あなたは かけがえのない 大切なひと 

いつも辛い恋愛になってしまう。始まりは夢のようだったのに、いつからか二人の間には『恐れ』が横たわっている。そんなパターンに気づき、泥沼から抜け出そうともがいてきた“私”という女性の、長い軌跡の物語りです。

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   あなたは かけがえのない 大切なひと  第1回  2007/09/01

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 いつも辛い恋愛になってしまう。始まりは夢のようだったのに、いつからか
 二人の間には『恐れ』が横たわっている。そんなパターンに気づき、泥沼か
 ら抜け出そうともがいてきた“私”という女性の、長い軌跡の物語りです。



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   第一部  はじめに
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  私には大切な人がいました。
 その人は弱い者に優しく、権力にも負けず、正しいことを貫いている人でした。
 心には大きな傷を隠し持っていました。
 自営業で仕事は忙しくても利益が上がらず、生活も出来ないくらいでした。
 そんな中でも、人助けに奔走し、自分を顧みない人でした。
 誰もが口を揃えて、彼を「いい人」と呼びました。
 その彼を支えている私も「いい人」と呼ばれていました。
 「この人を救えるのは、私だけ」そう、信じていました。
 彼が心を許せるのも、私だけでした。
 “私がいなくてはこの人は生きていけない、なんとかしてこの人を救いたい”
 それだけが、私の望みでした。

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  「同じにおいのする人」それが彼でした。年令も育った場所も、なにもかも
 ちがう背景でありながら、私たちは一瞬で恋に落ちました。その威力に逆らう
 ことは出来ませんでした。始まった瞬間から、背後の何かとてつもなく大きな
 暗い影に、無意識では気づいていながら、それに気づかないふりをして…。

  ちいさなワンルームで私たちは暮らし始めました。その時、病み上がりだっ
 た私はあまり働くことが出来ませんでした。彼は個人事業をしていましたが、
 不況のおり、上手く仕事が回っていないようでした。とても質素な生活でした
 が、それでも、一緒にいられるだけでしあわせだと思っていました。

  付き合い始めてから、彼の生い立ちや過去がだんだんと分かってきました。
 彼はある名家の生まれでした。若くて美しい母親と社会的に成功した父親。
 お手伝いさんのいる大きなお屋敷。はた目には裕福で幸せな家庭…。しかし、
 彼は母親に激しい虐待を受けて育ったのでした。

  その内容は壮絶なものでした。そんな中で自力で大学を卒業し、東京の大企
 業に就職したそうです。当時の話は田舎から出た事のない私には華やかで、憧
 れでした。そんな彼が会社を辞め、地元を遠く離れて、誰一人知り合いの居な
 い土地へ流れて来たいきさつは、彼は決して語りませんでした。

  「自分はあの母親のようには絶対になりたくない」と言う彼は、いつも困っ
 ている人を見つけては助けていました。正義の味方のような彼のことを「今は
 こんな田舎でこんな仕事をしているけれど、いつか成功して世に出る人だ…」
 そんな幻想を持って見ていました。

  誰も自分を知らない土地で、たった一人で生きてきて…それなのに人前では
 明るく、困っている人を助けて見返りを求めない…。彼は見ていて痛々しいほ
 どでした。私が彼を守ってあげなければと思いました。私たち2人だけが味方
 で、外の世界の人はみんな敵だと思っていました。とても小さな私たちの部屋
 は、まるで無人島のようでした。

 〈続く〉

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  このお話は、私が共依存という泥沼からやっと這い出した頃、自分と同じよ
 うな境遇の方へ向けて、書いていた手記を元にしています。表現もつたなく、
 知識も足りないけれど、あえてそのままで連載して行こうと思います。

 鬱・心理カウンセリング・自助グループ・アダルトチルドレンなどの本やサイ
 トを読みあさっていた時、ある女性のありのままの手記に辿り着き「私は一人
 じゃない、同じような経験をしながら頑張って生きている人がいる」と、リア
 ルにそう想えたからです。

 その女性の手記の中で、私は「彼女」でした。私の物語の中にも、今読んで下
 さっている「あなた」が居るかもしれません。
 そして今、愛するパートナーとしあわせに生きている「私」もまた、あなたの
 未来の姿かもしれないのです。


 最後までお読みいただいて、ありがとうございました。


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 ■発行責任者/小花(ちか)
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