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社会人大学院(日本版 MBA)に通った経験から,生涯教育の意義について議論します.また,連載1年を超えましたので,広義な教育問題全般についても取り上げたいと思います.

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2008/09/18

<メルマガ配信 都の西北/山梨甲府から> 番外編7 低迷する法科大学院/必要に駆られる教育見直し

愛読者各位

 引き続きのご愛読,ありがとうございます.

都の西北/山梨甲府からです.

 今年度,10回に渡る山梨大学の公開講座の第五回目です.

テーマは 『今地球に何が起こっているか? 地球環境問題』 
会場は前回と若干減り気味で, 200名くらいでしょうか.
老齢の町,甲府が示すように,いつもながらに年輩の方が多いように思いました.
質問もお年寄りからたくさん出ていました. 

5回目の講座は(2008/09/13),
 教育人間科学部の尾見康博准教授

   『エコツーリズム/ 環境と観光は両立するか?』

これまでは自然科学系の講義でしたが,今回は人文系,
毛色の違った話になっていました.

エコツーリズムとは,
 Ecology + Tourism ⇒ Ecotourism 
  (直訳は生態系環境に配慮した観光) ということです.

基本的には,観光は環境を破壊することが一般的で,これを両立する事が
オーストラリアを先進国として進められているそうです.

具体的な事例として,オーストラリアの環境マニュアルに基づいた観光の環境認定,
ISO-14001 の発想を観光に特化して落とし込んだような印象で,
エコツーリズム認定には環境教育の実践が義務づけられるそうです.

日本の教育と比較すると,
オーストラリアでは系統立てた環境教育ができているそうで,
日本の環境教育の問題点を考えさせられる内容でした.

ただ,ゴミを出すな,リサイクルをしろ,省エネを心掛けろ,
といった一般的な話に終始するのではなく,もう少し自分なりのエコを考えてみては,
という問題提起が成されたと思いますが,
話の焦点がやや散漫で,論点がぼけているようにも感じました.
もう少し議論すべき焦点を絞った話の方が良かったかもしれません.

人文科学系の話なので,このような展開は致し方なく思いますが,
自然科学系の先生方の講義と比較すると,具体性,
且つ説明しようとする事象の実証性に賭け,説得力が乏しいと感じたヒトは
意外に多かったかもしれませんが,無料の公開講座なので文句は言えないところ.

次回は10月に開催されるそうです.
 都合が悪く行けないかもしれませんが...


*****<以下,本文>********

番外編7 低迷する法科大学院/必要に駆られる教育見直し

2008年度司法試験の合格者が発表された.
法科大学院修了者を対象とする合格者は2065人,
2100〜2500人が目安とされた合格者数には届かず,
合格率も前年を7ポイント下回る33%.
驚くことに,74校ある法科大学院のうち3校からは合格者が出ていない.
この事実は,法科大学院の教育の問題があることを的確に指摘するモノである.

合格ランキングは下記の通りである.

 http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/h20kekka01-6.pdf

  ⇒ 法務省のページです.

 1位 東京大学    合格者数:200名  合格率(5位):54.6%(200/366)

 2位 中央大学    合格者数:196名  合格率(3位):55.7%(196/352)

 3位 慶應義塾大学  合格者数:165名  合格率(2位):56.5%(165/292)

 4位 早稲田大学   合格者数:130名    合格率(15位):37.7%(130/345)

 5位 京都大学    合格者数:100名  合格率(11位):41.5%(100/241)

 6位 明治大学    合格者数:84名     合格率(20位):31.8%(84/264)

 7位 一橋大学    合格者数:78名   合格率(1位):61.4%(78/127)

 8位 神戸大学    合格者数:70名   合格率(4位):54.7%(70/128)

 9位 東北大学    合格者数:59名     合格率(8位):46.5%(59/127)

 9位 立命館大学   合格者数:59名     合格率(25位):28.8%(59/205)

 9位 同志社大学   合格者数:59名     合格率(26位):28.1%(59/210)

 .....

 72位 愛知学院大学  合格者数:0名     合格率(70位):0 %(0/16)

 72位 信州大学    合格者数:0名     合格率(70位):0 %(0/19)

 72位 姫路獨協大学  合格者数:0名     合格率(70位):0 %(0/24)

法科大学院開設時の構想では,合格率を70〜80%と想定されていたが,
この合格率の低さ故に法科大学院の在り方を見直すべきとの議論がある.
2010年頃には合格者を3000人/年とし,
法曹会関係者(裁判官、検察官、弁護士)を大幅に増やす政府の方針にも
影響を与える勢いである.

 法務省人事課曰く,

 「法曹になるため必要な質を備えた人が合格者であり,
  目安を下回ったという認識はない.政府の方針にも変わりはない」

   との発言.学力低下が問題視された時の問答のようである?

新方式での司法試験は今年で3回目となる.
今回の試験では初めて74校の法科大学院すべてが受験者を送り出し,
6261人が受験した事になる.もう少し絞った方がよいのではないだろうか?
だいたい,ちゃんとした教育ができない大学がある事実を認め,
早々に統廃合すべきであろう.大学,大学院が増えすぎているのである.

合格者は男性1501人(73%),女性564人(27%).
平均年齢は29歳,最年長が59歳,最年少は24歳,年齢層は以外に広がっていない.

合格率は2006年48%,2007年40%と下落が続いていたが,今年も下がったと言うこと.
新司法試験は法科大学院修了後5年間で3回しか受験できず,
172人が3回続けて不合格となり,受験資格を失ったことになる.

合格者のうちの法学部卒業者中心の既修者コース(2年)は1331人,
合格率は昨年比2ポイントダウンの44%.
主に法学部卒業者以外の未修者コース(3年)は734人にとどまり,
合格率も昨年より10ポイントも低い22%となった.厳しい現実である.

もはや人生再スタートのための社会人救済システムとは呼べない教育システム,
おまけに弁護士の質の低下,職の奪い合いが始まる現状を加味すると,
何のための社会人大学院での教育なのか疑問を感じる.

社会人からのキャリアチェンジは口で言うほど容易ではなく,
仮にできたとしても茨の道が続くのである.
資格を取ることと職に就くことは違うのである.

結論として,それほどうまい話があるわけないのである!


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