2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
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「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 4月18日
−24−
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第六章(4)四月に読んであげたい本
落語の「野ざらし」に、よく似た話です。
「親切は、人のためならず」といったものですが……。
子どもでさえわかる悪いことをやっている大人の多い世の中ですから、渡る世
間は鬼ばかりで、地獄の沙汰も金次第では、こういうおじいさんは、いなくな
るでしょう。
◆むすめのしゃれこうべ◆ 小沢 清子 著
むかし、あるところに、村人から用事を頼まれては、わずかな礼金をもらい生
活をしている、じいさまがいました。
ある年のお釈迦さまの日に、酒を飲もうとしていたところへ、急ぎの使いを頼
まれ、ひょうたんに酒を入れて出かけました。
野には、かすみがかかり、菜の花も桜も、今が盛りと咲いています。
「花見酒」としゃれたじいさまは、桜の木の下に座ると、しゃれこうべがころ
がっていたのです。
じいさまは、出会ったのも縁と思い、しゃれこうべに酒をたらして一緒に飲み
ました。
その帰りに同じ所へさしかかると、年の頃、十六、七の美しい娘がいたのです。
三年前に花に誘われ、ここまで来たが、胸が苦しくなり死んでしまい、今度、
三年忌の法事があるので、一緒に家まで行ってくれないかと頼まれます。
花見酒を飲んだしゃれこうべが娘だったのです。
行ってみれば、大きな屋敷で、尻込みするじいさまは、娘にせかされ屋敷に入
ったのですが、不思議なことに、じいさまの姿は見えないらしく、だれも気づ
きません。
坊さまのお経が終わると、法事の膳が運ばれましたが、じいさまには、食べた
こともない料理ばかり。
夢中になって食べていると、下女が誤って皿を割ったのです。
主人は、客の前で怒りだし、見ていた娘は、
「三年前と変わらぬ、ととさまなんか見たくない」
と姿を消してしまいます。
とたんに、じいさまの姿は、人に見えるようになったので、事の次第を話し、
骨を持ち帰り、手厚く葬ったのです。
じいさまは、娘の恩人として家に引き取られ、幸せに暮らしたのでした。
春休みのおはなし 四月
花さかじい 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
三代目、桂三木助師匠の名人芸を思い出します。
新宿の末広演芸場で聞いたとき、演じる師匠と聞く客が一体となって楽しんで
いたことを思い出します。
何とも和やかな雰囲気で、気がねなく大声で笑っていました。
最近、みんなで大笑いする機会がなくなっていると思いませんか。
自己中の人は、笑い顔を見せませんね。
「笑う門には福きたる」ともいわれていますが。
そういえば、最近、落語をじっくりと聞いたことがありません。
人情話なんか、かったるくて聞く気がしないのでしょうか。
「人情」という字を辞書で引くと、「人として自然にそなわっている、心の動
き、特に愛情、情け、思いやり」(岩波 国語辞典)とあります。
現代っ子に欠けているものは、思いやりといわれていますが、そういう環境を
作ってきたのは、私達、大人です。
すぐれた話術は芸術です。
伝統ある芸術の火を消すのも、今の時代に生きている、私達なんですね。
三木助師匠の左甚五郎の逸話を語る長編落語(約45分)「ねずみ」や「三井
の大黒」は、いつ聞いても心が和み、励まされたものでしたが……。
話は変わりますが、文中に、
「かすみがかかり、菜の花も桜も、今を盛りと…」
とありますが、これを読むと文部省唱歌の「朧月夜」を思い出します。
「早春賦」のところでもお話ししましたように、中学生の頃まで、何の根拠も
ないのですが、この歌も、お姉さん達の歌声でなければ承知できない、許せな
いと、なぜか、かたくなに信じていたのです。
大好きな歌でしたが、歌うことには抵抗がありましたね。
しかし、こういう風情を味わえる時代があったことは、確かなのです。
そこかしこに、自然は息吹いていました。
よく知られている与謝野蕪村の句に、
菜の花や月ハ東に日ハ西に
があります。
春の夕景を思い描ける好きな句の一つですが、司馬遼太郎先生の随筆の中に、
この句について語るところがあります。
堤上に立てば、月は東の生駒山系にのぼり、日は西のかなたはるか一の
谷の雲間に沈む。両岸(淀川)の野は、菜の花の黄があるのみである。
(「以下、無用なことながら」(489頁)文春文庫
司馬遼太郎 著 文芸春秋社 刊)
朧月夜には、黄色が似合いますね。
朧月夜
作詞 高野 辰之
作曲 岡野 貞一
一 菜の花畠に 入日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて におい淡し
二 里わの火影(ほかげ)森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙(かわず)の鳴く音も 鐘の音も
さながら霞める 朧月夜
次は、本当に皮肉な話ですが、信仰について考えさせられます。
修行中の坊さまと、生きものを殺す仕事をしている猟師との心眼の話です。
あの小泉八雲氏も「常識」という題で書いています。
まさに常識ですが、妙な宗教にはまる若者も、その原因を指摘する声はいろい
ろ聞こえてきますけれど、一つは、良識に欠けている隙をつかれるのではない
でしょうか。
良識は、健全な一般人が共通に持っている思慮分別のことでしょう。
価値観の多様化で、当たり前のことが当たり前と考えられなくなっていません
か。
小さいときの情操教育は、思慮分別の基本を作るものと思います。
お手本は親で、作る場所は家庭です。
第三者にゆだねるものではありません。
◆とうとい仏さまの正体◆ 谷 真介 著
むかし、京都の愛宕山に、名高いお坊さんがいました。
お坊さんは修行中で、小僧さんを一人置き、小さなお堂から、めったに出なか
ったそうです。
このお坊さんのところへ、里から一人の猟師が、食べ物を持って、よく訪ねる
のでした。
ある年のこと、猟師が久しぶりに訪ねると、お坊さんは近ごろ、夜になると普
賢菩薩様が、白い象に乗りお姿を現すというのです。
そこで猟師は、一夜を山のお堂で過ごすことにしました。
すると、真夜中のこと、東の山から月が昇るような光が、お堂に差し込み、白
い象に乗った菩薩様が現われたのです。
お坊さんは、一心にお経を唱えています。
猟師は、おかしなことに気づきました。
お坊さまの目にはともかく、お経一つ読めない自分の目に、どうして菩薩様の
お姿が見えるのだろう……、このことです。
猟師は、弓を矢につがえ、菩薩の胸に向けて矢を放ちました。
びっくりしたお坊さんは、大声で戒めました。
ところが、今まで明るく見えていた後光が消え、何ものかが谷底へ転げ落ちる
音がしたのです。
猟師は、真の仏様なら矢が刺さるわけがないといいました。
夜の明けるのを待って、谷底を調べに行くと、大きな古狸が一匹、胸を射られ
て、仰向けに転がっていたのでした。
日づけのある話 365日
四月のむかしばなし谷 真介 編・著 金の星社 刊
世界的なベストセーラーとなった「ダ・ヴィンチ・コード」(「最後の晩餐」
の斬新な解説には脱帽!)に、信仰について以下のような解説があります。
「世界じゅうすべての信仰は虚構に基づいているんだよ。信仰ということばの
定義は、真実だと想像しつつも立証できない物事を受け入れることだ。古代エ
ジプトから現代の日曜学校にいたるどんな宗教も、象徴や寓話や誇張による神
を描いている。象徴は、表しにくい概念を表現するひとつの方法だ。それを丸
呑みしないかぎり、さほど問題を生じない。(中略)信仰を真に理解する者は、
その種の挿話が比喩にすぎないと承知しているはずだ」
(「ダ・ヴィンチ・コード」(下)P57−58
ダン・ブラン 著 越前敏弥 訳 角川書店 刊)
もう一つ、むかし話ではお馴染みの、動物の恩返しです。
動物でさえ恩を返すのに、人間は、あだで返す話をよく聞きます。
「動物でさえ」などといったら、動物たちから抗議文が来るかもしれません。
「動物は」に訂正しておきましょう。
つばめは、春にやって来て子育てをし、秋に南の国へ帰ります。
自分の生まれたところへ帰って子育てをする、この不思議な習性を、どなたが
組み込んだのでしょう。
しかし、最近、見かけなくなりました。
北海道では、大量のすずめが死んでいたと報じられたこともありました。
こういった自然の変化に、もっと敏感にならなくては、恐いことになると思い
ます。
何かのサインが出ているはずですから。
◆つばめの恩返し◆ 高津 美保子 著
ある日のこと、一人暮らしのじいさんが、飯を食べて縁側で休んでいたところ、
一羽のつばめが、けがをして落ちてきました。
薬をつけて包帯し、介抱したところ元気になり、南の国へ帰っていったのです。
次の年、一羽のつばめがやってきて、庭にいたおじいさんの頭の上に、真っ黒
な大きな粒を一つ、落としていきました。
ふんかと思ったらすいかの種です。
育ててみると、とても大きなすいかになりました。
食べようと包丁を入れたところ、種が飛び出したかと思うと、小さな大工どん
や木びきどんとなり、十日もすると立派な家を作り上げたのです。
それだけではなく、どこからか米の俵やみそ桶、しょうゆ樽などを、次々と担
いできて、部屋をいっぱいにして、なくなれば、また来ますからといって、ど
こへともなく姿を消してしまったのです。
それからというもの、おじいさんは、何不自由なく暮らしたのでした。
四月のおはなし
あたまにさくら 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
(次回は、「第7章(1) 端午の節句です 皐月」についてお話しましょう)
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