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東京国税局で上場企業からの複雑な質問に対処・国際税務専門官として外国銀行や証券への税務調査に長く携わった新進の国税局OB税理士が、難解な非居住者・外国法人課税について、血の通ったリアルな具体例で、初心者にも親しみやすい解説をお届けします。

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2009/10/22

国内源泉所得~使用料10

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   国税OBの国際派税理士 久川秀則がお届けする!
          『ゼミナール読むだけでわかる非居住者・外国法人の税務』
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  著書「Q&Aメディア、エンターテイメントビジネスの税務」(大蔵財務協会)
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                  第 97 号
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1.税理士久川秀則のコラム
皆さん、こんにちは。
今回はずいぶん配信が遅くなりすみません。
まったく、今年は税務調査が多いですね。
このあたりは、電子申告を巨額の予算で構築し、利用率の向上をごり押ししているご当局が、もうひとつ課題を突き付けれらている、
つまり、職員の業務効率にも寄与しなければならない、わけです。
国税当局は、内部事務を極力効率化し、外部事務、つまり税務調査に投下できる人日を増やしたい、増やさなければならない、
という宿題も重く背負っているわけなのです。

さて、私は外国銀行、外国証券会社の税務調査を長く担当してきた人間ですが、このところパリバの報道が続いています。
もとをただせば、アーバンコーポレーション(倒産)の資金調達をめぐる不適切取引(詳細省略)から始まり、
日証協は、1億円の過怠金、会員権の6か月停止処分を行い、日証協の安藤会長は「過去の処分に反省していない」とコメント、
アーバンコーポレーションとの取引で得た収益を社会還元するよう要請しています。
今まで聞いたことのない異例の社会還元要請、よほど今回のパリバの問題取引を重大深刻と受け止めていることによると思われます。
さらに証券監視委員会の処分勧告に基づいて、金融庁では業務停止処分を検討していると伝えられています。
これは、特定の上場株式をめぐり自社の損失を回避するために作為的な相場形成も手がけた、とされていることも加味したもの。
この相場操縦行為は、もう10年くらいまでであれば多くの証券会社が処分されたような取引であって、珍しくなかった、
ですが、「まだそんなことやってるの?」というところが金融庁もお怒りかもしれませんね。
顧客にとっては、差益が出る取引のもととなる株価を低く誘導されて儲けが減ったのではたまらない、
株式市場はそんな程度のものではいけないと思います。マーケット参加者に失礼です。
ところでパリバはフランスナンバーワンの銀行でありまして、来年は世界中で1万5千人を採用するとも伝えられています。
間違いなくビッグプレーヤー、リーグテーブルの主役の1人、ですが、報道では日本ではうまく経営できていないように見えます。
今後も報道を注目していかねばなりませんね。

2.解説~国内源泉所得~使用料
前回は文化的使用料という租税条約上の概念をご説明しました。
有名な「ハンガリー租税条約」を見てみましょう。第12条第3項(b)において文化的使用料が定義されています。
「文学上、美術上または学術上の著作物(映画フィルム及びラジオ放送用またはテレビジョン放送用のフィルムまたはテープを含む)
の著作権の使用または使用の権利の対価として受領するすべての種類の支払金をいう」とされています。
この条約を適用することで、映画フィルムの頒布権の源泉徴収課税を回避する取引が行われていることはご承知のとおりです。
映画フィルムは、文化的使用料の定義に明記されていますので、解釈上の疑義はありません。
真に、ハンガリー法人が、映画の頒布権の許諾権を持つ形で行われる取引であれば、租税条約で免税となるわけですよね。
では、コンピュータソフトウエア、ゲームソフトなどはどうなるのでしょうか?
実際に映画フィルムと同じ方法、つまりハンガリー等を経由してソフトウエアなどが日本に流通するということは
実際に行われているか聞いたことがありませんが。
これらのコンピュータソフトウエアは著作物であることは間違いないところです。
しかし、「文化的使用料」つまり文学上、美術上、学術上の著作物という概念には、含まれるのかどうか、違和感がありますね。
映画については、芸術の1ジャンルということであろう、と認知されていますので、当然違和感はありません。
コンピュータソフトは、ビジネスベースで制作されるものが多いところが異なる気がします。
少なくとも、条約条文上はソフトウェアは明記されていませんね。
ソフトウエアは、著作物とノウハウなどとの折衷的な性格を持つ知的財産権であり、その判断は非常に悩ましいところです。
著作物、著作権の定義については、著作権法の定義をそのまま税法でも取り込んでいることからすれば、税法で定めるところの
著作物には該当しない、とする根拠がないので、条文解釈論としてはソフトウエアも著作物の著作権使用料として取り扱われる、
ということになるでしょう。少なくとも国内法の解釈上はそうならざるを得ません。
コンピュータソフトウエアの複製権の対価であれば、国内税法上は「著作権使用料」として国内源泉所得に該当します。
しかし、租税条約の解釈適用については、特定の租税条約では、特に「文化的使用料」という概念を設けていますので、
その文化的使用料へのソフトウエアの該当性については、もう少し丁寧に検討する必要があると思われます。
次回も解説を続けます。
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