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知は力です。転ばぬ先の杖です。労働法の問題、争点を「なんだ・かんだ長屋」の 大家さん、熊さん、八っあん と一緒に考えて、労働紛争の予防に役立てませんか? 問題解決の糸口が見つかるかも。

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2008/07/02

消防士の仮眠は労働時間 ? の巻

☆ ────────────────────────────── ☆
労働問題 なんだ・かんだ     Vol.17 

〜 なんだ・かんだ と言っても "知は力です" 〜   
発行者 ひろ事務所 社会保険労務士 渡辺博正    
☆ ────────────────────────────── ☆

* なんだ・かんだ長屋の大家さん、熊さん、八っあん と一緒に
労働法、労働問題を考えてみましょう。 そして、
労働紛争の解決策を探り、トラブル予防 につなげましょう。
* 労働トラブルは千差万別で、画一的に解決できるものではありません。
ここに書いた事は、一般論ですので、個別・具体的事件を想定しておりません。
実際のトラブルの解決に当たっては、ご自身の判断・責任でお願いいたします。
私には、いかなる責任もなく、一切の損害賠償をする義務はない、と考えます。
* ホームページ http//www.hirojimusyo.com/
メールアドレス hirojimusyo@yahoo.co.jp
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     消防士の仮眠は労働時間 ? の巻

登場人物:なんだ・かんだ長屋の 大家さん、熊さん、八っあん。



>消防士の仮眠は労働時間? 職員有志、提訴も辞さず
<2008年6月4日 中日新聞・朝刊>
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008060402014895.html


>四日市市の消防職員の勤務は昼夜の2部交代制。
 夜勤は市消防本部や各署などで午後5時から翌日の午前8時30分まで拘束される。
 仮眠は午後10−翌午前5時の7時間のうちの4時間半が認められており、
 仮眠中に出動した場合には、時間外労働の割増賃金が支払われる。
>労働基準法は、午後10−翌午前5時に働いた場合、深夜勤務として割増賃金を支払うよう定めている。
 市では従来、慣例でこの7時間のうち、5時間分に割増賃金が支払われてきた。
 しかし、昨年4月から、市は4時間半の仮眠時間を休憩として差し引き、
 2時間半分だけを、割増賃金の対象とすることに変更。
>消防庁、認めない見解
>消防職員の仮眠時間を、総務省消防庁は
 「出動の可能性があっても労働時間とはいえない」(消防救急課)としており、
 四日市市は、この見解にのっとっている。
>愛知県警では、交番勤務の休憩・休息時間は事実上休めないとして、
 警察官が超過勤務手当を求めた訴訟があったが、
 1998年に名古屋地裁が請求を棄却した。(判例4)
>民間では、宿直勤務中のビル管理者の仮眠時間を労働時間と認めた判決が2002年に最高裁で出ている。(判例2)
 「実際に作業をしていなくても、会社の指揮命令下にある限り、労働から解放されていない」が理由だった。

>◆ 制服着たまま/3回出動も 四日市市消防・仮眠時間問題
<2008年6月5日 中日新聞・朝刊>

>所属や隊によって異なるが、通常1回の夜勤の間に平均約5回の出動があり、うち1回は仮眠中の出動になる。
 仮眠時は出動する際の装備からヘルメットと手袋、靴を脱いだだけで横になる。
 出動要請が入ると天井のランプが点灯、ブザーや音楽が鳴り起こされる仕組みになっている。

〜 〜 〜 〜

八っあん:新聞では、総務省消防庁(消防救急課)が「労働時間とはいえない」といってるけれど、

熊さん :「大星ビル管理事件」の裁判は知っているけれど、
     「愛知県警察官超過勤務手当請求事件」の裁判は 調べないと判らない な〜

大家さん:ここで、問題になっているのは、労基法32条の労働時間なんだよね

[八]「労基法上の労働時間」?

[熊]たとえば、就業規則でさ、8時から5時までが就業時間だとしてね、
  12時から1時までの1時間の休憩時間を除いたのが労働時間の話じゃないの ?

[大]それは、「所定労働時間」さ
「労働時間」として問題になっているのは、たとえば、
就業規則で決まっている出社時刻の“8時” の10分程前に、
仕事現場から離れた所にあるロッカールームに入って、
安全衛生法で決められている防護服を着て、
出社時刻の“8時”までには作業場に着いて、作業開始できる様にしなければならない、とか
帰る時はその逆で、定刻“5時”に作業場を離れて、帰りのタイムレコーダを押して、
5時10分にやっと防護服を通勤着に着替えた場合、 
この朝の10分 と 夕の10分 合計20分は 労働基準法上ではどうなのか? という事さ

[八]作業所に入ってから、出るまでの時間が 休憩を除いて8時間とすれば、
月〜金で 8時間×5日=40時間になってしまうから、
もし 20分×5日=1時間40分が 「労基法上の労働時間」だとすれば
時間外の対象になる て〜ことですか ?

[熊]36協定を結んで、残業手当を払わないと労基法違反になる ?

[大]トヨタ過労死事件でも、
 「カイゼン活動」が労働時間なのか 自主的な活動なのか が問題になった

[八]労働法からみると 「仮眠」も 「カイゼン」も
 どちらも「労働時間」になる・ならない って事なんだ

[熊]労働基準法には、「労働時間」が107回程でてくるけれど、
 定義がなくて、(労働時間)第32条で
 「使用者は、労働者に休憩時間を除き1週間について
 40時間を超えて、労働させてはならない。」とあるだけですからね。

[八]「使用者は、・・・労働させてはならない」が手掛かりか

[大]これが「三菱重工業長崎造船所事件」の最高裁判決の 一つの論点だった訳さ

「三菱重工業長崎造船所事件」では、
【要旨1】
労働基準法(・・)32条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、
労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、
労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより
客観的に定まるものであって、
労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない
と解するのが相当である。

【要旨2】
労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から
義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において
行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、
使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、
当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、
労働基準法上の労働時間に該当すると解される。 

[大]以上が、最高裁が示した「労働時間」の定義で 

【要旨3】
・・実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられ、また、
右装着を事業所内の所定の更衣所等において行うものとされていたというのであるから、
右装着及び更衣所等から準備体操場までの移動は、
上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができる。
・・・さらに、被上告人らは、実作業の終了後も、
更衣所等において作業服及び保護具等の脱離等を終えるまでは、
いまだ上告人の指揮命令下に置かれているものと評価することができる。 

[大]仮眠時間が労働時間になるかが争われた、「大星ビル管理事件」でも、再確認された

「大星ビル管理事件」(最高裁判決「理由」)
「 (1)労基法32条の労働時間(以下「労基法上の労働時間」という。)とは、
労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、
実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、
労働者が不活動仮眠時間において 使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか
否かにより客観的に定まるものというべきである
(最高裁平成7年(オ)第2029号同12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁参照)。
(注)これは、「三菱重工業長崎造船所事件」判決のこと。

「 そして、不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、
使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、
当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、
労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。

したがって、【要旨1】不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には
労基法上の労働時間に当たるというべきである。
そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、
労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれている
というのが相当である。」

「 そこで、本件仮眠時間についてみるに、【要旨2】前記事実関係によれば、上告人らは、
本件仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、仮眠室における待機と警報や電話等に対して
直ちに相当の対応をすることを義務付けられているのであり、
実作業への従事がその必要が生じた場合に限られるとしても、
その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがされていない
と認めることができるような事情も存しないから、
本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず、
労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる。
したがって、上告人らは、
本件仮眠時間中は不活動仮眠時間も含めて被上告人の指揮命令下に置かれているものであり、
本件仮眠時間は労基法上の労働時間に当たるというべき 」

[大]しかし、
「 本件仮眠時間は労基法上の労働時間に当たるというべきであるが、
労基法上の労働時間であるからといって、当然に労働契約所定の賃金請求権が発生するものではなく、
当該労働契約において仮眠時間に対していかなる賃金を支払うものと合意されているか
によって定まるものである。」

[大]あれ〜 風向きが変わったぞ〜、

「 被上告人と上告人らの労働契約における賃金に関する定めについてみるに、前記のとおり、
賃金規定や労働協約は、仮眠時間中の実作業時間に対しては
時間外勤務手当や深夜就業手当を支給するとの規定を置く一方、
不活動仮眠時間に対する賃金の支給規定を置いていないばかりではなく、
本件仮眠時間のような連続した仮眠時間を伴う泊り勤務に対しては、
別途、泊り勤務手当を支給する旨規定している。

そして、上告人らの賃金が月給制であること、
不活動仮眠時間における労働密度が必ずしも高いものではないことなどをも勘案すれば、
被上告人と上告人らとの労働契約においては、
本件仮眠時間に対する対価として泊り勤務手当を支給し、
仮眠時間中に実作業に従事した場合にはこれに加えて時間外勤務手当等を支給するが、
不活動仮眠時間に対しては泊り勤務手当以外には賃金を支給しないもの
とされていたと解釈するのが相当である。
したがって、上告人らが本件仮眠時間につき労働契約の定めに基づいて
所定の時間外勤務手当及び深夜就業手当を請求することができないとした原審の判断は
是認することができ、・・・」

「 そうであれば、被控訴人らが控訴人会社との労働契約に基づいて、
仮眠時間について時間外勤務手当、深夜就業手当を請求することができないことは明らかである。」
「 上告人らは、本件仮眠時間中の不活動仮眠時間について、
労働契約の定めに基づいて既払の泊り勤務手当以上の賃金請求をすることはできない。」

[大]ここまでは、「大星ビル管理事件」の2審(東京高裁)、
次に紹介する、「青梅市職員割増賃金請求事件」 でも判断は同じ 、

「 しかし、・・・」大星ビル管理事件 最高裁は、

「 しかし、労基法13条は、
労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分について無効とし、
無効となった部分は労基法で定める基準によることとし、
労基法37条は、
法定時間外労働及び深夜労働に対して使用者は同条所定の割増賃金を支払うべきことを定めている。
したがって、労働契約において本件仮眠時間中の不活動仮眠時間について
時間外勤務手当、深夜就業手当を支払うことを定めていないとしても、
本件仮眠時間が労基法上の労働時間と評価される以上、
被上告人は本件仮眠時間について労基法13条、37条に基づいて
時間外割増賃金、深夜割増賃金を支払うべき義務がある。」

「・・・原判決は、この判断にあたり、
法定時間外労働の時間数および割増賃金の基礎となる通常の賃金を正しく算定しておらず、
破棄を免れない。」 で、東京高等裁判所 に差し戻し

[大]裁判の評価は論理構成、結果の妥当性で判断すべきで、
 金額で判断してはいけないのを承知の上で比較すると
 1審・地裁=290万円、2審・高裁=54万円、最高裁=差戻し
 高裁での和解金額=290万円

[大]この判決では、契約内容が払わない、という内容であったから払わなくてもいいんだけれど、
 「 労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は」無効とした。

[大]契約で払わないとしてあるから 払わなくてもいいんだ〜って裁判例が、
 「青梅市職員割増賃金請求事件」さ
 もっとも ※の通り、全くの無条件ではないので、注意して下さい。

「青梅市職員割増賃金請求事件」
第1審の八王子地裁では、
「 一般職の地方公務員の給与は、条例で定めることとなっており(地方公務員法24条6項)、
その支給は同条項による給与に関する条例に基づいて支給されなければならず、また、
これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給してはならないとされている
(同法25条1項)(給与条例主義)。」

[大]このへんのところは、
 「中野区非常勤保育士事件」でも問題になった
 公務員 → 行政権と司法権との関係 → 三権分立 の問題になる様だ

「 しかしながら、
給与条例において時間外勤務手当を支給する定めがない場合であっても、
地方公務員法58条により適用が除外されていない労基法の規定は地方公務員にも適用があるから、
仮眠時間等が労基法上の労働時間に該当すると認められれば、
被告は、原告に対し、労基法13条及び37条に基づき
労基法の定める最低基準の時間外割増賃金、深夜割増賃金を支払うべきである。
仮眠時間等が労基法上の労働時間に該当するか検討する。」

「 労基法41条3号・・・同号所定の「監視」業務とは、
原則として一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、
常態として身体の疲労又は精神的緊張の少ないものであり、
「断続的労働」とは、作業自体が本来間歇的に行われるもので、
作業時間が長く継続することなく中断し、しばらくして再び同じような態様の作業が行われ、
また中断するというように繰り返されるものをいうと解するのが相当である。」

「 このような服務要綱の定め及び勤務の実態に照らすと、
庁舎管理業務員の勤務は一定程度労働する必要のある勤務であると認められるから、
労基法41条3号所定の「監視又は断続的労働」に該当するということはできない。」

「 給与条例に基づいて支給される庁舎管理業務員の賃金のうち、
仮眠時間に対しては宿日直手当が支給され(同条例16条)、
休憩時間に対しては賃金を支払わないこととされているのであるから、
本件において仮眠時間等に対する賃金の未払いはないものと言わなければならない」

※「(なお、その労働密度が高くない仮眠時間及び休憩時間中の庁舎管理業務員の業務実態に照らせば、
1勤務当たり2,000円という宿日直手当の金額は社会的に不当な廉額とはいえない)。」

「・・・服務要綱の定め及び勤務の実態に照らすと、
庁舎管理業務員の勤務は一定程度労働する必要のある勤務であると認められるから、
労基法41条3号所定の「監視又は断続的労働」に該当するということはできない。」

「 以上のとおりであるから、
原告は、労基法37条に基づいて、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を請求することができる。」

[大]ところが、「青梅市職員割増賃金請求事件」の東京高裁は、

「 控訴人が、実際に、仮眠時間中又は休憩時間中において行った業務処理の内容を見てみると、
控訴人がその内容を記録していた平成14年1月から4月までの4か月の間に、
職員の退庁を確認したことが25回、電話の収受が14回あるほか、
防災関係処理が3回、戸籍届出受理が3回、火葬窯予約受付が6回、火葬許可証発行が2回、
上水道の漏水事故が1回、庁舎内の停電工事が1回であったというものであり、
したがって、控訴人の実際の業務の中身が名目的であるとまではいうこともできないが、
しかし、さほどに多くの回数があったわけではなく、
内容的にも、重要な業務ではあるが、
比較的単純で定型的な事実確認や、さほど困難な判断を伴わない対応を中心としたものが多く、
全体としてさほど困難とか、強い精神的緊張を伴うようなものではなく、また、
危険なものでもないと認められる。」

「 本件は、地方公務員の勤務関係の問題であって、労働契約の問題ではないものの、
しかし、本件でも、これと同様に考えることが適当であるから、被控訴人が、
庁舎管理業務員の仮眠時間等について、
賃金ないし割増賃金を支払わないとする明確な定め 若しくは 約束をしているのか否か
ということが問題となるといわざるを得ない。」

「 庁舎管理業務員が実作業を行った場合には
実作業時間に対応した(・・・)時間外手当、夜間勤務手当が支給されていること、
仮眠時間等と定められている時間は特別のことがない限り比較的自由に行動することができ、
何事もなければ睡眠をとることも可能であることなどの事実に照らすと、
実作業に従事した場合と比較して取扱いを異にすることにも相当の合理性があると認められ、
その他の諸般の事情を考慮すると、
被控訴人の上記の定めが、控訴人にとって、
格別、不合理で、社会的に問題があるものとまでいうこともできないと解される。」

「 控訴人に与えられている業務の内容は前記認定のとおり広範囲に及んでおり、
必要に応じて実作業に就くことも必要とされる内容のものではあるが、
実作業に就くことが予定されているのは、突発的、臨時的な場合であって、
実際にも、そのことが中心となっているものではない。
むしろ、控訴人ら庁舎管理業務員の主たる業務の内容は、
庁舎内の監視、連絡を中心としたものであると認めることが相当である。
すなわち、
控訴人の仮眠時間中の労働は、通常の労働時間と比較して労働密度が疎なものであり、
労働時間、休憩、休日の規定を適用しなくとも、
必ずしも労働者保護に欠けるとまではいえないものと認めることが適当なものである。
したがって、
被控訴人における上記業務は労基法41条3号に定める監視を主たる目的としたものである
と解することが相当である。」

[八]新聞でも紹介された「愛知県警察官超過勤務手当請求事件」の「仮眠時間」では、

「愛知県警察官超過勤務手当請求事件(判決の「争点に対する判断」から)」
「休憩時間中にまで制服の着用、けん銃等の着装は義務付けられておらず、
著活系無線機及び受令機についても、休憩時間中の傍受までが義務付けられていたわけではないことは、」

「 原告の勤務の実態は、
休憩時間を勤務変更しても別途休憩時間が取得できないような余裕のないものではなかった・・・」

「また、休憩時間中の来訪者や電話については、
電話の転送装置や交番内に備え付けられた案内板などによって、
第1次的には勤務中の警察官が対応するようになっていることは・・・、
仮に、休憩時間中に交番に来訪者や電話があったり、無線を傍受する必要が生じ、
勤務としてこれに対応する必要があった場合は、
事前又は事後に直属の地域警察幹部の承認を受けることによって、
その後の勤務時間に代わりの休憩を取得することができるようになっていたこと、
そして、原告の勤務の実態は、
休憩時間を勤務変更しても別途休憩時間が取得できないような余裕のないものではなかったことは、・・・」

「 原告は、小休憩時間は使用者の指揮監督下にあるから、
実際に労働していなくても手待時間としての労働時間であると主張する。 しかし、・・・、
交番は休憩が容易にとれるように設備面において十分に配慮されていること、
休憩時間中に事件、事故等が発生した場合は、
原則として勤務中の他の警察官が処理する体制になっていること、また、
休憩時間中に警察幹部が交番勤務員に指示、命令を行う場合は、
勤務変更により休憩時間を別に振り替えて行うものであること・・・」

[大]消防士の勤務実態として、今度は 過労死の裁判例を引用します
(この裁判例の原告は、地方公務員(の妻)ですので、
労働者災害補償保険法によるのではなく、地方公務員災害補償法による認定処分の問題です)

「地公災基金群馬県支部長(桐生市消防職員)事件」
これは、消防職員(太郎)が亡くなったのが、労災になるか・ならないかの裁判例です。

第1審・前橋地裁判決「当裁判所の判断」から
「 たしかに、仮眠中に救急出動指令を受けて、救急出動をすること自体は、
相当程度の緊張を要し、肉体的、精神的負担を強いられるものであることは予想されるが、
太郎はそのような勤務を継続していたのであるから、
これが過度の緊張を要するものであったとみることはできないし、
本件疾病発症に至る前の勤務状況も精神的負担を強いるものであったとはいえない
ことも既にみたとおりである。 
以上によれば、太郎に発症した急性心筋梗塞は、
太郎の有する体質的素因の自然的増悪が有力な原因となって生じたものとみることができ、
本件疾痛について、公務の遂行が相対的に有力な原因であったと認めることはできない。」
結局、公務と本件疾病との間に相当因果関係は認められない、と原告敗訴。

[大]「桐生市消防職員事件」の 東京高等裁判所は、
「 一般に、
24時間勤務の交代制勤務中の消防署員の心拍数は、出動指令があった場合、上昇するが、
特に夜間仮眠中に出動指令があった場合には、その心拍数は急上昇し、
昼間の出動に比べて、上昇の絶対値が大であるばかりでなく、
その上昇速度も急激であり、
仮眠中の出動は、心臓に大きく、かつ、急激な負担をもたらすと指摘されている。」

「 南分署第2係長の職にあった太郎が、
死亡の前日の夕刻、来訪者から顔色が優れないことを指摘されるような状態にあっても、
ただちに休暇の許可を得ることができなかったものと容易に推認することができる。
したがって、本件疾病に基づく急性心不全による太郎の死亡は、
交代制勤務の消防署員の公務に内在する危険が現実化した結果であるとみることもできるのである。」

「以上に検討の結果によれば、
太郎の死亡と公務との間に相当因果関係の存在を肯定することができるから、・・・」
と、原告勝訴。

[大]以上をまとめると、

(判例1)「三菱重工業長崎造船所事件」
(判例2)大星ビル管理割増賃金請求事件では、
「使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、」
「特段の事情のない限り、」
「使用者の指揮命令下に置かれたもの」であって、労働時間である。

(判例3)「青梅市職員割増賃金請求事件」では、
「庁舎管理業務員の主たる業務の内容は、」
「実作業に就くことが予定されているのは、突発的、臨時的な場合であって、」
むしろ、「庁舎内の監視、連絡を中心としたものであると認めることが相当である。」ので、
「労基法41条3号に定める監視を主たる目的としたもの」であり、
「 1回の宿直手当として2,000円が支払・・・」らわれているのだから、
仮眠時間等の労働の対価として別に賃金額が定められている以上、
労基法37条3項による割増手当を支払う必要もない。」

(判例4)「愛知県警察官超過勤務手当請求事件」では、
原告(警察官)は、休憩の実体を有しておらず実質的には勤務時間である、というが、
休憩時間としての実態をそなえている から、労働時間ではない と判断。

[大]新聞に書いてある
>仮眠時は出動する際の装備からヘルメットと手袋、靴を脱いだだけで横になる。
>出動要請が入ると天井のランプが点灯、ブザーや音楽が鳴り起こされる仕組みになっている。

労働問題の解決は、裁判所が実態を分析・評価して
「客観的に定まるものであって、
労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかん」で決まるものではないので、
もし 提訴された場合に、消防士の勤務実態を裁判所がどうとらえ、どう判断するか、

[熊]おれは、労働時間になる、と思うけれどな〜


(判例1)三菱重工業長崎造船所事件
(最高裁第一小法廷 平成12年03月09日判決)(平成7年(オ)第2029号)

(判例2)大星ビル管理割増賃金請求事件
(最高裁第一小法廷 平成14年02月28日判決)(平成9年(オ)608等)
以上、「判例検索システムー労働事件裁判例」から引用

(判例3)青梅市職員割増賃金請求事件
(東京高等裁判所 平成17年9月21日判決言渡)(平成16年(ネ)第3902号、第5789号)
 カワムラ社労士事務所(http://kawamura-sr.blogdehp.ne.jp)から引用
 なお、東京地方裁判所   八王子支部 の判決は、
 「判例検索システムー労働事件裁判例」から引用

(判例4)愛知県警察官超過勤務手当請求事件
(名古屋地裁 平成10年9月30日判決)(平成9年(ワ)第297号)
「地方公務員制度研究会「最新判例解説」アーカイブス」から引用

(判例5)地公災基金群馬県支部長(桐生市消防職員)事件
(東京高裁 平成13年8月9日判決)(平12年(行コ)99号)
過労死行政訴訟 被災者側勝利判例No.126 から引用

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