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2009/11/12

労使慣行の効力【商大八戸ノ里ドライビングスクール事件】

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 あなたの悩みはここで解決!雇用トラブルは判例に相談!

 http://ameblo.jp/fukuoka-sr/
           
           2009年11月12日発行 第71号
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    就業規則の作成・農業分野の労務管理は、
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 みなさん、こんにちは。いのしし社労士事務所の中村です。
 前回発行から、約1ヶ月経ってしまったので、日曜日ではあ
 りませんが、発行させていただきました。

 このメルマガを初めて発行したのは、2007年11月25
 日です。もうすぐ丸2年になります。

 今月はあと2本は書きたいから、2年間で合計73本くらい
 は書いたことになります。2年目からは書くペースが落ちた
 ものの、止めることなく続いているのも、感想は来ませんが
 (爆)、読んでくださっていると信じている読者様があって
 のことであります。

 判例を勉強するようになってから、労使トラブルにおいても
 判断基準についてピンとくることも増えてきました。

 私などはまだまだベテランの先生方の足元にも及びませんが、
 判例研究(といえるほどではないけれども)については、多
 少は勝ってるかなぁ、と思えることも増えてきました。

 好きなことを続けるのはそう難しいことではなく、判例研究
 が役に立つ社労士の分野(たとえば労使紛争や就業規則の作
 成)で生きていきたい!気持ちが強くなりました。

 商売にはなりにくい分野ですが、これで生きている社労士も
 数多くいらっしゃいますので、私も早く特定社労士を取って
 この分野に参入したいと強く思っています。

 それでは、判例解説に入ります。
 
 労使慣行の効力
 ~商大八戸ノ里ドライビングスクール事件~です。
 最高裁平成7年3月9日第一小法廷判決。

【いのしし事務所のお知らせ】****************************

 農業分野の講演を多く手掛けています。特に労災関係で災害
 防止や労災保険の特別加入制度などを分かりやすくお話しし
 ています。

 農業改良普及センターやJAなどで企画されている方はぜひ
 ご一報ください!

 まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで!

************************************************【感謝】

【どんな話】

 商大八戸ノ里ドライビングスクールには2つの労働組合があ
 りました。

 会社側は、過半数労働者で組織する労働組合と昭和47年に、
 もうひとつの少数派労働組合とは昭和52年に、それぞれ同
 趣旨の協定書と確認書を取り交わしました。

 それによれば、

 (1)隔週月曜日を特定休日とする、
 (2)特定休日に出勤した場合、休日出勤手当を支給する、
 (3)特定休日と祝祭日が重なった場合、特定休日の振替は
    行わない、

 となっていました。しかし、実際には重なった特定休日の翌
 火曜日に出勤すると、特定休日に出勤したものとして、手当
 が支給されていました。

 また「能率手当」という所定の勤務時間内に働いた場合に支
 給される手当が、実際には教習指導のない夏季休暇や年末年
 始休暇にも支給されていました。

 少数派労働組合と協定を結んだほぼ10年後の昭和62年、
 新たに勤労部長に就任したXさんは、就業規則にないこうし
 た取扱いを知るに至り、昭和63年に入って、これらの手当
 の支給を改める措置をとりました。

 少数派組合に属するAさんらは、会社側の措置について、

 「すでに定着していた慣習を会社側の一方的な措置で取りや
 めるとはけしからん!」

 として裁判を起こしました。

【争点】

 もともとAさんらに支払われていたこれらの手当は、就業規
 則に定められたものではありませんが、10年から15年間
 もの間、従業員に支払われていました。

 そうなると事実上、労使慣行として認められるべきではない
 のか、それが争点です。

 第一審ではAさんらが勝訴し、手当支給が労使慣行として認
 められました。第二審では逆に会社側が勝訴し、Aさんらの
 主張が認められませんでした。

 Aさんらは最高裁に上告しました。

【判決は】

 最高裁はAさんらの上告を棄却。会社側の勝訴が確定しまし
 た。最高裁では、第二審の判断がそのまま使われています。

 それによると、休日出勤手当の支給について、

 (1)労使で確認書と異なる取り扱いをされているという認
    識がなかったこと、
 (2)52年に確認書を見直すきっかけがあったにも関わら
    ず、この慣行を盛り込もうという動きがなかったこと、
 (3)Xさんが就業規則と異なる取り扱いを知って、すぐに
    この慣行を取り止めようと動いたこと、

 などから、この慣行が労使で認識されたものではなかったの
 は明らかです。

 また能率手当の支給についても、会社側は組合との交渉で、
 「所定の勤務時間内に働いた場合に支給されるもの」
 だという提案していることから、就業規則などに反する取扱
 いを「しなければならない」、という意識はなかった、と認
 定しています。

 そのことから、この労使慣行は成立していない、と判断しま
 した。

【解説】

 第二審判決によると、民法によって認められる労使慣行とは、

 (1)ある行いや出来事が一定の範囲で長い間に何回も続け
    て行われていること、
 (2)労使双方がそれらの行いを明らかに止めようとしてい
    ないこと、
 (3)その慣行が労使双方の中で「決まり事」として意識さ
    れていること、

 が必要です。また使用者側においては、権限を持っている者
 か、裁量権を有する者が、その労使慣行について「決まり事」
 として意識していたこと、が必要です。

 その上でこの労使慣行が法的に認められるには、
 
 (1)その慣行が行われるに至った経緯や見直しの経緯、
 (2)この労使慣行の性質・内容、
 (3)合理性、
 (4)労働協約や就業規則等との関係、
 (5)この慣行がどのくらい長い間続けて行われてきたか、
 (6)労使慣行が定着しているか、
 (7)労使双方が労働協約や就業規則と労使慣行についてど
    う考えていたか、
 (8)その他の対応について、

 を総合的に判断します。したがって、労働協約や就業規則に
 書かれていることと矛盾する労使慣行が、結果としてその改
 廃と同じ効果をもたらすほどの効力を持つには、相当長期間、
 相当何回にもわたって広く反復継続し、しかもその慣行につ
 いて、使用者側が「守らないといけない」という意識が明確
 であることが必要だ、としました。

 会社には、あえて就業規則にさだめなくても、労使の潤滑油
 として行っている事柄というのがあると思います。しかし賃
 金の支払いや労働時間といった、労働条件の重要なファクタ
 ーについては、やはり慣行ではなく、きちんと明文化してお
 くことが望ましいということをこの判例では示しています。

【関係条文・判例】

 民法第92条(任意規定と異なる慣習)、労働基準法第89
 条(就業規則)、労働組合法第14条(労働協約)、

 判例では、国鉄国府津運転所事件、日本大学(定年)事件、
 京都新聞社事件、国鉄池袋・蒲田電車区事件、東京中央郵便
 局(休息権)事件、三菱重工業長崎造船所事件、大和銀行事
 件、石川島播磨東2工場事件、三洋電気(住道工場)事件、
 東豊観光事件、笠戸船渠事件、など多数。

【学説】

 労使慣行に認められる法的効果として

 (1)労働契約の空白部分を満たす効果、
 (2)労働協約や就業規則の不明確な規定を解釈する基準と
    しての効果、
 (3)権利濫用成否の判断要素としての効果、
 (4)不当労働行為成否の判断基準としての効果、

 などがあるとされている。

【出典】

 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版、第8版」

【次回は?】

 人格権の尊重~関西電力事件~です。

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【相互リンク】

 さむらいコピーライティング道
 http://www.mag2.com/m/0000250767.html

 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。
 http://www.mag2.com/m/0000253225.html

 ☆chu_sanの魔法の人事労務☆
 http://www.mag2.com/m/0000144368.html

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【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所
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