2009/10/23
身体哲学からの提言
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*==*=*=*= 身体哲学からの提言 (旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」) 身体哲学研究所 http://body-mind-philosophy.org/ 湧氣塾 http://www.you-ki-juku.co.jp/ =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*==*=*=*= <身体哲学研究所通信第16号> □■―目次――――――――――――――――――――――――――――――― 1.所長と研究員との対談 <研究員:大滝謙二>第3回 2.湧氣塾からのお知らせ 3.塾長の著書の紹介 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― みなさんこんにちは。 身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。 本日もメルマガをお楽しみください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.所長と研究員との対談 <研究員:大滝謙二>第3回 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― このコーナーでは、所長とともに 身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、 所長との対談をお送りします。 今月は大滝謙二研究員との対談です。 ****************************************** 大滝謙二研究員 2000年より呼吸身法 湧氣塾(現・身体哲学道場 湧氣塾)に通い始める。 2005年より身体哲学実践の柱である「呼吸身法」の指導員として、現在に至る。 ITコンサルタントであると同時に柔道整復師の資格を有しているが、 治療する側と患者が相互依存してしまう現状とそれにもとづく医療ビジネスのあり方に疑問を持つ。 一般にネガティブなものとしてしか受け取られない病気を治療や癒しの対象とするのではなく、 自らの身体と正面から向き合うことでそうではない側面を展開させる一つのきっかけと考え、 そのメソッドとしての呼吸身法を主な研究対象とする。 身体哲学研究所のサイト管理者。 <所長からの一言> 身体哲学研究所の主要メンバーでもある大滝君は、経済学部を卒業して一端企業に入ったが、 組織の人間にはなりきれず自立の道を歩く。 パソコンやバイクなどのメカに強く、柔道整復師の資格をもち、神秘的なものを感じ取る感受性も敏感で、 広告やデザイン営業のセンスもあり、英語が出来、文章も書けるというともかく多才な男だ。 身体哲学研究所でよりいっそうの身体知を身につけて広い分野まで才能を発揮してほしい。 ****************************************** K:「前々回と前回の2回で今注目の分子生物学者福岡伸一さん 及びその中心となる“動的平衡”という生命観に “食”というテーマを加えて所長と大滝研究員に話を伺ってきました。 今回はどのような展開になるのでしょうか。」 所長:「今回は福岡伸一さんや食のテーマからすると ちょっと意外な問題について考えてみたいと思っています。」 K:「意外な問題とは何ですか。 所長の考えることは僕たちには予想がつかないことが多いので(笑)。」 大滝研究員:「一応、福岡さんの“動的平衡”に関係があるのですか。」 所長:「はいあります。 福岡伸一さんの紹介するユダヤ人科学者シェーンハイマーの “動的平衡”というのはこれまでの機械論的な身体のとらえ方、 ひいては科学の考え方を根本からくつがえす 優れた生命観だと思うのですが、皮肉なことに 当のシェーンハイマー自身の人生は 幸せなものとはいえそうもないですね。」 大滝研究員:「はい。 シェーンハイマーは若くして自殺してしまいました。」 所長:「科学的かつ哲学的にすばらしい生命観を発見した人には 長く幸せに生きて欲しいものですね。」 K:「それはそうですが、そうした真理と人生は また別のものですから。」 所長:「でもK君、それは東洋哲学的(仏教的)にいうと やっぱりおかしいということになります。」 大滝研究員:「“東洋哲学的”におかしいということは 西洋哲学的にはおかしくないということですか。」 所長:「まあそういうことです。 西洋の哲学では真理を追求するという認識の知恵が いかに生きるかという存在の知恵と分離してしまっていても いっこうにかまわないのです。 実際、人生の真理を追求した哲学者や芸術家が 何人も自殺していますから。」 K:「いわゆる“認識論”と“存在論”の分裂ですね。」 所長:「そういってもいいでしょう。 しかし、そこを今日は観念的な言語レヴェルの問題ではなく、 現実の身体、あるいは身心の問題として考えてみたいのです。 K君、シェーンハイマーはなんで自殺したと思いますか。」 K:「福岡さんは奥さんとうまくいってなかったと書いていますね。」 大滝研究員:「現代的にいえばうつ病でしょうか。」 所長:「そうなんです。 現代ではそうした心の悩みや情緒的な混乱、 心身のアンバランスな状態を総じてうつ病という 心の病と解釈する人が多いでしょうね。」 K:「所長が普段からいっている現代人の身心の病である 心身病、うつ病についてここで考えようということなのですか。」 所長:「はいそういうことです。 なぜなら、うつ病は“動的平衡”を逸した現代人特有の“心”、 そして“身心”の状態だと思われるからです。 自然の流れに逆らって自我が顔を出してくると人間は 大なり小なり“うつ”の状態になるのでしょう。 自我そのものが、そもそも多重人格のような 複数の相矛盾した顔をもっていますから。」 K:「ということは、現代人は潜在的にうつ病患者だと(笑)。」 所長:「日々マスコミに登場する今のうつ病の定義では そういうことになりますね。」 大滝研究員:「僕も『脳を鍛えるには運動しかない』や 他の精神科医の本(『狂気の偽装-精神科医の臨床報告』-岩波明) を読んでいたら、自分も完全に精神病だと思えてきました。」 所長:「いや大滝君に限らずほとんどすべての人が、 何らかの点で精神疾患の徴候があるのです。 特別に鈍い人間や狂気に近いほど独善的な人間でない限り(笑)。」 K:「なるほど、所長らしい飛躍を含んだ話の展開ですね(笑)。」 所長:「飛躍がないと論理に命が吹き込めない(笑)。」 大滝研究員:「でも“食”の問題も“うつ”に関係するんですか。」 所長:「はい、関係あります。 最近、“食を変えてうつを治す”ということもいわれていますから。 それにうつ病の前段階で、ストレスを解消する一番の方法が “食べること”だとよくいわれています。」 K:「なるほど。」 大滝研究員:「前回、私は食の問題には消費者側にも 問題があると言いましたが、それはつまり、自分の身体で いい食べ物かどうかを“氣づく”ことができなければならないのでは、 ということなんです。 その氣づける身体こそ、所長が提唱している頭脳の欲望に振り回されない “植物性身体”だと思いますが、ストレスを解消しようとして食べる人には 当然身体で気づくことはむずかしそうですね。」 K:「湧氣塾での稽古はまさしく、 自分の身体を通しての氣づきの連続なので、 これをぜひストレスに苦しんでいる人やうつの人にもすすめたいですね。」 所長:「はい、呼吸身法や坐禅身法の内容をピックアップして うつや心身症に有効な身体改善法をいずれ紹介しようと思っています。 前回に引いた福岡さんの“自分の身体に信頼感が持てない社会” というのは“うつ病の蔓延する社会”ということでもあると思うのです。」 K:「身体への信頼感の喪失がうつ病を誘発しているのですか。」 所長:「はい。 “うつ”とひとことでいっても内因性うつ病と呼ばれる 遺伝もからむ治りにくい明らかな病理としてのものから 現在一般に“うつ”と呼ばれている拡大解釈された(反応性うつ病その他) ものまであります。 後者の現代的なうつについて簡単にいうと、 何かネガティブな出来事に心が大きなストレスを受け、 その困惑した心が身体の不調を誘発し、 結果的に氣が上って(脳が重苦しくて呼吸がしにくく、 頭痛や胃のむかつきなども生じる) 身心が非常に不安定になった状態だと 私はとらえています。 こうした身体の状態では、ささいなことで憂うつな気分になったり、 時にはちょっとしたことで恐怖感にも襲われるでしょう。 ここでは、現に悩んでいる心の問題が本当の問題ではなく、 氣が上ってしまって何にでも過剰反応して すぐに情緒的混乱を起してしまう身体の問題が 解消すべき本当の問題なのです。」 大滝研究員:「以前から所長のいう心身病やうつ病は 現代人の虚弱な身体性が原因だというのは、 前回話に出た『脳を鍛えるには運動しかない』で、 運動はうつやパニック障害、注意欠陥障害や 依存症などの精神病に100%効果があるということによって ほとんど裏付けられたといってもいいですよね。」 所長:「そうですね。 『脳を鍛えるには運動しかない』の著者は スジ金入りの臨床精神科医ですから。」 K:「えっ、『脳を鍛えるには運動しかない』って本は 脳トレブームの延長にある脳還元主義者の本ではないのですか。」 所長:「いや、日本で出回っているたぐいの 脳還元主義者の本では全くありません。」 大滝研究員:「何度も“脳を身体と切り離して考えないように” という言葉が出てきます。」 所長:「冒頭にイリノイ州ネーパーヴィルの高校で、 ある熱血体育教師が有酸素運動を中心にした「0時限体育」 (1時限目の前に組み入れられた早朝の特別な授業)を実施して 画期的な成績向上をもたらしたということが書いてあります。 しかし、全般についていえば、現代の精神病に 有酸素運動を中心にした運動がすこぶる有効だということです。」 K:「抗うつ剤の依存症や薬害がかなり問題になっていますが、 その著者は薬を全く使わないのですか。」 所長:「全く使わないわけではなく、 患者によっては運動との併用をすすめていますが、 少なくとも精神病の人に限らず、すべての人、 例えば妊婦にも高齢者にも運動の有効性を強く説いています。」 大滝研究員:「おもしろいことに彼の説得に最後まで抵抗するのは 同業者の医者だともいっていますね。 頭のいい人は、病気や精神病の最高の改善法が運動だとは なかなか認めたくないのです。」 所長:「頭がその考えを拒否してしまうのです。 まるで自己の存在価値を否定されたかのように(笑)。」 K:「なるほど、運動しろという司令は頭の盲点を 突いているというわけですね。 でも所長、有酸素運動を中心にした運動といっても その著者のすすめる運動には当然筋トレが含まれているのでしょう。」 大滝研究員:「はい、バーベルを使った筋トレがしっかり組み込まれています。」 所長:「もちろん私がカリキュラムを作れば、 ジョン・レイティ(『脳を鍛えるには運動しかない』の著者)のものとは かなり違ったものになるでしょう。」 大滝研究員:「それに方法論そのものが、所長のものは方向性は示しますが、 いわゆる型やメソッドにはめるものとは180度違うものですからね。」 所長:「結局単なる知識や型通りの教養ではない本当の知というのは、 状況に応じてそれに切実に反応する身体に聞くしかないんです。 ここでいう身体は、いわゆる“一人称の主観的な自分”(自我)ではありません。 自分というよりは無人称の自己といったらいいような、 身体という自然とか宇宙といった方がよいでしょう。」 大滝研究員:「その自分の身体という自然や宇宙の声を 聞けなくなってしまっている人が現代人には多いような気がします。」 K:「そのことと、現代社会でうつに悩んだり自殺する人が多いことは、 密接に関係しているんじゃないでしょうか。」 所長:「その通りだと思います。 身体という自然は決して死ねとはいいません。 日本では不況以来ずっと毎年3万人以上が自殺しています。 これは人口比率でいっても、米国よりも断然多い水準です。 しかも働き盛りの世代の人が多い。 大滝君はこの問題についてどう思いますか。」 大滝研究員:「私はうつになる人は、 この現代というストレスフルな環境に対する 一種の防御反応というか防衛本能を 示しているような気がするんです。 新しい環境に適応できないことの裏返しとして。」 K:「なるほど。」 所長:「それは当たっているでしょうね。 さらに言えば、お金(経済)一元論の価値観を 相対化できない人が多い。 他に趣味でもなんでもいいのですが、 なにか別の価値観をもっていれば、 救われることは多いのです。」 K:「ひとつの価値観に閉じこもっている。 頭に捉われているとも言えませんか。」 所長:「そうですね。 現代人はいろんな意味で依存症の人が多い。 もっと自律的であらねばなりません。」 大滝研究員:「そうすると、うつにしても 結局自分で治さなければならないということでしょうか。」 所長:「そうなります。 うつ病に限らずどんな病気でも本気になれば自分で治せるのです。」 大滝研究員:「私がそのうつや自殺の問題で もうひとつ思うのは、現代人は痛みに弱いんじゃないかと いうことです。草食系男子なるものが話題になっていますが、 極端な話、女性に振られる痛みさえ現代の若い男性は 避けていているのではないかと思います。」 所長:「近頃の若い男性になよなよした人が多いのは、 その通りでしょうね。でも本来日本人は痛みに強いんです。 例えば女性が子供を産むとき、日本ではまだまだ “産みの苦しみ”という言葉があるとおり、 普通分娩をする女性が多い。 一方で米国などでは、9割以上の女性が無痛分娩で 産んでいます。」 大滝研究員:「私は骨折したことはないのですが、 なぜ骨折したら痛いのかといえば、 それは治すために必要な身体のシグナルでありプロセスなんですよね。」 所長:「あらゆる意味で人生は、“No pain,No gain”ということです。」 K:「湧氣塾の稽古、例えば湧氣球に乗る稽古も、 初めての人はとても痛い(笑)。」 所長:「それは必要な痛みです(笑)。 また私はこれからの湧氣塾として、来年から新たな “実践的身体哲学”を目指していこうと考えています。」 K:「それはどのようなものでしょうか。」 所長:「実践的というところに社会性や時代性を積極的に組み込もうと。」 大滝研究員:「今でもそういう要素は多分にあると思いますが。」 所長:「それをより分かりやすく打ち出していこうということです。」 大滝研究員:「湧氣塾での稽古は、身体や人生全体を包括する ものだと思うのですが、それをさらに社会と時代に合わせて、 例えばうつや自殺願望に悩む人たちに向けるという 方向性ももつということでしょうか。」 所長:「そうですね。 最終的には、全体性の世界のなかでの まあ自己実現とでもいうべきものを捉えるものになるのですが、 一方で日々うつや自殺願望に悩む人たちに対して、 私のこれまでの湧氣塾での取り組みから、 具体的な解決方法を提示するのも、時代や社会の要請だと 思うのです。その具体的な中身については、 また別の機会にお話ししましょう。」 (次回に続く) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.湧氣塾からのお知らせ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.湧氣塾からは、2本のDVDを発売しています。 ご興味のある方は是非お求めになって、 日常の中でご自身の身体を調整してみてください。 ・DVD 『坐禅身法』 『女性身法』 詳しくはこちら http://www.you-ki-juku.co.jp/dvd_info.html 2.女性身法チケット制導入ついて 購入後、二ヶ月間有効のチケット(4枚綴り)ができました。 忙しくて行きたいけど、なかなか時間が取れないという方、 この機会にぜひご利用下さい。 詳しくはこちら http://you-ki-juku.co.jp/femail.html ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.塾長の著書の紹介 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『脳ひとり歩き時代 ヴァーチャル脳を身体が救う』(河出書房新社) 『「阿修羅」の呼吸と身体-身体論の彼方へ』(現代書林) 詳しくはこちら http://www.you-ki-juku.co.jp/chosho_info.html ------------------------------------------------------------------------ ●発行者 身体哲学研究所 http://body-mind-philosophy.org/ 身体哲学道場 湧氣塾 http://www.you-ki-juku.co.jp/index.html ●バックナンバー http://blog.mag2.com/m/log/0000239398/ ●お問合せ:info@you-ki-juku.co.jp ----------------------------------------------------------------------------- この情報はまぐまぐの無料メルマガ配信システムを利用して、 ご希望いただいた方に配信しています。 万が一ご登録の覚えがない場合は、 お手数ですが以下のページにアクセスし、 配信を解除してください。 http://www.mag2.com/ * ご意見、ご感想など、ぜひお気軽にお寄せください。


