2009/06/08
長期休暇と時季変更権【時事通信社事件】
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ あなたの悩みはここで解決!雇用トラブルは判例に相談! http://ameblo.jp/fukuoka-sr/ 2009年6月8日発行 第61号 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ みなさん、こんにちは。いのしし社労士事務所の中村です。 先日、社労士仲間で主催する勉強会のセミナーがありました。 「労使トラブルと社労士ビジネス」と題して、特定社労士の 村上宏史先生にお話しいただきました。 詳しくはブログでお話しできればと思いますが、今まで特定 社労士って具体的にはどんなビジネスなのか、いまいちピン と来てなかったのが本音なのですが、このセミナーを聞いて 「こりゃー、やりがいがあるなぁ!」 と、感じました。 特定社労士って、やっぱり今後の社労士のあり方を左右する 大事な資格じゃないか?と思いました。また特定社労士じゃ なくても、できる分野もあるってことも勉強になりましたし、 とても貴重な3時間でした。 仲間うちでは「第2回も?」って話も出るくらい、好評だっ たです。また次のセミナーがもし決まったら、このメルマガ でもお知らせしますね。 それでは、判例解説にまいります。 長期休暇と時季変更権〜時事通信社事件〜です。 最高裁平成4年6月23日第三小法廷判決。 【いのしし事務所のお知らせ】************************** いのしし社労士の話が聴きたい人! 「なぜ公務員を辞めてまで社労士になったの?」 「開業までにどんなことをしてきたの?」 「試験勉強や営業活動を維持するモチベーションは?」 などを、みなさんと共有できればと思います。 ご依頼くだされば、どこへでも行きます! まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで! **********************************************【感謝】 【どんな話?】 時事通信社で働くAさんは、社会部記者。当時、科学技術庁 の科学技術記者クラブに属し、特に原子力関係に相当な知識、 経験を持っていました。 ある日のこと、Aさんはヨーロッパの原子力問題を勉強した いとして、約1ヶ月の年次有給休暇の請求をしました。 会社側は、記者クラブにはAさんしかいないし、そんなに長 い間休まれて、もし途中で大事故が起こったら記事に穴が空 いてしまう、として、2週間ずつ2回の有給休暇に変えるよ う求めました(時季変更権の行使)。 ところがAさんは、会社側の求めに応じず、そのままヨーロ ッパに旅立ってしまいました。 会社側は業務命令に反して就業しなかったとして、Aさんを 懲戒処分(けん責及び賞与の減額)にしました。 Aさんは、 「私を記者クラブに1人だけ配置したのは会社側の勝手。い つ有給休暇を取ろうと、労働者の自由じゃないか!懲戒処分 は無効だ!」 として裁判を起こしました。 【争点】 会社側は、Aさんが請求した有給休暇に対して、替わりの人 を確保するのが難しいとして時季変更権を行使しました。 この判断が法的に正しかったかどうかが、この裁判の争点で す。 第一審では、社会部や科学記者クラブの所属記者としての職 務の代替が困難だったと認定し、会社側の時季変更権を認め て、Aさん側敗訴。 第二審では逆に、官庁の業務閑散期でもあり、人員配置の問 題を労働者の有給休暇に影響させるのは適当ではない、とい う理由でAさん勝訴の判決が出されました。 会社側はこれを不服として最高裁に上告しました。 【判決は?】 最高裁は、会社側の主張を認めて第二審の判決を破棄、高裁 に差し戻し、実質Aさんの敗訴となりました。 今回の場合、Aさんの担当分野はある程度の専門知識が必要 であり、Aさんは実際にそうした知識を持っていましたので、 Aさんに替わる人材を長期間にわたり確保することは難しか っただろうと認定。 Aさんが社会部で一人だけ配置されていた問題についても、 会社の経営上の都合からしてやむを得ないものだったとしま した。 その上で、今回の休暇については、Aさんは事前に十分な調 整をしないで休暇申請を行ったこと、会社側も、それなりの 代替案を出してきていること、などから、会社はAさんの長 期休暇取得に一定の配慮をしているとし、時季変更権の行使 は適法だったと判断しています。 【いのしし社労士の解説】 判決では、通常の有給休暇と違い長期休暇については、 (1)休暇中の仕事の量が残りの人でさばけるか、 (2)Aさん以外の人で替わりがきくか、 など事前の調整をするのが普通だとしました。 その調整をせずに、労働者が休暇を請求した場合、その間に 業務の支障がどのくらい出るか予想するのが難しいとして、 会社側に一定の裁量を与えたのが、この裁判の意義です。 もちろん会社側の裁量は、有給休暇の制度の趣旨に沿うよう に合理的でなければなりませんし、休暇を取得させるための 配慮に欠けた場合には、時季変更権の行使は違法だとしてい ます。 有給休暇を不当に認めないのはもちろん違法ですが、長期休 暇についても、トラブルを防ぐためには、会社と労働者が事 前に調整して、できるだけお互いが納得できるような工夫を 講じる必要があると言えそうです。 【関係条文・判例】 労働基準法第39条(年次有給休暇)。 判例では、人員配置に関して、新潟鉄道郵便局事件、千葉中 郵便局事件、本件第一審判決などがある。 【学説など】 特になし。 【出典】 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版」 【次回は?】 政治スト〜三菱重工長崎造船所事件〜です。 ============================ 【相互リンク】 さむらいコピーライティング道 http://www.mag2.com/m/0000250767.html 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。 http://www.mag2.com/m/0000253225.html ☆chu_sanの魔法の人事労務☆ http://www.mag2.com/m/0000144368.html ================================ 【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所 【問合せ】http://tinyurl.com/69q3qc 【発行システム】http://www.mag2.com/ 【配信中止】http://www.mag2.com/m/0000252731.html 【免責事項】内容は筆者独自の見解です。また、掲載情報に基づいて 被ったいかなる損害・被害についても、筆者は一切の責任を負いか ねます。ご了承ください。 ================================



