2009/02/27
野球小説アンドロメダ・魔法エース15
☆☆☆☆☆ 20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成の ゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。 ☆☆☆☆☆ 球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東 京グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダ ー・大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そし て舞台は全国の高校へ。アンドロメダ球児たちの夏が始まった。 ☆☆☆☆☆魔法エース15 熱い夏だった。例年に比べても、かなり熱い夏だった。灼熱のグラウンド、 その体感温度はいったい何度くらいだったろうか…。戦いも熱かった。両軍が 燃えていた。火花が散った。甲子園に向けて、マンモスを目指してのドラマが 繰り広げられた…。 神奈川大会準々決勝、丘陵高校対殿檜杉高校は投手戦が展開された。殿檜杉 のエース・立花恭兵のテンポのいいピッチングが光る。小柄ながら、そのフォ ームは本当に美しい。フォークボールが面白いほどに決まる。大黒柱のフリッ シュ不在とはいえ、センバツVの丘陵打線につけ入るスキを与えない投球はま さに見事だった。一方、丘陵の琴原も少々ボールは荒れ気味ながら、得点を許 さない。今春まではキャッチャーだった急造投手だが、そんなハンデは感じら れない。マウンドを楽しんでいるようでもあった。1年生捕手・納谷辰夫のリ ードもよかったようだ。 6回を終わって0−0。試合は終盤に突入していた。 「アイツが出てくるまでに点を入れないとやばいな。アイツ相手にもうすでに 1回、使ってしまったし…」 ベンチで立花は汗を拭いながら、心の中でつぶやいていた…。 X X X X X X X X X 夏の予選前、立花は幼なじみの殴取薫に連れられて丘陵高校野球部グラウ ンドにやってきた。勝手にライバル視していた丘陵のフリッシュが失踪騒動 を起こし、夏の予選不出場となったことで、なえてしまった立花の闘志をも う一度、たぎらせるために薫が思いついたことだった。たまたま偵察に来て いたスペクトル学園の207センチの巨漢・ジャイ周こと、道空周二に出会 い、立花は丘陵の変化を知った。薫が見せたかったという丘陵1年・流鏑馬 義の存在も知った。そして、そいつの中学時代の伝説が今、明らかになろう としていた。 X X X X X X X X X 「あの時のアイツはホント、すごかったわよねぇ…」 薫は興奮気味だった。 「確かにビックリしたなぁ…」 ジャイ周が珍しく普通にしゃべっていた。 X X X X X X X X X 昨年の夏。それは由元綱シニア対絵山シニアの試合だった。話はその試合 前に及ぶ。 「監督、今日だけいいんですよね。投げても…」 「後端君の許可もとってあるし、いいぞ。ただし、打者一人、投げても10球 まで。いいな」 「わかりました。で、ちょっとお願いがあるんですけど…」 「何だ?」 「投げる相手はアイツにお願いしたいんですが…」 「ああ、アイツか。わかった、わかった。それくらいは簡単だ」 「ありがとうございます」 流鏑馬義は道空監督(注:ジャイ周の父)の許可を得て気合いが入っていた。 「よっしゃー。やったるでぇ…」 思わず得意のにわか関西弁で雄叫びさえあげていた。 X X X X X X X X X 「義にとっては宿命の対決だったのよねぇ、あれは…」 「小学生時代からライバルだったそうだね」 初めて薫とジャイ周の会話がかみあったといっていい。傍で立花も興味津々 の顔をしていた。 X X X X X X X X X 義は道空監督と話をする前に、そいつと約束していたという。 「今日、オレは投げる。何としても頼んでお前相手に投げる。そこで勝負だ! どっちが速い球を投げるか、でね。お前は向こうの先発だろ。どうだ、やら ねぇか」 「そこまで言われて受けないわけにはいかないよ。やるよ。やる」 話はついた。負けた方にはあるルールが適用されることも決まったという。 「久しぶりに燃えるわ。いくでぇ、納谷!」 絵山シニアの納谷辰夫との因縁のスピード対決だった…。 つづく ☆☆☆☆☆ アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一 切関係ありません。



