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現役おやじ日本語会話教師が、日本語や日本語教育、日本語教育能力検定試験、言葉について、心に浮かぶことを書いていきます。下品なおじさんネタは、笑って許してください。

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2008/01/22

 日本語よもやま話 Vol.2

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*****■Vol.2■******************************◇2008/01/22◇*********

   日本語よもやま話  http://blog.livedoor.jp/lucky0374jp/
           
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第2号のトピックは「ポライトネス」です。
 
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■ポライトネス:岩崎宏美との苦い思い出


例の駅前留学なんてやつがなかった遠い昔、英会話学院に通ったことがある。

結局ものにはならなかったが。 

開講の日、授業の始まりを待っている時、けっこう美形の受講生と自己紹介の
挨拶を交わした。

当時まだ若かった歌手の岩崎宏美に似たOLだった。

オラのことだもの、鼻の下がだらしなく伸びていただろうと思う。

モテナイ男の悲しいパターンで、けっこういい雰囲気だと勝手に思った。

ところがその次の日から、その岩崎宏美がまったく口をきいてくれなくなった。

挨拶をしても返さない。

廊下ですれ違う時も、親の敵を見るように憎憎しい目で見る。

何が原因なのか、オラにはとんとわからない。

鼻の下が伸びすぎていたのだろうか。

牛のようによだれをだらだら垂らしていたのだろうか。

そのうちオラも無視してやるようになった。

テレビに岩崎宏美が出てきたら、即座にチャンネルを変えるようになった。

20年以上経った今でもそうだ。 

数ヶ月経って、講座の終了も間近くなったころ、人づてに理由が耳に入ってき
た。

オラが初対面のとき、彼女を侮辱する言葉を吐いたというのだ。

侮辱だと?皆目見当がつかない。

初対面で人を侮辱する馬鹿がどこにいる。

詳しく聞いてみると、彼女が北海道の宗谷出身だと言ったとき、オラが「遠い
から、しょっちゅうご両親に会えないですね。」と言った言葉が気に障ったら
しい。

要するに、田舎者呼ばわりされたと思ったらしい。

「東京から遠い」が人を侮辱する言葉になるとは夢にも思わなかった。

そしたらロンドン、パリはどうなるんだ。

それ以後、オラは相手の出身地を聞いて、「遠い」とか「寒い」とか「暑い」
とか「日本の痰つぼ」だとかいう言葉は、絶対に使わないように気をつけてい
る。

先日は宮崎出身の人と会ったが、そのまんま東知事の話だけをした。


人間関係を左右するのは言葉だ。

言葉一つで敵にもなれば、刎頚の友にもなる。

円滑な人間関係のために、誰もが言葉に神経を使う。

言語学では、円滑な人間関係の確立・維持のための言語行動を、語用論的ポラ
イトネスと呼んでいる。

ポライトネス研究の第一人者はBrown & Levinsonといわれている。

Brown & Levinsonのポライトネス理論の鍵は「フェイス」概念だ。

フェイスは翻訳が難しいが、「面子」と訳すのが一番わかりやすいかもしれな
い。

Brown & Levinsonは、フェイスを大きく二つに分けている。

ひとつは、「他者に好かれたい」「賞賛されたい」というプラスの欲求である
ポジティブ・フェイスとだ。

もうひとつは「他人に邪魔されたくない」「立ち入られたくない」というマイ
ナスの欲求であるネガティブ・フェイスだ。

そして、ポジティブ・フェイスに対応する戦略をポジティブ・ポライトネス、
ネガティブ・フェイスに対応する戦略をネガティブ・ポライトネスと呼んでい
る。

若き日のオラは岩崎宏美のネガティブ・フェイスを傷つけてしまったのだ。

すまぬ。

これからはあなたを見ることがあっても、絶対にチャンネルを変えぬ。

ポジティブ・フェイスを満たす一番効果的な戦略は、相手を誉めることだそう
だ。

いろいろな研究結果を見てみると、誉めの対象は日本人には家族、特に子供が
一番効果的で、韓国人は容姿を誉めてやると一番喜ばれるという。

そういえば、「子誉め」という古典落語があったなあ。 

誉めるときに気をつけなければならないのは、誉めの対象が国や時代によって
ポジティブ・フェイスにもネガティブ・フェイスにもなるということだ。

たとえば、「太っている」「顔が大きい」といった言葉が、誉め言葉になる国
もあるそうだ。

ああ、オラそんな国で生活したい。

そんな国で「顔が小さくてスリムで素敵ですね。」なんて言ったらド突き倒さ
れそうだ。

またニューギニアの一部では、人に誉められることがネガティブ・フェイスを
傷つけられることになるという。

言葉を使うということは、かように厄介なことだ。

峡谷の上で綱渡りをするようなものだ。

言葉だけでなく、生きること自体がそういうものかもしれないなあ。                          

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■編集後記

無事に『まぐまぐ!』 の審査を通りました。登録してくださった方に感謝し
ます。月2−3回の発行ですが、末永くよろしくお願いいたします。

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  日本語よもやま話

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配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000256107.html 
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