2009/03/31
Best-buy~中国調達の現場から~第88号
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ Best-buy 〜中国調達の現場から〜 第88号 見積依頼を軽く見るな! 発行者 Zhen ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ <<<発行者プロフィール>>> 大学卒業後、重工メーカへ就職。本社管理部門に4年半在籍の後、 産業機械部門の工場バイヤーとなる。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 日本企業はどこもみんな生き残りを賭けて必死だ。 原価低減にも全社一丸となって取り組んでいる。 このことは悪いことではない。 しかし企業人として行動すれば、 それは経験、未経験に限らずプロフェッショナルなのだ。 「知りませんでした。」では許されない、責任が伴うのだ。 そんな中で、やたらとサプライヤーに図面を渡し、 見積をとる人が出てくる。 現行より安い見積を入手して、バイヤーをこき下ろす、 なんて悪意はまったくないのである。 悪意がないだけに、より厄介だ。 彼らが言うのは、「見積はタダでしょ、 少しでも多くのサプライヤーから取って機会損失をなくしましょうよ。」 見積はタダではないのだ。 サプライヤーが見積書を作るコストは発生している。 だから、やたらと見積をさせると、 いずれコストに転嫁されるなどと野暮なことを言いたいのではない。 サプライヤーがコストをかけるということは、 「より良い条件を提示すれば、受注できる。」と言う期待があるからだ。 すでに発注するサプライヤーが決まっており、 余程のことがない限りそれを覆せない、 要するに同じ土俵で戦えないにも関わらず競合させる。 そんな期待を弄ぶようなことをして良いわけがない。 そしい何よりも「図面を渡す」と言う事のリスクを 少しも解っていない。 長々となぜこんなことを書き連ねたかと言えば、 最近、こんなことがあった。 すでに僕の担当する中国のサプライヤーに発注を決め、 試作も完了した、あとは量産に着手するだけだ。 ところが、折からの大不況。 量産が中止に限りなく近い無期延期になってしまったのだ。 技術的に難しい面もあるにも関わらず、 かなりの短期間で試作完了まで漕ぎ着けてくれた案件だった。 僕はただ「申し訳ない。」と頭を下げるしかなかったのだ。 ところが、よりによってその案件の図面を流した人がいたのだ。 仮に若干安価な見積が提示されても、 すでに高額な金型を作っているから簡単には転注できない。 と、言うより発注の見込みのない案件なのだ。 そして、悲劇的なことは、その図面が廻りまわって、 すでに発注しているサプライヤーに流れたと言うことだ。 図面を渡し見積を依頼した当人は、 相手の生産能力やサブベンダーのことなど何も調べず、打合せもせず、 「見積はタダ!」と、安易に依頼したのである。 その事態の収拾に、僕はある日突然奔走することになったのである。 他の予定をキャンセルしても、迅速に動いたことで、 一応そのサプライヤーの営業経理(営業部長)は、理解してくれた。 僕の会社に対し不信感が、まったく消えたかと言えば違うと思う。 いつか、 「Zhenさん、あなたは信用できるが、あなたの会社は信用できない。」 と、言われたら、The END だ。 『先輩に敬意を払わない気風が勝利を呼んだ!』 WBCの日本優勝祝勝会のとき、 インタビュー中も次々とビールをかける後輩、 イチロー選手が喜びの中で、 「先輩に敬意を払わない気風が勝利を呼んだ!」 と、言った趣旨のことを話していた。 (もちろんジョークを含んだ発言だ。) 以前の日本は、いつも土壇場で勝利を逃していた。 勝利が確実視されればされるほど、 勝利への使命感は悲壮感に転化していったような気がする。 勝利への重圧を打破したのは、意識の変化だと思う。 「組織あっての個人」から「個人の集積が組織」へ。 のびのびとプレーする選手が集積したチーム、 それはしなやかで、したたかなチームだ。 一方、組織の枠組み(=先輩への悪い意味での敬意)を固め、 その中でプレーする選手、 それではガチガチに硬直したプレーしかできない。 このことを企業にあてはめてみたとき、 滅私奉公とは言わないまでも、 企業価値の向上が、そこで働く社員の価値を高める。 そんな発想では、世界的不況は乗り切れないかもしれない。 社員ひとりひとりのスキルアップの集積が、企業の価値を高める。 ふと、こんなことを想った日本のWBC連覇であった。 ★最後までお読みいただきありがとうございます。 ご意見、ご感想をお待ちしております。 (メルマガ配信のこのメールへの返信で) ★コラム連載はじめました!! 株式会社サーチナの運営する日本最大の中国情報ポータル「中国情報局」に コラム「誰も知らない中国調達の現実」の連載はじめました。 毎週火曜日更新です。ぜひ、ご覧になってください。 http://news.searchina.ne.jp/topic/408.html ★僕の読んでいるメルマガ、ブログです。みなさんも読んでみてください。 『世界の工場・中国の実状から学ぶ工場改善手法』 中国で工場改善・品質改善指導を行なっている 改善コンサルタント根本隆吉さんが、 中国の実状とそれへの対応の考え方、方法をレポートしています。 http://www.mag2.com/m/0000150862.htm 『街角で見た!プチ中華思想』 中国にとけ込もうと努力した結果、 中国人と結婚してとけ込みすぎたDunさんの中国生活を紹介! 日本ではあり得ない「中国の普通」を独自の視点で紹介しています。 http://www.mag2.com/m/0000147549.htm 『広州の路上から』(ブログ) 広州で生活する元ぶんやruruchanさんが日常を鋭く描くブログです。 http://d.hatena.ne.jp/ruruchan/ 『世界一のバイヤーになってみろ!!坂口孝則の本棚と雑文』(ブログ) ちょっと挑戦的で過激な 現役バイヤー兼調達・購買研究家の坂口孝則さんのブログです。 http://buyer.blogzine.jp/blog/ 『「買う」を楽しむバイヤーのブログ』 伝説の資材調達ブログ(ちょっと大袈裟か?) 「機械部品調達バイヤーの書くブログ」の筆者が、ブログを再開。 バイヤーの日常を描いた必見のブログです。 http://d.hatena.ne.jp/suttakata/



