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2009/10/11

救済命令の限界【ネスレ日本事件】

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 あなたの悩みはここで解決!雇用トラブルは判例に相談!

 http://ameblo.jp/fukuoka-sr/
           
           2009年10月11日発行 第69号
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 こんにちは!いのしし社労士事務所の中村です。
 特定社労士の特別研修で忙しい日々が続きます。

 労使紛争に関する資格ですので、どうしても労働判例の話が
 中心になるようで、今まで判例の勉強(これが勉強と言える
 のか不安ですが)してきてよかったなぁとつくづく感じる今
 日この頃です。

 実際に、このメルマガの発行で、単発ではありますが、ビジ
 ネスにつながったことも無きにしも非ずで、やっぱり続ける
 ことがいいことだ!と思います。

 ちなみに、もうすぐこのメルマガの出典である、ジュリスト
 の労働判例百選の8版が出るそうで、どの判例が入れ替わり、
 最新判例に何が付け加えられたか、簡単にレポートできれば、
 と考えています。

 よろしくお願いします。
 それでは、判例解説にまいります。

 救済命令の限界~ネスレ日本事件~です。
 最高裁平成7年2月23日第一小法廷判決。

【どんな話】

 ネスレ日本は、スイスにある世界最大の食品メーカーの日本
 法人です。

 元々はネッスル日本労働組合(旧組合)一つだけでしたが、
 内部抗争により組合が分裂し、2つの組合と支部が独立する
 に至りました。それぞれA労組、B労組とします。

 従来は会社と旧組合でチェックオフ(組合費の給料天引き)
 協定を結んでいましたが、分裂後は、会社は当然、組合の動
 向も両組合の組合員構成も知っていたにも関わらず、A労組
 しか認知しませんでした。

 また、B組合がチェックオフ協定の破棄と中止を申し入れて
 いたにもかかわらず、組合費をチェックオフしてA組合に支
 払うということをしていました。

 B組合は会社側の行為を、

 「組合潰しの不当労働行為だ!」
 として、労働委員会に申し立てしました。

 労働委員会は、会社側に対し、チェックオフした金額に金利
 をつけてB組合に支払うべきだとして、救済命令を出しまし
 た。

 会社側は、これを不服として裁判を起こしました。


【争点】

 会社側の行為が不当労働行為であるというのは、労働委員会
 から最高裁まで一貫した判断ですので、今回は論じません。

 今回の争点は、労働委員会が下した「チェックオフした金額
 をB組合に支払う」ことの是非です。

 B組合は会社側にチェックオフ協定の破棄と中止を申し入れ
 ているわけですから、お金をB組合に支払うべきではない、
 というのが会社側の主張です。

 第一審、第二審ともに労働委員会の主張が認められたため、
 会社側が最高裁に上告したものです。

【判決は】

 最高裁は会社側の主張を認め、労働委員会の救済命令を越権
 行為だとしました。

 労働委員会の役割は、不当労働行為によって発生した侵害行
 為を取り除いて正し、正常な労使関係に戻すことを目的とし
 ています。

 それ以上のことは求められていません。

 今回の件で言えば、正常な労使関係とは、B組合の組合員か
 らチェックオフした金額を直接、その組合員に戻すことです。

 したがって、チェックオフ協定の破棄、中止を求めているB
 組合に支払うことは、今までに全く実態のない状況を労働委
 員会が自ら作り出すとともに、全額払いを定めた労働基準法
 にも違反していると言わざるを得ない、と判断しています。

【解説】

 労働委員会は労働組合法にその決まりを持ち、会社側が行う
 組合つぶしが目的の違法行為から組合を守るのがその役割で
 す。

 裁判でけりをつけるととても時間がかかるため、労働委員会
 は違法行為から組合をすばやく救うため、広い権限を持って
 います。

 不当労働行為事件の審査や、労働争議のあっせん、調停及び
 仲裁を通じて、労使関係を正常化することが求められていま
 す。

 労働委員会は不当労働行為の救済申し立てに基づいて審査を
 行い、必要であれば救済命令を出して、労使関係を改善させ
 ます。

 命令は

 (1)原状回復、
 (2)労使関係秩序の確保、
 (3)再発防止、

 などについて、具体的に行動を指示することで、強制力を持
 ちます。

 たとえば、組合活動を理由に解雇した場合は、原職復帰させ
 る、バックペイの支払い、また、団交拒否の場合には団交を
 させる命令、

 さらにはポスト・ノーティスといって、ある者に不当労働行
 為をした者が、これを再び繰り返さず、また謝意を表明する
 ために人々が見やすい場所に反省や謝罪文の掲示を命令した
 りもします。

 それだけ大きな権限を持つ労働委員会ですが、今回の例のよ
 うに、B組合の申し立て以上のことをしたり、労働基準法に
 反する命令を行ったりすることについては、さすがに認めら
 れないことを、この判例で明示しました。

【関係条文・判例】

 労働基準法第24条第1項(賃金の支払)、労働組合法第7
 条第2号(団交拒否)、同第4章(労働委員会)など。

 判例は、第二鳩タクシー事件、日産自動車事件、済生会中央
 病院事件、第一小型ハイヤー事件、男鹿市農協事件、紅屋商
 事事件、国民生活金融公庫事件、エッソ石油事件、東洋シー
 ト事件などがある。

【学説】

 特になし。

【出典】

 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版」

【次回は?】

 集団的労働関係における使用者~朝日放送事件~です。

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【相互リンク】

 さむらいコピーライティング道
 http://www.mag2.com/m/0000250767.html

 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。
 http://www.mag2.com/m/0000253225.html

 ☆chu_sanの魔法の人事労務☆
 http://www.mag2.com/m/0000144368.html

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