Ruby・イン・ワンダーランド 第12号
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
Ruby・イン・ワンダーランド
第12号(2008/08/16)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
発端(九)
「じやあもうワタシ寝るからね。いよいよ明日出発でしょ。ワタシのような成
長期にあるムスメは、最低8時間は寝なくちゃいけないのよ」
せっかく一所懸命に考えた父親に送るメールの文句を完全否定された真紅は、
膨れ上がりつつ、ガフンダルと長七郎に対してそういい放った。一度眠りに入
ったのに、長七郎の声でとんでもない悪夢を見て、その上起こされたため、非
常に機嫌が悪いせいもあったのだ。
「そうか。ではゆっくり休むとよいぞルビイよ、なんだかんだいっても、今回
この一連の出来事の主役はお前なのだからな。常に元気でピンコラしておいて
もらわにゃならんからのう」
ガフンダルが、真紅の気持ちをしってかしらずか、フォローするようなことを
言う。
「ふん。ほんとにワタシが主役なの?ガフンダル、アナタにしても、そこの長
七郎にしても、濃いキャラが出てきすぎだわ。これからがホント思いやられち
ゃう」
真紅は、毛布を毛布を手繰り寄せながら、心底これからが思いやられるといっ
たふうに首を振りつつ歎息する。
「おっと。真紅よ。なにやらお前の父親からまたぞろメールが来てるぞ」長七
郎が派手にビープ音を鳴らしながらそういう。
「もう!メンドくさいわね。明日返事するから、明日ね。ところでアンタ、パ
ソコンでしょ?自動で適当にあたりさわりのないメールをやり取りできないの
?」真紅は、さも面倒くさそうに、手のひらで長七郎をシッシしながらいった。
「なにぬかしてやがるんだ!?テメェこのぉ!親不孝者が!お前の父親はお前
のこと心配してメールしてきてんじゃねえかよ!それをなんだ!?メンドくさ
いとは、どういう了見でぃ!」長七郎は、テーブルの上でぴょんぴょんはねな
がら真紅にくってかかった。
「だって。そうやってチマチマメールをやり取りしたって、問題が解決するわ
けじゃないでしょ。時間のムダよ。時間のムダ!なにかこう大きな進展があっ
たら連絡すればいいのよ」
「なんだとコンチキショー!」
「まあまあ、二人とも喧嘩をやめというに。まあ、ルビイのいうことも一理あ
る。あちらの世界におらっしゃるルビイの父上にしてみれば、娘がそのような
別世界に来てしまったということ自体理解の範疇を超えていることなのだ。ア
ウトオブハンチュゥという奴だぞ。ぷふふ。その父上に対し、こまごまとした
ことを説明してみてもせんないことだ。何しろ根本的なところが理解できてお
らんのだからのう」ガフンダルは、ウンウンとうなずきながらそういった。
真紅も、長七郎も、何も言わずガフンダルの話を聞いている。
「という次第でな、長七郎さん。おぬし、父上殿からのメールを構文解析して
だな。なるべく父上殿を心配させぬような内容を適当にジェネレィトして返信
しておいてくれぬか。そのほうが、この作文能力崩壊娘に返事を考えさせるよ
り話が早いというものだ。但し、長七郎さん。おぬしに判断がつきかねるよう
な問い合わせなり用件なりが父上殿から送信されてきた場合は、真紅か、ワシ
にそのむね申告してくれればよい」
「わかったよ。これからそうする」長七郎は NumLockランプとCapsLockランプ
をチカチカ点滅させながら、ガフンダルの提案を承諾した。
「そうよ。最初からそういうハナシにしときゃいいのよ。じゃあワタシ寝るか
らね。おやすみなさーい」
そういうが早いか、真紅はすうすう寝息を立て始めた。その時間コンマ何秒の
早さであった。このように一瞬で眠りにつくのは、ほとんどバカといっても過
言ではないのだが、今日の真紅は本当に疲れていたのである。
真紅の寝顔を微笑ましそうに見ながら、ガフンダルは話を続けた。
「さて、長七郎さんよ。おぬしにもうひとつ頼みがあるのじゃが」
「なんだよ?」
「ふむ。この娘はいまでこそ、これこのようにバカ丸出しなのであるが、ビャ
ーネ神に選ばれて、大いなる使命を託されたヒロインなのじゃ。この娘はなん
だかんだいって、最後には必ずや大業を成し遂げるであろう。そうなると、こ
の娘の冒険を誰かが記録し、サーガ(英雄譚)として後世に残さねばならん」
「サーガってガラじゃねえと思うけどこの馬鹿娘。まあいいや。その記録係を
オイラにやれっていうのかい?」
「さよう。さしずめ吟遊詩人のようにな」
「オイラ、吟遊詩人じゃなくて、吟遊パソコンだぜ。おもしれーじゃねーか。
いいだろう。引き受けたぜ。なんなら動画だって残せるんだぜ」
「残念ながらこの世界には動画を再生できる術がないでな。文章だけでよい。
そうさな、タイトルは『ルビイ・サーガ』てなところでよいかな」
「ルビイ・サーガか。ち。まあしゃぁねぇや。ところでガフンダルさんよ。引
き受けるにあたって、ひとつ条件というか、お願いがあるんだけどよ」
「なんじゃな?印税を前借りしたいのか?」
「そんなこっちゃねーよ。一緒に『ルビイ・サーガ外伝、長七郎天下御免』て
のを書くから、それも後世に残してくれるかい?」
「あいわかった。好きにするがよいわ。ただそのなんだっけ?長七郎天下御免
だっけ?それは、発行する前に、内容をチェックさせてもらうぞ。もし五千部
いけそうになければ、共同出版または自費出版にしてもらうからな」
「ふん。シケタこと言ってんじゃねえや!」
「冗談だ。では我々も明日に備えて休むとしようか」
そういったガフンダルの体は、徐々に薄れていき、背後の調度が透けて見える
ようになり、しまいに、ふっとかき消えてしまった。
部屋の中は急に静かになり、聞こえるのは真紅の静かな寝息と、長七郎が出し
ているファンの音だけになったのである。
「へん。魔法使いみたいなジジイだぜ。あ。本物の魔法使いだったっけ。奴は
よ。よし、じゃあオイラも寝るとしようか。大分熱を持ってきたみたいなんで
な。おっとその前に真紅のおやっさんにメールしとかなきゃいけないんだっけ
。ち。なんか面倒臭くなってきやがったぜチキショーめ。適当でいいやな。適
当で」
などといいながら、10ミリ秒で返事を生成し、送信したあと、吟遊パソコン
長七郎は、自らシステムをシャットダウンし、電源をオフにしたのである。
-- 次号に続く --
======================================================================
編集後記
======================================================================
1.次号の発行日は未定です。
2.ご意見ご感想は以下までお送りください。
impl_person@yahoo.co.jp
3.また、ブログをボツボツ書いてます。
『実装者公式ブログ - 実装者流』
http://ameblo.jp/impl-person/


![転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出 転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/sya.gif)
![派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報 派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/haken.gif)
![アルバイト探しは[en]本気のアルバイト アルバイト探しは[en]本気のアルバイト](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/baito.gif)
![就職サイトは[en]学生の就職情報 就職サイトは[en]学生の就職情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/gakusei.gif)
![転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に! 転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に!](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/consul.gif)