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2008/05/30

「タッチで描く」

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2008年5月30日 発行


どうも、こんにちは。
斉藤です。

今回は、僕が絵を描く際にいつも心掛けている
技術的なことについて書きます。


◆「タッチで描く」

しっかりとした写実作品をつくるための「外せない基本」、

それは、ずばり「タッチで描く」ということです。


「タッチで描く」というのは、

「筆致を残して描く」ということ、つまり、
筆や鉛筆などの動きの痕跡が分かるような描き方です。

ベタッと「面」を塗るのでは無く、
「線」を積み重ねることで絵を作っていく感覚です。

直線、あるいは曲線の筆致の「一定方向への流れ」を
感じさせるように描くこと、とも言えます。

この「タッチで描く」ことを意識して描くと
しっかりとした、力強い、整然とした画面が作り易いのです。


「タッチで描く」ことの定義を分かりやすくするために
逆に、「タッチで描いていない」というのはどういうものか
例を挙げてみます。

例えば、一番、対極にあるのは「エアブラシ」ですね。

エアブラシというのは専用の機材を使って霧吹きのように
絵の具を吹き付ける技法で、とてもキレイなグラデーションを作ることができます。

この方法は、「筆」を使わないので、当然、「筆致」は残りません。


エアブラシは、「タッチで描かない」ものの極端な例ですが、

鉛筆を使ったり、水彩や油彩で描かれているものでも

「タッチで描いていない」作品はたくさんあります。


例えば、鉛筆でも、少しずつ薄く何度も塗り重ねていって
均一な濃さの面を作ることができますが、

これは「タッチで描いていない」状態です。

薄く何度も塗り重ねた面は、鉛筆を「どの方向」に動かして描いたのか、
ということが完成作品を見ただけでは、よく分かりません。

なので、筆致の「一定方向への流れ」が消えてしまいます。

また、油彩や水彩でも、

薄く何度も塗り重ねて「筆跡」が見えない
フラットな仕上がりの塗り方は「タッチで描いていない」状態です。

あと、たとえ筆の痕跡は見えていても
あまりにランダムに色々な方向に筆を動かしながら塗ってあり、

筆致の「整然とした一定方向への流れ」が感じられない場合も
「タッチで描いていない」といえます。


以上で、なんとなく「タッチで描く」ということの僕なりの定義を
ご理解いただけたかと思います。

あくまで、「僕なり」の狭義の定義です。
一般的には、もう少し広い意味で使われている気がします。

でも、僕の考えている「タッチ」と

同じイメージを共有してもらえなければ、たぶん何の意味も無いので

かなりクドイ説明をしてみました。


簡単に言ってしまえば、

「鉛筆や筆を、平行に規則正しく動かして描く」ということです。


そして鉛筆や筆というのは、当然ほとんどの場合、「手」で扱います。

ということは、タッチで描かれた絵というのは、

「作者がどのように(どの方向に、どんな速さで)手を動かしたのか、が
見る人にとって、よりハッキリと分かる絵」であるということです。

このことがとっても重要なことだと思います。


なぜ、タッチで描くことが有効なのか、
もっと細かい技術的な理由も色々あるのですが、

それを言葉で説明するのは、本当に難しいので
今回はそこは省きます。


なので、とりあえずは今回お話しした「タッチで描く」ということの
イメージを理解していただきたいです。

そしてこれから、僕の作品に限らず、
古典から現代までの色々な人の描いた絵画作品やデッサンを鑑賞する際には

ぜひ、この「タッチで描いているか、いないか」という視点で
ご覧になってみてください。

漠然と眺めるのとは、また違った見方ができると思います。


そして、こういう漠然とではない見方を何度も繰り返していくことが

自分自身の「審美眼・見る力」を進化させる、というか

まあ、「進化」する、というのは楽観的過ぎるかもしれませんが、

少なくても「変化」を促進させる気がします。


それは、描く人にとっても、見る人にとっても同様に。


参考として僕の作品画像へのリンクを載せて終わります。

とくに典型的な、「タッチ」だけで作り上げている作品です。↓

http://www.flickr.com/photos/3110/2491531766/in/set-72157605045219726/

色鉛筆を軽く擦るように扱ったり、筆でベタッと塗ったりして
「面」を作ろうとしている箇所は、ほとんど無いことが分かると思います。

全てを「線」の重なりで表現しています。



それでは、今日はこの辺で。

お読みいただきありがとうございました。

また次回!


追伸:

今回のように、技術的なことを文章でお伝えするのは、
文才ゼロな自分にはかなりハードルが高いです。

けれど、自分のやりたいこと、でもあります。

もし、内容について「理解できた」あるいは「意味が分からなかった」など
ご感想や、ご質問をいただければ、嬉しいです。

どうぞお気軽にメールをくださいませ。





※ここから下は毎回同じもの載せています※
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発行者:斉藤高志 
メールアドレス:mag2@saitotakashi.com
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◆プロフィール
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斉藤高志

画家/イラストレーター

1980年生まれ。千葉県出身、東京都在住

1997年、米国自動車会社「GM」のイラストレーションなども担当した
イラストレーター野口佐武郎氏の主宰する
プロイラストレーター養成校「スタジオ・オブ・イラストレーターズ」に入学する。
4年間、写実作品の精密な模写を中心とした実践的なカリキュラムにより、
造形美術の基礎となる表現技術を学ぶ。

2000年にスタジオ・オブ・イラストレーターズを卒業し、
模写によって培った描写テクニックを土台として
オリジナル作品の制作を本格的に開始する。

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