映画から学ぶアートな人生 RSSを登録する

大ヒットするのは、メディアで大量宣伝された作品ばかり。でもその多くはその場限りのアトラクションのようなもの。映画も文学やその他のアートと同様、人生を豊かにするものです。そんな立場からの映画批評です。

  • 周期 週刊
  • 最新号 2007/11/10
  • 発行部数 31
  • マガジンID 0000243644
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2007/11/01

元気をもらえるドキュメンタリー映画「オハイエ」

・・・・元気をもらえるドキュメンタリー映画「オハイエ」・・・・

                           文責 ホサカ・カオル 

 今回は「オハイエ」というドキュメンタリー映画(監督 菊地昭典、製作 映画とってお
きの音楽祭製作委員会)を紹介します。
 これは、普通の映画館で一般公開される作品でなく、映画を観たい観せたいという人た
ちが、地域のホールや学校を使って、手作りの上映会を行い、普及していくという上映ス
タイルをとっています。

 この作品が描くのは、障害のある人もない人も共に音楽を楽しもうと、2001年に仙台市
で始まった「とっておきの音楽祭」。この音楽祭は、その日一日、仙台市の中心街のいた
るところを音楽ステージにして行なわれるというところに特徴があります。
 これまでも障害者による音楽祭は各地で行なわれてきました。しかし、コンサートホー
ルという閉じられた空間で行なうのが一般的です。「ホール」というバリアさえ取り払い
、真のバリアフリーをめざそうというのが、この路上ライブによる音楽祭なのです。

 映画は、2006年6月に行なわれた第6回音楽祭のオープニング直前からフィナーレまで
の一日の様子を撮影したものです。23ヵ所のステージ、全国から集まった196の参加団体
、約14万人の観客(通行人を含む)。映画は、様々な障害を持つ表現者たちの姿とそれを
聞く観客たちの表情を、ひとつひとつ丹念に映し出します。

 その中でも、とくに三人の若者たちの姿が印象的に描かれます。ウィリアムズ症候群の
障害のあるプロの笙(しょう)演奏家のYUUくん。天使が舞い降りたような美しい音色で
リコーダーを吹くダウン症の知子さん。「障害」のゆえに独自の音楽世界を作り出す二人
の音楽を聴いていると、まさに「障害は個性である」ということを納得させられます。
 そしてもう一人脳性麻痺のシンガーソングライターluluくん。6年前、立つことすら困
難であった彼は、少しずつ身体機能を獲得していき、今回は音楽に合わせてダンスまで披
露してしまいます。音楽をやりたいという強い意志、音楽のチカラが、医者に「奇跡」と
言わしめるほどの「回復」を可能にしたのです。

 主催者がめざすのは、アートを通じた社会のバリアフリー。その日、仙台には、障害の
ある人もない人も、それぞれの個性と能力を活かして、自己を表現し、共に音楽を楽しむ
至福の空間があらわれます。「みんなちがってみんないい」というフレーズがまさに現実
のものとなるのです。たとえわずか12時間の出来事であっても、そんな世界がいまここに
現実化したのだという確信が、私たちによりよい社会への希望と励ましを与えてくれるの
です。殺伐とした時代だからこそ観てほしい。とにかく元気をもらえる映画です。

 製作者側は、全国各地での上映運動に取り組んでいます。
 詳しくは、http://www5b.biglobe.ne.jp/~totteoki/ohaie.htm まで

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