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2009/05/31

時間外労働義務【日立製作所武蔵工場事件】

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 あなたの悩みはここで解決!雇用トラブルは判例に相談!

 http://ameblo.jp/fukuoka-sr/
           
           2009年5月31日発行 第60号
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 いのしし社労士@中村です。
 ほぼ、2ヶ月ぶりのご無沙汰です。

 タイトルも変えてみたりして、気分転換を図り、改めて自分
 の勉強も兼ねて、判例メルマガを再開してみたところです。

 判例メルマガを執筆していたときは、過去に執筆した判例も
 鮮明に頭に残っていたのですが、執筆しなくなったここ2ヶ
 月の間で、きれーさっぱり忘却のかなた(爆)

 それでも、こうやって判例に目を通してみると、不思議とま
 た記憶が蘇るから、人間の脳の働きって素敵。

 そーゆーわけで、また出来る限り読者のみなさまのお役に立
 てるよう、頑張ってまいりますので、見捨てないでください
 ませねー。
 
 それでは、判例解説にまいります。

 時間外労働義務〜日立製作所武蔵工場事件〜です。
 最高裁平成3年11月28日第一小法廷判決。

【いのしし事務所のお知らせ】**************************

 いのしし社労士の話が聴きたい人!

 「なぜ公務員を辞めてまで社労士になったの?」
 「開業までにどんなことをしてきたの?」
 「試験勉強や営業活動を維持するモチベーションは?」
 
 などを、みなさんと共有できればと思います。
 ご依頼くだされば、どこへでも行きます!

 まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで!

**********************************************【感謝】

【どんな話?】

 Aさんは、日立製作所武蔵工場で、トランジスターの品質及
 び歩留りの向上を所管する部署で働いていました。

 ある日のこと、Aさんの上司は、あらかじめAさんが計算し
 ていた推定される歩留まり率より、実際の率が下がっている
 ことを見つけました。

 上司はAさんに問いただしたところ、Aさんが手抜き作業を
 していたことを認めたため、残業して歩留まり率が下がった
 原因と推定値の計算し直しを命じました。

 ところが、Aさんは所用があることを理由に残業を拒否。命
 じられた仕事を翌日に行いました。

 会社側はこれを理由にAさんを14日間の出勤停止処分とし、
 始末書も提出させましたが、その内容が十分なものではない
 と判断。

 労働組合の意見も聴き、過去4回の懲戒処分歴も相まって、
 Aさんを懲戒解雇処分としました。

 Aさんは、

 「1度の残業拒否でクビにするなんてあんまりだ!解雇権の
 濫用で解雇は無効だ!」

 として裁判を起こしました。

【争点】

 会社の就業規則には、業務上の都合により労働時間を延長で
 きる旨の規定がありました。

 さらに会社と労働組合の間で労使協定が結ばれていて、納期
 が間に合わない場合とか、生産目標が達成できない場合には
 時間外労働を命じることができることになっていました。

 Aさん側は、時間外労働を命じる理由として労使協定に定め
 ている項目の中で、業務の内容によりやむを得ない場合とか、
 その他前述の理由に準じる理由がある場合などは、大雑把す
 ぎて理由にならないとし、このような理由での時間外労働命
 令は無効である、と主張しました。

 第一審では、Aさんの主張を認めて解雇無効の判決が出され、
 第二審では逆に会社側の主張が認められて、解雇が有効とな
 りました。

 Aさんは判決を不服として、最高裁に上告しました。

【判決は?】

 最高裁は会社側の主張を認めて、Aさんの上告を棄却、Aさ
 んの敗訴が確定しました。

 労使協定において定めている、時間外労働を命じることがで
 きる理由については、少し大雑把すぎることは認められます
 が、企業の生産活動上、そうしたことは法律の想定の範囲内
 です。

 したがって、会社側が労使協定に基づいて、Aさんに時間外
 労働を命じることは可能である、と判断しました。

 その上でAさんは時間外労働の命令に背いたわけですから、
 過去の処分歴などとも併せて考えれば、懲戒解雇処分が不当
 なものであるとはいえません、としました。

【いのしし社労士の解説】

 ネットでの情報ではありますが、このトラブルの背景にはA
 さんの労働組合運動があったとされており、裁判で確定した
 事実と真実の相違は、今では藪の中となっています。

 (http://members.jcom.home.ne.jp/tuukounin-otu/saibankan/D00zanngyou.html 
 を参照のこと。)

 さて、労働基準法では法定労働時間以上に労働者を働かせる
 ことは違法です。

 違反すれば罰則もあります。

 しかし、いわゆる「36協定」を結ぶことで、その罰を免じ
 る効果(免罰的効力)があるわけですが、それだけでは時間
 外労働を命じることはできません。

 この判例の重要性は、時間外労働や休日労働について、労使
 協定が結ばれていることを前提に、就業規則に合理性が備わ
 っている限りにおいて、そこに定めてさえいれば、時間外・
 休日労働を命じることができると判じたところにあります。

 ご存じのとおり就業規則は、会社が一方的に定めることが出
 来る代物ですから、そういう意味では、ほぼ無制限に時間外
 労働をさせることができるのではないか、と思われるところ
 です。

 しかし法的には、業務上の必要がないのに時間外労働をさせ
 たり、権利の濫用にあたる時間外労働命令は無効だとされて
 います。

 時間外労働には、当然ながら割増賃金も発生するのですから、
 企業としては慎重な対応が求められるところです。

 ちなみにネット百科事典「Wikipedia」によれば、2000年
 9月、日立との間で職場復帰は認めないものの日立側の責任
 を認めさせる形で和解協定を締結したとされています。

【関係条文・判例】

 労働基準法第32条(労働時間)、同第36条(時間外及び
 休日の労働)。

 判例では、トーコロ事件、明治乳業事件、静内郵便局事件な
 どがある。

【学説など】

 時間外労働義務の発生要件として、36協定以外に何が必要
 かについて、包括的同意説と個別的同意説に分かれる。

 包括的同意説は、就業規則や労働協約で定めた一般的な規定
 が36協定によって具体化され、個々の労働契約を包括的に
 拘束するという説。

 個別的同意説は、時間外・休日労働が発生する、その都度そ
 の都度で、労働者の同意が必要であるという説である。

 またその中間として就業規則や労働協約で具体的内容を定め
 ている場合のみ義務が発生する説、その都度でなくてもある
 程度事前の同意があれば、問題なしという説もある。

【出典】

 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版」

【次回は?】

 長期休暇と時季変更権〜時事通信社事件〜です。

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【相互リンク】

 さむらいコピーライティング道
 http://www.mag2.com/m/0000250767.html

 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。
 http://www.mag2.com/m/0000253225.html

 ☆chu_sanの魔法の人事労務☆
 http://www.mag2.com/m/0000144368.html

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【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所
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