野球小説アンドロメダ  RSSを登録する

野球マンガみたいな野球小説です。ホームドラマのような野球小説です。流し読みでOKの野球小説です。年齢、性別関係なく読めます。魅力あふれる若者たちの未来を想像していただければ幸いです。20XX年、新プロ野球伝説・アンドロメダ、プレーボールです。

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2009/09/18

野球小説アンドロメダ・Jと小次郎15

☆☆☆☆☆






 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成の
ゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。





☆☆☆☆☆







 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東
京グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダ
ー・大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そし
て舞台は全国の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。







☆☆☆☆☆Jと小次郎15





鬼はやはり鬼だった。ほとばしる熱い血はやはり隠しようがなかった。その力
はまだまだ衰えてもいなかった。それどころか、まだまだやれそうだった。い
や、間違いなくやれた。燃えた。燃えた。鬼は昔のように燃えていた…。








 社会人野球の名門・大阪ロックスターのグラウンドは静まり返っていた。しか
しマウンドと打席だけは熱い炎をたぎらせていた。バッターボックスからは時折、
迫力満点の声が響く。






 「なんや、お前のウイニングショットなんて、この程度か。笑わせるな!」。
鬼崎平三二塁手の怒声だ。







 「……」。マウンドでは神威小次郎(現アンドロメダ調査員)が悔しそうな表情
を浮かべている。







 男と男の対決は完全に鬼崎の勝ちだった。神威得意のシュートがまったく役に立
たない。10球連続でヒット性の当たりを打たれていた。信じられないほど、面白
いように打たれた。内角をえぐろうがなんだろうが、関係ない。鬼崎は態勢を崩し
ても必ず、ヒットゾーンに持っていった。なぜ、こうも打たれるのか。途中から神
威は嫌にもなった。







 ストレートを3球続けた時までは勝ったと神威は思った。鬼崎のバットがまった
くの無反応だった。手が出ないように見えた。しかし、それは見込み違いだった。
わざとだった。鬼崎は最初から神威のシュートに狙い球を絞っていた。それ以外は
打つ気がなかっただけだった。そして、シュートはものの見事に打たれた。それこ
そ百発百中というぐらいに…。






 なぜだ。なぜこうも打たれるのか。







 「お前のシュートはまだ優しすぎるんや! この程度ならウチのエースにはなれ
へんわ!」。鬼崎の怒声が続いた。まるで神威の思いをわかっているかのように…。
むかついた。しかし、神威は反論できなかった。その通りだったからだ。







 わかってはいた。シュートが完全なものではないことを…。切れ味が足りないこ
とを…。神威はシュートをマスターしたことで飛躍したが、抑える時と打たれる時
が半々だった。しかも打たれる時はどうしようもないくらい打たれていた。その日
の調子によって、シュートのデキが違っていた。それが鬼崎に見抜かれていたのか
もしれない。






 だが悔しい。鬼崎にボロクソにいわれて、殴られて、またボロクソに言われて、
そして野球でもやられて…。クソーっとしか思えなかった。







 神威がシュートを10球投げて、10球打たれた時、愛宕監督がようやくグラウン
ドに現れた。いつもより、遅かった。いつもの時間に監督が来ていたら、アップ前に
こんなバトルとはならなかっただろう。







 「鬼崎! もうこの辺にしとけ!」。愛宕監督はボソっと言った。








 鬼崎は打席を外し「今日はこれで終わりや! 神威、いつでも挑戦は受ける。もっ
と鍛え直せ!」とまた怒声を響かせた。愛宕監督はそれを見ても、それを聞いても何
とも無反応だったが…。








 神威は腫れ上がった顔を再びマスクで隠して、マウンドを降りた。ガックリ肩を落
としていた。まるで試合でKOされたような雰囲気だ。






 「……」






 無言で神威は通常練習に参加した。鬼崎も何食わぬ顔で通常メニューをこなした。他
のナインも何事もなかったかのように、いつものように汗を流した。


 




 神威はショック大だった。練習中も練習が終わっても、ショック大だった。他のナイ
ンもそれがわかった。誰も声をかけられない感じだったようだ。









 夜。ロックスターの合宿所食堂に神威はひとりでいた。ナインよりも遅めの夕食をと
っていた。何となく、みんなと一緒に食べたくない心境だった。顔の腫れはだんだんひ
いてきたが、それを再びさらすのも何となく嫌だった。視線が気になった。考えれば考
えるほど、ことごとく打たれた、あのシーンがまたよみがえる。悲惨な気分だった。







 食事を終えた。ゆっくり神威は立ち上がった。そこへ後から声が…。






 「神威! いくぞ! 準備しろ!」







 聞き覚えのある声だった。一番聞きたくない声だった。鬼だ。鬼崎がいつのまにか後に
立っていた。そして妙になれなれしく、妙にニヤニヤしていた。






 「何の準備ば、するとですか?」。明らかに神威が不快そうに聞くと、鬼はニヤリと
してこう言った。






 「決まっとるやろ! 飲みにいくぞ!」






 「……」。また神威は言葉を失った…。



                            つづく


☆☆☆☆☆

 アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切
関係ありません。
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