野球小説アンドロメダ・真極四天王6
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20XX年、未知なる魅力あふれる野球戦士たちが、それぞれの夢達成の
ゴールに向かって、走り出した。それは理想の世界だろうか、それとも…。
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球界の危機的状況を感じ取った選手会リーダー・高杉明太郎はある日、東
京グレート総務課長の村澤三四郎、マネジメント会社アンドロメダのリーダ
ー・大田原健太郎と出会い、未知の魅力にあふれた選手の発掘を誓う。そし
て舞台は全国の高校へ。東京・瑞泉にはGSコンビ、東京・真極学園には…。
☆☆☆☆☆真極四天王6
よく知らない日本を思い描いた。日本のプロ野球界を思い浮かべた。その
世界にいる自分を想像してみた。考えるだけで楽しかった。スーパーマンの
方々と同じ空間にいる、って思うだけで胸が弾んだ。その頃から、必ず、な
ろう、って誓っていた、と思う。
京都ジャックが豪州選抜に圧勝した試合後、直人は、またあの小屋に向か
っていた。
「直人! 選手の人たちはみんな帰ったし、もういいだろ。帰るぞ!」
「まーだ! もうちょっと!」
「もう何もないって、この前も急にいなくなって心配したんだから…。いいか!
今日はお父さんのそばから離れるなよ」
「わかっているって、大丈夫だって!」
父・靖男に念を押されたにもかかわらず、直人はサーッと走り出した。5歳
の少年とは思えないスピードで駆け出した。速かった。靖男の方が驚いた。そ
んな息子の姿を見るのも初めてだったから…。
小屋にはやはり火牙がいた。その日は床のマットもトレーニングウエアも、
口のまわりも赤く染まっていなかった。ただ、黙々と筋トレを行っていた。
「坊主! また来たな!」
「こんにちわ!」
火牙は笑っていた。5歳の子供を本当に待っていたかのように、スマイルを
連発した。
「赤いおじさん、すごかったね。すごい。カーンってホームラン、すごかった。
ストライク! って三振、すごかった、すごいねー、赤いおじさん」
「おう、ありがと。坊主が喜んでくれて、おじさんもうれしいよ」
「ねぇねぇ、おじさん! どうやったら、あんなふうにカーンってできるの?」
「そうだなぁ、一生懸命、練習することかな」
「どうすれば、練習できるの?」
「どうすればって…」
「なぜ、練習できるの?」
「なぜ…って」
「いつ練習できるの?」
答えを話す前に繰り出される直人の質問攻撃に、火牙はたじたじだった。
「甲子園を目指したら、練習できるよ」
そんななか、火牙の口から出てきた言葉がそれだった。
「甲子園?」
「野球をやっている人たちが目指す場所だよ」
「そこは遠いの?」
「ここからはかなり遠いなぁ…」
「ボクもいける?」
「うーん。練習すればいけるかもなぁ…」
「赤いおじさんみたいになれる?」
「ちゃんと練習したらなれるかもな!」…
直人は目を輝かせていた。火牙もそれを感じていたのだろう。5歳相手に
も、ていねいに話をしていたという。そこへ小屋の外から靖男の声が響いて
きた。
「直人! そこは入ったらダメなところだぞ。出てきなさい! もう帰るぞ
!」
途端に火牙は直人に手を差し伸べた。
「坊主! じゃなく直人だったな…。直人! お父さんが呼んでいるし、もう
帰らないとな!」
「ハイ、わかりました」
火牙と握手しながら、直人は素直に従った。そうしなければいけない雰囲気
でもあったという。
「赤いおじさん、また会える?」
「おじさんは明日、日本に帰るんだ。キャンプが終わりだから…」
「えーっ!」
「そんながっかりした顔をするな! よし、わかった。いつか日本で会おう。直
人が練習したら、きっといつか会えるよ」
「う…ん」
また会えるものだと思っていた直人は泣きそうな顔だった。寂しい気持ちにな
った。あの時の気分は忘れられないという。
「ほら、もう行け! 父さんが心配するぞ!」
火牙に背中を押され、気がついたら、直人は走り出していた、という。またも
のすごいスピードで靖男のところに戻ってきたそうだ。
後で聞いたら、その時、小屋にいた時間は5分もなかったとか。でも直人には、
とても長い時間に思えている。
その日からの目標だった。
「また赤いおじさんに会いたい!」「赤いおじさんのようになりたい!」が…。
そして甲子園というものにあこがれた、という。
しかし、火牙はそのシーズンを最後に球界から姿を消していた。突然、いなく
なっていた。直人はその事実を知らないまま、大きくなっていた…。
つづく
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アンドロメダの物語はフィクションです。実在の人物、地名、組織には一
切関係ありません。


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