野球小説アンドロメダ  RSSを登録する

野球マンガみたいな野球小説です。ホームドラマのような野球小説です。流し読みでOKの野球小説です。年齢、性別関係なく読めます。魅力あふれる若者たちの未来を想像していただければ幸いです。20XX年、新プロ野球伝説・アンドロメダ、プレーボールです。

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2009/10/02

野球小説アンドロメダ・Jと小次郎17

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 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成の
ゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。





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 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東京
グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダー・
大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そして舞台
は全国の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。







☆☆☆☆☆Jと小次郎17






 あの日、空は青々としていた。日差しがきつかった。暑かった…。楽しい時間
だった。達成感があった。何かしら、のんびりできた。久しぶりの休息といって
も大げさではないだろう。未来も拓けていた。そのハズだったのに…。








 アンドロメダ調査員・神威小次郎の依頼を元大阪ロックスター二塁手の鬼崎平
三は2つ返事でOKした。








 神威は現在、所属するアンドロメダの意義、精神を説明した。桜福坂3年・速
水拳のことを話した。アンドロメダ流の講義に鬼崎の力を貸して欲しいと頭を下
げた。速水の特別コーチ就任を頼んだ。「昔のおいの時みたいにジェイ(速水)
を鍛えてやってください」と…。







 鬼崎にはタイムリーな話だった。実はうずうずしていた。野球がやりたくて、や
りたくて、どうしようもなくなっていた。家業を継ぐためにロックスターを突然、
退社した。まだ現役だったにもかかわらず、野球を捨てた。いや、本当は捨てる必
要はなかった。長崎のクラブチームで続ける手もあった。しかし、鬼崎は中途半端
に家業をやりたくない、と考えた。今まで、両親のおかげで好き勝手に野球ができ
た。その恩返しをしなければいけない。まずは家業を軌道に乗せることに集中する
ために、野球を捨てていた。








 仕事はうまくいっていたと思う。それなりかもしれないが、やれることはやって
いた自負もあった。でも何かのたびに思い出した。捨てたハズの野球のことを…。
まだ第1線でやれる、との自信もあった。まだまだ若いヤツを鍛えたかったとの思
いもあった。ロックスターから〝鬼教室〟を経てプロに何人、送り出したか…。若
いヤツの夢は自分の夢。いつしか、そう思えるようになってからは生きがいみたい
なものでもあった。それが、すべてなくなってしまったのだから…。うずいた。禁
断症状に悩まされるくらいに…。







 そんな時に神威から頼まれた。渡りに船。これも運命と鬼崎は決めつけた。きっ
かけになると思ったら、もういてもたってもいられなかった。「わかった。やらせ
てもらうけん…」。気がつけば、鬼崎は承諾していた。








 あの山にあるアンドロメダ練習場。速水に対する神威のカリキュラムは厳しさを
増した。理由はいうまでもない。新講師・鬼崎の登場からだ。とにかく、ハンパじ
ゃなかった。練習は基本から待ったなしだった。守備も打撃も走塁も、すべてに渡
って鬼教室は行われた。練習場にはいつも鬼の怒声が響いていた。







 鉄拳も飛んだ。「鬼崎さん、ジェイはモデルなので、顔の傷だけは気をつけてく
ださい」。神威は慌てて注意したほどだ。もっとも鬼崎は「わかっとるわい。大事
にはいたらせんけん、安心しとってよか!」というだけだったが…。その通り、速
水の顔はギリギリのところで助かっていた。殴られてはいるのに、なぜか、大きな
ケガにはならなかった。そんな寸止めラインを鬼崎は知っていたのだろうか…。








 しごきを受ける方は大変だった。鬼崎加入以来、速水は毎日、ゲッソリしていた。
練習も楽しい、夢があるからどんな苦難も乗り越えられる、厳しく教えられることに
も感謝する、と絶えず言い聞かせて頑張ってきたつもりだったが、さすがに鬼教室は
それをも越えるハードさだったようだ。精神的にも肉体的にもボロボロだった。しか
し…。







 「神威よ。これだけははっきり言えるばい。あの子(速水)はお前よりも素質の
あるってね」。鬼崎はうれしくてたまらなかった。鍛えがいがある男に出会えたこ
とが楽しかった。実際、速水はヘドをはきながらもたくましくなっていった。








 シュート練習は昔の鬼崎対神威の形式で行われた。本当にあの時と一緒だった。
速水のシュートが面白いように鬼崎から打ち返された。投げても投げても鬼の罵声
とともに打ち返された。「なぜなんだ!」。速水もまたあの時の神威と同じように
悩んだ。シュートの切れ味を増すことばかりを考えるようにもなった。








 鬼崎がにらんだ通り、速水と神威の差はここから出た。神威が2ヶ月かかったと
ころを速水は2週間でマスターした。2週間で鬼崎をシュートで牛耳るようになっ
たのである。ちなみに、これは鬼崎があの頃みたいに、若くないからではない。あ
くまで速水の実力だった。







 速水は自信を取り戻していた。以前よりも顔が精悍になったような気がする。甘
いマスクがさらに輝いているようにも見えた。「神威さん、鬼崎コーチ、ありがと
うございます」。速水は心底、こういって感謝した。殴られた数だけ、傷ついた分
だけ成長したような気分だった。







 「あの時のおいもそがん感じやったなぁ」。神威はそんな速水をかつての自分に
だぶらせた。素質では明らかに速水より劣る自分に…。









 あの日…。







 鬼崎との対決に勝利した神威は胸をときめかしていた。ついに鬼に勝った喜びだけ
ではない。勝った時のごほうびが約束されていたからだ。






 「お待たせぇ…」






 順子(聖子)が小走りで現れた。神威はちょっとはにかんだ。

 





 鬼崎と毎週のように行ったあの北新地のクラブ。そこで神威は約束していた。「鬼
さんに勝ったら、私とデートしましょう。その日を指折り数えて待ってますから…。
頑張って神威さん!」。順子(聖子)にこう励まされてきた。気立てのいい子だった。
性格も抜群で美人でもあった。いつしか、神威にとって順子(聖子)とのデート実現
が大きな目標にもなっていた。


 






 それが現実になった日だった。予期せぬ事態に陥ったのは…。 



                             つづく

☆☆☆☆☆

 アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切関
係ありません。
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