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元本屋の店員のレフティやすおが、毎月前半では読書に関するエッセイを、後半には古今東西の古典の名作・名著を一点ずつ紹介します。読書とは他人(ひと)様の人生を追体験すること。「楽しい読書」で楽しいひと時、豊かな人生を送りましょう。

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2008/03/31

レフティやすおの楽しい読書 08//03(No.3)“水”のような生き方『老子』

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         レフティやすおの楽しい読書

         ― 読書で豊かな人生を! ―

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本日も、
若い頃は本屋の店員だった本好きのレフティやすおといっしょに、
このメルマガ「レフティやすおの楽しい読書」を通して、

古今東西の古典、名作・名著から選りすぐった一冊にふれ、
豊かな人生の時をすごしましょう。

読書とは、他人(ひと)様の人生を追体験することです。

そこから何かを学ぶか、ひと時の愉快な時間をすごすか、
それは人それぞれ。
自分なりの楽しみ方でいいのです。

まずは楽しい読書を心がけましょう。

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 2008(平成20)年3月号(No.3)-080331-
                              “水”のような生き方『老子』

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 “水”のような生き方『老子』
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  タオの人がすばらしいのは/水のようだというところにある。
  /水ってのは/すべてのものを生かし、養う。/それでいて争
  わず、威張りもしない。/人の厭(いや)がる低いところへ、
  先に立って行く。/水はよほどタオの働きに/近いんだ
   (加島祥造/著『タオ―老子』ちくま文庫(2006) 
    第八章 水のように)

  はじめの自分は/谷川の小さな流れだった。/そしてその流れ
  はゆったりと/海に至るのだ――君を運びつつ。
   (第三二章 永遠のエナジーの流れ)


私が最初に『老子』にふれて把握したイメージは、“水”でした。

 山奥から染み出した水の一滴一滴が集まり、
 小さな流れとなり、川となり、
 いつしか大河となって海に注ぐ。

その水は、山奥の谷の中にある
“玄牝(げんぴん)の門”(第六章)より
出(い)ずるのではないか。


水は方円の器に随(したが)う、といいます。

丸い器に入れれば丸くなり四角い器に入れると四角くなる。
何事にも臨機応変に対応して、なお自分を失うことがない。

 “上善は水の若(ごと)し。水は善く万物を利して争わず、衆人
  の悪(にく)む所に処(お)る。故に道に幾(ちか)し。...
  夫(そ)れ唯(た)だ争わず、故に尤(とが)め無し。”
  (第八章)

 「最上の善は、たとえば水のようなものである。水は万物に偉大
  な恵みを与えるが、万物と争うことはせず、人々の嫌がる低湿
  の地を居処(すみか)とする。だから無為自然の道の在り方に
  近いのだ。... 水の偉大さは万物に順って争わぬというところ
  にあるが、いったい争わぬからこそ過失もなく咎めだてされる
  こともないのである。」
         福永光司/著『新訂 中国古典選 第6巻 老子』
                朝日新聞社(1968) 46-47p

水は高みから低き地へと自らすすんで赴く。

 “天下に水より柔弱なるは莫(な)し。而(しこう)して堅強を
  攻むる者、之(これ)に能(よ)く勝る莫きは、其の以(も)
  って之を易(か)うる無きを以ってなり。...”(第七十八章)

 「世の中に水ほど柔らかでしなやかなものはない。/しかも堅く
  て強いものを攻めるには、これにまさるものはないのだ。/何
  物もその本性を易えるものはないからである。...」389p 

柔らかいものでありながら、いざ戦うとなると何よりも堅く強い。

そういう“水”のあり方です。


『論語』のなかで、孔子も、水のエネルギーに感嘆しています。

 “逝く者は斯(かく)の如きか。昼夜を舎(お)かず、と。”

 「流れゆく水流はこのように激しいものか。
  昼夜を分かたず流れやまない」と。
     『論語』加地伸行/全訳注 講談社学術文庫(2004)

しかし、

孔子が水の現象面の偉大さを取り上げているのに対し、
老子は、現象面の観察を超えて、水の本質を見抜き
「道に幾(ちか)し」と喝破している、

と、林田慎之助は『「タオ=道」の思想』のなかで書いています。
(講談社現代新書 2002年 46p)


  これをひと口でまとめると/争うな、ということだ。/水のよ
  うに、争わなければ、/誰からも非難をうけないじゃないか。
   (加島祥造/著『タオ―老子』ちくま文庫(2006) 
     第八章 水のように)

そんな“水”のように、生きてゆけたらいいなあ、と思います。

 ・・・

『老子』の魅力は他にも色々ありますが、
ひとつひとつを取り上げているとキリがありません。

とにかく、短い、薄っぺらい本ですので、
ぜひ一度眼を通してみてください。

何か心に残るものがあるはずです。


最後に、こんな言葉を。

  ... 古典の解説や紹介は、あくまでもそれを行なった個人の見
  方に帰する。... そこで読者は、本書をもって『老子』への入
  門とし、真に老子思想を把握するために、直接『老子』に当た
  って、そのなかで老子に触発されながら「自己」を読んでほし
  いと思う。
        高橋進/著『老子 人と思想(1)』清水書院(1970)


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【付録】『老子』の知恵を楽しい人生に活かすために 
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●『老子』のイメージを知る:

★『タオ―老子』加島祥造/著 ちくま文庫(2006)
 英米文学者で“伊那谷のタオイスト”でもある詩人の手になる
 『老子』全81章の現代詩訳。原典の趣を生かした誰にでもわかり
 やすい日本語訳、イメージをつかむのに最適でお勧めの一冊。
 私はこれで入門しました。
『心が安まる老子』伊藤淳子/訳 PHPエディターズ・グルー
プ/発行 PHP研究所/発売(2006)
 『老子』全81章をビジネスマン向け風(?)に現代詩に意訳した
 もの。こういうものもあり。下段に<癒し系>のモノクロ風景写
 真を小さく添えるなど、<心が安まる>感じに仕上げている。
『自由訳 老子』新井満 朝日新聞社(2007)
 ロングセラー『千の風になって』翻訳者による、<千の風>ふう
 自由詩訳。<癒し系>の自然カラー写真八葉をはさみ、『老子』
 のそれぞれの章の重複をまとめて、18章に再編成したもの。

● タオイズムを知る:

★『タオのプーさん』ベンジャミン・ホフ/著 吉福伸逸、松下
みさを/訳 E・H・シェパード/絵 平河出版社
 クマのプーさんを例に挙げて説明する、親しみやすい本。西洋人
 の解釈したタオイズム(道教)を知ることができる。クマのプー
 さんの読み解き本としてもおもしろい(?)。
『「タオ=道」の思想』林田慎之助/著 講談社現代新書(2002)
 『老子』の名句やタオを実践した中国の人々(漢の文帝、司馬遷、
 陶淵明など)を通して、『老子』のタオイズム―老子の説いた
 「タオ=道」を知る入門書。

●『老子』入門書:

★『老子』高橋進/著 清水書院 Century Books 人と思想1(1970)
 伝説の人・老子とその思想の書『老子』を解説した入門書。
 個人的には、哲学について述べた部分(序文の冒頭や「哲学の意
 義」の章など)が、共感できる。全体にちょっと難し目か?
★『老子入門』楠山春樹/著 講談社学術文庫(2002) 
 集英社版「中国の人と思想」第四巻を底本に、文庫化に際し、そ
 の後の発見(1973年馬王堆漢墓帛書『老子』、93年竹簡『老子』)
 等諸事情に伴い、旧著を改稿、削除・補筆したもの。
 序章では、人物としての老子、および書物『老子』を解説、以下
 の章で一般に有名な言葉についてそれぞれ説明している。

● 加島祥造の主な『老子』関連本(文庫のみ):

★『伊那谷の老子』朝日文庫(2004)
『タオにつながる』朝日文庫(2006)
『老子と暮らす 知恵と自由のシンプルライフ』光文社 知恵の森
文庫(2006)
『老子までの道 六十歳からの自己発見』朝日文庫(2007) 
 東京神田に生まれ、長年英米文学を教え、翻訳していた著者が、
 70歳を過ぎて長野県南部の伊那谷に定住し、その自然のなかで
 『老子』に目覚め、老子の思想を身近に感じながら考えたことど
 もを語る一連の書。私の『老子』入門書でもあった。特に、『伊
 那谷―』は、『老子』訳出までの経緯が語られており興味深い。
 老子的生活を実践するなかで生まれた「求めない」で始まる詩集
 『求めない』(小学館 2007)がベストセラーになっている。

『五十歳からの生き方』中野孝次/著 海竜社(2004)
 「6章 心を洗う古典の力(対談)加島祥造・中野孝次 <五十代
 からを生かす転機>」のなかで、初めて加島訳『老子』と出会う。
 私は中野孝次で『論語』に進み、加島訳で『老子』に進んだ。

●『老子』原典・注釈書:

★『新訂 中国古典選 第6巻 老子』福永光司/著 朝日新聞社
(1968)【朝日文庫版(上・下)1978】
 定番ともいうべき一冊。中国のみならず西洋の哲学や宗教との比
 較も随所に見られる丁寧な解説。1978年、朝日文庫版刊行時、馬
 王堆漢墓帛書『老子』甲・乙本による字句の異同の注記を追加。
★『老子 中国古典選』福永光司/著 朝日選書1009(1997) 
 上記1978年文庫版を基にした朝日選書版。現在入手可。
★『老子』小川環樹/訳 中公文庫(1997)
 第二定番。わかりやすい訳文で、コンパクトに解説している。
 中公クラシックス版(2005)もある。
★『老子 無知無欲のすすめ』金谷治/著 講談社学術文庫(1997)
 1973年馬王堆漢墓より発見された帛書『老子』を検討し改められ
 た部分がある(第二十四章の移動、第四十章と第四十一章の入れ
 替え等)。章立ても本文も現代語訳を前面に、原文・読み下し文
 をあとにまわして読みやすくしている。

● <老荘>をいっぺんに知るための入門書:

★『マンガ 老荘の思想』蔡志忠/作画 和田武司/訳 野末陳平/
監修 講談社プラスアルファ文庫(1994) 
 『老子』『荘子』からいくつかの章を選んでマンガ化した入門書。
『老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』
野村茂夫/著 角川ソフィア文庫(2004)
 『老子』からおよそ半分、『荘子』から十分の一ほどの有名な章
 句を選んで解説した入門書。
『老子・荘子の言葉100選 心がほっとするヒント』境野勝悟/著 
三笠書房 知的生きかた文庫(2008)
 つい最近出た本。手っ取り早くそれらしいものを知りたい人に。


※『荘子』は『老子』よりもユニークな発想やおもしろいエピソー
 ドが豊富ですが、何しろ大作で読み通すにはちょっとしんどい部
 分があります(岩波文庫版で四分冊)。
 注釈書などは、いくつかの本を読み比べて、自分に最も合った解
 釈と思われるものを探し出すように心掛けましょう。
 これ一冊ですべて間に合う本、というものはまずありません。
 リスト中、★は、私のお薦め本です。何かの参考にどうぞ。

*『老子』に関する本は、
 またいずれ機会を見て紹介します。お楽しみに!

*『レフティやすおの本屋』
 新しい生活のために/古典編 
http://myshop.7andy.jp/myshop/lefty-yasuonohonya?shelf_id=06
 新しい生活のために/古典入門編
http://myshop.7andy.jp/myshop/lefty-yasuonohonya?shelf_id=10

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 次号(4月30日)の予定 : 星になった少年『星の王子さま』
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※
 「別冊 編集後記」はこちら ↓
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『レフティやすおの作文工房』:2008.3.31
ビジネス自己啓発本としての『老子』または人の在り方...
第3号「楽しい読書」別冊編集後記
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10083428304.html


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