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2008/03/07

2009さわやかお受験のススメ<保護者編>

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
           「情操教育歳時記」
         日本の年中行事とむかし話
     〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
           2008年 3月7日 
              −18−

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第5章(2) ひな祭りとお彼岸ですね  弥 生

★★なぜ、桃の花を飾るのですか★★  

ひな祭りを楽しんでいた雰囲気の伝わってくる、懐かしい文部省唱歌がありま
す。
私には姉と妹がいましたから、この気持ちはよくわかります。
箱の中から、紙に包まれた人形を取出し、それをひな段に飾りつける母やお手
伝いさん(当時は女中さんといっていましたが)の姿が思い出されます。

うれしいひなまつり     
作詞 サトー・ハチロー           
作曲 河村 光陽
 一 あかりをつけましょ ぼんぼりに
   お花をあげましょ  桃の花  
   五人ばやしの    笛たいこ 
   きょうはたのしい  ひなまつり

 二 おだいりさまと  おひなさま
   ふたりならんで  すましがお
   およめにいらした ねさまに
   よくにた官女の  白いかお

 三 金のびょうぶに うつる日を 
   かすかにゆする 春のかぜ  
   すこし白酒   めされたか 
   赤いおかおの  右大臣   
                          
 四 着物をきかえて  おびしめて
   今日はわたしも  晴れ姿
   春のやよいの   このよき日
   なによりうれしい ひなまつり

古くから伝わってきたことには、必ず、それなりの意味があります。
なぜ、桃の花なのでしょうか。                   

ものの本によれば、桃には、古くから病気や鬼、悪魔から身を守ってくれる力
のある「魔除け」として信じられていました。
「桃」という字は、「木」と「兆」からできています。
「兆」という字は「きざし」と読みます。
この字を使った言葉には、次のようなものがあります。
「兆候」(きざし)
「前兆」(しるし)
「兆占」(うらない)
「兆見」(まえぶれ)
「吉兆」(めでたいことが起こるきざし)
「瑞兆」(めでたいきざし)
このように桃は、「兆をもつ木」であり、その実に霊力が潜んでいると信じら
れ、ことの吉凶、将来の成り行きを予測し、悪魔から身を守ってくれることか
ら、おひな様にも供えたそうです。

ですから、鬼退治のヒーローは、栗太郎や梨太郎、柿太郎ではなく、桃から生
まれた「桃太郎」でなくてはならない理由は、ここにあるのです。
やはり、訳ありですね。

★★桃源郷は、どこにあるのでしょうか★★
「桃」から思い浮かぶ懐かしい言葉は、桃源郷ではないでしょうか。
陶淵明の書いた「桃花源記」にある理想郷は、桃の花が咲き乱れる桃源郷とし
て描かれています。
魔除けの力を秘めた霊木であり、不老長寿の仙薬(飲むと仙人になるという薬
から転じて効き目が著しい霊薬のこと)と信じられていた桃の花ゆえに、納得
できますね。
「桃花源記」、原文はとても手に負えませんが、これも以前、図書館で小学生
の高学年用に書かれたものを読んだ経験があります。
図書館に出かけてみましたが見つかりません。
そこで、新しい本を見つけましたので、それを紹介しておきましょう。

【桃花源記(作:陶淵明)の話の概略】
中国太元の時代、武陵に一人の漁師がいました。
ある日、小舟をあやつり漁に出たのですが、見覚えのない所に来てしまい、あ
たり一面に桃の花しか咲いていない林を見つけたのです。
甘美なかおりをただよわせ、美しい花びらが舞っているではありませんか。
見とれていた漁師は、林の先を突き止めたくなり、奥まで船を進めました。
林は水源のあたりで山につきあったのです。
そこに小さな穴があり、中へ入っていくと、突然、景色が開け、土地は四方に
広がり、立派な建物や地味豊かな田畑が見渡せました。
鶏や犬の鳴き声が聞こえ、そこにいる人々は、異国人のような装いをし、みな
楽しそうでした。
ぼんやりと立っている漁師に気づいた人々は驚き、どこから来たのか尋ね、あ
りのままに答えると、一軒の家に案内され、お酒やご馳走でもてなされたので
す。
人々が言うには、「私どもの祖先が、妻子ともども一村の者たちと秦の世の戦
乱を逃れ、この絶境に来てから、一度も外に出たことがないので、よその人と
まったく関わりを持たなくなってしまったのです。
「ところで、今は一体、どういう時世なのですか」
と、漢はもちろん、魏、晋のこともわからないのです。
漁師が詳しく説明すると、みな感に堪えないように聞き、家から家へ連れてい
かれ、どこでも歓待されるので、4、5日滞在したのでした。
やっと村を去る日が来たとき、
「私どものことは言うほどのこともありませんから、よそ様にはお話にならな
いでください」
というのです。
しかし、途中に目印を残しながら帰ってきた漁師は、家に着くと、さっそく郡
の大子のもとへ行き、この話をしました。
興味を覚えた大子は、案内をさせましたが、目印はおろか、前に行った道さえ
見つかりません。
この伝えを聞いたある君子が、その仙境へ行こうとしましたが、その志を果た
さぬ内に病で世を去り、この後、再びおもむこうとする者はいなかったという
ことです。
この話から「武陵桃源」「桃源郷」は仙境の意に使われ、転じて理想郷の意と
なったのでした。
    生きる心の糧 中国故事物語 4 駒田 信二・寺尾 善雄 編
                         河出書房新社 刊

誰にも教えない約束は、必ず、破られます。
人はだれしも、秘密を持つと、黙っていられなくなるようですね。
これと似た民話がありますし、確か、イソップ物語にもあったと記憶していま
す。
そういえば、浦島太郎も乙姫さまとの約束を守れず、おじいさんになってしま
いました。
山の奥深くに、海の底に、理想郷を夢見るのは子どもではなく、いい年をした
大人、しかも男性に多いともいわれています。
分別のある女性は、ばからしくて興味がないようです。
女性は、それだけ現実的なのでしょうね。
でも、桃源郷は、誰しもが心の隅に描きたくなる「かくありたい、ささやかな
願い」ではないでしょうか。
                  
★★左近の桜、右近の橘って?★★
ひな段に飾る桜と橘(たちばな)は、京都御所にある「左近の桜」「右近の橘」
をあらわし、ひな段に向かって右が桜で、左が橘です。
ものの本によれば、京都御所の紫宸殿の東側に桜、西側に橘が植えてあり、左
近衛府の官人(天皇を守る近衛兵)は桜の木から、右近衛府の官人は橘の木か
ら、それぞれ南側に整列して宮廷の警護にあたったそうです。
ですから、宮廷の門と同じ役割を果たし、左大臣側には桜を、右大臣側には橘
が飾られているわけです。

橘は、みかんの古称で、日本では万葉の時代から和歌に多くうたわれている馴
染み深い木の一つで、黄色い実が魔除けになるともいわれています。
大昔より日本に自生している常緑樹で、冬でも緑を失わないその姿と、見栄え
のある美しい果実、そしてかぐわしい香が、古から尊ばれてきたのでした。
また、神の化身とされる蝶の幼虫が育つことで、神代と世俗を結ぶ神の依代
(よりしろ・心霊が招き寄せられて乗り移るもの)と考えられていました。  
 (http://e87.com/selection/sp_hina/colum_04.htmlより)
何事も訳ありですね。

そういえば、忠臣蔵で名高い兵庫県の赤穂市にある花岳寺には、大石内蔵助の
屋敷から移し植えたといわれる「忠義の桜」があり、毎年、見事な花を咲かせ
ていたと記憶していますが、小学生の頃の話ですから、今はどうでしょうか。
明治生まれの父は、散り際の潔さを桜にたとえ、「男は、かくありたいもの!」
と、絶賛していたものです。
若い皆様には、興味のない話かもしれませんが、井沢元彦氏や澤田ふじ子さん
の作品を読むと、私が知っている忠臣蔵とは、かなり違っているようです。
もし、父が生きていたら、これまた激怒したに違いありません。
「天皇陛下」と呼び捨てしようものなら、雷が落ちてくるほどでしたから。
しかし、桜も橘も、日本の春を静かに語っているように思え、いつ見てもあき
ません。
桜については、来月号で詳しくお伝えする予定です。
(次回は、『ひし餅、早春賦、彼岸と春分の日』についてお話しましょう)

前回紹介しました『東福門院 和子の涙』は、講談社から発行されています。


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