2010/01/10
人格権の尊重【関西電力事件】
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ あなたの悩みはここで解決!雇用トラブルは判例に相談! http://ameblo.jp/fukuoka-sr/ 2010年1月10日発行 第72号 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 就業規則の作成・農業分野の労務管理は、 福岡のいのしし社会保険労務士事務所へ http://inoshishisyaroshi.com まで ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ あけましておめでとうございます。福岡のいのしし社労士事 務所、中村です。 今年もこの判例メールマガジンをよろしくお願いいたします。 久しぶりの発行です。今年初めての発行でもあります。 つい最近、感想のメールもいただいてまして、他のメルマガ が経営者側に寄った内容の中、私のメルマガは中立的な立場 に立っていて、信頼できる、ということでした。 自分としては、判決文に忠実に解説しているだけなのでして、 判決自体が偏っていれば、仕方なく偏ってしまうのでありま すが、できるだけ事件の背景を踏まえたものにしていきたい、 という気持ちだけは持ち続けています。 あまり時間もかけられないので、下調べも中途半端になりが ちですが、その主旨だけは守りたい、と思います。 さて、ジュリストの労働判例百選は130本ちょっとあるの ですが、今まで70本程度解説しています。残りはあと50 本程度。 毎週きちんと解説していけば、今年中には目途が立つ、とい うところです。というわけで、今年の目標は労働判例百選解 説終了!なのでした。 終わったら終わったでさびしいでしょうが、その時は解説終 了打ち上げの会でも開きましょうかね(爆) それでは、判例解説に入ります。 人格権の尊重~関西電力事件~です。 最高裁平成7年9月5日第三小法廷判決。 【いのしし事務所のお知らせ】**************************** 農業分野の講演を多く手掛けています。特に労災関係で災害 防止や労災保険の特別加入制度などを分かりやすくお話しし ています。 農業改良普及センターやJAなどで企画されている方はぜひ ご一報ください! まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで! ************************************************【感謝】 【どんな話】 関西電力で働くAさんら4人は、会社の労働組合の組合員で した。Aさんらは、組合の中でも労使協調とは対立する少数 派で、共産党員もしくはその同調者として会社からマークさ れていました。 関西電力は、労組対立の歴史もあって、Aさんらの行動に強 い警戒心を持っていました。 昭和40年ころから、70年安保条約改定に向けた騒動に企 業が巻き込まれてしまうことを極度に警戒するようになり、 社員に対して反共産の教育を施したり、Aさんらとの接触を 絶ったりする労務政策を取るようになりました。 会社ではAさんら4人を「不健全分子」と特定、あらゆる方 策を取りました。 例にとると、 外勤から内勤に異動させて動向を監視、 警察情報の入手、 尾行、 家庭訪問し、家への無断侵入、 職場ロッカーの無断捜索、 「民青手帳」の写真撮影、 Aさんらの一人が幹事をしていた写真部の部員に脱退の働き かけ、 電話の相手方と内容チェック、 共産党関係会合への出席状況の調査、 など、Aさんらが会社内で孤立する対策を取り続けていまし た。 昭和46年のこと、Aさんらは会社の「労務管理懇談会報告 書」を入手するに至り、関西電力がAさんらを名指しで会社 ぐるみで監視、調査、孤立化の対象とされていることを知り ました。 Aさんらは、 「関西電力の行為は思想信条の自由を侵した!」 「名誉や人格を著しく傷つけた!」 などとして慰謝料や謝罪を求めて裁判を起こしたのでした。 【争点】 関西電力側は、会社の行為は思想の転向を強要したとまでは 言えないし、Aさんらが、会社が行ったと主張している各事 実は具体的ではなく、Aさんらの法的利益をどのくらい侵し たのか示されていない、と主張していました。 第一審、第二審ともAさんらが勝訴したため、会社側は最高 裁に上告しました。 【判決は】 最高裁は会社側の上告を棄却。Aさんらの勝訴が確定しまし た。 Aさんらの存在が会社を乱すわけでもないのに、共産党員だ ったりその同調者であることだけを理由として、継続的に監 視したり、職場内で孤立させたり、ロッカー内の私物を無断 で撮影したりした会社側の行為は、Aさんらの人格的利益を 侵害した不法行為である、と判断しました。 【解説】 会社において、従業員の思想信条を制限するのは、 (1)それが経営の秩序を乱し、生産性向上を妨げる場合で、 (2)その危険が現実かつ具体的に認められ、 (3)かつ制限する手段や方法が社会通念上相当であること が求められています。最高裁では、関西電力の行為を (1)職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害、 (2)名誉棄損、 (3)プライバシー侵害 と認定しました。もちろん会社側も労務管理上、一定の情報 収集は行う必要がありますが、個人的な生活や家庭生活、プ ライバシーを尊重し、みだりに個人の思想信条を侵害するこ とは許されないことです。 したがってそうした調査をする必要性が仮に生じたとしても、 プライバシーには十分に配慮して行うことがリスク管理上重 要だ、ということが言えそうです。 【関係条文・判例】 憲法第14条(法の下の平等)、同第19条(思想信条の自 由)、労働基準法第3条(均等待遇) 判例は、三菱樹脂事件、東電千葉営業所事件、東電塩山営業 所事件、下関商業高校事件、エフピコ事件、松蔭学園事件、 バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件、サンデン交通事件、 ネッスル事件、中央観光バス事件、福岡セクシュアル・ハラ スメント事件、京都簡易保険事務センター事件、などがある。 【学説】 この最高裁判決は、第一審、第二審が判示した思想信条の自 由に対する侵害という限定を外して、個別具体的な権利の侵 害にのみ判断しているため、思想信条の自由についての判断 を避けたという評価と、 逆に思想信条の自由もそれを構成する労働者の人格的自由の 問題として正面から向き合った初めての判決だった、という 評価がある。 【出典】 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版、第8版」 【次回は?】 施設管理権行使と支配介入~オリエンタルモーター事件~です。 ============================ 【相互リンク】 さむらいコピーライティング道 http://www.mag2.com/m/0000250767.html 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。 http://www.mag2.com/m/0000253225.html ☆chu_sanの魔法の人事労務☆ http://www.mag2.com/m/0000144368.html ================================ 【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所 【問合せ】http://tinyurl.com/69q3qc 【発行システム】http://www.mag2.com/ 【配信中止】http://www.mag2.com/m/0000252731.html 【免責事項】内容は筆者独自の見解です。また、掲載情報に基づいて 被ったいかなる損害・被害についても、筆者は一切の責任を負いか ねます。ご了承ください。 ================================



