討議用資料 その2
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親子と法〜ARTと親子関係
No. 20 討議用資料 その2
Agust 25 , 2008
Yasunao Kondo.Ph.D
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まぐまぐメールマガジンご愛読お皆さん、こんにちは
この度『親子と法〜ARTと親子関係』という題でメールマガジンを創刊
しました。このメールマガジンでは、ARTの発達に伴いこれまで考えられ
なかった親子関係も生まれていますが、その法制度の提案をしていきます。
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課題5 「禁止」であるにもかかわらず実施した場合の親子関係をはじめ人権
はどう確保するのですか?
「学術会議報告書」は自ら独自の「学術会議代理懐胎」概念を構想し、「学
術会議代理懐胎」をさせないようにするため、「法律による規制」として、行
政処分や過料をお考えのようです。そして、行政処分や過料を持って望めば「
学術会議代理懐胎」がこの日本の領域で存在しなくなる、とお考えなのでしょ
うか?それは、見込み違いです。行政処分や過料よりもさらに重い処罰である
死刑、懲役、禁固、罰金が科されると規定されている、殺人、傷害、暴行は現
在もなお日本に存在します。2006年度上半期で全国の警察が認知した刑法
犯の件数は99万7355件で、刑法典で罰を科すと明確に規定している諸行
為は、規定が存在するにもかかわらず、存在するのです。
仮に「医療者による自主規制」「法律による規制」をしたとしても、そのよ
うな規制の対象となる諸行為とそれによって誕生した子供は存在し続けるので
す。過料を払ってもよい、医師免許を取り上げられてもよい、とお考えの諸侯
には規制は何ら通用しないのです。
誕生した子供は通常の性交渉を経て誕生した子供と何ら変わらない人です。
「学術会議報告書」によれば、「学術会議代理懐胎」により「生まれた子の親
子関係については、代理懐胎者を母とする」(5) とのべておられる。そし
て、かような結論を援用した有力な根拠として「最高裁平成19年3月23日
決定」を挙げておられる。しかしこの事件は出生届書に記載されたる届出情報
を戸籍簿に記載してくれることを求めたにもかかわらず、行政機関が不受理処
分を課してきたため裁判になった事例です。そもそも出生届けを受理すること
は、「母子関係を確定する」という意味を含んでいるのではないのです。「出
生届というのは、申すまでもなく、子供が生まれたときにその子供について戸
籍に届出をすること」(6)であります。最高裁判所は「戸籍の記載は、人の
身分関係、変更、消滅の事実を公示するものであって、身分関係の変動が戸籍
の記載によって左右されるものではない。言い換えれば、戸籍の記載によって
人の身分関係が形成されたり、確定したりするものではない。」(7)といっ
ています。「最高裁平成19年3月23日決定」を持って母子関係が決まった
と考えるのは明らかに判例に違反しています。また、実際に提訴された女性は
今も子供たちの母として振舞っておられ、国は黙認状態です。
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(5)「学術会議報告書」ではその25頁で「本委員会では、結論として、代
理懐胎の場合であっても分娩者を法律上の実母と考えるのが妥当であると考え
る」と述べるが妥当ではない。
(6)我妻栄『ジュリスト』「戸籍セミナー」1956,1,1有斐閣
(7)昭和28年4月13日最高裁判決、民集7巻4号396頁
課題6 海外で「学術会議代理懐胎」を実行した場合の問題点〜関係者
をどのように処遇するのか?
国外に出る、言い換えると他の国の領域内に入るという行為は、当該国の法
に服する、という意味です。これは領土主権の一種で領土主権は「領土の領有
権・処分権を基本としますが、それだけでなく、国家が他国からの干渉を受け
ずに、領土内の人または物を排他的に支配する権利を含みます。」(8)「学
術会議報告書」は平成19年3月23日決定を持って、母子関係が決まった、
すなわち米国にいる米国人に対して日本法を課し、日本法では「分娩者が母」
だから、当該子供たちにとってアメリカ人が母だ、と本気でお考えなのでしょ
うか?少なくとも「学術会議報告書」を読む限りこうなのですが、まさか国会
議員様はこのようなことを本気でお考えではないでしょう。米国にいる米国人
にはその州議会で議決を見た州法があり、その法律に服するのです。その州法
で母ではない、と判決が出ている女性になぜ日本法をさらに課し、しかも日本
法では「分娩者が母」だから子供たちにとって米国人分娩者が母だ、といえる
のでしょうか?
ところで、最近インド女児に関するニュースが世界中の話題になってきてい
ます。外務省は「分娩者が母」で、どうやら分娩した女性はインド人のようだ
が、出生証明書に当該女性の名が記載されてないようなら出生届は受理できな
い、と回答したようです。日本の国籍法は
(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は
国籍を有しないとき。
と規定していて、平成20年6月4日の国籍法違憲判決により、父の認知の効
力は出生前と出生後とで区別はなくなっているのであり、この最高裁判決でま
だ法改正はなされていませんが、パスポートはなくても渡航許可証は発行でき
るはずです。それを外務省や法務省がしなかったのは平成19年3月23日決
定を持って母子関係が決まった、と考えたからにほかなりません。平成19年
3月23日決定はこのようなケースにおける親子関係の決定には使えないので
す。「ある国では親子であるが,他の国においては親子ではないという,足皮
行的な身分関係の発生は望ましくない」(9)のです。子の福祉を第一に考え
た法制度とはどういうものでしょうか?
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(8)長瀬二三男『国際法の解説』一橋出版株式会社、2007年9月20日、
32頁
(9)松岡 博『国際家族法の理論』大阪大学出版会、2002年3月20日、
30頁
課題7 生殖細胞は誰に帰属しますか?
生まれつき子宮のない女性、自己の卵子がもはや生殖に使えない女性、乏精
子症、射精不全の男性などが挙児をご希望の場合、生殖医療技術の支援が不可
欠です。現在の日本ではこの生殖医療をどのように使うかが問題になっていま
すが、より円滑に生殖医療を実施し、もって上述のような挙児をご希望方々の
ご要望に応えるには、斡旋サービス、カウンセリングサービス、法律サービス
があればなおよいでしょう。
さて、卵子、精子、これは私たちの体内にある生殖細胞です。私たちの爪や
髪の毛、これらは生殖細胞ではありませんが私たちの体にある細胞です。爪や
髪の毛の細胞をコントロールする人は誰ですか?手足の爪は自分で切れます。
私たちは自分の爪を切る時、いつどのように切るかは自分の能で考えて切るこ
とができ、これは至極自然なことです。では、髪の毛はどうでしょうか?私た
ちは、髪の毛を切るとき理髪店や美容室に行きます。自分が行こうと思ったと
き、行ける時にいきます。理容師さん、美容師さんに整髪してもらいます。切
り落とした髪は誰に帰属しますか?そんなことは決まっています。理容師さん、
美容師さんではありませんね。髪を切ってほしかった人です。その人が、切り
落とした髪を持って帰る、といえば理容師さん、美容師さんはそれを拒否する
ことはできません。ただ、ちょっと変わった人だな、と思われるかもしれませ
んが・・これは、切り落とした髪は髪を切ってほしかった人に帰属しているか
らです。では、精子、卵子は誰に帰属するのですか?当該精子、卵子を体内に
現に保有している人に帰属します。ただ、これらを対外に取り出す場合、精子
はともかく卵子は医者の介助が不可欠です。医者に介助していただくので、医
者の価値観が入ってくる余地があるのですが、基本的に自分の卵子・精子は自
分でコントロールすることができるのです。それは、理髪店・美容院で切り落
とした髪の毛を切り落とす前の当該人の意思に反して、理容師・美容師が処分
することはできないのと同じ理屈です。では、
問1 体外に取り出した精子・卵子は誰に帰属しますか?
問2 体外にとり出した精子・卵子を他人に譲渡した場合、当該精子・卵子
は誰に帰属しますか?
問3 体外に取り出した精子・卵子を医療機関で保管していただく場合、保
管先の医療機関の責務と保管依頼人の責務はどうなっていますか?
間4 地震、火災など、不可抗力で精子・卵子が死滅した場合、どのよう
に解決しますか?
問5 体外にとり出した精子・卵子を他人に譲渡した場合、譲渡元の人物と、
譲渡先の人物には、どのような権利・義務・責任がありますか?
課題8 体外にある生殖細胞の民事法上の位置づけは?
卵子、精子を体外に取り出す医療技術が存在することは周知のとおりです。
では、体外に取り出した精子、卵子、そして精子と卵子を受精させた胚は、民
事法上どのような位置づけをすべきでしょうか?思考の筋道は、大別して2つ
です。
(1)まず第一は、既存のカテゴリーの中に組み入れる。
(2)次に第二点目は、新しいカテゴリーを構想する。
です。それではまず、既存のカテゴリーの中に組み入れる方法を検討してみま
しょう。現行の日本国民法は、4つの編から構成されておりそれらは
第1編総則 第2編物権 第3編債権 第4編親族 第5編相続
です。どの編に組み入れるのが一番妥当でしょうか?まず、到底関係なさそ
うな編から除外していく、消去法で取りかかってはどうでしょうか?第1編総
則と第5編相続は関係なさそうです。残りは第2編物権、第3編債権、第4編親族
です。このうち第3編債権は債権と債務、要するに物を媒介にした「人と人との
約束」について規定している編であり、これも除外するところのようです。で
は、残りは第2編物権と第4編親族が候補です。胚は子宮に着床すれば、いずれ
人になります。妊娠が通常に進行すればの話ですが。では、いつから人とみな
すべきでしょうか?私たちはこのようなことを、実は、学術会議にほのかな期
待を抱いていました。彼らが保有する情報と知力を持ってすれば、容易に説明
できることでした。ですが、彼らはしませんでした。所詮はひとごとだったの
です。さて、本題の続きです。第4編親族では、民法では「親族」を
6親等内の血族
配偶者
3親等内の姻族
と規定し、親族を他人とは異なる関係と考え、それそれ相互の権利・義務・責
任を規定している編です。一方、精子、卵子、胚は将来人になる可能性を秘め
ていますが、それ単体ではすぐに腐敗してしまいます。生命があるといってよ
いかどうかも、疑問です。ですから、精子、卵子、胚を第4編親族のカテゴリ
ーに入れるには、苦しいです。残るは物権です。精子、卵子、胚(10)を物権の
対象とみなす、という考え方に皆さんは賛成できそうですか?それとも、物権
法のカテゴリーに組み入れるのは無理があるとお考えでしょうか?
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(10)深尾正樹(京都産業大学教授刑事訴訟法専攻)は「受精卵は物ではない
から、破壊しても器物損壊罪(刑261条)は成立しない、との説を唱える」
:http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~fukao/lecons/07-2-DPS/resume02.
pdf参照;アメリカでは説が分かれる。
イリノイ州最高裁では、胚は人であるとし、アリゾナ州最高裁では物、とした。
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