2009/01/12
神戸弘陵学園事件【重要判例その54】
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仕事が人を育てる。人が会社を育てる。 人は仕事で想いをかなえる。 重要判例から学ぶ!10分で経営を伸ばす人事労務戦略 http://ameblo.jp/fukuoka-sr/ 2009年1月12日発行 第54号 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ いのしし社労士@中村です。 3連休の最終日です。正月ボケも覚めやらない、この時期に 3連休とは、国も粋な計らいをするものです(笑) 私も、10日にセミナーの仕事が入り、その後に、某落語の 会の打ち上げに参加して、午前様で飲みあかしちゃったもの ですから、日曜日は仕事にもならず、ぐったりとしておりま した。 んで、今日の発行となったのであります。ご容赦をー。 それでは、判例解説にまいります。 有期契約と試用期間〜神戸弘陵学園事件〜です。 最高裁平成2年6月5日第三小法廷判決。 【いのしし事務所のお知らせ】************************** いのしし社労士の話が聴きたい人! 「なぜ公務員を辞めてまで社労士になったの?」 「開業までにどんなことをしてきたの?」 「試験勉強や営業活動を維持するモチベーションは?」 などを、みなさんと共有できればと思います。 ご依頼くだされば、どこへでも行きます! まずは、info@inoshishisyaroshi.com まで! **********************************************【感謝】 【どんな話?】 Aさんは昭和59年4月、神戸弘陵学園高校に1年間の期限 付で社会担当教諭として採用されました。 採用時、Aさんは学校からは契約期間は一応1年間だが、1 年間の勤務状態を見て再雇用するか否かの判定をすることな どの説明を受けています。 さらに、 「うちで30年でも40年でも頑張ってくれ」、 「公立の試験も受けないでうちへ来てくれ」 と理事長が言ったとAさんは主張しています。Aさんは、そ うした学校の評価を受け、別の学校の非常勤講師の内定を蹴 って、この学校に来たのでした。 さて、学校は、かねてから教員の服装に厳しく、ネクタイの 着用を徹底してきました。しかしAさんは学校側の指示にも かかわらず、度々ネクタイの着用を怠ってきました。 各中学校の入試説明会では、Aさんははただ一人ジャンパー を着て出勤したり、朝礼の無断欠席や無断遅刻、レポートの 提出なども怠っています。 更にAさんは、バスケットボール大会の役員として業務出張 を求め、学校から暗に断られたところ、無断で外出し、同日 の勤務を放棄しました。 こうしたAさんの1年間の言動から、学校側は、Aさんに対 し、昭和60年3月31日をもって契約を終了する旨Aさん に通知しました。 Aさんは、 「今回の採用は、とりあえず1年間だが、長く勤めることが 前提のものだったはずじゃないか!」 として、引き続き教諭としての地位を求めて裁判を起こしま した。 【争点】 学校側としては、当初契約が1年間の期限付きだったことか ら、単なる契約満了にすぎないと主張しましたが、Aさんは、 契約更新を期待させるような言動があったことから、今回の 契約満了は、実質上の解雇だと主張しました。 その上でこの解雇には合理性はなく、社会通念上も認められ ないと主張して裁判に臨みました。 第一審では、この契約はあくまで期限付きのものにすぎない として、契約満了による雇い止めを主張した学校側勝訴。第 二審でも学校側が勝訴したため、Aさんが最高裁に上告した ものです。 【判決は?】 最高裁は控訴審判決を破棄して、審議の差し戻しを命じまし た。 学校側の採用時の言動や、開校2年目の学校に、教員を増加 する必要性こそあれ、期限付教員を採用する必要性があった とは思われないこと、 Aさんのような採用では、長期間の安定した就職を望むのが、 社会の一般的傾向であること、 などから、学校側とAさんとに1年間の契約満了を合意して いたかどうかには、疑問の余地が残るとして、1年間の期間 満了だとした控訴審判決は、審理を尽くしていないと判断し ました。 【いのしし社労士の解説】 この判例の意義を簡単に言うと、採用した社員が使えるかど うかを見極めるために、正式採用の前に期限付き契約をした ところで、あまり意味はありませんよ、ということなのです。 判決文では、労働者の新規採用で契約期間を設けて、その間 に労働者の適性を評価・判断する場合には、双方の合意があ る場合を除いて、この期間は契約の存続期間ではなく、試用 期間であると解するのが相当であると判じています。 試用期間については、以前解説した三菱樹脂事件が有名です が、そこでは試用期間の法的性質について「解約権留保付雇 用契約」だと解釈しています。 要するに採用時には知り得なかったことが明らかになり、そ の内容がそのまま雇用を続けるには難しい事柄だった場合に は、契約を解約していいですが、そうでない場合には、簡単 には解約できませんよ、 ということなのです。 実際、試用期間について、こうした解釈をする経営者の方は 多いようですが、最近、話題の「内定取消し」も含め、その 法的性質は正式採用とほとんど変わらず、解雇権濫用法理の 制約を受けることを認識しておく必要があると言えそうです。 【関係条文・判例】 民法626条(期間の定めのある雇用の解除)、労働基準法 14条(契約の期間) 判例では、聖パウロ学園事件、三浦学苑事件、池田学園事件 などがあります。 【学説など】 特になし。 【出典】 「別冊ジュリスト労働判例百選第7版」 【次回は?】 全額払いの原則と合意による相殺〜日新鉄鋼事件〜です。 ============================ 【相互リンク】 さむらいコピーライティング道 http://www.mag2.com/m/0000250767.html 【海賊版】そろそろ社会保険労務士の出番です。 http://www.mag2.com/m/0000253225.html ☆chu_sanの魔法の人事労務☆ http://www.mag2.com/m/0000144368.html ================================ 【発行・編集】いのしし社会保険労務士事務所 【問合せ】http://tinyurl.com/69q3qc 【発行システム】http://www.mag2.com/ 【配信中止】http://www.mag2.com/m/0000252731.html 【免責事項】内容は筆者独自の見解です。また、掲載情報に基づいて 被ったいかなる損害・被害についても、筆者は一切の責任を負いか ねます。ご了承ください。 ================================


