2009/07/28
中国調達とものづくりの現場から第105号
○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ 中国調達とものづくりの現場から 発行者 Zhen ○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○●○ <<<発行者プロフィール>>> 大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、 産業機械部門の工場バイヤーとなり、現在キャリア15年の現役バイヤー。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 第105号 見積価格より高値で契約するバイヤー ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「え、」と読者を思わせる表題だ。 「見積価格より高値で契約するバイヤー」とは、 何を隠そう、僕自身のことだ。 言葉の遊びではない。 サプライヤーの見積単価98元を赤ペンで105元に訂正した。 今後のコストダウンのための下げしろの確保ではない。 もちろん、バックマージンなんて怪しいことでもない。 ちゃんと上司にも一覧表で報告していることだ。 これだけでは読者には、何もわからない。説明しよう。 あるサプライヤーへの発注は、年2回を基本にしている。 (実際は追加発注が結構あるが・・・・・。) 営業部門の来期の販売予測をもとに 生産管理部門が部品の発注明細を作る。 それをサプライヤーにぶつけて、契約単価を決定する。 数年前までは、良くも悪くも価格変動要因が少なく、 あっさりと契約単価は決まった。 そもそも、サプライヤーの言い値(第1回の見積価格)で発注しても、 十分にコストメリットがあったのである。 ところが中国の人件費、為替(人民元) の上昇、 ついには原材料費の急騰と急落と、 毎回の単価決定は、双方が積算資料を持ち寄り、 図面を前にして、まる1日かけてのバトルになった。 以前は価格の折り合わない数点だけのバトルだったが、 最近は100品目をはるかに超える大半が対象になる。 すっかり前置きが長くなってしまった。 要するにサプライヤーの総経理の見積積算と 僕の価格査定がまったく折りあわないのだ。 断わっておくが、サプライヤーの経費はもちろん、 利益(内部留保など)まで、丸裸にして、 ちょっと下品に表現すれば、 お互いパンツまで脱いでのガチンコ勝負だ。 大雑把に言うと、彼の積算は、変動費が甘い。 材料の端材率やロスを考慮していない。 その分、経費を一律に水増ししている。 揉めに揉めた挙げ句、僕の査定価格が契約価格になった。 繰り返すが、彼の見積は材料の端材率やロスを考慮していない。 だから経費を一律に水増ししても、 本当に端材率が高く、ロスの大きい製品は、 僕の査定価格より安いのだ。 つまり僕の査定価格を一律に採用すると、 彼の見積価格より高くなってしまう製品が出てくる。 それを彼も承知してか、 「すべて僕の査定価格で」を条件に折れたのだ。 自分に都合の良いとこだけの良いとこ取りでは、 交渉はまとまらない。 この取引は「止める」という選択肢はなかった。 すべてがカスタマイズ品であるから、 価格が折り合わないといって、 他のサプライヤーに転注できるものではない。 事情はサプライヤー側も同じで、 この数百品目、数百万元(数千万) の受注がなくなれば、 経営に深刻な影響を及ぼす。 お互い片手を手錠で繋がれ、 殴り合いしているようなものなのである。 最後に蛇足だけれども、 総額では僕の査定価格の方が、安かったのは言うまでもない。 ★★★Zhenのひとりごと★★★ 「中国のエレベーターで」 中国のエレベーターに乗るとき、いつも気になることがある。 例えば、5階建の3階でエレベーターを待っている。 中国人は1階に行くのに上りでも乗ってしまい、 一旦5階まで行って戻って来る。 考えられる理由はひとつ、 ともかく乗ってエレベーターの中のポジションを確保しないと、 再び3階に下りて来たときは、 満員で乗れないかもしれないからだ。 ともかく、中国は人が多い、競争が激しい。 こんな環境でみんな育っているから、 そういった習性が身についてしまっているのか? 確かに、僕も中国の街中で商品を見て「欲しいな」と思ったら、 すぐ買うようにしている。 帰りでは売り切れてしまうことだってある。 (山積みになっていた商品が跡形もなくなっていたりする!) 確保できるときに確保する。 これが中国生活の基本なのかもしれない。 ★コラム連載中!! 株式会社サーチナの運営する日本最大の中国情報ポータル「中国情報局」に コラム「誰も知らない中国調達の現実」の連載中です。 毎週火曜日15時30分頃更新です。ぜひ、ご覧になってください。 http://news.searchina.ne.jp/topic/408.html ★僕の読んでいるメルマガ、ブログです。みなさんも読んでみてください。 『世界の工場・中国の実状から学ぶ工場改善手法』 中国で工場改善・品質改善指導を行なっている 改善コンサルタント根本隆吉さんが、 中国の実状とそれへの対応の考え方、方法をレポートしています。 http://www.mag2.com/m/0000150862.htm 『街角で見た!プチ中華思想』 中国にとけ込もうと努力した結果、 中国人と結婚してとけ込みすぎたDunさんの中国生活を紹介! 日本ではあり得ない「中国の普通」を独自の視点で紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000147549.htm 『広州の路上から』(ブログ) 広州で生活する元ぶんやruruchanさんが日常を鋭く描くブログです。 http://d.hatena.ne.jp/ruruchan/ 『世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文』(ブログ) ちょっと挑戦的で過激な 現役バイヤー兼調達・購買研究家の坂口孝則さんのブログです。 http://buyer.blogzine.jp/blog/ 『「買う」を楽しむバイヤーのブログ』 伝説の資材調達ブログ(ちょっと大袈裟か?) 「機械部品調達バイヤーの書くブログ」の筆者が、ブログを再開。 バイヤーの日常を描いた必見のブログです。 http://d.hatena.ne.jp/suttakata/ 『設計魂と購買魂』 日経ものづくりTech-On!に、 購買界の重鎮 野町直弘さんが寄稿するコラムです。 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090706/172641/


