2008/10/10
銀幕をさまよう名言集! No.35「2001年宇宙の旅」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 銀幕をさまよう名言集! No.35 2008.10.10発行 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 1968年/アメリカ 「2001年宇宙の旅」より スタンリー・キューブリック監督が放った 映画史上に輝く不朽の名作だ。 主人公のボーマンが乗る木星探索用の宇宙船は、 人工知能を備えるコンピュータが完全制御している。 コンピュータの名は「HAL9000(通称ハル)」。 彼は人間ともふつうに会話ができる。 ある日、ハルが、 宇宙船のある部分の故障を指摘するが、 調べた結果、故障らしきものは見あたらなかった。 ボーマンは、ハルの不調について仲間と密談し、 “ハルの回路を切ることもありうる” その旨を確認し合った。 ところが、ハルはこのときの密談を、 読唇術で読み取っていたのである。 ハルはボーマンらを船外に追い出し、 そのままロックアウトしてしまった。 (船内で冬眠していた人間も殺してしまう) ボーマン:「ドアを開けろ。ハルどうした?」 ハル:「――」 ボーマン:「聞こえるか?」 ハル:「――」 ボーマン:「返事をしろ」 ハル:「聞こえてますよ」 ボーマン:「進入口を開けろ」 ハル:「それはできません」 ボーマン:「なぜだ?」 ハル:「理由はお分かりのはずです」 ボーマン:「何の話か分からん」 ハルは毅然とこう言う―― ☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「回路を切断するつもりでしょ。 許すわけにはいきません」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆★☆ ハルにとって「回線の切断」は「死」を意味する。 つまり、このシーンは、 死を恐れたハルが、 反乱に転じた瞬間といえる。 コンピュータの頭脳が高度化していくのは、 素晴らしいことかもしれないが、 万が一、コンピュータが人間同様の感情を得た場合、 このような反乱もありうるのかもしれない。 「2001年宇宙の旅」と同じ1968年に作られた 名作「猿の惑星」は、 人間と猿の支配関係を逆転させた、 ショッキングな内容が話題を呼んだが、 「2001年宇宙の旅」のこのシーンでは、 人間とコンピュータの支配関係が逆転している。 人間がコンピューターに追い出されるという状況は、 「猿の惑星」で首を鎖でつながれた人間の状況と同じだ。 人間は常に優位を得ようとする。 人間以外のあらゆるモノから。 猿に対しても、コンピューターに対しても。 最近では、どこかの国が、 人工的に降雨を誘発する行為に出たが、 今や自然からも優位を得ようとしている。 だが、人間があらゆるモノから優位を得ることに 間違いはないのだろうか? そこに、おごりや慢心はないのだろうか? キューブリック監督が用意した コンピュータの反乱というシーンには、 地球の支配者を気取る人間への 皮肉と風刺が込められている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 本作「2001年宇宙の旅」 は、 高品質かつ斬新なSFX技術が、 のちのSF映画に大きな影響を与えました。 と同時に、哲学的なテーマが、 深い余韻と感慨を残す1本でもあります。 この映画はでは説明描写が 意図的かつ徹底的に省かれているため、 難解な映画として受け取られがちです。 一度見ただけでは、 ストーリーが把握できない方もいるでしょう。 こういう映画は、 説明されていない描写を、 観客の一人ひとりが、 自分の思考をもって補完する必要があります。 それなりに頭を使いますが、 頭を使って考えてこそ、 深く味わえる作品というのは、 間違いなくあると思います。 キューブリック監督が セリフや説明描写を最低限に抑え、 視覚表現を重視したのにも、 きっと狙いがあったはずです。 ********************************** ■銀幕をさまよう名言集! No.35「2001年宇宙の旅」 マガジンID:0000255028 発行者 :山口拓朗 ●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」 http://yamaguchi-takuro.com/ ●メール(ご意見・ご感想をお待ちしています★) yamatak47@yahoo.co.jp ********************************** ◎ 銀幕をさまよう名言集! 【購読解除】 http://archive.mag2.com/0000255028/index.html 【発行システム:まぐまぐ!】 http://www.mag2.com/ **********************************


