2009/10/17
メルマガ・独禁法学第18号
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・ ・:*:・'★独禁法学★・:*:・' ・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・ 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 第18号 生い茂る森林のような独禁法の世界をかき分けて、 現代経済ルールのあり方を探求する。 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ ★◇☆◇★企業結合規制★◇☆◇★ ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ 企業結合規制は、独占禁止法9条~11条及び13条~16条 に規定されている諸規制をいう。 このうち、9条と11条部分を除いた他の部分(これを以 下、狭義の企業結合という。)は、規定されている行為態 様要件を満たすことにより、「競争を実質的に制限するこ ととなる。」ことを弊害要件としている。 狭義の企業結合は、株式保有、役員兼任、合併、共同新 設分割又は吸収分割及び事業譲受を行為態様要件としている。 なぜ、これらの企業結合が規制されなければならないのか というと、企業結合が行われると、これまでみてきた市場に 弊害を及ぼす、例えば価格協定や排他条件付取引等と同等の ことが、ただの協定・カルテル等によるものよりも、強力な 形で行われる可能性があるからである。 ゆえに、企業結合による弊害要件を考えるにあたっては、 不公正な取引方法・不当な取引制限・私的独占の三大違反 類型でみてきた内容をほとんどそのままあてはめることが できる。 違いがあるとするならば、狭義の企業結合は、規定され ている行為態様要件を満たすことにより、「競争を実質的 に制限することとなる。」ことを弊害要件としていること であろう。 「競争を実質的に制限する。」で終わらずに、「ことと なる。」という言葉が付加されている。 これにどのような意味があるのであろうか。 結論からいうと、三大違反類型の弊害要件論のように 現在の弊害を注視しているのではなく、将来起こり得る 弊害を射程に入れているということである。 株式保有、役員兼任、合併、共同新設分割又は吸収分 割及び事業譲受のような狭義の企業結合規制の行為態様 要件を充足するような行為があると、市場に弊害を及ぼ す行為が行なわれやすい状態(以下、当該状態という。) となる。 そして、現在、市場に弊害を及ぼす行為が行なわれて いるわけではないが、「もしも、当該状態に誘発され、 市場に弊害を及ぼす行為が行なわれたとしたならば、競 争を実質的に制限することとなる。」と認定できる状況 であれば、弊害要件を満たすということになる。 株式保有、役員兼任、合併等の行為態様要件に合致す る事実があったとしても、それだけでは、企業結合関係 があるとはされない。 企業結合ガイドラインによると、意思決定の連動化が もたらされた場合に、企業結合関係があると判定されや すくなっているようである。 白石説ではそれにとどまらず、つまり意思決定の連動 化だけではなく、株式保有や役員兼任、合併等により、 反競争的行為をしたくなるインセンティブが働く場合が ある、 このような場合にも企業結合関係が生ずる場合もあると している(以上につき、白石講義p135以下参照。)。 たとえていうなら、強力な武器を持ってしまうと、実戦 で使いたくなるという恐ろしい心情が働くということと似 ているのかもしれない。 強力な武器を持ってしまいそれを使いたくなるというイ ンセンティブが働く場合にも、企業結合関係を認定しても よいだろうということなのではないかと思われる。 企業結合に関するエンフォースメントについては、独占 禁止法17条の2等に「事業者に対し、株式の全部又は一部の 処分、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為 を排除するために必要な措置を命ずることができる。」・ 「違反行為者に対し、株式の全部又は一部の処分、会社の役 員の辞任その他これらの規定に違反する行為を排除するため に必要な措置を命ずることができる。」等と規定がある。 また、13~14条の場合を除いて、違反発見のために資する 届出制度に関する規定も置かれている。 届出を行った企業は、原則として、当該届出が受理された 日より30日以内は、当該届出に関する行為を行なうことがで きない。 受理した公取委は、当該届出に関する行為により「競争を 実質的に制限することとなる。」か否か等を審査し、違反行 為について排除措置命令を行うことができる。 しかし、実際はそれらに先立つ公取委の事前相談回答によっ て、その大部分が処理されている。 企業結合関係者も、後に問題が生じたり、処分されたりする のを嫌うのは当然で、予防法務的に問題の除去を行ってから、 企業結合実施に着手したいという気持ちが働くのであろう。 事前相談は、「企業結合計画に関する事前相談に対する対応 指針」によると、次のような流れで行われる。 まず、企業結合計画の具体的内容を表す資料が公取委に提出 されてから、原則として30日以内に当事会社に対し、違反のお それがない旨又は詳細な審査が必要な旨を通知する。 次に、詳細審査が必要な場合は、詳細審査に係る関連資料が 当事会社から提出されてから、原則として90日以内に、理由を 含めた審査結果について回答を行う。 詳細審査に対する回答は文書で行われ、当該回答は公表される。 当該事前相談回答時に、公取委が「条件付承認」を行う場合が ある。 事前相談時に公取委から違反のおそれないとはいえないと いう回答を受け取った相談者が、公取委が指摘する違反のおそれ の原因を除去した上であたらめて相談を行い、再度公取委から 「違反のおそれなし」との回答を受けることを「条件付承認」と 呼んでいる。 違反のおそれの原因を除去する措置を問題解消措置と呼ぶが、 企業結合に関する問題解消措置の中心は、企業結合関係者以外 に企業結合関係者の事業の一部を譲渡する、新規参入を即すよ うな措置をする、有益施設等を他者に原価ベースの料金で使わ せる等の他者に牽制力を与えるようなものとなる場合が多い。 企業結合に関しては、「企業結合審査に関する独占禁止法の 運用指針」、いわゆる企業結合ガイドラインが公表されている。 参考) http://www.jftc.go.jp/ma/kigyo-gl.pdf (企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針) なお、独占禁止法は、本年6月3日に改正され、 6月10日に公布されて、平成22年1月より施行され る予定となっている(事業者団体届出制度の廃止 等については7月10日から既に施行されてい る。)。 企業結合規制の見直しを含む改正内容は以下 のとおりである。 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.june/09060301tenpu1.pdf 参考文献: 「独占禁止法(第2版)」金井貴嗣・泉水文雄・川濱昇編 弘文堂 http://www.amazon.co.jp/dp/4335353707/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「ベーシック経済法 独占禁止法入門」川濱昇他著 有斐閣アルマ http://www.amazon.co.jp/dp/4641122849/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独占禁止法要論」 谷原 修身著 中央経済社 http://www.amazon.co.jp/dp/4502939803/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独占禁止法 公正な競争のためのルール」村上正博著 岩波新書 http://www.amazon.co.jp/dp/4004309298/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独占禁止法入門」 厚谷 襄児著 日経文庫 http://www.amazon.co.jp/dp/4532110874/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「比較・独占禁止法」服部 育生著 泉文堂 http://www.amazon.co.jp/dp/4793004377/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独占禁止法」白石忠志著 有斐閣 http://www.amazon.co.jp/dp/4641143692/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独禁法講義(第3版)」白石忠志著 有斐閣 http://www.amazon.co.jp/dp/4641143528/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「独禁法基本法令」 白石忠志編 商事法務 http://www.amazon.co.jp/dp/4785714719/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 「事例教材」独禁法 白石忠志著 商事法務 http://www.amazon.co.jp/dp/4785714700/ref=nosim/?tag=houtekisiko03-22 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・ ・:*:・'★独禁法学★・:*:・' ・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・'★,・:*:・'☆,・:*:・ 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ http://ameblo.jp/houtekisikou2007 発行元:ナレッジ・サプライ メールアドレス houtekisikou2007@livedoor.com ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ ★☆★姉妹メルマガのお知らせ★☆★ ●管理会計・原価計算を徹底マスターしよう!● 日商簿記1級・会計士・中小企業診断士試験受験生等に必 要な管理会計・原価計算論を徹底的にマスターしましょ う!資格試験受験生だけでなく、マネジメント会計の知 識を必要とする経営者やあらゆるビジネス・パーソンに とっても有益なメルマガです。 2008年2月4日付け新作メールマガジン発行部数ベスト10入りメル マガ! 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