2007/11/02
創刊「弁護士提供 離婚大作戦」の見本(全文)無料提供。
皆さんいつもお世話になっております。
弁護士松下孝広です。
実は、弁護士が伝授 絶対成功させる離婚大作戦というメルマガを発刊してみました。
ということで、宣伝になってしまうのですが、創刊号を皆さんに無料で全文を提供します。
興味のある人は読んでみてくださいね。
弁護士が伝授 絶対成功させる離婚大作戦
=======================================================================================
2007年11月1日 創刊号
当メルマガのコンセプト
☆ 弁護士が離婚の知識から実例をふまえた具体的な行動までを徹底伝授します!
☆ だから、今すぐ離婚した人にはあんまり向いていません。(でも、このメルマガも続けば、今すぐ離婚した
い人の役に立つものとなるでしょう。)どちらかというと、2ヶ月から半年以上かけて、計画的に離婚をしよう
と思っている人向きに作る予定です。
☆ 離婚はつらい出来事ですが、つらいからこそ、しっかりと対応して、あなたの新しい人生の出発の『成功』
を実現させましょう。
その手助けになればとってもうれしいです。
======================================================================================
■目次
第1章 夫名義であろうが、とにかく保険証券を確保する!! そして,仮差押え。
第2章 離婚法律講座第2回
第3章 編集後記
======================================================================================
■第1章 夫名義でも保険証券を確保しろ!! そして,仮差押え。
いきなりですが、離婚に必須な三種の神器は,次の3つといえましょう。
(1)金(金銭)
(2)家(住居)
(3)知識(計画)
です。
これに良き相談相手が加われば万全です。これがそろって起きた出来事は、運命・宿命というほかないと僕は
個人的に考えております。
さて、話は変わりますが、離婚は,現実に目の前におきる事実としては、世帯を分けることですね
(法的には、戸籍だって別れますがこれって単なる形式)。
だから,夫又は妻と別れて生の生活しなくてはなりません。
そのためには,金と家が必要です。
その前提として職(ショク)も必要ですかね。
弁護士に相談にこられた段階で,別居している人が結構多いので,すでに金と家を何とかしている人が多いの
ですが,これから離婚計画を立てる人は,この手当が何よりも重要です。
当たり前といえば当たり前ですが,離婚をする際にはこれをしっかり確保していない人も結構多いわけです。
そんな状態で離婚しようなんて無謀というほかないよね。
冷静に考えれば。でも、冷静になれないところが離婚の問題なんだけど。この難しさって、経験するまでわか
んないよ。きっと。
これに、もちろん,離婚に際して,子供の環境変化を小さくすることも重要です。
学校をどこにしようかとか,お友達と別れたらかわいそう,などありますね。
こういうことを真面目に考えて、相談してくる人に対しては、本当に何とかしたいと思います。
ただ、正直なところ、それは、ハッキリ言ってそれは理想にすぎません。
まず最初に現実に問題となるのは(1)カネ(職)と(2)家です。
だって、それって、即問題となることだからね。
******
というわけで、この確保に全力を尽くすことが重要です。
******
正直いって,この際,法律上どうか?なんて考えなくていいです。
後でなんと言われようと,まず,あなたのために資金を確保することが重要です。
というか、まずうごけ。そのための方法はいろいろあります。
******
・夫名義・子供名義・自分名義の預貯金通帳と印鑑をしっかり確保しておく。
・保険証書の類を確保しておく。
・高価な動産を確保しておく。
・親族から援助してもらう
等々いろいろありましょう。
この中には,一見問題のありそうなものもありますが,ハッキリ言ってやったもの勝ちです。
迷ってはいけません。法律的にも後で何とかできます。
個々までですでに反感を覚えている人がいるかもしれませんが、現実に生で離婚が問題化している人にとっ
てこれは絶対重要ですね。離婚事件に関わってそう思っています。
将来に、僕の人間性が高まって、そういう即物的な考えから、聖人のような考えになるかもしれませんが。
とにかく僕は、今はそう思っています。
******
というわけで、このメルマガは,生活を含めた離婚全体を成功させるということを至上命題としています.
ので,離婚を成功させるということを何よりも優先して書きますので,どうぞご了承下さい。
ということで,話が長くなりましたが,みなさま初めまして。
弁護士松下孝広です。札幌弁護士会所属です。
離婚事件にほんの少し力を入れている弁護士です(本気で力を入れているのは、過払い)。
このメルマガは,離婚事件に関わる仕事をしている者として,離婚の負荷を少なくし,あなたの離婚を成功さ
せたい,という目的で制作しています。
どうぞ,よろしくお願いしますね。
それと,副次的に日々の実践や考え方を文字としても残すことで,自らの離婚事件解決研究にも役立てるとい
う自己目的もあります・・・。
自己紹介は追々やっていきますけれど「松下孝広ってどんなヤツだ?」と気になってしまう場合は,ホームペ
ージを見てください。顔写真や簡単な紹介があります。
↓↓↓
http://www.smlaw.biz
さて,話を本題に戻しましょう。
事件を解決するために、いろいろ本を読んだりするんだけど、弁護士がする離婚の話って,離婚自体の法律知
識ばかりなんですよね。
カネの話でも例えば,養育費とか,慰謝料とか財産分与とかなんですが,これって確実にもらえるカネ,アテ
にできるカネではありません。
権利だけを持っていても仕方ないわけです。
よーするに権利は『架空のカネ』にすぎません。
虚構です。
目の前に現ナマがなければ,別居初日に、スーパーで夕食のなすびは買えないわけです。
だから,カネはまず確保する。その確保したカネを慰謝料としていただく,とか,分与としていただくという
ことは後で裁判などを利用して,後づけでやればいいわけです。
裁判をやって権利が確定してから,確保しようとしてもとれるかどうかわかりません。だから,何よりもカネ
の確保です。カネを確保して初めて別居もできるのです。
ちなみに,よく想像してください・・・
具体的にイメージしてください・・・・
・・・・・あなたの夫・妻は,けっこう責任感があります。離婚しても,子供の生活は任せろ,と責任感のあ
る発言をします。あなたも,この人なら養育費を払ってくれるかな,と少し思います・・・・。
しかし,責任感の強い誠実な人となぜあなたは別れるのでしょうか。別れる人を信用してはいけません。
想像してください・・・・・。
別れた夫・妻は,離婚後新しい人生を歩みます。新しい彼女・彼氏もできる場合があるでしょう。
再婚もすることもあるでしょう。
その夫・妻が,今後もしっかり,あなたと子供の生活を責任を持って面倒見てくれるのでしょうか?
それは,容易ではありません。
別れたあなたと子供は相手からすれば生活に直接関係ない過去の人にすぎません。
それは,どんなに誠実な人でも回避できない自然な気持ちです。現実ってそうよ。だって僕もそうだもの。
想像してください・・・・
夫・妻は,今の職業を続けるのでしょうか。リストラはないか,会社は倒産しないか,病気にならないか?
******
カネの話は,とにかく,将来の話をアテにしてはいけません。
今手もとにいくら確保できるかが重要です。
******
そして,その別居を続けるには,職が必要です。職がなければ,金は入ってきませんから。カネが入ってこな
ければ,いずれ家もなくなるわけです。
そして,他人に頼らない収入確保といえば,仕事をするしかないわけです。
最後の手段として,「生活保護」という方法もありますが,まずは職を探しましょう。
=======================================================================================
■第2章 離婚も法律行為 法律は知っていないと,あなたをぜんぜん守ってくれません。
離婚は,法律行為です。双方が合意して行う協議離婚ももちろん法律に定められているわけです。
そして,離婚に伴ういろいろなカネや権利の問題は知らないと全く使わないまま終わります。
*******
誰もあなたに,「あなたにはこんな権利があるよ」とは,積極的に教えてくれません。
*******
だから,法律は知らないと有利には使えません。
法律は,弱者の武器といいますが,そもそも法律は知らないと使えないのです。
法律は,そもそも法律を知らない弱者には冷たいのです。
しかし,知っている人に対してしては,いろんなものを与えてくれます。
だから,あなたが,自ら,離婚の知識を得ようと思わなければ,あなたの離婚はもったいないことになるので
す。
本を読んでもいいでしょう。インターネットで調べてもいいでしょう。
何でもいいですが,とにかく,知識が必要なんだということは覚えておいてくださいね。
なお,私たち弁護士は,離婚の専門家です(専門としていない弁護士も多いですが)。
通常知識というのは人に聞いた方が早いです。だから遠慮なく,お近くの弁護士にご相談下さい。
ちなみに,私は札幌にいますので,ご相談されたい方は,ホームページから,相談を重し込み下さい。
↓↓↓
http://www.smlaw.biz
最後に,重要なことは,あなたのヤル気です。
「私は離婚を絶対成功させるのだ!!」
という強い気持ちがなければ,法律を調べたり弁護士に相談したりしないでしょう。
そして,何となく,面倒だから,スッキリしないけど仕方がないと,テキトーな離婚をしてしまいます。
それはそれでいいです。ほとんどの人はそうだから。
しかし,法律を知っている第三者で観ると、それは,もったいないのですよ。
変な権利意識は持つ必要はないです。
権利意識が強すぎる人は,常に自分は損をしていると思っていて,いつまでも満足できない人が多いです。
しかし,私には,ちゃんと法律で権利があって,やる気さえあれば実現するんだと言うことは覚えておいてく
ださい。
======================================================================================
■第3章 離婚法律講座第1回
これから毎回離婚の法律知識をご提供します。
第1回目は,離婚の方法と種類の概要と詳しい解説です。第1回なので,ものすごく長いですが,ご了承下
さい。
第1 離婚の種類概要
離婚の方法(手続)には,大きく分けて,次の2つがあります。
(1) 双方の合意により双方が役所で行う協議離婚手続
(2) 裁判所を利用する手続き
このうち,(2)の裁判所を利用する手続きはさらに4つあります。
(ア)調停離婚
(イ)審判離婚
(ウ)判決離婚(裁判離婚)
(エ)和解離婚
この4つについて、以下説明しますが、まず、概要をみます。
(ア) 協議離婚
これは,当事者の離婚の合意と戸籍上の届出(離婚届)をするだけで成立する離婚です。
(イ) 裁判所を利用する手続き
(ア) 調停離婚は,家庭裁判所での調停で離婚の合意が成立し調書に記載された場合です。
(イ) 審判離婚は,家庭裁判所の調停手続で裁判官(家事審判官)が調停に代わる審判をして異議なく確定し
た場合です。
(ウ) 判決離婚は,家庭裁判所あるいは高等裁判所・最高裁判所の人事訴訟手続で離婚の判決が確定した場合
です。
(エ) 和解離婚は,家庭裁判所又は高等裁判所の人事訴訟手続における訴訟上の和解で離婚の合意が成立し
調書に記載された場合です。
それでは、詳しく解説します。
第2 詳しい解説
1 協議離婚
(1)最も簡単な手続・協議離婚の制度を採る国は少数
協議離婚は、当事者の離婚の合意と戸籍上の届出(離婚届)をするだけで成立する離婚です。
わが国は,当事者双方の離婚の合意と戸籍上の届出だけで離婚することができる協議離婚の制度を設けていま
す。民法763条が「夫婦は,その協議で,離婚をすることができる」と規定しているのがそれです。
日本での離婚の大半(9割)は、協議離婚です。協議離婚は、他の離婚手続きに比べ、最も簡単なのですが、
相手方と合意しなければ成立しません。
これは単なる知識ですが、このように,裁判や公的機関のチェックなしに当事者の意思だけで離婚を認める国
は,日本の他は韓国や台湾などごく少数の地域に限られており,実は珍しいのです。
韓国の場合は,協議離婚は,合意と戸籍上の届出のほかに「家庭法院の確認」が必要とされており,日本より
要件が厳しくなっています。日本では,このような意思確認の制度がないため,当事者の一方の意思だけによる
離婚届が跡を絶たず,協議離婚無効確認を求める調停の申立てが多く見られます。
(2)離婚届不受理申出制度
日本の協議離婚制度は,届出を受理する市区町村長に,署名した双方に届出意思が本当にあるのか等について
実質的な審査権がありません。
で、当事者の一方が,他方の知らないまま署名を偽造して,離婚届を出してしまうことを阻止し難い。
戸籍上の届出はあるが,当事者の他方に本当は離婚の意思がない(合意がない)ということが起こり得ます。
離婚には応じる気がある、金銭給付などに異議があるため、交渉の道具としてそもそも離婚自体に合意しない
、という場合も結構あります。
戸籍上離婚されると交渉がスムーズにならない場合もあるので、これは重要です。
そこで,1952年(昭和27年)から,戸籍通達により,離婚届の不受理申出の制度が設けられています。
この離婚届の不受理申出の制度は,離婚の意思がない者又はいったん離婚の意思をもって協議離婚届に署名し
たがその後離婚意思を翻した者が,協議離婚の届出がされるおそれがあるとして,右届出があってもこれを受理
しないように申し出たときは,一定期間(6ヵ月)これを受理しないものとするという制度です。
この制度は,実際にかなり利用されており,自分の意思に反する離婚の事前の防止に役立っています。
(3)協議離婚の実質的要件
協議離婚が有効に成立するためには届け出という形式的要件のほかに、その実質的要件として,双方の当事者
に離婚意思の合致がなければなりません。
離婚意思とは何かについて,大別して,実質的意思説と形式的意思説が対立しています。
このような離婚の意思の問題について見解が分かれるのは,どのような場合に,離婚が無効となるかについて
考えるためです。
当事者双方に,夫婦生活など婚姻の実体を解消しようとする意思はないが届出意思はある場合。
すなわち,離婚による婚姻関係解消による法的効果を利用して,何らかの目的を達するための便法として離婚
の届出をする場合,その離婚は有効か無効かが問題となるのです。
この場合,実質的意思説という見解によれば,離婚意思を欠き無効となるのに反し,形式的意思説という見解
によれば,離婚意思があり,離婚は有効ということになります。
(4)協議離婚の形式的要件
協議離婚は,戸籍法の定めるところに従って届出をすることによって成立します(民764条・739条)。つま
り、双方に離婚意志があっても、届け出をしなければならないということです。
協議離婚の届出はないが,夫婦が離婚の合意をして別居している場合,すなわち事実上の離婚の法的効果につ
いては,問題が多くあります。
夫婦は,民法によって婚姻の効果として様々な義務(同居義務など)をを他方に対して負担していますが,離
婚すれば,これを免れることになるのです。 これらの義務は、夫婦であるという実態があるからこそ、認めら
れるものですので、そこで、届け出がない事実上の離婚の場合にも,義務から解放しても良いのではないかとい
う問題があるのです。
まず,夫婦双方だけにとどまらない第三者に関連する法的効果は戸籍を基準にせざるを得ません。ですから,
姻族関係の終了,復氏,親権,相続などは,離婚の届出をしなければ効果が認められません。
しかし,当事者間だけの効力として考えれば足りる同居・協力・扶助義務,貞操義務,婚姻費用分担義務等の
夫婦生活に伴う実質的義務は,事実上の離婚によって消滅すると考えられています。
2 調停離婚
(1)調停前置主義
当事者間の協議で離婚の合意ができないときは,裁判所を介して離婚するほかはありません。
離婚事件は「人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件」に属しますので,家庭裁判所の家事調停
で解決を図ることになります(家事審判法17条)。
裁判離婚制度には,調停前置主義の適用があり,離婚訴訟(人事訴訟)を提起する前にまず家庭裁判所に調停
を申し立てなければならず(家審18条1項),調停の申立てをすることなくいきなり離婚訴訟を提起した場合
には,裁判所はその事件が調停には適しないと認めるときを除いて,その事件を家庭裁判所の調停に付しなけれ
ばなりません(同条2項)。
これは,離婚の問題は,裁判所がいきなり白黒決めるべきものではなく,まず双方が話し合うべき問題だとい
えるからです。
ただし,これにも例外があります。次のような場合には,話し合いによる解決がそもそも見込めないので,調
停前置の適用がなく,いきなり離婚訴訟を提起できると考えられています。
(ア) 相手が精神上の障害等により話し合いや合意による解決が期待できないとき
(イ) 相手が行方不明でその所在が判明しないとき等が考えられます。
(2)調停の申立手続
離婚を求める調停は,相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます(家
審規129条1項)。
裁判所には調停申立てのひな形用紙が備えられていて,それに記入するだけで簡単に申立てをすることができ
ます。
また,多くの家庭裁判所には,申立手続きについて説明するための窓口がありますので,離婚調停を求めたい
ときは,まず家庭裁判所に問い合わせましょう。
家庭裁判所によっては,電話ガイダンスなどのサービスがありますので,それを利用するのもいいでしょう。
申立ての手数料は,1200円の印紙代と,当事者の呼出し等の切手代として数百円が必要なだけです。
多くの家庭裁判所では,離婚を求める調停の申立てがあると,「夫婦関係調整」事件として立件します。
これは,当事者が離婚を求めていても,その夫婦が必ずしも完全に破綻しているとは限らず,なお円満に夫婦
関係を修復することができる余地がある場合が少なくないため,調停ではその可能性を探る努力をし,円満和合
・離婚の双方向で調整を行うことから付けられた名称です。
(3)調停の進行と終局
調停の申立てがあると,家庭裁判所では,担当の家事調停委員を選任します。調停委員は,双方の話し合いを
仲立する人たちです。
裁判所は,大体1ヵ月先に第1回の調停期日を指定して,当事者双方を呼び出します。
相手方は,この調停期日に出頭する義務があります。
調停委員は,調停期日では,双方を同席させた上で(同席調停といいます),あるいは別席で個別的に(別席
調停といいます),これまでの紛争の実情等について,双方から,事情を聴き,今後の解決方法等について双方
の意向を確かめ,円満和合あるいは離婚等について,調整を図っていくことになります。
第1回の期日で何らかの合意に達して調停が成立することもありますが,多くの場合何回かの期日にわたっ
て調整の努力がなされます。
調整が行われた結果,当事者間に何らかの合意に達したときは,調停成立として調停は終わります。
離婚を止まり同居を回復して円満和合に至ったときはその旨の調書を作成し,離婚の合意ができたときは離婚
成立の調停調書を作ります。
そのほか冷却期間を置くためしばらく別居することとしたり,将来の離婚の予約はするが当面は離婚せず,生
活費の分担支払(婚姻費用の分担)を約束する内容の調停をすることもあります。
これらが調停成立による調停の終了です。
そのほか,調停において,円満和合の方向でも離婚の方向でも,一時別居等の方向でも,双方に合意点が見い
だせず,話し合いが成立しないときは,調停は不成立として終了させます。
調停が不成立となり,どうしても離婚したいと考える当事者は,離婚訴訟を提起することになります。
そのほかの調停終了の場合としては,調停を申し立てた者が,調停での話し合いの結果目的を達したと考え,
あるいは逆に調停を進める意味がないと考えたりして,調停を取り下げた場合,あるいは調停を申し立てたのに
やる気をなくすなどして調停期日に出頭しないため,調停を行わない(なさず)措置を採った場合,後述する調
停に代わる審判をする場合などがあります。
調停において,当事者間に合意が成立し,これを調書に記載します。調書に記載されたときは,調停が成立し
たものとして,その調書記載は,訴訟事項に関しては確定判決と同一の効力を有し,審判事項に関しては確定審
判と同一の効力が生じます(家審21条1項)。
例えば,調停条項中,離婚・慰謝料・特有財産の引渡し等は訴訟事項ですから確定判決と同一の効力を有し,
親権者(監護者)指定・養育費・子の引渡し・面接交渉,財産分与等は審判事項ですから確定審判と同一の効力
を有します。
ここで確定判決と同一の効力の意味については,後記(:後において解説するところに)譲り,ここでは確定
審判と同一の効力の意味についてだけ触れておきます。
この点については,家事審判法15条に規定があり,金銭の支払,物の引渡し,登記義務の履行その他の給付
を命ずる審判は,執行力ある債務名義と同一の効力を有するものとされています。
つまり,審判には形成力は当然のこととして,養育費など金銭の支払を認める条項の場合は,執行力があり,
強制執行が可能だということです。
3 審判離婚
(1)調停に代わる審判
調停において合意が成立する見込みがない場合でも,調停不成立として終了させず,調停(合意)に代わる
審判をすることもできます。
すなわち,家庭裁判所(家事審判官・家事調停官)は,調停委員会の調停が成立しない場合において,相当
と認めるときは,当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き,当事者双方のため衡平に考慮し,一切
の事情を見て,職権で,当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で,事件の解決のため離婚の審判をすること
ができ,この審判においては,金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができるとされています(家審24
条1項)。
この調停に代わる審判においては,離婚調停においてできることは合意に代わるものとして審判の主文で命ずる
ことができます。
例えば,
(ア)離婚の本体のほか,
(イ)親権者・監護者の指定,
(ウ)養育費,
(エ)子の引渡し,
(オ)面接交渉,
(カ)財産分与,
(キ)慰謝料,
(ク)特有財産の引渡し等を命ずることができます。
(2)異議の申立て
調停に代わる審判は,一種の簡易裁判であり,条理裁判であって,その判断基準(審判規範)は必ずしも法
規範にしはられず,調停規範と同様に条理や慣習・習俗などの社会規範によって審判することが可能です。
その意味では,大岡裁判ともなりかねず,功罪半ばすることになりますので,この審判に対しては,異議申
立てによって失効するという簡易な不服申立てが用意されています。
すなわち,この審判に対しては,当事者及び利害関係人が,当事者が審判の告知を受けたときから2週間
以内に異議の申立てをすることができ,その期間内に異議の申立てがあったときは審判は効力を失い,その期間
内に異議の申立てがないときは,その審判は確定判決と同一の効力を有します(家審25条,家審規139条)。
この異議申立ては,通常の控訴や抗告の不服申立てが理由を要するのと異なり,異議の理由は必要なく,た
だ異議があるというだけで審判は失効します。
従って,相手方が,審判に不服であるとすれば,簡単に審判を覆すことができるのです。その意味で,実効
性に欠ける制度です。そこで,この審判が利用されることは,審判がなされれば,相手もあきらめることが確実
であると見込まれる場合など限られた場合のみです。
ただ異議申立てが期間経過後であるなど不適法なときは,裁判所によって受理されず却下されますが,その
却下の審判に対しては異議申立人は即時抗告をすることができます(家審規140条)。
4判決離婚
(1)離婚訴訟の提起
(ア) 人事訴訟の提起
調停前置主義の原則に従い,家事調停を申し立てたものの,調停が不成立に終わったとき,あるいは調停に
代わる審判が異議申立てにより失効したときは,それでも離婚の目的を達したいときは離婚訴訟(人事訴訟)を
提起しなければなりません。
その場合には,不成立の旨あるいは当事者が異議申立てにより審判が失効した旨の通知を受けた日から,2
週間以内に訴えを提起したときは,当初の調停申立ての時にその訴えの提起があったものとみなされます(家審
26条2項)。
この場合,上記の2週間の期間内に離婚訴訟を提起したときは,当初の調停申立書に貼付して納付した手数
料(1200円)は,離婚訴訟の訴状に貼付して納付すべき印紙額に通算され,その分だけ既に納めたものと見な
されます(民訴費5条)。
つまり,新たに訴訟で納付する印紙代が浮くわけです。
(イ) 管轄
離婚訴訟を提起するには,訴状を管轄裁判所に提出しなければなりません。 訴状を提出すべき裁判所(こ
れを管轄といいます)は,人事訴訟法によって決まっております。
従来離婚訴訟は,地方裁判所の管轄だったのですが,平成15年(2003年)7月16日に新人事訴訟法が成立
し,平成16年(2003年)4月1日からは,家庭裁判所に移管されました。
従って,管轄裁判所は家庭裁判所になります。
離婚訴訟を提起すべき家庭裁判所(土地管轄裁判所といいます)は,夫又は妻が普通裁判籍を有する地を管轄
する家庭裁判所です(人訴4条1項)。
普通裁判籍とは,まず住所があればそれにより,日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所に
より,日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により,それぞれ定まります(民訴4
条2項)。
住所とは,その人の生活の本拠である地をいい(民21条),本籍とは異なります。
また,住所は実質的な概念で,あくまで生活の本拠として使用されているかどうかによって判断します。
ので,形式的な概念である住民登録がされ住民票に記載されている住所(住民基本台帳法7条7号)とも必
ずしも一致しません。
もっとも,住民票上の住所は,そこが生活の本拠でないという特別の事情がある場合のはかは,そこを管轄
の基準となる住所と判断して差し支えありません。
居所とは,生活の本拠ではないが多少の時間(長くても2−3年以内)継続して居住する場所のことで,
例えば単身赴任者が月に1〜2度以上帰宅する場合の単身赴任地の住居の所在地等がこれに該当することにな
ります。
(ウ) 訴状
訴状には,請求の趣旨と請求の原因を記載する必要があります。
請求の趣旨は,離婚訴訟で具体的にどのような事項の裁判を求めるのか,について記載したものです。判決
の主文に対応するもので,例えば
(ア)原告と被告を離婚する。
(イ)未成年者である長男及び長女の親権者を原告と定める。
(ウ)2児の養育費として毎月〇〇円を支払え。
(エ)被告は原告に対し,財産分与として居住中の土地家屋を譲渡せよ。
(オ)被告は原告に対し,慰謝料として金〇〇円を支払え」
などと記載します(後述の訴状参考書式をみてください)。
請求の原因は,その求める判決を理由付ける具体的事実であり,これを訴状に記載します。
ここでは,民法770条1項に規定する次の5るの離婚原因に当てはまる具体的事実を記載します(どれか
1つでも2つ以上でも良い)。
(ア) 不貞行為
(イ) 悪意の遺棄
(ウ) 3年以上の生死不明
(エ) 不治の精神病
(オ) その他婚姻を継続し難い重大な事由
なお,ある離婚原因による離婚訴訟で敗訴した後にその事実番の口頭弁論終結時にすでに存在した別の離婚
原因で別訴を提起することはできないとされています(人事訴訟手続法9条1項)から、離婚を求める際には
問題となる離婚原因は網羅的に主張しておく必要があります。
(2)離婚訴訟の審理
第1審の訴訟手続は,まず争点及び証拠の整理手続から始められます。
原告が主張する民法770条1項の離婚原因や親権の帰属あるいは財産分与等に対する被告の争い方いか
んによって,証拠調べはどの範囲まで行うかを定めます。
この過程で,裁判所から,このような事実があるのか,それを示す証拠を出すようになど,様々な指示を受け
ることがあります。
争点整理によって,双方で食い違う主張がはっきりしてきた場合に,その食い違いを認定するために,当事
者の本人尋問や第三者の証人尋問を行うことになります。
最近ではできるだけ同一期日の法廷で全部を集中的に行うことが多くなりこれを集中審理といっています
法廷のあり方についても,最近では工夫が加えられ,ラウンドテーブル法廷といって,従来のような裁判官
席が一段と高い席に設けられるのではなく,ワンフロアーで段差を設けず,裁判官と当事者が一つのラウンドテ
ーブルに丸く座って,可能な限り話し合いが進むような雰囲気で審理が進められるようになりました。
(3)離婚事件の判決
(ア) 判決する時期
離婚訴訟において審理が進み,裁判所が判断することができる状態に達したと考えたときに,判決を言い渡す
ことになります。
これは訴訟の進展によって異なりますから,訴えを提起してから何ヶ月後になるかはわかりません。通常です
と,半年から1年くらいかかるものと思われます。
(イ) 判決
裁判所(裁判官)が,離婚原因があると判断したときは離婚を認容する判決となり,離婚原因があると判断
できないときは離婚の請求を棄却する判決となります。
そして,離婚を認容する判決をするときは,
(ア)離婚を命じるほか,
(イ)未成年者の親権者の指定,
(ウ)養育費の支払,
(エ)財産分与,
(オ)慰謝料などについて,主文に記載して,判決することになります。
(ウ) 不服申立
これらの判決に対して不服がある当事者は,判決の送達を受けた日から2週間以内に,その判決をした裁
判所に控訴状を提出して,控訴の手続を取ることができます(民訴281条・285条・286条)。
控訴があると,高等裁判所で審理が始まり,第1審と同様に審理を尽くして,控訴に理由があるかどうか
を審理・判断して,控訴棄却又は原判決取消・変更等の判決を言い渡します。
高裁の判決に対しては,限られた場合ですが,一定の事由があれば,上告(民訴311条以下)や上告受理
の申立て(民訴318条)をすることができますが,最高裁判所の判決があると事件はそれで終了し,最終的に
判決で確定したとおりの身分関係・法律関係が形成されます。離婚請求権については既判力が生じ,その他の審
判事項に関しては形成力が生じますが,いずれにしても,その効力は,一般の民事訴訟が当事者間だけで相対的
にしか効力が生じないのと異なり,対世的効力を生じ,当事者ばかりでなく第三者をも拘束し,その判決の内容
と異なる主張ができなくなります(人訴24条1項)。
5 和解離婚
(1)従来の手続における和解離婚と問題点
従来の離婚訴訟の手続においても,その事件の性質上できるだけ話し合いで解決するのが望ましいことに変
わりはありませんので,裁判官によって訴訟上の和解の場が設けられるのが多いのが実情です。
もっとも,離婚することに合意しても,「原告と被告は本和解により離婚する」と定めても,戸籍実務上で
はそれだけでは離婚の効力は生じないとして,戸籍上の離婚の届出を受け付けてくれません。
そこで,これまでの方法は,「原告と被告は,協議離婚の届出をする」という和解を成立させて訴訟は終了さ
せ,実際上は原告と被告のいずれかが他方の委託に基づき協議離婚の届出をすることによって,事件を解決する
という便法が採られてきました。
しかし,この方法だと,届出によって離婚の効力が生ずる創設的届出である協議離婚の一種であることに変
わりはありませんので,その和解が成立しても,離婚の届出が受理されるまでは離婚の効力が生じません。
したがって,和解成立後気が変わった当事者が前述した離婚届不受理申出の制度を悪用して,その届出をして
しまいますと,もはや離婚の届出が受理されませんので,また初めから離婚の手続(協議・調停・審判・判決・
和解)をやり直さなければならなくなるという不都合が生じていました。
(2)新しい和解離婚
そこで,前述した新人事訴訟法では,正面から,訴訟上の和解によって離婚をすることが認められることにな
りました(人訴37条1項)。
これによって,「原告と被告は,本和解により離婚する」という訴訟上の和解の成立によって,調停の成立と
同様に,直ちに離婚の効力が生じることになりました。つまり,裁判所で,和解調書が作成されるとその瞬間離
婚したことになります。
ただ,その調書の謄本を裁判所で発行してもらい,それをもって役所に届け出る必要があります(そうしない
と科料の制裁があります)
それによる戸籍上の届出は,すでに離婚の効力が生じている和解離婚を事後的に報告する届出(報告的届出)
にすぎませんので,もはや離婚届不受理申出をすることはできなくなります。
======================================================================================
■第4章 編集後記
みなさん,きわめて長く、むら気な文書のメルマガを読んでいただきありがとうございました。
またお疲れ様でした。これを本気で読んだ人は、かなり追い込まれているか、かなり暇な人でしょう。
しかし、役に立つはずです。
このメルマガは,離婚という,一般的には極めて不幸で苦しく面倒な作業について,成功したという気持ちを
もってもらい,少しでもあなたの苦痛を和らげ,他方で,新しい一歩を前向きに踏み出してもらいたいというこ
とで発行しています。
弁護士なので,法律知識を中心にしますが,法律も知っているだけでは意味がないので,実際に使えるように
具体的にあなたがとるべき行動も記載していきます。
離婚は不幸で苦しいと書きましたが,離婚は,新しい人生,今の不幸を脱出する第1歩です。
私も事務所を辞めてみて良かったと思っています。仕事を変えるってのもプチ離婚ではないでしょうか?
離婚を考えなければならないほどのパートナーと一緒にいることの法が不幸ともいえます。
それから抜け出る手段なのですから,離婚それ自体は力がいりますが,あなたにとって不幸なことではきっと
ないはずです。
私は,離婚に力を入れる弁護士として,みなさまが心安らかな生活を少しでも早くできることを祈っておりま
す。
私のホームページでも,離婚のQ&Aを載せていますので,参考にしてください。
↓↓↓
http://www.smlaw.biz/rikonqa
この文章は,松下孝広に著作権が帰属いたします。著作権法に従い適法なご利用をお願いいたします。
このメールマガジンは,『まぐまぐ』(http://www.mag2.com/)を利用して発行しています。
『弁護士提供!!内容証明講座 初歩から文例まで』
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/


