疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!  RSSを登録する

今ある「健康法」に不満・「呼吸法」についての明確な方法論を知りたい・現代というストレス社会の中で「本当の自分」を取り戻したい。そんな悩みを抱えている方々に解決法を実践する場が「湧気塾」です。塾長のインタビューや稽古内容をお届けします。

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2009/10/02

身体哲学からの提言

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身体哲学からの提言
(旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」)


身体哲学研究所
http://body-mind-philosophy.org/

湧氣塾
http://www.you-ki-juku.co.jp/

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<身体哲学研究所通信第13号>

□■―目次―――――――――――――――――――――――――――――――

1.所長と研究員との対談 <研究員:福守隆行>最終回
2.湧氣塾からのお知らせ
3.塾長の著書の紹介

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みなさんこんにちは。
身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。
本日もメルマガをお楽しみください。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.所長と研究員との対談 <研究員:福守隆行>最終回
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このコーナーでは、所長とともに
身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、
所長との対談をお送りします。
今月は福守隆行研究員との対談です。

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福守研究員

1965年生まれ。早稲田大学大学院修了、米国にてMBA取得。
現在、都内企業に勤務。
学生時代に、勇崎所長の教えを受ける。2007年に『「阿修羅」の呼吸と身体』に出会い、
勇崎所長に再会。呼吸身法の修行を通じ、半月板の手術により十分に曲がらなかった膝が曲げられるようになり、
正座・結跏趺坐ができるようになるなど、身体の変化を実感。さらに行により開発された身体を通じた知の探究をすべく参加。
<所長からの一言>
福守君とは彼が早稲田の学生である時からの長いつき合いである。
彼はおっとりした性格の中にねばり強い芯があり、日本人にはまれな明るい”陽”の氣にあふれる身体性の持ち主だ。
今は金融関係のサラリーマンをやっているが一生サラリーマンで終る男ではない。
哲学的思索力、クールな実業家の見識、さらには神秘的な感受性ももっている。
彼には狭い日本の壁を乗り越えた、国際的、宇宙的な共感を呼ぶ身体世界の構築をめざしてもらいたいと思っている。

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K:「今回は前回まで3回に渡って行われてきた
福守研究員との対談のまとめを行っていただき、
最後に、次回から始まる湧氣塾はえぬきの
塾生からインストラクターになり、
身体哲学研究所では主任研究員を務める
大滝謙二研究員とのテーマの予告をしていただきたいと思います。
その前に、前回のメルマガ編集上私のミスで
抜け落ちてしまった箇所がありましたので、
まずその部分を補っておきたいと思います。
所長にはその前後の話をもう一度説明していただきたいと思います。」

所長:「ジャック・アタリが気鋭の人文学者だったときに書いた
『カニバリスムの秩序』についての箇所ですね。
人間は古代、原始の時代から死や病気を悪の根源として
恐れてきました。
カニバリスムとは、アタリにいわせると、
その病気や死に代表される悪を克服するために
死体を食べるという人間の象徴的、文化的行為
をさすというのです。」

K:「普通なら、病気や死を恐れれば、
それを忌避して遠ざけようとするはずなのに、
逆にその死体を食べ、自分の身体の中に取り入れることで
悪を克服しようとしたということですね。」

所長:「ここからが前回メルマガの欠落部分で、

そうしたアタリのいう“カニバリスムの秩序”は、
初め神々による“宗教の秩序”として始まり、
その後、権力や医者による“体の秩序”に変り、
さらに“機械の秩序”、“コードの秩序”と移って現在に至ります。」

福守研究員:「なるほど、フーコーを思わせる
フランスの人文知の世界ですね。」

所長:「そうした資質と教養をもつアタリが今、
サルコジ大統領の側近としてあたかも行政官のように
政策論を展開している。
これを二刀流といわずして何といったらいいのか(笑)。」

K:「なるほどよく分りました。
アタリを俎上にのせた所長のほう丁の切れ味も見事ですが(笑)。」

福守研究員:「日本でいえば、浅田彰氏が総理の相談役か
経済財政政策大臣になったようなものですか。」

所長:「福守君らしいツッコミでおもしろい(笑)。」
(ここまでが次回の欠落部分です。)

K:「それでもう一度話を戻しますが、
カニバリスムは病気や死を取り込もうとしたとのことでしたが、
そもそも病気や死というものは、人間にとってどういうものなのでしょうか。」

所長:「人類の歴史はまさしく病気との闘いなのです。
例えば、14世紀には黒死病(ペスト)で
ヨーロッパの人口の三分の一が死んだといわれています。
しかし、これはペストに限りません。
人類は常に病気によって生存の危機に立たされてきたのです。
歴史に明記されているものだけでも、
ペストの前は13世紀のハンセン病、ペストの後は16世紀の梅毒、
17,8世紀の天然痘、19世紀のコレラと結核、
そして20世紀にはスペイン風邪(インフルエンザ)やエイズ、
といった感じです。」

K:「なるほど。
下手をしたら本当に人類は滅亡していたかもしれませんね。」

所長:「その通りです。
生物学史的にみればペストで人類が滅亡していても
全然おかしくありませんでした。
これまで数億といわれる種類の生物がこの地上に誕生して、
現代残っているのが数千種、つまりその90%、
ほとんどが滅びているのです。
人類がいつ絶滅してもおかしくないのです。」

K:「普通、人類滅亡の危機は
戦争によってもたらされると思われていますが、
病気は戦争よりこわいんですね。」

所長:「病気よりも戦争の方がこわい
と思われるようになったのは近代に入ってからでしょう。
もちろん、戦争(戦い)もこわい。
しかし、今までに亡びていった民族の多くは、
戦争でよりも、病気(疫病)で亡びていたのです。
10年ほど前、ピューリッツァー賞を取って有名になった
ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』に
このことは書いてあります。」

K:「あぁ、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』は
最近また売れているみたいです。」

所長:「私の分類によれば、戦い、戦争は人為の災害(悪)、
つまり、人災の典型で、病気は本来、台風や旱魃といった
天然、自然の災害(悪)のひとつだった。
(ところが、後に説明するように近代以降、
病気は単なる天災ではなく、天災と人災の複合した
やっかいなものとなった。)
それで、人災と天災とどちらが恐ろしいか。どちらも恐ろしい。
しかし、根源的には自然の災害(悪)の方が力が強いし、
恐ろしい。
人災は人間が本当に賢明になれば防ぎようがあるから。」

K:「でも、人間の愚かさ(悪)も十分恐ろしい。
人類滅亡の危機をまねくほど恐ろしい。」

所長:「その通り。
しかし、一応戦争という人為の悪によって
人類が滅亡する危機は何とか逃れたと私は思っています。
これから人間はまた病気の恐ろしさを知ることになると思います。
しかし、これからの病気は、今までの病気と少し違うのです。
例えば、薬害という形で自然の悪に人為の悪が加算されている。」

K:「天災に人災が加わっているということですね。」

所長:「現代の病気と医療の問題に入る前に、
病気と人間のかかわりについて少し振り返ってみましょう。
つい最近まで、つまり、18,9世紀まで人類は
科学的というか実質的、効果的な医療技術をもっていなかったんです。
治療のために呪術を行ったり祈ったり、せいぜい薬草を施したり、
温泉治療するぐらいだったわけです。
日本でも平安時代や鎌倉時代に偉い人が病気になると
祈祷師が呼ばれたのです。」

K:「なるほど。
現代から考えると人類にとって病気や死は
あまりにも身近にある恐怖だったのですね。
だからこそ人間はカニバリスムに走った。」

所長:「アタリはカニバリスムの実例をよく調べていますが、
そのアタリも知らないおもしろいカニバリスムが
江戸時代の日本にありました。
5代将軍綱吉の時代に病気治療および健康法として
ミイラを食べることが大変流行ったのです。」

K:「へぇー!
そんなカニバリスムが日本にあったんですか。」

所長:「はいありました。
でもほとんどの人は知りませんが(笑)。」

K:「カニバリスムは本当に世界中に存在したのですね。」

所長:「それは確かにそうなんです。
しかし、アタリがいうようにカニバリスムによって死体(病気や死)
を食べることで、病気や死を乗り超えるというのには、
少々無理があるでしょう。
“食べる”というのはそもそも“欲望”ですよね。
またカニバリスムの中には、敵対する集団への恐れを
克服するために敵の捕虜を殺して“食べる”というのもあります。
つまり、攻撃性という欲望もカニバリスムに含まれています。
原始あるいは古代の人間は、欲望を律するということは
知りませんでした。
私にいわせれば、いわゆる動物的な
弱肉強食の世界の名残が“カニバリスム”という
人間同士の共喰いなのです。
それを、アタリはフランス現代思想独特の
複雑、難解なねじくれた転換の発想で歴史解釈をする。
苦しまぎれの近代ヨーロッパ中心主義の自己正当化というか。
そこには東洋人から見るとどうしても無理があります。」

K:「そうした“カニバリスム”に対するアタリと所長の違いは、
アタリが西欧というキリスト教文化圏にいることに関係しませんか。」

所長:「それはその通りでしょう。
アタリが自ら『21世紀の歴史』の中で書いているように、
東洋にはシャカや荘子がいて欲望を抑制して生きる道を開いたが、
西洋では欲望を増幅させて人々が自由に向けて
自己実現する世界を開いたといっていますね。
西欧人のその欲望を肯定する出発点に無理があった。
私のとらえ方では原始キリスト教の誕生した
古代イスラエルの痩せた砂漠の地には、
不幸なことに生命を生かす生成としての自然(フュシス)
あるいは東洋的自然が決定的に欠けていたのです。
自然が人間(生き物)を生かしてくれない苛酷なものとして存在しているならば、
そこでは欲望を熱く燃やしてひたすら生命の炎を絶やさないように
苦しく努力する厳しい心(信仰)、いかなる現実にも屈しない
強い精神を育てて生きなければならない。」

K:「それがキリスト教だというわけですね。」

所長:「はい。
しかし、それはもちろん人間という生命体として
不自然でネガティブな所だけではなく、
すぐれてポジティブな所もあります。
簡単にいえば、逆境を乗り越える強い精神性です。
ルネサンス以降の科学やテクノロジーといった近代文明は
確かにヨーロッパキリスト教世界でなければ
こんなに短期間でめざましく発展しなかったんでしょう。
しかし、やはり人間は自然から生れた生物である以上、
欲望はそこそこに抑えてできる限り自然と調和すべきでしょう。」

K:「欲望は自然ではないんですか。」

所長:「私は生存に関する動物の欲望は
一応“本能”というとらえ方をします。
これは自然に属しています。
ところが、人間の欲望は脳(自我)によって限りなく増幅されるので、
この人間の欲望は非自然、あるいは反自然と理解しています。
西欧的にいえばここでひとまず“自然対人為”という
対立した構図が成立します。」

K:「ナチュラル(natural)かアーティフィシャル(artificial)かということですね。」

所長:「そうです。
最終的には自然と人為も共生できるのですが、
現時点でいえば、まずこの“自然対人為”という
対立した構図を心に置いておくことは重要でしょう。
この地球上の自然が大変危なくなってきていますから。」

K:「現代の人類における病気の代表的なものは
ガンだと思いますが、ガンというのは細胞をガン化する遺伝子が
何らかの化学物質その他の影響であばれ出し、
細胞が異常分裂したものですよね。
自分の身体を作っている細胞という、ある意味自分の存在(自然)そのものが
おかしくなってしまって病気になるというのは、
なんだか現代を象徴している気がします。」

所長:「誤解を恐れずに全く違ったいい方をすれば、
現代人は身体レヴェルで自分を愛することができていない。
K君は『ハチはなぜ大量死したのか』
というジェイコブセンの本は知っていますか。」

K:「読んでいないのですが、知っています。
あの福岡伸一さんが解説を書かれている本ですよね。」

所長:「そうです。
大変興味深い本で、ミツバチの生態について
詳しく書かれているんです。
その本の中でうっかりすると見すごしてしまう“注”の中に、
私は生物の生きる原理に当る凄い箇所を発見しました。
充満した巣箱にはおよそ5万匹のミツバチがいるのですが、
そのうち4万9000匹以上は子供が産めない“働きバチ”なのです。
その“働きバチ”は本当によく働き、外敵に関しても勇猛果敢に戦います。
いうまでもなくその最大の武器はおしりの毒液を出すハリです。」

K:「敵がきたら、“働きバチ”はその毒バリで戦うのですね。」

所長:「そうです。
ところでK君、その毒バリと毒液の袋は何から作られると思いますか。」

K:「いや分りません。
もともと毒バリと毒液の袋になるように決められたものじゃないんですか。」

所長:「答えを明かされるとびっくりすると思いますよ。」

K:「また所長、もったいぶらないで教えて下さい(笑)。」

所長:「幼虫が女王にならないことが明らかになったとたんに、
なんと卵巣が固くなり、毒液の袋と毒バリに変身するのです。
“愛を交わすか、戦うかのいずれかしか”ない。
これがさっき私がいった生物の生きる原理なのでしょう。」

K:「厳しいもんですね。」

所長:「アタリのカニバリスムの話にこれをつなげると、
西欧人はそこで迷わず戦うことを選んだ民族だといって
いいと思います。
一方、“愛を交わそうとする女王バチ”は
共存をめざすシャカや老荘の思想だと思います。」

K:「でも、そういうと西欧人は反対しそうですね。
キリスト教は愛の宗教だと。」

所長:「でも、その愛の思想(というより理想・理念)の足元に
激しい闘争の歴史と現実がありますね。」

K:「どうみても所長からみると、西欧人はアグレッシブな動物的身体で、
日本人は平和共存的な植物性身体だと。」

所長:「いや、固定的な一般化をしようということではありません。
西欧人も日本人も、今の西洋近代的な生き方を改めて
自然を取り戻そうとして生き直さないと
取り返しのつかないことになるでしょう。
自然とどんどん乖離してしまう。
もうこれ以上、心も身体も自然と乖離してしまえば、
ガンやエイズのようなグロテスクで不幸な死しかまっていない
といいたいのです。
そうした警告は、次回から大滝君と話そうと思っている食と身体、
あるいは分子生物学者福岡伸一さんの展開する
“動的平衡”にもつながっていくことなのですが。」

K:「はい、ロハス的な生き方をしろということですね。」

所長:「そのあたりはまた次回に詳しくお話します。
そして、話をもどせば、ハチに象徴されるよう生き物の生涯というのは、
愛と戦いの2つしかない。」

K:「愛によって共存の道を選ぶか、それとも
所詮は共喰いといもいえるカニバリスムのような戦いの道を選ぶか、
これしかないんだ、人間も。」

所長:「K君はどっちの道がいいですか。」

K:「えっ、もちろん共存の道です。」

所長:「これは愚問でした。
でも人類はこれまでずっと戦争をしてきました。
これはある意味、敵を食べる、という世界です。
だから共存の道を選ぶというのは、
人類にとっては決して当り前ではなかったんです。」

K:「はい、確かにそうですね。
それから当たり前を疑うというお話で
今思いついたのですが、
ジャック・アタリは人間にとってもっとも重要なものは自由だと、
『21世紀の歴史』で繰り返し言っていましたが、
果たしてそうなのか。
自由って、結局自分の欲望ともいえるわけで、
それはそれで苦しいのではないかと。」

所長:「そうですね。
民主主義の現代に生きる私たちは、自由というと
なにか人間にとって基本的なもののような
イメージがあるかもしれませんが、
見方を変えれば自由というのも、欲望にすぎない。
時にはグロテスクで不自然なものといえるでしょう。」

K:「つまり身体=自然ではなく、
頭で考えられたものということですね。」

所長:「古典的名著といわれるエイリッヒ・フロムの
『自由からの逃走』ではありませんが、
だいたい考えてもみてください。
大人というものは、自分の中にあらためて問い返したくないことが
たくさんがあるのが普通でしょう。
自由といったって、少し真摯につきつめようとしたら
そこから逃げ出したり、目をつむりたくなることだらけでしょう。
ハンナ・アーレントがいっているように
無条件に肯定できる自由は身体の自由だけなんです。」

K:「現実世界では、清濁併せ呑むしかありません。
オフライン世界が100%オンライン世界と同じにならないように。」

所長:「そうですね。
人は自然の中で必ずなにかに依存してしか
生きていけません。
そういう意味で、人間は決して自由ではないんです。
そのことを身体はよくわかっているんですが・・」

K:「脳が勝手に、自由、自由と叫んでいる。」

所長:「そうです。
人は自然の秩序に従って生きるしかない。
しかし、その一方でカニバリスム的なものも、
現代の強欲的な経済を見てもわかるように、
確かに人間にはあるのでしょう。
しかし、カニバリスムが倒錯的な世界であることはまちがいない。
福岡さん的にいえば、臓器移植以上に動的平衡を
乱すものということになりましょう。
我々人間は生物である以上自然に戻るしかないんです。
それには頭ではなく身体を大切にすることです。」


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●発行者
身体哲学研究所
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身体哲学道場 湧氣塾
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