中国調達とものづくりの現場から  RSSを登録する

キャリア15年の産業機械部品現役バイヤーが、中国調達とものづくりの現場でで経験したこと、感じたことを綴ります。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/11/17
  • 部数 797部
  • メルマガID 0000241825
  • 個別ページ
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2009/11/17

中国調達とものづくりの現場から第121号

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         中国調達とものづくりの現場から
                       発行者 Zhen
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<<<発行者プロフィール>>>
大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、
産業機械部門の工場バイヤーとなり、現在キャリア15年の現役バイヤー。

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 第121号 少ないから安く買える!
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「うちの購入額なんて、A社(=サプライヤー)の販売額の1%未満、
担当の営業マンの販売額の5%にも満たないですよ、
だからネゴしたって、まともに相手になんてしてもらえませんよ。
『いやなら買ってくれなくていいですよ』、そんな雰囲気ですよ。」
こんな泣き言を若いバイヤーがする、いやかつて僕もしていた。
「購入量が少ないから、安く買えない。」
多くのバイヤーが口にする言い訳だ。

コメント1:「Zhenさんの仕事は、年数回、突然に話が来ますからね。
とても営業予算には入れられませんよ。だからおいしいんですよ。」
(受注生産のプラント機器の部品サプライヤーの営業マン談)
コメント2:「量があるから大変なんですよ。値上げのときだって、
サプライヤーの営業マンは真っ先に来ますよ。」
(自動車メーカの鋼材担当バイヤー談)
コメント3:「何度、値を下げてきたって、家電量販店の販売員が提示する金額には、
仕入れ金額に+αが含まれているから、
さらにネゴって、こちらの言い値で買う、それが最安値で買う秘訣よ。」
(買い物上手な主婦談)

3件のコメントを羅列した。これが何を示唆しているか考えて欲しい。
僕なりの解説をする。
コメント1について、僕は当初、予定していた売上高の+αになるから
「おいしい」のだと思っていたが、それは間違いだ。
営業予算に盛り込む確度の高い案件で、
すでに固定費は吸収している。
だから予算外の僕からの案件は、
販売額から変動費を差し引いた粗利がまるまる利益になる。
だからそれなりに安値で販売しても「おいしい」のだ。

コメント2について、簡単に言えば事例1の裏返しだ。
サプライヤーの販売額の相当割合を占める主要顧客、
その取引で固定費を回収し、利益を出さなければ、
サプライヤーの経営は破綻してしまう。
だからサプライヤーの経営への影響力の大きい、
つまりバイイングパワーのあるバイヤーだから、
とびきりの安値が引き出せるといったロジックは成立しない。

コメント3について、専門知識も何もない主婦が、
本能的に売買のミソを嗅ぎつけてしまった、そんな話だ。
販売員は仕入金額そのものを提示することはありえない。
必ず+αがある、その+αこそ販売店の固定費・利益(粗利)だ。
販売機会を逃してしまえば粗利はゼロになる。
だから販売員にとっては、販売機会を逃すよりは、
更なるネゴに応じてでも売るメリットがある。

サプライヤーの経営を左右するほどの購入額のあるバイヤーの意向、
それをサプライヤーは無視できない。
だから利益を削り、
非キャシュフローの固定費(おもに減価償却費)の回収を放棄しても
バイヤー企業との取引を継続しようとする。
だから安く買える、これは正論だ、そしてだれでも考えるロジックだ。

しかしサプライヤー側の理屈は逆かもしれない。
安定的な受注が見込め、額の大きい取引で、
固定費を回収し、利益を生まなければ経営は破綻する。
逆に不定期で、額の小さい取引に固定費の回収を期待するとしたら、
その経営は不安定で、脆弱なものになる。

だから、
「取引額が少ないと割高な単価が設定されてもやむを得ない」
というのは、バイヤーの錯覚だ。
そして不定期、小額の取引だから高めの価格設定が通用する
そのように考えているサプライヤーの営業マンには、
それが誤っていることを、正さなくてはならない。

もちろんそれにはいくつかの障害がある。
第一に、サプライヤーによっては、
変動費に一定以上の粗利をONしないと受注できないシステムを
組んでいる会社がある。
これは売上至上主義の暴走から利益確保への転換のためだろう。
(僕の会社の営業部門もそのようなシステムになっている。)
しかし、これは「利益率」を確保しているだけで、
「利益額」の確保といった本来の目的を見失っている。
だから、そのことをズバリと指摘しなくてはならない。
それはサプライヤーにとっても、ためになることだ。

第二に、固定費の回収を無視した破格の見積を発端に、
製品価格の値崩れへの危惧だ。
これは重い、特に汎用品ともなれば、
その波及効果を心配するのは無理もない。
しかし、取引が小さく周囲が注目しないからこそ、
価格の機密が保持されると言うべきだろう。

最後の障害は、このバイヤーの持ち出した、
バイヤーのためのロジックを理解しないサプライヤーへの制裁を
用意できるか、ということだ。
つまり、このロジックを理解して、
小額取引だからといって、コストダウンに応じなかったとき、
「転注」と言う制裁を加えられる準備、
つまり競合環境を整えなくてはならないことだ。

どんなことを為すにも障害はある。
しかしそれを乗り越えなくては、
「小額取引なのに破格の安値発注」と言う、
(ほんとうは「小額取引だから破格の安値発注」)
常識を覆す境地には達することはできない。

じゃあ、どうやって障害を越えるか?
それは次回に、乞う、ご期待!


★★★Zhenのひとりごと★★★
 「イメージの中のバイヤー」
最近、産業機械部品のバイヤーなんて職から、
もっとも遠いいところにいる女性から
バイヤーから抱くイメージを聞かされた。
(その女性はいわゆるメル友、会ったことはもちろん、話したこともない。
僕が趣味で撮り続けている中国の写真と文を見てくれている。)
彼女曰く、
「スーツを身にまとい、サングラスかけていたりして、
理知的だけど、冷たくて、怖い人」
ある意味驚きだし、納得だ。
まだまだ一般人のバイヤーに対するイメージは、
「弱い立場のサプライヤーを締め上げ、時には激しく恫喝する。」
こんなマイナスイメージが先行している。

実際の僕は普段はスーツを着ない、作業服だ。
ただ、屋外ではサングラスしていることが多いが、
仕事は大抵薄暗い工場の中だから、仕事中サングラスってこともない。
ちなみに雑誌に掲載された僕の写真を見ての彼女の第一声は、
「ふつうのおっちゃんだ!」であった。


★コラム連載中!!
株式会社サーチナの運営する日本最大の中国情報ポータル「中国情報局」に
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毎週火曜日15時30分頃更新です。ぜひ、ご覧になってください。
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★僕の読んでいるメルマガ、ブログです。みなさんも読んでみてください。

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『街角で見た!プチ中華思想』
中国にとけ込もうと努力した結果、
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『世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文』(ブログ)
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現役バイヤー兼調達・購買研究家の坂口孝則さんのブログです。
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「機械部品調達バイヤーの書くブログ」の筆者が、ブログを再開。
バイヤーの日常を描いた必見のブログです。
http://d.hatena.ne.jp/suttakata/

『設計魂と購買魂』
日経ものづくりTech-On!に、
購買界の重鎮 野町直弘さんが寄稿するコラムです。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090706/172641/

『週刊 戦略調達』
調達・購買部門マネジメントのプロ集団、株式会社 戦略調達が、
最新トピックスから、部門マネジメント、コスト削減のヒントを紹介しています。
http://www.mag2.com/m/0000288812.html

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