・アラン・ポー/作 ちくま文庫、岩波文庫ほか
海賊キッドの財宝をめぐる暗号解読ものの短編小説で懸賞小説で
選ばれたもの。前半が宝探しの冒険、後半がその謎解き。スティ
ーヴンスンが『宝島』を書く参考にした作品でもあります。
(★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。)
*『宝島』他、R・L・スティーヴンスンの作品は、
またいずれ機会を見て紹介します。お楽しみに!
*『レフティやすおの本屋』支店「海外名作文学館」
「英米文学」の棚
http://myshop.7andy.jp/md_fair/foreignbooks/lefty-yasuonohonya?shelf_id=08
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次号(7月)の予定 : 『歎異抄』弱きを救う阿弥陀様
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※「別冊 編集後記」〜『レフティやすおの作文工房』〜
『宝島』海賊ゴッコの聖典
―第6号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10109196707.html
●『まぐネット!』
「レフティやすおの楽しい読書」コミュニティ
http://magnet.mag2.com/pc/page_c_home/486
古典の名著名作について、読書について、
このメルマガについて語り合いませんか。
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◆ 弊誌「楽しい読書」が 以下の各誌で紹介されました!
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ビジネス本
『営業ビジネスマナー超入門』日本実業出版社
『ドキドキ初回営業の極意』中経出版
『知らずに差をつける!絶対成功する営業術』日本文芸社
の著者で左利き仲間、
無口営業の達人・渡瀬謙氏の殿堂入りメルマガ
●『営業のカンセツワザ』2008/03/13 208号「我流 文章術(2)」、
http://archive.mag2.com/0000115536/20080313130000000.html
まぐまぐのオフィシャルマガジン、
●『ウィークリーまぐまぐ[エンタテイメント版]』2008/3/14号
「今週のおすすめメルマガ@エンタテイメント」コーナー
http://www.mag2.com/official/wmagentr/2008/03/14.html
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