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2008/03/28

2009さわやかお受験のススメ<保護者編>

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
           「情操教育歳時記」
         日本の年中行事とむかし話
     〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
           2008年 3月28日 
              −21−

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第6章(1) 花祭りでしょうね   卯 月

卯月(うづき)のいわれは、旧暦の四月は今の五月頃にあたり、「卯の花」が
咲く時期で「卯の花月」の略だそうで、わかりやすいですね。
何事も訳ありですが、逆に異説ありで、「卯の花」が咲くから「卯月」ではな
く、「卯月」に咲くから「卯の花」であるともいわれているそうです。

★★花祭り★★
四月といえば、私たちの年代では、花祭りですね。
しかし、今は、どうでしょうか。
仏教系の幼稚園以外では、見られないのではありませんか。
キリスト、釈迦、マホメット、孔子の四人は、「世界の四大聖人」といわれて
いますが、花祭りは、そのお釈迦さま生まれた日で、正式には「潅仏会」とい
います。

お釈迦さまは、今から二千五百年程前の四月八日に、インドで生まれました。
誕生された日を祝うのが、花祭りです。
お釈迦さまのお父さまは王様でシュッドーダナさま、お母さまはお妃でマーヤ
さま。
そのお母さまが、ある夜のこと、何でも白い象が、お母さまのお腹に入った、
不思議な夢を見られたのです。
国一番の物知り博士によると、これは赤ちゃんを授かった夢だそうで、お父さ
まもお母さまも大変、お喜びになり、お里に帰って赤ちゃんを生むことになり
ました。

その途中、お母さまがルンビニー園という花園で休まれたときのことです。
百花繚乱、咲き乱れる花をご覧になっている時に、急にお腹が痛くなり、そば
にあった菩提樹の木に倒れかかり、お母さんは、元気な男の子をお産みになり
ました。
何と、その赤ちゃんは、前と後、右と左に七歩ずつ歩いてとまり、その小さな
かわいい右手で空を指差し、例の有名なことばを発せられたのです。     

「天上天下 唯我独尊」
(世の中の人々は、この世に一人しかいない、かけがえのない宝物です)

小鳥たちはさえずり、どこからともなく、美しい音色の調べが流れ、空からは
甘い香の雨が降り注ぎ、赤ちゃんの誕生をお祝いしたのです。
赤ちゃんは、その雨で体を洗ったのでした。
その雨が止むと、空には美しい虹がかかり、菩提樹の木が、何と一斉に白い花
を咲かせたといいますから、ただごとではありません。
この赤ちゃんが、お釈迦さまです。         
大きくなって、世の中の人々が幸せになるように長い間修行を重ね、お悟りを
開き、その教えを説いたのが、ご存じの仏教です。
四月八日の花祭りは、お釈迦さまの誕生日をお祝いするお祭りです。
しかし、今では、キリストの誕生日であるクリスマスの方が盛大ではないでし
ょうか。
同じアジア民族として、ちょっと寂しい気がします。
そうはいっても、仏壇のある家は、少ないのではないでしょうか。
ご先祖様がいたから、今の自分があるのです。
感謝の心、忘れていませんか。

ところで、このお釈迦さまの言葉について、作家の五木寛之氏は、次のように
おっしゃっています。

この言葉には、いろんな解釈があります。世間にはそれを、世の中で自分だけ
尊く、偉いんだ、と解釈する人も少なくありません。しかし、私はこれを自分
流に、次のように解釈しています。「自分の価値は他人との比較によって決ま
るものではない」と。この世の中で、自分の価値を決めるのは、あくまでも自
分であって、他人に決めてもらったり、他人との比較で決まるものではありま
せん。自分は「生老病死」を背負った世界でただ一人の人間だという自覚が必
要です。
         (「他 力」 五木寛之 著 講談社 刊 P71)

誰しも「ただ一人の存在」であり、誰しも「透明な存在である自分」を励まし
ながら生きているからこそ、人を殺めることは、絶対に許されません。

★★お釈迦さまは、なぜ、甘茶が好きなのですか★★ 
花祭りには、桜の花などを飾った小さなお堂を作りますが、これを花御堂とい
います。  そのお堂の真ん中に、甘茶の入ったタライを置き、お生まれにな
ったばかりのお釈迦さまを表した仏さまを、お祭りします。
右手は空を指し、左手は地面を指している、あのお姿です。
そして、お釈迦さまの体に柄杓(ひしゃく)で甘茶をかけ、無事、お生れにな
られたことをお祝いしたのです。

甘茶をかける理由ですが、これは昔からの言い伝えで、お生れになったときに、
空から甘い蜜のような雨が降ってきたからとか、龍香油を注いで産湯を使わせ
たなど、いろいろあるようです。
甘茶は、五香水、五色水とも呼ばれ、五種類の香水をもちいるそうです。

これが、そもそもの発端ですが、人間、欲深なもので、次第に、自分の都合に
合わせて願望祈願成就的なお祭りになってしまったのです。
無病息災、家内安全、商売繁盛、入学祈願、交通安全などなど、本当に厚かま
しく、いろいろなお願い事をするのですから、お釈迦さまは、苦笑していらっ
しゃるでしょう。
「私の誕生日ではありませんか、祝ってもらうのは、私です」 
そうおっしゃらずに、せっせと願い事を聞いておられるところが、偉いです。
でも、お祭りに参加するのは、ほとんどが子どもですから、お釈迦さまも真剣
に聞かざるをえないでしょう。
子どもの願いですから純真なはずです。

★★仏教童話★★
お釈迦さまといえば、何やら難しい経典などを思い浮かべがちですが、とても
よいお話がたくさん残されています。
わが国でも、花岡大学先生が、仏教童話として再現されています。
先生は「情操」について、次のようにお話されています。

「情操」とは何かといえば、それは「高尚な心の働きによって生ずる複雑な感
情のことだ」といわれているが、「高尚な心」とは「下品な心」の反対であり、
それゆえに分かりやすくいえば、それは「やさしい心」「温かい心」「思いや
りの心」「美しい心」ということであり、その「最も」やさしいもの、あたた
かきもの、美しきものは、「宗教」と次元を同じくするものだと私は考える。
(中略)
優れた本とは、第一に子どもに感動を与えるものであり、(中略)第二に、作品
の根底に「宗教性」を踏まえることが必要だが、それがむきむきに出てくると
説教となって文学性を消滅する。
     (ほとけさまといっしょに 仏教児童文学目録 P2
              小松 康裕 法楽寺くすの木文庫 編集
                           朱鷺書房 刊)
 
先生の作品は、むきむきに出てきませんから、抹香臭くなくて分かりやすく、
清らかに生きる人々の話からは、勇気と感動さえ与えてくれます。
子どもの頃には、似たような話をお年寄りから聞いていました。
「正直に生きないと地獄に落ちるのだよ!」
多くの作品の中から、一編だけ紹介いておきましょう。

金色のしか
濁流に飲まれ、溺れ死にそうになっている狩人を、森の王さまである金色のし
かが、身をていして助けます。
その時、金色のしかは、「私がこの山にいることを、誰にも話さないで下さい」
と狩人と約束します。
その国のお妃さまが、ある晩のこと、金色のしかの夢を見、王さまに探し出し
て欲しいとお願いします。
そこで、王さまは狩人たちに「見かけた者はいないか、案内すればほうびを使
わすぞ」と呼びかけたところ、現れたのが、命を助けてもらい、絶対に他言し
ないと約束したはずの、あの狩人でした。
王さまは、狩人の案内で家来を連れて山に入り、金色のしかを見つけ出します。
「王さま、あれが金のしかです」
と指を指すと、狩人の手首がぽろっと落ちてしまったのです。
驚いた狩人は、約束を破って申し訳ないと泣いて謝ります。
わけを聞いた王さまは、かんかんに怒り、狩人を射殺そうとしました。
すると、金のしかがいいました。
「その男は罰を受けていますから助けてやってください。どうしても許せない
なら、私を殺してください」
それを聞いた王さまは、胸を打たれました。
今まで王さまは狩が好きで、生き物を追い掛け回して喜んでいたからです。
しかの気高い心を前にして、恥ずかしくて顔をあげられませんでした。
しかは、仏さまが姿を変え、私をまともな心に引き戻すために現れたのかもし
れない。
王様は、弓と矢を地面に投げつけ、金色のしかに、
「生き物の命をとる狩を止めることができました。あなた様も森へ帰って、い
つまでも幸せに暮らしてください」
といったのです。
狩人も心から後悔すると、地面に落ちていた手先は、男の腕に戻ってきたので
した。
      (仏教童話 かもしかのこえ 花岡 大学 著 善本社 刊)

仏教童話「カモシカのこえ」ほか3巻には、この他に、欲の汚さをといた「仏
さまの連れてきた少年」、乱暴者をいさめる「なきだした王さま」(いさめ方
は、観音様と孫悟空の話とそっくり)、売り飛ばそうと捕まえるとただの鳥に
なってしまう「金色の鳥」、本人とそっくり同じ人が現れ、どうやっても自分
が本物であることを証明できずに泣きを見るけちな男を描いた「えらい目にあ
ったけちん坊」など、「みんなも一緒に考えましょう」と話しかける形式で構
成されています。

また、花岡大学仏教童話には、幼子を取りっこし、本当の母親が引っ張って痛
がるわが子の手を離す「母親裁き」(大岡政談にもある話)など、たくさんの
童話が収められています。
いずれも、お釈迦さまの清らかに生きる姿勢を表した童話で、仏教を説くので
はなく、幼子に、清らかな心とは何か、やさしく話しかける秀作だと思います。
図書館で見かけることがありますから、是非、ご覧になってください。

仏教童話 かもしかのこえ 他全3巻  花岡大学 著 善本社 刊
花岡大学仏教童話 消えない燈 金の羽 花岡大学 著 ちくま文庫 刊
(次回は、「さくら」ついてお話しましょう)

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