2009/06/05
野球小説アンドロメダ
☆☆☆☆☆ 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成のゴー ルに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。 ☆☆☆☆☆ 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東京グ レート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダー・大田 原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そして舞台は全国 の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。 ☆☆☆☆☆Jと小次郎1 それは夏の予選直前に、アンドロメダの大田原健太郎にかかってきた電話がき っかけだった。東京スパーク投手・朝竜興二からの情報。「知り合いから将来が 楽しみな投手がいると聞いた。一度、見てはどうでしょうか」というものだった …。 朝竜はかつて日本最速160キロ右腕ともてはやされた投手だ。今なお、現役 ながら、さすがに球速は衰えた。それでも140キロは出るのだから、並の投手 よりは上。長年の経験とテクニックでスパーク投手陣を引っ張る存在ではある。 健太郎はそんな朝竜の福岡・川埜平学院時代の2年先輩にあたった。「興二」「 健太郎さん」と呼び合う間柄だ。健太郎がアンドロメダをスタートさせてからも、 いろんな情報を提供してくれる有難い一人でもあった。 だから朝竜からの電話は珍しくなかった。でも健太郎にはちょっと興味を持た せる内容だったという。それは舞台がセンバツVの丘陵だからだった…。 その時の電話の内容はこうだった。 朝竜:「もしもし、朝竜です」 健太郎:「おう、興二か。どうした?」 朝竜:「ちょっと、健太郎さんに情報をって思って…。いいですか、今、時間…」 健太郎:「いいよ。全然大丈夫だよ。で、どんな話?」 朝竜:「ウチ(東京スパーク)で以前、トレーニングコーチをやっていた後端っ てヤツが今、綱島でトレーニングジムを開いているんですよ。で、この前、そい つにバッタリ会ったんです。そして、そいつがうれしそうに教えてくれたんです よ。高校1年生で面白い子がいる。将来は間違いなくプロで大物になれる逸材だ って。とにかく球が速いらしいです。うれしいことに僕を見て、あこがれてくれ たそうなんですけど…。いや、まぁ、それはどうでもいいんですけど、健太郎さ ん、思い当たる子はいます?」 健太郎:「どこの高校の選手?」 朝竜:「それが、あの丘陵っていうんですよ」 健太郎:「丘陵? 丘陵ってセンバツ優勝のアレか…?」 朝竜:「健太郎さんは例のフリッシュ問題で、ちょっと絡んでいるんですよね。 だから、知っているかなぁ、とは思ったんですが、後端があまりにもすごい、す ごいって連発するのでね。一応、連絡しておこうかと…」 健太郎:「いや、そんな選手が1年生にいるとは知らなかったな。名前は?」 朝竜:「流鏑馬義っていうそうです。ただし、まだ本格的にピッチング練習はさ せてないそうですけど…。でも後端がいうには、いずれは170キロも夢ではな いとか…」 健太郎:「170? そりゃあ、すごいなぁ。でも、そんな有望選手だったら、 引く手あまただろうし、ウチの力はあまり必要とはしないかもしれないなぁ」 朝竜:「でも丘陵ですよ…」 健太郎:「まぁ、それは確かに気になるなぁ…」 朝竜:「それに、その流鏑馬っていうのはね…」 電話を切った健太郎はすぐさま流鏑馬調査に動くことを決めた。ただし、こ こ数日はスケジュールが満杯だったため、まずは調査員を派遣することにした。 ちょうどいいタイミングというか、「アンドロメダ事務所」には九州地区担当の 調査員・神威がいたので託した。そして、あの丘陵のグラウンドだ。たまたま殿 檜杉のエース・立花恭兵たちも来ていた、あの場所で、神威もまた流鏑馬をチェ ックしていたのだった。 後日、神威が健太郎に提出した流鏑馬リポートは実に細かく、そして十二分に アンドロメダに興味を起こさせるものだったという。 「考えてみれば、彼の時もそうだったなぁ。神威のリポートはホント、こっちを その気にさせるよなぁ…」 健太郎は読み終わって、こうつぶやいたものだ。 そもそも、九州地区担当の神威がなぜ、その時東京・渋谷宮益坂の「アンドロ メダ事務所」にいたのか。それは「彼」との契約を済ませ、その報告に上京して いたからだった。 つづく ☆☆☆☆☆ アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一切関 係ありません。



