2009/10/20
中国調達とものづくりの現場から第117号
○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ 中国調達とものづくりの現場から 発行者 Zhen ○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ <<<発行者プロフィール>>> 大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、 産業機械部門の工場バイヤーとなり、現在キャリア15年の現役バイヤー。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 第117号 価格破壊と価値崩壊 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 最近ジーンズの価格破壊が再びはじまったと報道されている。 1,000円を切った990円を歯切りに890円・・・・・・・・・・・と、 終わりを知らないがの如く価格が破壊されていく。 この報道を見たとき僕は、この驚異的な価格を実現したバイヤーの努力に おなじバイヤーとして敬意を感じた。 この驚異的なコストは、一瞬のひらめきで実現したとは思えない。 バイヤーの執拗なまでの地道な積上げによって生れたのだと僕は思う。 もちろん、この価格は海外調達(海外生産)によってもたらされた。 結局、こうやって「安さ」ばかりを追求して行くと、 日本製造業の空洞化を後押しし、雇用機会は減少し、 デフレスパイラルをまっさかさまに転げ落ちることになる。 と、言った批判があるのも承知しなくてはならない。 また、ジーンズには1,000円をはるかに超える価値があったはずだ。 それが、こんなものが出現すると、「モノ」の根本的な価値が下落してしまう。 僕はストレートに非難されたこともある。 「お前らが、目先のカネに目が眩んで、中国製の粗悪品ばかり買ってくるから モノの価値とか、製品の品格とかってものがなくなっちゃったんだよ。」 「なんでも、かんでも仕事を中国に持っていっちゃうから、 失業者とかワーキングプアーとかって奴が生れる。 結局お前らが粗悪品といっしょに貧乏まで輸入しているんだよ。」 ある意味、耳の痛い(批判を厳正に受け止めなくてはならない)面もある、 しかし、これは「保護主義」、「負け犬の遠吠え」にも聞こえる。 正論では経済の流れは止められない。 いくら正論を唱えても、多くの大衆は安く良質なジーンズを買う。 そこには「モノの価値論」なんて関係ない。 だからバイヤーは、大衆の、顧客の求めるものを買い続ける。 メーカは作り続ける。ただ、それだけのことだ。 耳が痛いと感じるのは、「ほんとうそれでいいのか?」といった気持が、 消え去ることはないからである。 かつて僕は100円ショップに行くと悲しい気分になった。 これらのモノづくりに携わった人たちのことを考えると、 そう考えずにはいられなくなった。 その裏には、付加価値以下の低賃金で働く労働者の影がチラついたからだ。 バイヤーの限られた利益の徹底した略奪を連想したからである。 しかし、今は違う。 僕はコストを作る、ということに価値を見いだしている。 言い換えれば、利益を創出することに価値がある。 価格破壊の裏には、地道な利益の創出、 もっと簡単に言えばムリ、ムダ、ムラの排除があったはずだ。 利益の略奪だけで、あんな驚異的な価格が実現するだろうか? 何も高価上質なモノづくりだけが価値あるのではない。 低廉適質なモノづくりにだって、価値も誇りもあってよい。 バイヤーの責務は、利益の創出であって、利益の略奪ではない。 ★★★Zhenのひとりごと★★★ 「長~く働くことの意味」 派遣切りとか高い失業率が問題となっている反面、 正社員として残った者の長時間労働は、表面化していないが結構根深い。 それは単に「サービス残業」や「過重労働」といった問題ではない。 ちょっと前まで長時間労働を美徳とするかのような風土さえあった。 それが最近、長時間労働者は、無能だと言わんばかりになっている。 原因は画一的な時短への取り組みに起因しているかもしれない。 しかし、本当に大切なことは、 「長時間やってでも成し遂げたい仕事をやっているか、 時間で測って欲しくないほど仕事に愛着を持ってのめりこめているか。」 これじゃないかと思う。 こういった根本的なことを無視した議論は無意味だ。 ★コラム連載中!! 株式会社サーチナの運営する日本最大の中国情報ポータル「中国情報局」に コラム「誰も知らない中国調達の現実」の連載中です。 毎週火曜日15時30分頃更新です。ぜひ、ご覧になってください。 http://news.searchina.ne.jp/topic/408.html ★僕の読んでいるメルマガ、ブログです。みなさんも読んでみてください。 『世界の工場・中国の実状から学ぶ工場改善手法』 中国で工場改善・品質改善指導を行なっている 改善コンサルタント根本隆吉さんが、 中国の実状とそれへの対応の考え方、方法をレポートしています。 http://www.mag2.com/m/0000150862.htm 『街角で見た!プチ中華思想』 中国にとけ込もうと努力した結果、 中国人と結婚してとけ込みすぎたDunさんの中国生活を紹介! 日本ではあり得ない「中国の普通」を独自の視点で紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000147549.htm 『広州の路上から』(ブログ) 広州で生活する元ぶんやruruchanさんが日常を鋭く描くブログです。 http://d.hatena.ne.jp/ruruchan/ 『世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文』(ブログ) ちょっと挑戦的で過激な 現役バイヤー兼調達・購買研究家の坂口孝則さんのブログです。 http://buyer.blogzine.jp/blog/ 『「買う」を楽しむバイヤーのブログ』 伝説の資材調達ブログ(ちょっと大袈裟か?) 「機械部品調達バイヤーの書くブログ」の筆者が、ブログを再開。 バイヤーの日常を描いた必見のブログです。 http://d.hatena.ne.jp/suttakata/ 『設計魂と購買魂』 日経ものづくりTech-On!に、 購買界の重鎮 野町直弘さんが寄稿するコラムです。 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090706/172641/ 『週刊 戦略調達』 調達・購買部門マネジメントのプロ集団、株式会社 戦略調達が、 最新トピックスから、部門マネジメント、コスト削減のヒントを紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000288812.html


