2009/11/10
中国調達とものづくりの現場から第120号
○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ 中国調達とものづくりの現場から 発行者 Zhen ○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ <<<発行者プロフィール>>> 大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、 産業機械部門の工場バイヤーとなり、現在キャリア15年の現役バイヤー。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 第120号 全力でぶつかることで見えてくる世界 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 正直に告白しよう。 僕はバイヤーになったときから、 サプライヤーとのWin-Winを目指していたのか? 答えはNo!だ。 僕がバイヤーになりたてのころ、 サプライヤーの利益を剥ぎ取ることに全力だった。 そもそも、サプライヤーの営業マンだってプロ、 僕のような青二才のバイヤーに素っ裸にされるわけないと思っていた。 どんなに僕が追い詰めたって、 ちゃんと利益は確保している、そう思っていた。 その日も僕はキリキリとサプライヤーの営業マンを締め上げていた。 利益をたっぷり含んだ見積から利益を搾り取る、 それは二つに切ったレモンから滴る果汁を グラスの中に注ぐような心地よい作業だった。 ところが、突然に、堰を切ったように営業マンが口を開いた。 「要するに、こうやって我々サプライヤーを締め上げ、 ここまで利益を搾り取りました、と、上司に報告することが、 あなたのポイントになり、評価になるんですか!」 その言葉が、厳しすぎるネゴから苦し紛れに発せられたものか、 Win-Winとか、利益の創出とかといったことを まったく理解しないバイヤーへの絶望から発せられたのか、 そのいずれなのか、僕にはわかるはずもなかった。 しかし、当時の僕にはVA提案をしてくるサプライヤーに対し、 「お渡しした図面、仕様の見積が欲しいんですよ。」 と、冷徹に突っ返すバイヤーだったのではないだろうか。 そして、僕は営業マンを締めて、締めて締め上げても、 届かぬ予算や進まぬコストダウンという壁にぶち当たった。 それから更に時間が経過して、僕は中国の国営企業に、 あるプロジェクトの現地責任者として駐在していた。 その合作パートナーの国営企業は巨大すぎた。 どうしようもなく巨大かつ強力で、何を言っても動じなかった。 連日、厳しいネゴシエーションが続いた。 とことん自分の無力さを感じた。 そんな中で見えてきたことは、 巨大な国営企業は僕の力では動かせない、 国営企業が望む方向、つまり自らの力で動こうとしている方向と、 僕の目指す方向と重なる線を見いだすことが、唯一僕にできることだ。 それには相手が何を考え、何を望んでいるのかを徹底的に知ることである。 僕にとってのWin-Winの原型だった。 どんなに体当たりしてもびくともしない壁、 それでも、その壁の向こう側に行かなくてはならない、 どうしても行きたい。 体当たりに疲れ、壁の前でへたり込んでしまったときに、 幻覚のように姿を現したのが、Win-Winだ。 僕にとって、それまでのプロセスはムダではなかった。 全力でぶつかっていなかったら見えてこなかっただろう。 また、巨大で強固な壁がなかったら、やはり見えなかっただろう。 だからと言って、若いバイヤーに同じ道を辿れ、などと野暮は言わない。 しかし、Win-Winは書物では学べない、実体験の中で学ぶものだ。 今回は、すっかり精神論になってしまった。 次回はリアルな現場考を目指します! ★★★Zhenのひとりごと★★★ 「みんな我慢してきたんだ、お前も我慢しろ!」 最近は、こんな言い方をされることはなくなった。 むしろ、後輩にこんな言い方をしないように気をつけている。 もお、ずっとむかし、僕が会社に入ったばかりのころ、 5時の終業時間になっても僕は帰れなかった。 掛かってくるか、来ないかわからない電話番のためだ。 当時は携帯電話なんて便利なものはなかったから、 5時過ぎたからといって、 役員に掛かってくる大切なお客様の電話に 無機質な留守番電話で応対するのは失礼だ、 そんな僕にとってはくだらない理由からの電話番だった。 どのみち役員はいない、いれば秘書課長が残っているのだ。 「仕事があるなら残りますよ、何時までだって!」 僕は先輩社員に不満をぶつけた。 当時のことだから、当然残業手当なんて支払われない。 別に手当てが欲しかった訳ではない。 当時、僕は実業団の陸上選手だったから、 早くグランドに出たかったのだ。 (と、言っても、実は早く練習して、早く帰宅したかったのだけど。) 「みんないろんなことで、我慢しながら頑張っているんだよ。 だからお前だって、我慢しなくちゃ、ダメなんだよ。」 そう、先輩社員に諭されると、納得するしかなかった。 でも、今、考えてみても、先輩はやっぱり間違っている。 我慢するようなことは、改善しなくちゃいけない。 自分が改善できないことを棚に上げて、後輩に我慢させるだけでなく、 改善のきっかけも摘んでしまっているのだ。 この年になると後輩や部下から、不満を聞くことは多い。 その不満が真っ当なものでも、解決策を示せないとき、 僕は、この一言を飲み込んで、 ただ、ただ、しどろもどろになってしまう。 それでも、この一言を飲みこむ自分にほっとしている。 ★コラム連載中!! 株式会社サーチナの運営する日本最大の中国情報ポータル「中国情報局」に コラム「誰も知らない中国調達の現実」の連載中です。 毎週火曜日15時30分頃更新です。ぜひ、ご覧になってください。 http://news.searchina.ne.jp/topic/408.html ★僕の読んでいるメルマガ、ブログです。みなさんも読んでみてください。 『世界の工場・中国の実状から学ぶ工場改善手法』 中国で工場改善・品質改善指導を行なっている 改善コンサルタント根本隆吉さんが、 中国の実状とそれへの対応の考え方、方法をレポートしています。 http://www.mag2.com/m/0000150862.htm 『街角で見た!プチ中華思想』 中国にとけ込もうと努力した結果、 中国人と結婚してとけ込みすぎたDunさんの中国生活を紹介! 日本ではあり得ない「中国の普通」を独自の視点で紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000147549.htm 『広州の路上から』(ブログ) 広州で生活する元ぶんやruruchanさんが日常を鋭く描くブログです。 http://d.hatena.ne.jp/ruruchan/ 『世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文』(ブログ) ちょっと挑戦的で過激な 現役バイヤー兼調達・購買研究家の坂口孝則さんのブログです。 http://buyer.blogzine.jp/blog/ 『「買う」を楽しむバイヤーのブログ』 伝説の資材調達ブログ(ちょっと大袈裟か?) 「機械部品調達バイヤーの書くブログ」の筆者が、ブログを再開。 バイヤーの日常を描いた必見のブログです。 http://d.hatena.ne.jp/suttakata/ 『設計魂と購買魂』 日経ものづくりTech-On!に、 購買界の重鎮 野町直弘さんが寄稿するコラムです。 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090706/172641/ 『週刊 戦略調達』 調達・購買部門マネジメントのプロ集団、株式会社 戦略調達が、 最新トピックスから、部門マネジメント、コスト削減のヒントを紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000288812.html


