疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!  RSSを登録する

今ある「健康法」に不満・「呼吸法」についての明確な方法論を知りたい・現代というストレス社会の中で「本当の自分」を取り戻したい。そんな悩みを抱えている方々に解決法を実践する場が「湧気塾」です。塾長のインタビューや稽古内容をお届けします。

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2009/11/27

身体哲学からの提言

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身体哲学からの提言
(旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」)


身体哲学研究所
http://body-mind-philosophy.org/

湧氣塾
http://www.you-ki-juku.co.jp/

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<身体哲学研究所通信第20号>

□■―目次―――――――――――――――――――――――――――――――

1.所長と研究員との対談 <研究員:槇島篤>第3回
2.湧氣塾からのお知らせ
3.塾長の著書の紹介

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みなさんこんにちは。
身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。
本日もメルマガをお楽しみください。


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1.所長と研究員との対談 <研究員:槇島篤>第3回
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このコーナーでは、所長とともに
身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、
所長との対談をお送りします。
今回からは槇島篤研究員との対談です。

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槇島篤研究員

鍼灸師、理学療法士、呼吸療法認定士フェルデンクライス・メソッド・プラクティショナー医療現場の中で
自分自身の身体的不調に対処出来ない者が大きな顔をして人を診ている事に疑問を持ち
様々に模索する中で所長の本『阿修羅の呼吸と身体』に出会う。
2008年呼吸身法に導かれるまま湧氣塾スタッフに加わる中で身体と人の生き様の関連性に気付かされ苦悩すると共に
身体哲学の重要性を日々認識している。
<所長からの一言>槇島君は理学療法士としてまた鍼灸師として長く医療の現場にいて様々な医療、医術の矛盾に直面してきた。
診断するだけではなく本当に身体を直す医術とはどういうものかということである。
これは、現代人における認識論と存在論の混同だといってもいいとても大切な哲学的テーマである。
彼には私の実践的身体哲学(呼吸身法)をベースにしたしっかりとした医術を身に付け、医療現場での変革を目指してもらいたい。
また、身体哲学研究所や湧氣塾の主宰する、今後の子供たちや老人の身体(身心)を改善するプロジェクトで
大いに活躍してもらいたいと思っている。

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槇島研究員:「ところで、私も所長の著書『「阿修羅」の呼吸と身体~身体論の彼方へ~』を
偶然読んで衝撃を受け、湧氣塾での稽古を始めて4年が過ぎようとしています。
湧氣塾の門をたたく前は、理学療法士として身につけた知識に、
野口整体や鍼灸、フェルデンクライスで得たやはり頭の知識を加えて、
身体の手ごたえが希薄なまま医療の現場でなんとなくやってきました。
このごろは、身体の感覚が、特に指先や手の平の感覚が全く変わり、
一人一人身体の不調な箇所に自然に手が行くようになり、
無意識のうちに最善の療法が行えるようになってきました。」

K:「それはすばらしいですね。
槇島さんは非常に勉強家ですが、
そうした知識や湧氣塾で学んだ身体の知恵をもつ身として眺めてみたとき、
現代の日本の医療現場はどう見えますか。」

槇島研究員:「身体についてテキストを読んでわかることというのは、
非常に限られているということだと思います。
現代日本はあまりにも西欧的頭脳知で作り出された医学的“医療”に偏り、
東洋的な身体知としての“医術”的医療を忘れてしまっていると思います。」

所長:「私はよくいうんです、日本文化の本質は身体性にあると。
だから日本の医術も身体性が高くないと継承できないんです。」

K:「なるほど。
そういえば最近は文化といってもサブカルチャーといういい方がよくされていて、
メインカルチャーがあやしくなっているようですね。」

所長:「マンガは日本のサブカルチャーとして立派なものだと思いますが、
やはり、メインカルチャーというかトータルカルチャーがしっかりとしていないと。
そのトータルカルチャーは、やはり日本の場合身体性でしょう。」

槇島研究員:「そういえば、お茶やお華や書から能、歌舞伎、人形、浄瑠璃。
琴、笛、尺八、三味線などの邦楽はもちろん代表的な日本文化は身体性ですね。」

K:「それに坐禅や武道。」

所長:「和歌や俳句のリズム感も私にいわせれば立派な身体性ですし、
当然建築や枯山水などの庭園、仏像などの彫刻や線を大事にした日本画も
浮世絵などの版画も身体性でしょう。
その身体性という観点を西洋近代の合理主義は低い前近代的なものとして
捨象してしまうのです。
つまり、西洋医学は当然のように、東洋的な医術を切り捨てようとしたのです。」

K:「それは文化的な消失ですね。」

所長:「その通り。
しかし、19世紀後半の西洋発の近代化の大波は
世界をおおっていましたから、極東の日本といえども
それをまぬがれることはできなかった。
逆にいえば、よくそうした状況の中で日本は
近代化に成功したといった方がいいでしょう。」

K:「明治期(19世紀)に短期間で近代化に成功したのは
アジアで日本だけですよね。」

所長:「その通り。
しかし、社会や国家にそうした急激な変化、変革が起ると
必ずその裏側で文化の喪失も起るのです。」

槇島研究員:「日本の伝統的な医療、医術はまさにそういう事情で
政治、行政的に切り捨てられていったのですね。」

所長:「でも、1000年の歴史を持つ日本の医学、医療、医術が、
行政の都合で切り捨てられたことはやはり残念なことですね。」

K:「日本の医学、医術は1000年も歴史があるんですか。」

槇島研究員:「はい。
『竹取物語』に薬の話が出てきますから、平安時代の初期には
医療や治療師(医者)という概念はあったのでしょう。」

所長:「実際、看護禅師や薬師という言葉は文献に見受けられます。」

槇島研究員:「『医心房』という日本最古の医書が900年代に出ていますね。」

所長:「『医心房』は丹波康頼という博士がまとめた
30巻からなる大変立派な医書です。
100冊以上の隋や唐の医書から引用され、驚くべきことには、
今でいう薬害についての記述もあります。」

K:「そんな時代から薬害があったのですか。」

所長:「薬として水銀などの鉱物を用いていたので毒を散らす必要があったのです。
ところでK君、“散歩”という言葉の起源を知っていますか。」

K:「まさか、毒を散らすために歩き回ったとか。」

所長:「大当たり。」

槇島研究員:「本当ですか。」

所長:「なんだ、物知りの槇島君も知らないのですか。
では槇島君、大分前に死後の世界の話をまことしやかにしていた
俳優の丹波哲郎さんが、『医心房』を書いた丹波康頼の末裔だというのは
知っていましたか。」

槇島研究員:「えっ、そうなんですか。
知りませんでした。」

K:「所長は本当にいろんなことを知っていますね。」

所長:「丹波家というのは1000年以上続いた大変な名家で、明治の初期に
東大で製薬学科の教授として日本の近代薬学の基礎を築いた丹波敬三は
丹波哲郎のおじいさんなんです。」

槇島研究員:「へぇ~、そうなんですか。」

K:「ということは、丹波哲郎の死後の話は信用できるのですか。」

所長:「それはまた別の話ですね(笑)。
でもまあ丹波哲郎は不思議な人だったという話は聞きますから、
ある程度の能力はあったのでしょう(笑)。
それからさっき丹波哲郎の家は1000年以上続いた名家だといいましたが、
医者自体は日本では高い地位にはいなかったのです。」

槇島研究員:「役者や易者など、“者”と付く職業は
そんなに身分が高くないというのは聞いたことがありますが、
医者もそうなんですか。」

所長:「そうです。
だから江戸時代までは医者を開業するのに特別な資格や許可もなく、
勝手に看板を出せば医療行為が行えたのです。
それが明治になり、明治政府が欧米並みに医師免許を出すようになり、
その対象を西洋医だけに限ってしまったんです。」

K:「それは無茶な話ですね。
反対運動は起きなかったんですか。」

所長:「多少は起きましたが、明治12年にその時点の漢方医は
医者と認めるという妥協案を出してごまかしてしまったんです。」

槇島研究員:「その裏には政治的にねらいがあったと聞いていますが。」

所長:「当然そういうこともあったでしょう。
明治新政府は近代に向けての新しい国を創ろうとしていましたから、
徳川家代々の御殿医などという旧権力につながる処しがたい人たちを、
医者という新しい時代の権威にすることはできなかったのです。
それにもうひとつ、漢方医が生き延びられなかった理由があったのです。
明治政府は、当時決定的な治療法のない“かっけ”の治療を
西洋医のグループと漢方医のグループでさせて、
どちらが治療効果が高いかという競争をさせたりもしたのです。
結果は、漢方医の方がよかったのですが、漢方医たちは、
処方箋を秘伝として公開しなかったのです。
そんなことも近代の合理的な時代の尺度に合わないと
新政府は判断したのでしょう。」

槇島研究員:「でも、今現在の視点から見てみると、
西洋医学などの西洋的なものには、内部の見えないもの
に対する視線が欠けていると思います。
その点日本の漢方医たちがもっていた“医術”的なものには
所長のいう“内部身体”が含まれていましたよね。」

所長:「そうですね。
そして医療を受ける側も現代人は“外部身体”、
つまり客観化された物理学の延長としての身体観に
頼りすぎていますね。
それは命のある生きた身体ではなく、機械のように
パーツで組み立てられたロボットのような身体でしかないのに。
私が今取り戻さなければならないといっている身体は、
江戸時代の漢方医が指先でさぐっていたような目に見えない、
つまり、明示的に対象化できない“内部”をもった生きた身体なのです。
“内部”というのは分りやすくいえば呼吸によって息づいている身体です。
その呼吸を骨の”内部“まで通す骨呼吸などによって内側から感じ取ろうというのです。」

槇島研究員:「いい換えると、脳ではなく身体で身体を直接知り、
治そうということですよね。
たとえば認知症の方は、脳による抑制が効かない面があるので、
自分の自由に身体を動かすことによって、
かえって経過が良好だったりすることがあります。」

所長:「精神科医の木村敏は、医者に行って患者が治るのは、
ほとんどが病気が治るときに医者に行ったからだ、といっています。
ようするに身体以外に病気を治せるものはないということでしょう。」

槇島研究員:「医者が“安静にして身体を動かすな”と言ったために、
本当に身体が動かなくなった、なんてことがよくあります。」

所長:「人に依存するとその分身体は弱くなるということです。
とにかく何でも脳に頼るのではなく、
自分の身体で治そうという東洋医学的な養生法を行って、
普段から自分で自分の身体の状態がよく分かるように
しておくことが肝要なんです。」

槇島研究員:「それは古代ギリシア時代に、
かのヒポクラテスがいったことと実は同じなんですよね。
様々な医療・テクノロジーの発達した現時点でもう一度確認しておきたいことは、
西洋近代医学の父といわれるヒポクラテスが、
自然治癒力を阻害しないことが治療の根本だ、
ということをいっている点です。」

所長:「西洋医学も出発点から、
病気は医者には治せない、といっていることになりますね。」

槇島研究員:「それというのは、そもそも命そのものが
医学をふくめた科学で全てをとらえられる類のものではない
ということではないでしょうか。
ですから医の起源は呪術であり、
シャーマンが非合理的なる命を取り扱っていた。」

所長:「でも、医療、医術の世界を今さらシャーマンや呪術に
ゆだねるわけにもいかない(笑)。」

槇島研究員:「ひとまず現代は西欧近代合理主義が
大きな壁にぶち当っているということで、私たちは東洋の医療や
養生法を積極的に見直す必要があるということですね。」

K:「そして、その実践としての呼吸身法の骨呼吸を
少しでも多くの人に伝えたいと。
しかし命というものは、生かすにも殺すにも本当に不可思議なものですね。
前回の話に戻りますが、現代の日本は大変な長寿の国です。
しかし、ただ長生きをすればいい生き方をしたということにもならないです。」

槇島研究員:「誤解を恐れずに言えば、
非生産的で希望などもっていない老人ばかりが増えてしまっては、
この世は邪気だらけの真っ暗闇になってしまいますから。」

所長:「長寿の国というと、スウィフトの“ガリバー旅行記”の
不死の人々がいる国を思い出します。
そこで不死の人たちは、みな老醜をさらして生きていました。
死なないということが人間をどうしようもなく怠惰にするというのです。
死があってこその生というわけでしょう。」

槇島研究員:「今、読売新聞で連載しているシリーズ“長寿革命”というのがあるのです。
先週は“死生観”というのが5回に渡って連載されていました。
まず、“生死観”でなく“死生観”というのが現代らしくておもしろいと思いました。」

所長:「私もそれは読みましたよ。
死んだ人の5人に1人が葬儀をしないで遺体を直接火葬場に運ぶ
というのには少しおどろきました。」

K:「それはどう解釈したらいいのですか。」

所長:「いろいろあるでしょうが、ひとことでいうと生きている間の孤立化が
少しさびしい死に方として表われているのでしょう。」

槇島研究員:「四国88ヶ所のお遍路をする人が
年間8万人以上いるというのに私はちょっとびっくりしました。」

K:「へぇ~、そんなに多いんですか。
でも確か全部で1000キロ以上あるんですよね。」

所長:「徒歩で回る人は3000人ぐらいなんです。」

K:「ということは、歩いて回る人は約30人に1人ぐらい。
あとの人は車で回る。」

所長:「そう。
88ヶ所でなくてもいいから自分の足で回りたいですね。」

槇島研究員:「本当に身体が弱っているのですね。」

所長:「それからおどろいたのは、
ホスピスに僧侶が参加するようになったというのに、
何人かの僧侶は死と向き合うことができずに
“うつ”になって逃げだしてしまうのだというのです。」

K:「修行ができていない(笑)。
でも笑いごとではなく現代人の身体は本当に虚弱になっているということですね。」

槇島研究員:「それから、この間新聞で来年の国家予算約100兆円のうち、
確か30兆円近くが厚生労働省の予算で断突に多かったのでびっくりしました。
そのなかには医療関係のものが多く含まれるわけでしょうが、
私は職業柄少し憂鬱な気持ちになりました。」

K:「やはりこれからは、所長のいうように高齢者にも
生産的な活動をやってもらう必要がありますね。」

所長:「少し厳しいかもしれませんが、
昔から“働かざる者食うべからず”といいます。
私がみるに、冨の二分化ならぬ、
元気の二分化が進んでいるように思います。」

K:「しかし、それは高齢者に限らないような気がしますが、
元氣な人が段々少なくなっていくのが気がかりです。」

槇島研究員:「それを早くなんとかしないと。
やはり、呼吸身法、坐禅身法しかないですね。」

所長:「現代人全体の心身が本当に弱くなっているように思います。
家族や男女の間など、あらゆることにおいて、
ひたすらトラブルを避けよう避けようとするのも気になります。」

槇島研究員:「現代人は精神と身体が一体となっていない。
だから弱い。」

所長:「ほとんどの人が、哲学者もふくめてそうでしょう。
この功利的で大人が責任の取れない時代は、
身体の存在感のない時代だといっても過言ではありません。
そして、身体がないと、死を異常に恐れるようになります。」

槇島研究員:「死んでいく人のためではなく、
少しでも生き生きとした“生”を取り戻すために、
“死生観”を考えてみたいと思うのですが…。」

所長:「健全に死を直視できなければ、結局、健全な死も見えてこない。
だから、身体を取り戻すしかないのです。」

K:「お二人ともありがとうございました。」



(次回へつづく)


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2.湧氣塾からのお知らせ
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3.塾長の著書の紹介
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『脳ひとり歩き時代 ヴァーチャル脳を身体が救う』(河出書房新社)
『「阿修羅」の呼吸と身体-身体論の彼方へ』(現代書林)
詳しくはこちら
http://www.you-ki-juku.co.jp/chosho_info.html


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●発行者
身体哲学研究所
http://body-mind-philosophy.org/

身体哲学道場 湧氣塾
http://www.you-ki-juku.co.jp/index.html

●バックナンバー 
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●お問合せ:info@you-ki-juku.co.jp
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