中国調達とものづくりの現場から  RSSを登録する

キャリア15年の産業機械部品現役バイヤーが、中国調達とものづくりの現場でで経験したこと、感じたことを綴ります。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/11/24
  • 部数 801部
  • メルマガID 0000241825
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2009/08/04

中国調達とものづくりの現場から第106号

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                    中国調達とものづくりの現場から
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<<<発行者プロフィール>>>
大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、
産業機械部門の工場バイヤーとなり、現在キャリア15年の現役バイヤー。

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 第106号 結局VAを進めると仕事が減ってしまう悲しい現実
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僕の日本でのサプライヤーとの打合せ、
その多くはVAに関するものだ。
個別の価格折衝や納期調整、
そういったものは国内の担当者に任せている。
はっきり言って、担当者の出した答えが、
僕はベストだと信じている。
中国のサプライヤーに関しては、僕が直接に担当しているので、
僕の出した答えがベストだと確信しているし、
そうでなければならないと思っている。
それだけに安易な結論など出せない。

話がすっかり横道にそれてしまった。
VAのことを書かなくてはならない。
サプライヤーとのVA活動は、
バイヤー企業、サプライヤー共にハッピーになれると思われている。
サプライヤーの製造原価を縮減し、
サプライヤーの利益を削ることなく発注価格を下げる。
僕が「コストダウンのことで、打合せしたいのですが・・・・」
と、切り出すと、大半のサプライヤーは、
「結局、我々の利益を削れ!ってことですか?」
といった反応が返ってくる。
「いや、いや、違うんですよ・・・・・。」
と、僕はVAの話を切り出す訳だ。

こうしてサプライヤーの技術者とVAを進めていくのだが、
どうしても僕の場合、
VA≒加工工数の低減といった図式ができてしまう。
(もちろんそれだけではないのだが・・・・)
VAで発注価格が下がっても、サプラヤーの利益は減らない。
むしろVAに知恵を絞ってもらった分、
利益が増加するものでなくてはならないと思う。
加工時間が短縮され生産余力が生まれれば、
新しい仕事が取り込める右肩上がりの時代はそれでよかった。
でも、今は工場の定時間稼働の維持すら危ぶまれている時代だ。
VAの結果、作業者の仕事量は減っていく、
その先にあるのは人員整理であったりする。
たしかにサプライヤーの収益性は向上し、
経営者はハッピーかもしれない。
しかし、失業した作業者は?
何か、格差社会を助長している気がしないでもない。
そんなことまで、バイヤーは考える必要なし!
と、言ってしまえばそれまでの話なのであるが・・・・。

こんなことを、なぜ考えだしたのか?
ある零細のサプライヤーの社長と僕はVAの打合せをしていた。
社長夫婦と従業員2~3名の零細企業だ。
彼は僕とのVA活動に協力的であるし、僕と打合せをしていると、
「よしっ!やるぞ!」といった前向きな気持ちになると言ってくれる。
打合せの中で、こんな話が出てきた。
「この部品、確かにココを変更してもらえれば、
加工時間は2割くらい短くなりますよ。
でも、この部品、元々赤字なんですよ。
だから図面を変更してもらっても、
見積価格は、今までといっしょですよ。」
VAで知恵を絞り原価が下がっても
今まで通り赤字受注を続けろとは、言えない。
僕は、「うーん。」と考えてしまった。
そして思い切って言った。
「いいじゃないですか、
VAしても価格の変わらない部品が1点くらいあっても。
何も、この1点だけVAしようとしている訳じゃない。
御社とのVA活動トータルでのメリットで考えますよ。
少なくともうちが損することなく、
社長がハッピーになれるんだから。
でも、赤字なのに今までよくやってきましたね。」
「我々、賃加工屋は仕事あっての稼業だからね。
例えば8時間で終わらせないと赤字になる仕事がある。
どう計算したって10時間か、それ以上掛る。
赤字だから受注しないと言ったら、
仕事は無くなり、売上はゼロになっちゃう。
俺とかぁちゃんが5時以降は無給で残業すれば、
売上が入り、どうにかなる訳。
材料費プラスαがあれば、受注する価値はある。
もちろん、いつもそれじゃ倒産しちゃうけどね。」

我々バイヤーがコストダウンしなければ、
(コストダウンするのはバイヤーだけではないが)
バイヤー企業の商品は価格競争力を失い、
結局、仕事は減ってしまう。
(顧客が望みもしない機能を追加して、
価格を維持する時代は、すでに終わろうとしている。)
我々バイヤーは、コストゼロに向かって走り続ける
という選択肢しかないのである。
(コストゼロになることはないが)
だったら、どこまで走り続けられるか?
やってみようではないか!


★★★Zhenのひとりごと★★★
「自信を持って『できません!』と言う」
バイヤーなら誰でも経験あると思う。
現場からとんでもない納期の要求がくる。
例えば、金曜日の17時過ぎに、
「月曜の朝1番で××を現場につけてくれ。」
といったことだ。
「いくら何でも無理ですよ。」
なんて開口一番に言うと、
「何もしないで、ハナからできないと言うのか!」
と、十中八、九 叱られる。
でも、あえて反論したい。
できるあてもなく、期待させ、時間を浪費して、
結局、頑張ったけど、ダメでした。
というのが、プロの仕事か?と、言いたい。
プロなら、
「無理です。すぐに次善の策を考えましょう。」
と言うべきではないだろうか。
「頑張り」が評価されるのは、アマチュアの世界だ。


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