夕張市立総合病院を引継いだ「夕張希望の杜」の毎日  RSSを登録する

医療関係者(特に公立病院)及び地方自治体関係者、必読のマガジン。あの夕張市立総合病院を引継いだ「夕張希望の杜(もり)」の悪戦苦闘の毎日を、村上智彦医師他の執筆でお届けします。夕張で起こっていることは、10年後の日本の未来です!

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2009/09/18

【夕張希望の杜の毎日】高齢化社会での出来事

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**    **  夕張市立総合病院を引き継いだ「夕張希望の杜」の毎日
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**        **    発行者:前佐賀市長 木下敏之
**        **   http://www.kinoshita-toshiyuki.net
                  代表サポーター    伊関友伸
                   (城西大学准教授、元夕張市病院経営アドバイザー)

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━ *☆*☆* ━━━━━━━ vol.92 ━━ 2009.09.18 ━━━━━━━ 

◎◎   配信第 92回  高齢化社会での出来事
                 
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◎  目次
  1.はじめに  木下敏之
  2.村上智彦が書く、今日の夕張希望の杜。
 3.医師の森田洋之です。
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◇ 1.はじめに  木下敏之  
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メルマガ発行責任者の木下敏之です。

先日、新内閣の就任記者会見がありました。
民主党と官僚との戦いで記事を書くことが多いので、
夜中の二時近くまでメモを取りながら聞いていました。

先週号で、記者会見の様子で新大臣の実力が大体わかる
と書いたのですが、どの方も、自分の言葉で語っていました。

一様に、マニフェストの実行に「しっかり」取り組みますと、
しっかりを連発されていました。

何か期待が持てそうな気がしています。

では、最後までお読みいただけると幸いです。

  木下 敏之

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◇ 2.村上智彦が書く、今日の夕張希望の杜
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ある日の外来で60代の女性が85歳の父親と80代の母親を伴って
来院しました。

女性はこの男性の長女の方で札幌にお住まいで、
他の兄弟の方は東京や群馬等本州に住んでいるとの事でした。

開口一番「入院させてください」と言いだして驚きましたが、
話をよく聞くと、父親は母親と夕張で2人暮らし。

老-老介護の典型的な構図で、お二人とも要介護認定
されていて要支援となっています。

「最近父親の認知症が進み、異常な行動も目立ってきて、
母親も足腰が弱り認知症の父親の我儘に疲れて来た。
ここ数日は父親が食事も食べなくなり困ったので入院
させて欲しい。」という話でした。

診察するとお父さんはやや脱水気味ですが歩けるし、
比較的元気です。外来で点滴をしながら娘さんに状況説明
したり、ご本人の希望も聞いていました。

入院させてもよかったのですが、娘さんが2-3日こちらへ
泊る時間がとれるとの事で、話をしました。

「これは医療の問題ではなく、介護の問題ですので
本来は病院で解決するものではありません。

とりあえず入院させると問題が先送りになるし、
いずれは何とかしなければなりません。

安易に高齢者を入院させると弱ったり、認知症が進んだり
する事もあるので、若い方と同じに考えない方がいいと
思います」と説明しました。

結局相談員を呼んで今後の予定を話し合ってもらい、
まず再認定をしてもらって、こちらにいる間に本人達や
他の兄弟と今後の介護について話し合ってもらう事に
なりました。

最近になるまで娘さんは、介護保険や介護自体の事など
あまり真剣に考えた事も無く、両親が認定されている事も
知らず、他の兄弟の方は電話もよこさないで任せっきりに
なっている様子でした。

夕張は高齢化率43%と日本一高齢化の進んだ市で、
北海道の核家族化率は日本一です。
こんな話はしょっちゅうあります。

おそらく今までの夕張であれば、夕張市立総合病院のベッド
に押し込んでそれで終わりだったのだと思います。

家族や行政は悩む必要もないのですが、入院した人達は
二度と自宅へは帰れなくなり、家族も退院を拒否し、
そこで終焉を迎える事になったと思います。

医療は老化には勝てませんし、医療機関は介護の場では
ありません。その結果が40億の借金と病院の破綻という
形で現れたのが夕張の教訓です。

考えてみますと男性が85歳というのは平均寿命を超えて
います。(男性の平均寿命は79歳位です)

「何かあったらどうする」ではなくて「何か必ずある年代」
ですので、介護の問題や認知症の問題が出ても不思議は
ありません。

何となく自分の身内にこの様な事が起こるのは想定外で、
起こると大騒ぎになり、病院へ連れて行って何とかしよ
うとします。

結局のこの方達は母親の負担を軽減するために、介護の
力を借りて、ショートスティを使いながら、ご兄弟の力
も借りて在宅で過ごす事になりそうです。

住み慣れた夕張の自宅で過ごしたいというのがご本人の
一番の希望だからです。

ある先生が「高齢者の介護においては、本人達の満足と
尊厳のバランスを取るのが大切だ」と言っていましたが、
おそらく正解の無いクイズの様なもので、ベストより
ベターを目指していくしかないのだと思います。

自分に介護が必要になったらどうするのか、あるいは
自分の両親が認知症や寝たきりになったらどうするのか、
といった事をある程度の年代になったら考えておく必要
があります。

医療はあくまでそのサポートしかできないというのが
現実です。

「安心して死んでいける地域を作る」というのはとても
大変な事ですが、高齢化が進んだ地域ではすぐにでも
今までの考え方を変えていく必要があります。

これは行政や住民自が考えなければなりません。

「行政や住民は徐々にしか変われない」といっているのは
変わる気が無くて出ている言葉だと私には思えます。

そんな現実を目の前にしながら悩み続ける毎日です。

 医療法人財団 夕張希望の杜
    理事長 村上智彦
  [ http://www.kibounomori.jp/ ]

■ 「医療再生はこの病院・地域に学べ!」(新書 777円)
 村上先生の共著本(8人の著者の一人)です。
  http://www.amazon.co.jp/dp/4862483895

■ 「村上スキーム」-地域医療再生の方程式-(\1500)
 ご友人、知人にご紹介ください。
 [ http://www.amazon.co.jp/gp/product/4902969793 ]

■ 村上先生の過去の記事はこちら
(日経BPさんのご好意で、月単位で掲載しています)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=15&BID=5735

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇ 3.医師の森田洋之です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

みなさんお久しぶりです。
今回は、先日支援診療行ったある地域のことについて
書きたいと思います。

この地域は、人口数百人の孤立した地域に無床診療所が一つ。
医師、看護師も一人ずつという、いわゆる僻地です。

医師は、本州から志を持って来られた赤ひげ先生のようで、
住民にも溶け込み非常に評判の良い先生です。

今、地域に来られて5年。

コンビニ受診などが横行し、バランスが崩れ始めているような状況。 

そんな中、私が診療の代行で呼ばれました。
そして、その地域の住民の方々との話の中で、
いろいろなことを感じました。

住民の方のなかに、地域の医療を本当に憂慮され、
本気で何か動こうと思われている方がおられましたので、
後日お手紙を差し上げました。

今回は、その手紙の一部(個人名は伏せて)をご紹介しようと思います。

・・・・・・・・・・・
拝啓

立秋の候を迎え、皆様にはますますご多忙のことお喜び申し上げます。 
先日は皆様に温かく迎えて頂きましたこと、本当に感激致しました。 
心より感謝申し上げます。

(中略)

ところで、△△地域で色々な方からお話をお聞きしましたところ、
○○先生はすこしストレスを溜められているのかな?と感じました。 

もちろんご病気のこともあるでしょう。
しかし主な問題はそこではないような気がしました。

アカヒゲになるということは、想像以上に過酷です。

 知らない土地で長年暮らすこと

 家族と離ればなれになること

 相応の理由がなければ休日も△△地域を離れられないこと

 アカヒゲである以上、土日でも患者を断れないこと

 一部住民の理解が得られないこと

もちろん、色々なやりがいもあるでしょうが、
ここまで過酷な条件が揃う職場はなかなかないと思います。
ご自分の身になって考えてみてはいただけないでしょうか。

住み慣れた地域を離れ
ご家族と離れ、子供の成長も見ることが出来ず
休日もなく毎日仕事をしろと言われたら・・・

お子さんにこのような職場を勧める親がおりますでしょうか?

本当に地域の医療を考えておられる□□さんだからこそ
正直に申し上げます。

今のままの△△地域住民の意識で、また医療体制で、
私に「△△診療所に来い」とおっしゃられたこと、
おそらく何気ない一言だったとは思いますが、
私にとって決してありがたいものではありませんでした。

(中略)

また、「医者なんだから夜も寝ないで患者を診て当たり前」
というような声もたしかにあります。

医者は、こうした「医師としてのモラル」を言われると、
非常に弱いものです。

しかし、以前は「医師のモラル」と同時に「患者のモラル」も
あったような気がします。

夜間、休日に医者に診てもらうなんて、私が子供の頃は
よっぽどのことがない限りしなかったように想います。

両者があってバランスのとれていたものが、
一方だけが過大に要求されるようになった。

これが今の医療崩壊の原因ではないでしょうか。

最近よく、
「医療は限りある資源、みんなで大事に使いましょう。」 
と言われます。

この考え方は水産資源にも一部通じる物があるような気がします。

9割の人が理解していても、1割の無理解な漁師がいると、
水産資源は荒らされ魚がいなくなる。
それを回復しようとすれば莫大な時間と労力がかかる。

一部の人の理解のない行動や夜間のコンビニ受診も似ているような気がします。

(中略)

こうして地域に潰されたアカヒゲが何人いたことでしょう。
もうこんな悲しい事例は見たくありません。

是非○○先生をお大事になさって下さい。
今が○○先生を救う最後のチャンスかもしれません。

荒らされた漁場に魚が戻ってこないように、医者を使い捨てた地域には、
どんな医者も寄りつきません。

「住民が診療所を守る」とう意識。

人口1万人の夕張ではなかなか全員に徹底させることは困難ですが、 
人口数百人の△△地域なら可能かもしれません。
是非、目に見える形でその意識を表現されてください。

兵庫県柏原病院小児科のように、
「△△の医療革命」が日本中の注目を集めるかもしれません。

「先生たまには家族の所へ帰って下さい。」
と住民の側から声をかけること。

住民サイドから道に働きかけて○○先生の休暇をどんどんとってあげる、
こういうことも大事だと想います。

(中略)

これから冬にかけていろいろと大変なお仕事だと思います。
何卒お体にお気をつけて下さい。

まずは上まで。

敬具

・・・・・・・・・・・・・・・・

 医療財団法人 夕張希望の杜
  医師 森田 洋之 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◎編集後記(木下敏之)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

最近は仕事が忙しく、夜遅くなることが増えました。
それもあって朝の散歩をサボっていました。
昨日は、朝5時におきましたが、すぐに講演の資料作成です。

ところが、昨晩、子供とお風呂に入ったところ、
太ももの肉がたるんでいるとの指摘を受けました。

う~む。まずい。

このシルバーウイークは、何とか運動をしたいと思います。

次回は、2009年9月25日金曜日となります。お楽しみに。

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