2009/06/30
野球小説アンドロメダ・Jと小次郎5
☆☆☆☆☆ 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成のゴー ルに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。 ☆☆☆☆☆ 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東京グ レート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダー・大田 原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そして舞台は全国 の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。 ☆☆☆☆☆Jと小次郎5 やる、と決めたら、とことんやらないと気がすまなかった。やる、と決めた時 の集中力には自信もあった。中途半端にはできない。脇目もふらずにアンドロメ ダ調査員の神威小次郎は高校球児であり、モデルの速水拳(桜福坂3年)への援 護に全精力を注ぎ込んだ。 「また神威さんからです…」 「こっちも神威さんです…」 「神威さんから連絡が入りました…」 東京・渋谷宮益坂の「アンドロメダ事務所」は連日、神威からの問い合わせで てんてこ舞いとなった。チーフの大田原健太郎の携帯にも一日に何度も神威から の電話やメールがあったという。しかし、アンドロメダの職員たちは誰ひとり嫌 な顔せず応対していた。むしろ、喜んでいた。それに応えるのが楽しくてしかた ない、感じさえあった…。 アンドロメダは将来のプロ野球界を背負う選手たちをバックアップする組織だ。 特に埋もれた素材の発掘を目指している。メンバーには練習環境などあらゆるも のを惜しまず提供する。そのためなら米国など海外への留学を斡旋するケースも ある。しかも選手に負担は一切ない。とにかく「与える、与える」の精神第一だ。 条件は選手がプロ入りした場合、アンドロメダでマネジメントすること。それだ け。選手は野球に打ち込めばいい。たとえプロ入りできなくても誰からもせめら れることもないし、費用を請求されることもない。 調査員の目はプロ野球スカウトに負けていない。これまた選ばれたメンバー揃 いだ。共通点は野球が大好きなこと、プロ野球の発展を願っていること、に尽き る。一応、担当地区制をとっているものの、基本的に行動は自由だ。やりたいよ うにやっていい。選手のためなら、経費が少々かかっても文句を言われることも ない。選手がプロ入りできなくても責任は問われないことも決まっている。給料 も一流企業並みに出ている。アンドロメダのスタンスは「好きなことをやって、 お金を稼ごう」というものでもある…。 もちろん、これもアンドロメダに豊富な資金があるからできることではある。 バックがしっかりしているからできることだ。そういう意味では、結局、ここも カネ、カネ、カネ、の世界とはいえるかもしれない。健太郎もそこにはちょっと 引っかかりを感じているのも事実だ。だが、汚いカネは使っていない。汚いカネ の使い方はしていない、ということで割り切るしかないと考えた、という。 メンバー契約するには、まず調査員が発掘した選手についての詳細なリポート を東京本部に提出しなければならない。そして、全員の調査員の生チェックが行 われる。海外など特殊ケースを除いて、全員がそれぞれ10回はその選手を見る、 となっている(原則的にそうであって、厳密なルールではないが…)。それから 意見交換して、契約の運びだ。もっとも、ほとんどがここでひっくり返ることは ないという。調査員の目はそれほど的確、ということだろう。その後、選手がプ ロ入りできるかはともかく…。 速水のケースはまだメンバー契約の段階でもなかった。単に調査員・神威が速 水の野球能力アップに動くということ。将来のプロ入りの可能性を見出したわけ でもないのだから、アンドロメダにとっては先々のマネジメント収入もアテにで きない。しかし、この場合もアンドロメダは援助にOKを出した。調査員の考え は会社の考え。どんなことでも調査員が野球界のため、と考えていることならば、 というわけである。もっとも速水は人気モデルでもあっただけに、女性事務員を 中心に盛り上がっていたのも事実だが…。 神威はいろいろ考えた。 「技術アップにはどうするのがベストか…?」 「体力アップを効率的にやる方法はないか…?」 「精神面強化に役立つものはないか…?」 本部はその都度、的確なアドバイスを行ってくれる。神威はいろんな協力も得 たうえで、速水の進化を模索した。自分のことのように頑張ろうと思った。アド バイスを送る立場の方が受ける側よりもいきいきとしていたかもしれない。ただ し、神威はバックアップするにあたって、速水に条件をつけていた…。 つづく ☆☆☆☆☆ アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切関 係ありません。



