2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
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「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 7月4日
−35−
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第9章(3) 七夕祭りでしょう 3 文 月
★★お盆って何の日って、ご冗談を★★
人間は死ぬと仏さまになり、その仏さまをお迎えする行事をお盆だと思もって
いましたが、少し違うようでした。
「盆と正月が一緒に来たような忙しさ」といいますが、これは一年を半期ずつ
に分けた前期の始まりが正月で、後期の始まりがお盆だから、こういう使い方
をするのです。
ものの本によれば、正月には、お世話になっている人に年始回りに行くように、
盆には両親や仲人、師匠などを訪ね、心のこもった贈り物をする習慣があった
のです。
この「盆と正月」が「盆暮」へと言葉を変えたのは、一年を半期ずつに分けた
前期の終わりを盆、後期の終わりを暮というようになったからです。
それで盆は中元を、暮は歳末を意味するようになり、盆にはお中元を、暮には
お歳暮を、お世話になっている人に感謝の気持ちをこめて、贈り物をするよう
になったのです。
お盆は、満月の七月十五日です。
それが、仏教の説く盂蘭盆会(うらぼんえ)と一致して、いつしか人々の間に
浸透していきました。
日本に伝えられた盂蘭盆会は、推古天皇十四年(606)に初めて催され、聖
武天皇天平五年(733)より、年中行事になったそうです。
★★お盆の風物詩★★
お盆には、七月十五日を中心に祖先の霊を迎えて、送る行事、精霊祭がありま
す。
十三日に迎え火をたきますが、これは仏さまが、おがら(あさの皮をはぎ取っ
た茎のこと)を折り、たいた煙に乗り、盆灯篭(ぼんどうろう)の明かりを頼
りに家に帰ってくるからだそうです。
おがらの足をつけたきゅうりの馬と、なすの牛を内向きに並べて飾るのは、仏
さまは、馬に乗り、荷物を牛に背負わせて帰ってくるといわれているからです。
迷子にならないように、きちんとお迎えをする意味でしょう。
私のように、そそっかしい仏さまもいるはずですから。
仏様を祭る棚を盆棚(精霊棚)といって、そこに真菰(まこも)を敷き、ほお
ずき、ききょう、おみなえし、はぎ、山ゆりなどの秋の花を飾ります。
こうして久しぶりに帰ってきた仏さまは、真菰にお座りになり、それを家族み
んなで慰めるということでしょう。
お供えは、畑でとれたものや、仏さまが生前に好きだった食べ物も備えます。
私でしたら「越乃寒梅」(幻の銘酒といわれた新潟の酒 学生時代に銘酒とは
知らずに飲んでいた罰当たり者です)を一合だけ、お願いしたいものです。
そして、懐かしい自分の家で過ごした仏さまは、七月十六日には、お帰りにな
ります。
これが送り火で、きゅうりの馬と、なすの牛は、今度は外向きに並べて、送り
出すことになりますが、これも間違いなく彼岸の方へ帰ってもらうためでしょ
う。
広島の灯篭(とうろう)流しのように、送り火を小さな船に乗せて、お供え物
と一緒に、川へ流すこともあります。
また、地方によっては、美しく飾られた精霊船に、仏さまに備えたものを乗せ
て、灯火をつけ、経文や屋号を書いたのぼりを立てるところもあります。
送り火で有名なのが、京都の「大文字焼き」です。
しかし、これは、八月十六日に行われています。
それは、八月十五日を旧盆として祭る風習が、残っているからです。
七月の京都は、まだ梅雨明け前です。
しとしと降る梅雨空に、大文字焼きは、似合いません。
やはり、しっかりと暑い八月だからこそ、風情があります。
何やら風鈴の涼しげな音と蚊取り線香の匂いがしてくるような気がしませんか。
まだ、あります、盆踊りです。
これも、仏さまを迎え、慰め、そして来年も間違いなく来てくださいと、送る
ために捧げられたもので、中央のやぐらの周りを輪になって、鉦(しょう)と
太鼓と笛に合わせて踊ったのです。
今では、地域のコミュニケーションの場となり、夏に欠かせないイベントの一
つになっています。
「やっとせ、もっとせ」の掛け声も楽しい徳島の阿波踊り、夏の風物詩に欠か
せません。しかし、東京の山の手、高円寺の阿波踊り、今ではすっかり定着し
て名物になっていますが、何だか妙な気がしないでもありません。
しかし、下町の浅草でも、ブラジル生まれのサンバ大会をやっていますから、
おかしくないのでしょう。
このサンバですが、みなさん上手です。
「タンタンターン、タタンタターン」いうリズムを完全にこなし、お見事の一
言です。
それも、かなりの年配の方が、きちんとリズムをこなしています。
しかも、実に、楽しそうです。
年配の方は、頭に手拍子、アクセントのある民謡でなければ、踊れないと思っ
ていましたが、認識を改めなくては怒られますね。
本場のブラジルから応援にきている女性軍団の踊り、リオのカーニバルのもの
すごさを想像させてくれます。
雷門から見つめる仁王さまの目には、どのように映っているでしょうか。
お守りする御本尊は、小さな、小さな、そして、何とも美しい観音さまですか
ら。
その雷門には、「小船町」と書かれた、高さ約四メートル、重さ二百六十キロ
の大きな提灯がかけられ、浅草のシンボルとなっています。
今から三百年程前に、日本橋の小船町魚問屋の信徒が、江戸っ子の心意気を示
そうと、日本一大きな提灯を寄進したことから始まり、浅草寺の伝統として受
け継がれています。
★★神輿と山車の違い★★
浅草といえば三社祭り、浅草寺の境内は、神輿(みこし)と担ぐ人で、ごった返
します。
威勢よく担ぐ神輿は、上下左右に激しく揺れ、よくぞけが人が出ないものだと
心配になるほど殺気立ち、恐ろしいほどです。
神輿のいわれですが、時代劇でよく見かけるように、昔、身分の高い人は、輿
(こし)といわれる台に乗り出かけていました。
神輿は、つまり、「神の輿」であって、神さまの乗り物なのです。
そして、お乗りになっている神さまは、激しく揺さぶられるのが大好きで、激
しければ激しいほどご機嫌になるといわれ、そのために元気よく担ぐのだそう
です。
山車は、祇園祭などでおなじみですが、四月の桜のときに紹介しましたように、
神さまは、冬になると山にお帰りになり、春になると下りて来られると信じら
れていました。
お祭りには、神さまが必要ですから、来ていただくために、お迎えするための
乗り物が必要だったわけです。
そのために、祭りには移動式の山が作られたのです。これさえあれば、祭りに
神さまを招くことができると考えられました。その後、形が変わり「山車(だし)」
になっても、山の字が残ったのです。
(心をそだてる 子ども歳時記 12ヶ月 橋本祐之 講談社 刊 P66)
ところで、神さまにも悪い神さまがいたそうです。
夏祭りに登場するのは、悪い神さまで、疫病や飢饉などを起こさないように、
神輿を激しく揺さぶり、ご機嫌を取って山に帰ってもらい、災いを未然に防ぐ
昔の人の知恵だったのです。
祇園祭の主役である牛頭(ごず)大王は、有名な悪い神さまだそうです。
★★土用の丑の日に、なぜ、うなぎを食べるのですか★★
「土用」というのは、何も夏だけではありません。
「節分」と一緒で年に四回あります。
前にもお話ししましたが、立春、立夏、立秋、立冬は、それぞれの季節の始ま
りです。
そして、それぞれの前の十八日間を「土用」といい、その最初の日を「土用の
入り」といいます。
土用は、四季、それぞれにあるのですが、なぜか夏の土用だけが、有名です。
しかし、なぜ「丑の日」というのでしょうか。
それは、それぞれの日には、正月で取り上げた「十二支」の動物の名前がつい
ているからです。
それで、夏の土用の内にやってくる丑の日のことを「土用の丑の日」といいま
す。
この日は、夏ばてしないようにと、うなぎを食べる習慣があります。
その歴史は古く、何しろ「万葉集」の大伴家持の歌に「夏やせによし」とあり、
奈良時代から夏ばてに効果があると知られていました。
うなぎにとっては、まさに受難の日です。
しかし、なぜ「土用の丑の日」に、うなぎなのでしょうか。
丑の日ですから、ステーキとか焼肉という感じがしますが、江戸時代ですから、
まだ、牛肉は無理でしょう。
事の起こりは、江戸時代の学者、平賀源内さんが、うなぎ屋の宣伝をしたのが
始まりといわれ、そのコピーは、「土用の丑の日はうなぎの日」。
非常に、多才な方だったのですね。
源内さんは、起電気であるエレキテルを完成させたことで知られていますが、
その他、本草学者(薬用に重点をおいて、植物や自然物を研究した、中国古来
の学問)、劇作家、発明家、科学者、陶芸家、画家、工学者として一流でした
から驚きです。
まさに、江戸のレオナルド・ダ・ヴィンチ的な存在であったわけです。
その源内さんのパトロンが、時の老中、田沼意次です。
私事で何ですが、池波正太郎先生の愛読者の一人で、「鬼平犯科帳」「仕掛人
梅安」「剣客商売」など、何回読み返しても飽きません。
この「剣客商売」の主人公、秋山小兵衛の息子、大治郎のお嫁さんが、田沼意
次の実の娘、佐々木三冬なんですね。
正妻の子でなかったために、佐々木家の養女なって登場しますが、女剣士、妻、
母親と変貌しいく中で、物語に欠くことのできない重要な役目を果たしていま
す。
意次は世評とは逆に、まつりごとに忙殺される政治家として描かれています。
ところで、この時代には、四本足の獣を食べなかったのですが、
「うさぎは、ぴょん、ぴょん跳ねるから、あれは鳥だ!」
といって食べていたのです。
ですから、うさぎは一羽、二羽と数え、それが今も残っているのですが、小さ
な子どもたちには、よく理解できない数え方になっています。
哺乳類を食べることを禁じていた仏教の影響でしょうが、とんだところで、子
どもたちを悩ませているようです。
この数詞ですが、日本語は難しいですね。
一本、二本、三本、一匹、二匹、三匹と、増えるに従い読み方が違い、四本、
四匹以下が、また違いますし、花にしても、一本、一輪、一束、一鉢、一株な
どと分けて使っていますから、外国の方には、魔法のように思えるようです。
それだけ、ものに関する感性が、繊細で豊かだといえますね。
英語コンプレックスなど持たずに、日本語にもっと自信を持ちましょう。
七月は、紀貫之の三十一文字で始まりましたから、最後は、俵万智さんの作品
から一首。
「この味がいいね」と君がいったから七月六日はサラダ記念日
七月六日は七夕の前日、この日だからいいんですね。
バレンタインデーやクリスマスイブでは、サラダ記念日は訴える力に欠けます。
が、「わたくし流」ですから正しい解釈かどうかわかりません。
五七五七七に、こだわってみました。
この味が いいねと君が いったから
七月六日は サラダ記念日
ところで、同じような感覚の歌を読んだ記憶があるのですが、思い出せなくて
あきらめかけていたやさき、何と、見つけたのです。
歌人で国文学の巨匠であった土岐善麿(1885ー1980)先生の作品でし
た。
あなたは勝つものと思っていましたかと老いたる妻のさびしげにいう
(「あの人この人」 昭和人物誌 戸板 康二 著 文藝春秋社 刊 P344)
万智さん以上に新鮮な感覚ですね、などとほざいては、どやされかねません。
読み流してください。
(次回は、「七月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
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