2009/03/22
炭研精工事件【重要判例その58】
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仕事が人を育てる。人が会社を育てる。 人は仕事で想いをかなえる。 重要判例から学ぶ!10分で経営を伸ばす人事労務戦略 http://ameblo.jp/fukuoka-sr/ 2009年3月22日発行 第58号 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ いのしし社労士@中村です。 社労士仲間で、定期的に行っている勉強会を下記の日程で行 います。今回は年金についてです。 全国的に有名な菅野美和子先生をお迎えして、年金と社労士 実務についてじっくり語っていただきます。 まだ席がわずかながらあります。是非ご参加ください。 詳細はこちらをご覧ください。 http://inoshishisyaroshi.com/090328seminar.pdf 日時:平成21年3月28日(土)午後1時30分 場所:春日市「クローバープラザ」 料金:3,000円(懇親会参加の方は別途徴収します) お申し込み、お問い合わせは、 info@inoshishisyaroshi.com まで! それでは、判例解説にまいります。 経歴詐称〜炭研精工事件〜です。 最高裁平成3年9月19日第一小法廷判決。 【いのしし事務所のお知らせ】************************** いのしし社労士の話が聴きたい人! 「なぜ公務員を辞めてまで社労士になったの?」 「開業までにどんなことをしてきたの?」 「試験勉強や営業活動を維持するモチベーションは?」 などを、みなさんと共有できればと思います。 ご依頼くだされば、どこへでも行きます! まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで! **********************************************【感謝】 【どんな話?】 炭研精工は、工業用メカニカルシールの専業メーカー。 昭和55年に中卒・高卒を対象に求人を行ったところ、Aさん が応募し、履歴・面接等も受けた上で、同年11月に採用され ました。 ところがAさんは就職前に成田空港反対闘争に参加して刑事裁 判となり、就職後、執行猶予のついた懲役判決を受けています。 さらに高卒対象の職にも関らず大学中退の学歴であったこと、 また昭和58年に行ったビラ配布行動による軽犯罪法違反で、 逮捕・拘留され欠勤、昭和62年には某労働組合のデモ行進で の公務執行妨害で逮捕・拘留され、9日間欠勤しています。 会社側はこうした状況を受け、本人から事情を聞きましたが、 「私は悪いことはしていないんだから、申告する必要はない です。」 会社側が 「前科、前歴があるんじゃないのか」とたずねたところ、A さんは、 「知っているんだったら、言う必要はないじゃないか」 などと答えています。 Aさんが経歴を偽ったこと、またこうした反社会的な言動を 受け、会社側はAさんを懲戒解雇しました。 Aさんは、「懲戒解雇されるいわれはない!」として裁判を 起こしました。 【争点】 会社側が懲戒解雇した理由は4つあって、 (1)逮捕・勾留による9日間の欠勤 (2)大学中退、逮捕・刑事裁判中の経歴を隠したこと (3)前2件で懲役刑に処せられたこと (4)会社構内の無許可ビラ配布 でした。第一審では経歴詐称したことと、刑事罰を受けたこ とが懲戒解雇理由になるとしました。 第二審では、経歴詐称のうち逮捕歴・刑事裁判中については 懲戒解雇理由から外しましたが、他の理由により懲戒解雇は 有効だとしました。 Aさんは判決を不服として最高裁に上告しました。 【判決は?】 最高裁は第二審判決を支持し、Aさんの上告を棄却。会社側 が勝訴しました。 今回のプレス工の採用は中卒・高卒に限定し、プレス工の学 歴を一定にすることで、他人の学歴を気にすることなく働け るという、会社としての方針がありました。 したがって大学中退であることを正直に言わなかったAさん の行為は懲戒解雇に該当することになります。 また有罪判決を受けたあとのAさんの言動・行動は反省した とは言えず、それらの事情も考慮すれば、Aさんの社内的地 位や職務内容を見ても懲戒解雇したことは、会社側の解雇権 濫用とはいえません。 【いのしし社労士の解説】 最高裁によって確定した第二審判決では、採用しようとする ときには、働く能力以外にも、 ●職場になじめるか、 ●「会社のために」という意欲があるか、 ●企業の信用を守れるか などを、必要かつ合理的な範囲で採用希望者に聞くことがで きます。聞かれた希望者は、「信義則上」真実を言わなけれ ばなりません。 ただしこの判例では、刑事裁判の公判中であることについて は、懲戒解雇の理由にはならないとしています。 すなわち、履歴書の「賞罰」欄には記載する必要はなく、面 接で賞罰を聞かれて「なし」と答えても、ウソを言ったとは みなされないし、会社側が具体的質問をしなくて、Aさんが 積極的に申告する義務もない、としています。 推定無罪の原則がありますので、これはやむを得ないところ でしょう。 学歴を高く見せる詐称は、採用側から見ても実害が大きいの で理解できますが、今回のように学歴を「低く」見せる場合 でも、今回のように職場の学歴バランスを保つという企業意 思は、大事にされるということのようです。 【関係条文・判例】 民法第1条第2項(信義誠実の原則)、同第95条(錯誤)、 同第96条(詐欺) 判例は多数あり、大和製作所事件、東京出版販売事件、弁天 交通事件、西日本アルミニウム事件、相銀住宅ローン事件、 硬化クローム工業事件、日本精錬事件、日本農薬事件、東光 電気事件、神戸製鋼事件がある。 【学説など】 労働者が経歴について真実を告知する義務の根拠については、 信義則であることに裁判例も学説も一致している。 経歴詐称が懲戒解雇の事由になりうるかどうかについては、 肯定説と否定説がある。 肯定説は、信義則違反や企業秩序違反に根拠を持つ。裁判例 の多くは肯定説。 逆に学説はほぼ否定説に立つ。採用時における経歴詐称は、 労働契約の無効(錯誤)や取消(詐欺)または普通解雇の事 由とはなりえても、企業からの罰(懲戒)を受けるべき事由 にはならないとする説が一般的である。 【出典】 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版」 【次回は?】 年休の争議行為利用〜津田沼電車区事件〜です。 ============================ 【相互リンク】 さむらいコピーライティング道 http://www.mag2.com/m/0000250767.html 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。 http://www.mag2.com/m/0000253225.html ☆chu_sanの魔法の人事労務☆ http://www.mag2.com/m/0000144368.html ================================ 【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所 【問合せ】http://tinyurl.com/69q3qc 【発行システム】http://www.mag2.com/ 【配信中止】http://www.mag2.com/m/0000252731.html 【免責事項】内容は筆者独自の見解です。また、掲載情報に基づいて 被ったいかなる損害・被害についても、筆者は一切の責任を負いか ねます。ご了承ください。 ================================


