2008/04/23
映画に出てくるイイ男を観よう!! 第12号『シクロ』
■■映画に出てくるイイ男を観よう!! 第12号■■ 『シクロ』 フランス=香港=ベトナム(1996年) 出演:レ・ヴァン・ロック, トニー・レオン 監督:トラン・アン・ユン --------------------------------------------------------- こんにちは。えみです。 このメルマガでは、映画に登場するイイ男達を、独断と偏見でご紹介しています。 今回の映画は、95年ベネチア国際映画祭のグランプリを受賞した話題作。 イイ男は、誠実でセクシーなアジアの実力派俳優です。 --------------------------------------------------------- 輪タク「シクロ」を親方から高額で借り、その運転をして生きる青年シクロ。 ある日、彼は自分のタクシーを盗まれてしまい、 「詩人」と呼ばれる男に匿われる。 「詩人」は、青年の姉に客を取らせて稼ぐヤクザだった。 ところが、そんな「詩人」に、実は密かな恋心を抱いている姉。 そしてシクロもまた、「詩人」に憧れを抱き、 次第に裏社会に足を踏み入れていくのだった・・・。 「青いパパイヤの香り」で一躍世界的監督となった、 トラン・アン・ユンの長編第2作。 現代ヴェトナムの抱える様々な問題を描き出す今作品は、 95年ベネチア国際映画祭のグランプリを受賞しました。 この作品は、とにかく暗い。わかり辛い。そして怖い。 裏社会がテーマなので、信じられないくらい残酷なシーンもあります。 それでも、結局この監督が描こうとしたのは、愛なのでしょう。 見終わった後、どこか、切ない気持ちにさせられます。 この作品が好きになるか嫌いになるかは、 「詩人」に感情移入できるかどうかにかかっています。 深い孤独の中で、静かに苦しみ続け、 ついには悲しい結末を迎える「詩人」。 この人物を演じる俳優こそ、今回のイイ男、トニー・レオンです。 「詩人」は、実は姉の純粋さに惹かれています。 しかし彼は、そんな自分の感情とうまく向き合うことができず、 客を相手にする彼女を遠くから覗くばかり。 この詩人の心理を表現するシーンに、 世界的評価を受けるトラン・アン・ユン監督らしい、 おもしろいものがあります。 時々、「詩人」は鼻血を出すのです。 一見、滑稽にも見える映像ですが、 青白い「詩人」の顔をつたう、赤い血液。 それは、心を凍らせた詩人の、唯一の感情表現にも感じられます。 「詩人」は何かに傷ついている。 しかし、無表情にその血をぬぐう彼は、 おそらく、その事実に気付いていない。 詩人の哀しい内面が、言葉を使わずに、映像だけで、語られるのです。 この作品にはこういった細やかで、個性的な監督の演出が多く登場します。 説明的な台詞は非常に少なく、映像で観客の感覚に訴える、 非常に視覚的な作品といえるでしょう。 トニー・レオンだけでなく、主演のレ・ヴァン・ロックや、 監督の奥さん、トラン・ヌー・イェン・ケーらの、迫真の演技。 監督の映像美と、彼らの熱演が相まって、 この作品を、とても質の高いものにしています。 感覚的・視覚的な、映画「シクロ」。 急成長する国の裏に潜む、狂気や悲しみ。 そして、何よりもベトナムの持つ純粋さが、 スクリーンいっぱいに赤裸々に映し出されます。 同じアジア人として、見て損はないでしょう。 ぜひ、ご覧ください。 --------------------------------------------------------- 発行者 えみ メール movie_handsome@yahoo.co.jp バックナンバー http://mvem.net/ 本文の無断転用を禁止します。 ---------------------------------------------------------



