野球小説アンドロメダ  RSSを登録する

野球マンガみたいな野球小説です。ホームドラマのような野球小説です。流し読みでOKの野球小説です。年齢、性別関係なく読めます。魅力あふれる若者たちの未来を想像していただければ幸いです。20XX年、新プロ野球伝説・アンドロメダ、プレーボールです。

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2009/06/19

野球小説アンドロメダ・Jと小次郎3

☆☆☆☆☆




 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成のゴー
ルに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。





☆☆☆☆☆





 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東京グ
レート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダー・大田
原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そして舞台は全国
の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。






☆☆☆☆☆Jと小次郎3



 アンドロメダ調査員・神威小次郎は「彼」のことを「ジェイ」と呼んだ。アル
ファベットの「J」…。理由はひとつだった。全国の女性ファンがいつしか「彼」
のことをそう呼ぶようになっていたから…。「彼」はちょっと抵抗していたが、
それもそのうちあきらめた。






 「あれっ?」



 こんな神威の反応に「彼」は条件反射のように、顔を隠した。だが、もう遅か
った…。なにしろアンドロメダの調査リストに名前が載っていた選手だったから
…。





 「そがん、せんでもよかっちゃなかぁ?」





 神威は笑いながら話した。だが「彼」は警戒していた。何もしゃべろうとしな
かった。汗だくで息が切れていたからではない。





 「おいはあやしかもんじゃなかよ。自分であやしかもん、っていうもんもおら
んやろけど…。ばってん、おいは週刊誌とかの記者でもカメラマンでもなかけん、
安心しとってよかよ」





 妙に必死に神威は説明していた。相手が有名人だったのは、この際、関係ない。
いつもの調査対象の高校球児と同じように接したつもりだった。だが「彼」は汗
をぬぐうことさえせず、硬い表情のままだった。サングラス越しでもそれはわか
った。





 「おいは神威小次郎。こういうもんばい」

 


 神威は名刺を差し出した。




 「アンド、ロメダ…」





 「彼」は、はじめて反応した。





 「そうそう、アンドロメダっていうったい。そがん大きな会社じゃなかばっ
てんね。将来のプロ野球界を背負う人間を探しとるとよ。おいはそこの調査員ば、
やっとっと…」





 神威はここぞとばかりにたたみこんだ(ちょっと大げさ)。すると…






 「プロ野球、ですか…? 何をする会社なんですか?」






 「彼」は聞いてきた。






 「簡単にいえばプロ野球ば、もっとよくしたかってこと…。ウチは将来ある選手
に、練習環境とかば、提供して、大きく育てようってなっとるとよ。何でも提供
するとさ。その代わり、プロに入ったら、ウチとマネジメント契約を結んでもら
う。条件はそれだけばい。もし、その選手がプロに入れなかったら、それはそれ
でしかたなか、ってもなっとると…。だから事前にメンバー入りさせるかどうか
の調査を念入りにやっとるとよ…」





 神威は熱心に説明していた。よく話している内容だけに、実に滑らかだ。





 「ただのマネジメント会社とは違うとですか?」





 「彼」はまた聞いてきた。






 「似ているといえば、似ているかもしれんけど、でもちょっと違うって考え
てほしかとさ。君もウチのリストに載っていたとよ。去年、甲子園に出とった
しね。でも、すごか人気よねぇ…。モデルもやっとるとでしょ。芸能界の仕事
も大変やろねぇ…」

 





 神威はさらに声を弾ませた。だが「彼」はまた暗い顔に戻っていった。サング
ラス越しでも神威にはそれがわかった。

 




 「でも、おいはモデルには興味なかけん、安心しとってよかよ。野球選手ば、
探しとるけんね」







 慌てて、神威はそう話した。とっさに、芸能界のことを言わない方がベストの
ような気がした。調査員のカンというヤツだったが、それは大当たりだったよう
だ。そう言うと「彼」は再び、口を開いた…。






 「神威さんは長崎の人とですか?」







 神威のしゃべりがうつったのではない。「彼」もまたイントネーションが違っ
ていた…。







 「そうばい。生まれも育ちも長崎ばい。今はアンドロメダの九州地区ば担当し
とるとよ。いろいろ見てきたばってん、長崎にもよか選手はいっぱいおるもんね
ぇ…。君も候補やったとばってん、芸能界入りするのかと…」







 また芸能界、といってしまって神威は思わず話すのをやめた。だが、なぜか「
彼」はもう気にしていない感じだった。それどころか…。

 





 「もっと野球をうまくなりたかとですけど、どうすればよかでしょうか…? 
僕は野球で注目されたかとですよ…」

 





 「彼」は真剣な顔だった。この坂を繰り返し、走っていたのも、とにかく体を、
何でもいいから作り変えたかったのだという。







 「どがんすればよかでしょうか…」

 




 九州のジェームス・ディーンこと長崎・桜福坂高校3年・速水拳はサングラス
を取って、神威に尋ねた…。


                              つづく

☆☆☆☆☆


 アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切関
係ありません。
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