2009/07/24
野球小説アンドロメダ・Jと小次郎8
☆☆☆☆☆ 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成の ゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。 ☆☆☆☆☆ 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東京 グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダー・ 大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そして舞台 は全国の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。 ☆☆☆☆☆Jと小次郎8 腰を抜かさんばかりに驚いた。いったい、どうなっているのか…。いったい、 いつの間に…。十分すぎるトレーニング器具が揃っていた。マシン打撃ができる ようになっていた。ブルペンができていた。ついこの間まで何もなかったはずの 場所にそれがあった…。 「神威さん、これは…」 桜福坂3年の「ジェイ」こと速水拳はうなり声をあげた。 「これくらいしか準備できんでわるかばってんね」 アンドロメダ調査員の神威小次郎のこんな言葉も速水には謙遜にしか聞こえ なかった。 ついこの間まで、ただの空き地だった。何にもなかった。ただの草むらだっ た。そこに建物ができていた。外見は立派そうではない。でも中はビックリの 設備だった。 「すごかぁ…」 速水は短期間でこれだけ準備するアンドロメダって、と思った。 「本当にこれ、全部のおいのために準備したとですか…」 こう聞かずにはいられないほど、速水は怖くなった。 「気にせんでよかよ。全部、移動式のもんやけんね…」 神威は笑っていたが…。 アンドロメダは埋もれた素材に野球の練習環境を提供する会社だ。そのため、 いつでも運べる施設を丸ごと確保していた。何でも北海道、東北、関東…とそ れぞれに車輪をつけたプレハブの建物が用意されているとか…。その構造がど うなっているのか謎だが、チーフの大田原健太郎の発案でそうなっていたそう だ。寝泊りもできるため、調査員はそこで暮らすものがほとんどだったという。 今回、速水に用意されたのはその九州地区用のものだった。 しかし、車輪を外した建物には全くそんな違和感がなかった。速水がジャン プしても揺れるなんてことはない。広さはなかったが、マシン打撃練習には問 題ない。ちゃんとネットも張り巡らされている。1人用のブルペンもとても急 造のものには見えなかった。 「さ、始めるばい」 速水の特訓はこうして始まった。毎日、数時間だけでも大丈夫のように、効率 よいメニューが組まれてもいた。1週間、2週間、3週間…。日を追うごとに速 水はレベルアップを実感できるようになった。体力面でも技術面でも…。 講師もいろんな分野の人がきてくれた。すべてアンドロメダの人脈という。こ れまた速水にとっては驚きの連続だった。 そんななかピッチングだけは神威が教えてくれた。ブルペンでマンツーマン…。 わかりやすかった。大変、ためになったという。 しかし、今回、速水の成長にもっとも影響を与えたのは「神威投手コーチ」では なかった。それは特別講師の1人。「鬼」と呼ばれる男だった…。 つづく ☆☆☆☆☆ アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切 関係ありません。


