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社会人大学院(日本版 MBA)に通った経験から,生涯教育の意義について議論します.また,連載1年を超えましたので,広義な教育問題全般についても取り上げたいと思います.

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2008/12/04

<メルマガ配信 都の西北/山梨甲府から> 第57話 終わりのない研究テーマを求めて

愛読者各位

 引き続きのご愛読,ありがとうございます.

都の西北/山梨甲府からです.

 ちょっとサボり気味ですが,
  今回は久しぶりに古巣のゼミ主催の研究会に参加,
   実に有意義だったのでメルマガに内容をまとめることにしました.

 エンドレスに続く議論
  会社では非効率と言われますが,
   大学では見方がまったく異なることも興味深いですね?
 

*****<以下,本文>********

第57話 終わりのない研究テーマを求めて   

先日(11/29),久しぶりに大学の研究室(古巣)からお声がかかり,
久しぶりに(社会人を中心とした)研究会に参加した.

卒業して3年以上を経過したが,指導教官とウマが合うのか,気が合うのか,
関連する研究会をやるときには声をかけていただくことがあり(感謝!感謝!),
そんな場合はできるだけ参加できるようにスケジュールを調整することが多い.

お題は,儲からない半導体ビジネスの原因究明,もっとも問題なのが,

 「システムLSI が何故ぱっとしないか?」 である.

半導体にかかわる人間としては結構シリアスな話,
主に NEC の方々(OB含む)を中心とした議論の場となり,
ここに小生も早稲田/商学部のOBとして参加させていただいた.

結論を一言でまとめると,
売れ続けるマイコン(特にローエンド),激減するASIC に代表されるように,
エンドユーザーの成熟期ニーズへの依存度が高まったとの仮説.

もう少し噛み砕いて言うと,ASICは素人に使いこなせないにもかかわらず,
これを組み込み製品にすることができれば(例えばPCにする)売れる,
市場としては「Solution」化(結果重視)しないと価値を見いだせないので,
結局は素人でも扱える単位にまとめる製品化コンセプトまで
 ⇒ これを「組み込み」と呼ぶ
完成度を高めないと売れないのである.

マイコンにはミニPC的な要素があり,
これがマイコンが売れ ASIC が売れない根柢の原因と考えるのである.
この仮説が正しいかどうかはさておき,
現役の半導体設計者の話であることは,説得力が高いというか,
なるほどそういう考え方があるんだと,感心した次第です.

違った視点からの考察もある.
半導体は1970年〜爆発的に進歩して(成長期),およそ20年の間継続した.
成長が止まったのは2000年以降,ここで言えることは

 成長期: 技術開発 = 新製品開発

つまり,新しい技術が常に製品価値を持ち,これが途方もなく売れたわけである!
だから儲かるために開発を続ければよかった.

 価値創造 = 価値獲得 に近い発想があった.

対して昨今はどうか,はっきり言えることは,

 成熟期: 技術開発 ≠ 新製品開発

昨今は,どんなに新しい技術であっても,どんなに素晴らしくとも
そう簡単に売れるモノ,新製品開発にはつながらないのである.
特にハイエンドの製品価値は一般の消費者には理解されることが少なくなり,
わかりやすい形にならないと商品価値を生み出さなくなったとも言える.

その典型製品が システム LSI (ここではASIC も同じようなものと考える),
このままの形態を一般消費者は使い切れないのである(認知すら困難?).

ではここで疑問,何故インテルのCPUが売れて,他社にはない儲けを創出するのか,
これも一概には言えないが,インテル独自の
「プラットフォームリーダーシップ戦略」が功を奏しているともいえる.
サードパーティーを抱えてデファクトスタンダードを取る,
儲けをパートナーと共有し,
エコシステムとして協業各社全体で儲けを創出するのである.

ではここで言えることが,
日本の半導体メーカーはインテルと同じ戦略を何故取れないかということ?
これも一つの意見ではあるが,日本企業の文化がそれを阻害している,
つまり社内の政治圧力にフレキシブルな業務対応ができないのではないか.

いずれにせよ,半導体業界がじり貧になっており,このままでは先行き明るくない.
ではどうするか,この点についても今回の研究会では討論された.
詳細は企業秘密でもあるのでここでは明らかにしないが,
NECクラスの会社で長年設計業務に携わり,超一流と呼ばれる方の意見には
説得力があり,なるほどそうなのか! という気付きと感動を与えられる.

長々と綴ってきたが,実は議論の内容もさることながら,
今回言いたかったポイントは,このように社外の方と利害関係を別にして,
忌憚のない意見交換ができる環境に浸れることに幸せを感じたということ.

企業の管理職クラス(研究者除く)は,学会や研究会での議論の機会は少なくなり,
学会に参加しなくなると皆無となる.
社内の人間だけでの討論は,一般的に視野が狭くなるので,
社外の方々と議論できるチャンスは非常に貴重である.

実はこの研究会,13:30 スタート,休憩が入ったのが21:00過ぎ,
今回の研究会ホストの方は実に8時間しゃべり続けたのである.
この活力にも頭が下がるが,参加した我々もこの8時間が
決して長く感じなかったわけであるから,充実した時間は如何に短く感じるかである.

ただ残念なのが,大学を卒業してしまうと,
このような有効な議論をノートにとって終わってしまい,
論文や成果報告する場がないということは寂しい!

文化的な生活が全くできていない昨今,
以前のような環境下に再度自身の身を置きたいと考えるのではあるが,
山梨のような田舎に飛ばされてしまうと,これもなかなか難しい.
地方は文的視点から全く都会に太刀打ちできないことを痛感するのである.

そもそも田舎には大学が少なく,山梨県甲府市周辺には
驚くことに山梨大学と私立大学2校しかないのである.
この点,都会に入れる人は,自身さえその気になればいつでも勉強できる,
そんなうらやましい環境にいることに気付かなければならない.

会社で仕事するよりも,大学で勉強している方が絶対に楽しい.
ただ,仕事はお金をもらってやるわけだから辛くて当たり前と考えると,
つらい仕事を頑張る理由も実は当たり前かもしれません.



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