野球小説アンドロメダ  RSSを登録する

野球マンガみたいな野球小説です。ホームドラマのような野球小説です。流し読みでOKの野球小説です。年齢、性別関係なく読めます。魅力あふれる若者たちの未来を想像していただければ幸いです。20XX年、新プロ野球伝説・アンドロメダ、プレーボールです。

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2009/12/04

野球小説アンドロメダ・Jと小次郎26

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 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢
達成のゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、
それとも…。





☆☆☆☆☆







 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はあ
る日、東京グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アン
ドロメダのリーダー・大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれ
た選手の発掘を誓う。そして舞台は全国の高校へ。アンドロメダ球
児たちの夏が始まった。








☆☆☆☆☆Jと小次郎26







 いったい何が起きたのだろう。どうなったのだろう。その瞬間、
マウンド上の桜福坂エース・速水拳(3年)は自問自答するような
感じだったという。長崎大会決勝、和場工戦。111球目。気合い
を込めて投じたジェイのストレートが…。









 桜福坂応援団席にいたアンドロメダ調査員の神威小次郎は「何ぃ
!」と思わず声をあげた。バックネット裏で教え子と母校の戦いを
みつめていたアンドロメダ特別講師の鬼崎平三は「おい!」と大声
を張り上げた。スタンドの至るところに陣取った速水ファンの女性
たちからは一様に悲鳴があがった。









 まさか、が起きた。速水は生気が抜けたように、ただ呆然として
いる。3-1。桜福坂2点リードで迎えた決勝戦、大詰めの9回裏
二死一、二塁。和場工の「代打男」はど真ん中に投じられた速水の
ストレートを思いっきり振りにいった。それこそ、破れかぶれだっ
たかもしれない。1、2の3のタイミングくらいのつもりだったの
かもしれない。「代打男」は今大会初出場だった。普通に考えれば
「格」も違っていたハズだ。ところが当たった。バットがとらえた。
151キロを計測していた速水のストレートを…。当てるのが精一
杯の凡フライや凡ゴロではない。ジャストミートだ。打球は何とレ
フトスタンドに吸い込まれていったのだ。










 何ということだろう。逆転サヨナラ負け。目前にあったハズの2
年連続甲子園切符が…。和場工ナインが大騒ぎしているのを見て、
速水はようやく現実を知った感じだった。ヒザからその場に崩れ落
ちた。親友の捕手・盛川が肩をたたいて慰めてくれたのも、放心状
態のその時は気づかなかったという。











 悔しかった。たまらなかった。しかしできる限り、上を向いた。
正面をみたり、うつむいたりしたら、目から涙がこぼれそうだった
から…。桜福坂応援団への挨拶でも速水はパッと頭を下げて、パッ
と上を見た。グラウンドで泣きたくなかった。なぜかはわからない。
とっさに、そうしていた。意地だったのだろうか…。









 スタンドのあちらこちらで速水ファンの女性たちが号泣していた。
それまでの華やかな声援の渦が、涙、涙の大洪水となった。「ジェイ
!」。誰かが叫んだ。そしてまた誰かが「ジェイ!」と声をあげた。
気がつけば、すさまじいばかりの「ジェイ」コールが起きていた。涙
声の「ジェイ」コールが…。










 神威も鬼崎も言葉を失っていた。各球団のスカウト連たちからは「
野球ってやっぱり怖いなぁ。しかし、なぜ、あそこまでストレート勝
負にこだわったんだろうな」との声も漏れていた。












 速水も思った。「なぜ、ストレートでいきがってしまったのだろう」
「なぜ、あそこでシュートを考えなかったのか」「直前の会心のストレ
ートを投げた自分に酔っていたのだろうか」「いや、その前の死球の打
者がにらみつけてきたのにムカついて自分を見失っていたのか」「いや
いや、そいつにシュートでぶつけたのが、シュートは投げにくいと無意
識に思っていたのだろうか」…。あの時、投球のサインは速水が捕手の
盛川に出していた。時々、やっていたこととはいえ「あと1人のあの場
面で、なぜ盛川に任せようとしなかったのか」…。答えはみつからない。
でも考え出したらキリもなかった。










 ベンチ裏で速水は多数の報道陣に囲まれた。今ドラフトの超目玉とま
で言われていたのだから当然だろう。しかし、どの質問にも速水はまと
もに答えられなかった。涙をこらえるのが精一杯だった。もっとも翌日
のスポーツ紙には「泣くな! 速水」の大見出しが躍ったが…。










 一夜明けて、速水は鬼崎の家を訪ねた。目は真っ赤だった。昨晩、泣
きまくったから…。でもまだ涙は枯れていなかった。そこでも泣いた。
グラウンドで見せられなかった分まで速水は泣き崩れた…。 



                         つづく

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 アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織
には一切関係ありません。
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