2009/11/06
■ろう者の言語・文化・教育を考える No.151
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ろう者の言語・文化・教育を考える◆ No.151 2009年11月6日 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■<文化> プレゼンの違いについて 手話通訳学科では、手話通訳の基礎トレーニングとして、手話によるプレゼ ンテーションの機会が設けられている。実習報告会をはじめ卒業研究発表会や レポート報告などがある。最近はパワーポイントを用いることも多い。通訳は 他者の話を理解して目標言語で表出する作業である。自分の話も満足にプレゼ ンできないようでは、他者の話を伝えることなど不可能だ。そのためのトレー ニングであるが、学生のプレゼンを見るたびに、ろう者と聴者ではプレゼンの しかたに違いがあるように思えてならない。 1年生が初めてパワーポイントを使って発表をするときは、みな一様に手元 のパソコン画面を見ながら話す。スクリーンのほうを見る者は皆無で、ろう者 としてはなんとも落ち着かない。ろう者は手元にパソコンがあろうと聴衆が見 ているスクリーンを示しながら話すものだ。それによって発表者と聴衆の間で 情報が共有される。発表者の視線がパソコンから離れないと、ろう者としては 自分もそのパソコンをのぞきたくなるし、発表者との間に距離を感じてしまう。 どんなに手話ができるようになっても、手元に目を落としたまま話す聴者のや り方を持ち込んだのでは意味がない。 また、聴者がつくるパワーポイントは文章ばかりだ。日本語が得意な人なら まだしも、一般のろう者はそれではわからない。ろう者向けのプレゼンでは、 箇条書きにするなど文字の割合を減らし、図式や写真などを取り入れるとよい。 しかし、そのように指導された学生が作り直したパワーポイントを見ると、た しかにイラストが挿入されてはいるものの、発表内容にまったく関係のない絵 だったりする。無関係のものを入れ込んでどうするというのだ・・・。お飾りの イラストでは何の意味もないではないか。 さらに、学生はスクリーンを的確に示すことができない。申し訳程度に手を上 げただけではどこを指しているのかわからない。 プレゼンテーションにパワーポイントを使うのは、わかりやすさを助けるた めに有効だ。それでも、やはり手話と音声言語ではプレゼンのしかたは異なる。 手話でプレゼンをする際は、是非、ろう者らしいプレゼンができるようになっ ていただきたい。 (日本語訳:chu) ■メルマガNo.151の手話版は、10月30日のDeafTV-Japanにて配信されました。 □「ろう者の言語・文化・教育を考える」メルマガの手話版は、DeafTV-JAPAN でごらんいただけます。 http://www3.stream.co.jp/www11/sfactory/ □「ろう者の言語・文化・教育を考える」メルマガの手話版のDVDはダブル ピー株式会社で購入できます。 http://www.wp1.co.jp/ メルマガNo.001~020収録『日本手話とろう文化』 1,800円 メルマガNo.021~040収録『日本手話とろう文化2』1,800円 メルマガNo.041~061収録『日本手話とろう文化3』1,800円 □<注意> 引用、転載:出典を明記してくだされば自由にして下さって結構です。 (メールによる丸ごと転送はご遠慮ください) ※著作権は木村晴美が有します。 --------------------------------- 発行人:木村晴美 発行日:2009年11月6日(金) 読者数:724人(2009年11月6日現在) http://kimura-harumi.cocolog-nifty.com/



