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今ある「健康法」に不満・「呼吸法」についての明確な方法論を知りたい・現代というストレス社会の中で「本当の自分」を取り戻したい。そんな悩みを抱えている方々に解決法を実践する場が「湧気塾」です。塾長のインタビューや稽古内容をお届けします。

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2009/09/25

身体哲学からの提言

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身体哲学からの提言
(旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」)


身体哲学研究所
http://body-mind-philosophy.org/

湧氣塾
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<身体哲学研究所通信第12号>

□■―目次―――――――――――――――――――――――――――――――

1.所長と研究員との対談 <研究員:福守隆行>第3回
2.湧氣塾からのお知らせ
3.塾長の著書の紹介

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みなさんこんにちは。
身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。
本日もメルマガをお楽しみください。


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1.所長と研究員との対談 <研究員:福守隆行>第3回
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このコーナーでは、所長とともに
身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、
所長との対談をお送りします。
今月は福守隆行研究員との対談です。

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福守研究員

1965年生まれ。早稲田大学大学院修了、米国にてMBA取得。
現在、都内企業に勤務。
学生時代に、勇崎所長の教えを受ける。
2007年に『「阿修羅」の呼吸と身体』に出会い、勇崎所長に再会。
呼吸身法の修行を通じ、半月板の手術により十分に曲がらなかった膝が曲げられるようになり、
正座・結跏趺坐ができるようになるなど、身体の変化を実感。
さらに行により開発された身体を通じた知の探究をすべく参加。
<所長からの一言>
福守君とは彼が早稲田の学生である時からの長いつき合いである。
彼はおっとりした性格の中にねばり強い芯があり、日本人にはまれな明るい”陽”の氣にあふれる身体性の持ち主だ。
今は金融関係のサラリーマンをやっているが一生サラリーマンで終る男ではない。
哲学的思索力、クールな実業家の見識、さらには神秘的な感受性ももっている。
彼には狭い日本の壁を乗り越えた、国際的、宇宙的な共感を呼ぶ身体世界の構築をめざしてもらいたいと思っている。

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K:「福守研究員はジャック・アタリの『21世紀の歴史』を
読まれていかがでしたか。」

福守研究員:「実は最初1,2ページごとに
だらだら読んでいたらつまらなかったでんすけど(笑)、
途中から心を決めて一気に読みました。
結果大変興味深かったのですが、
構造自体は思いのほか簡単だと思います。」

K:「どのような点が興味深かったのですか。」

福守研究員:「ジャック・アタリの唱える“超民主主義”の
実現の担い手は、収益に囚われない<トランスヒューマン>
と呼ばれる人たちです。
彼らは愛他主義で世界市民であるとされます。
これらの人は、身体哲学でいえば“植物性身体”の人たちではないでしょうか。」

所長:「なるほど。
つまり既存の経済学が想定しているプレーヤーたる
人間の捉え方が変わらざるをえなくなるというわけですね。」

K:「僕も『21世紀の歴史』を読みました。
まず思ったのは、歴史や経済の捉え方が
大変大きいということです。
所長はよく“何事も大きく捉え考えねばならない”と
仰いますが、その点でとても壮大な観点を
ジャック・アタリはもっていると思います。」

福守研究員:「2006年末にフランスで出版されて大反響があり、
その後もロングセラーだというアタリの『21世紀の歴史』が
日本の読書界で話題になったのは今年になってからです。
その最大の原因はなんといってもアメリカの
サブプライムローンの破綻を予見したことと、
アメリカ帝国がそう長くは続かずやがて衰え、
多極化の世界が訪れると明確に予言していることでしょう。」

K:「ともかく本の帯に“世界金融危機を予見した書”とありますから(笑)」

福守研究員:「オバマ氏が米国の大統領に就任し、
リーマンショックが深刻になる。
どちらかというと世界の動向に鈍い日本人も
世界が確実に変わると思い始めた。
すると、どうしても未来の世界が知りたくなりますから
急に売れ出したんでしょう。」

所長:「未来の描き方でいえば、確かにこれまでの
アルビン・トフラーやフランシス・フクヤマ、サミュエル・ハンチントン
といったアメリカの学者のものよりおもしろい。
K君がいったように時代のスパンも大きいし、
変化があるというか、伏線になっている“世界都市”とか
“ノマド”とか“トランスヒューマン”といったキーコンセプトが
いい具合の縒(よ)り糸になっている。」

福守研究員:「五月以降には経済界や社会科学系の
学者の間でもずい分関心をもたれたようです。」

K:「五月連休にNHKで大きく取り上げましたから。」

福守研究員:「“ヨーロッパ最高の知性が、21世紀政治・経済の
見通しを大胆に予測した”ということになっていますが、
ここにはこれまでアメリカ経済に押されっぱなしだった
フランスあるいはEUの反発の意図も見えかくれしていますね。」

所長:「まあ一応のフランス、あるいはヨーロッパの知の
面目躍如というところはあると思います。」

福守研究員:「それに所長もいいましたが、
“ノマド”というのはフランス的です。
これは現代において進行している国家の弱体化の
大きな要因でしょう。
いかにもEUを主導するフランス知識人の発想です。」

所長:「国家が自明であるとされたこれまでの
歴史の常識から見ると、興味深い指摘ですね。
以前取り上げた“日本語が亡びるとき”等でも
ベネディクト・アンダーソンや吉本隆明がいっている
国家は幻想だという観点はあるとしても
現実には国家というものはすこぶる実体的です。
だからアタリが『21世紀の歴史』を書いた背景には
フランスの政治的な思惑も大きく反映しているでしょう。
全く別のいい方をすれば、ヨーロッパ諸国のインテリは
第二次世界大戦後、ともかくファシズムは恐れていますから。
でもファシズムを知的に(頭で)批判しながら、
アメリカ帝国と身体的にパワーの世界で戦うのはきつい(笑)。」

K:「それで苦しまぎれに、“ノマド”や“中心都市”が
登場するともいえるのでしょうか。」

福守研究員:「国家の再分配機能が低下すると、
<下層ノマド>と呼ばれる貧困層への支援が国家によってなされなくなる。
富裕層が地球に残された資源を占有してしまうことになりかねない。
国家がなくなり市場や企業が世界を支配する、とアタリは言いますが、
これについてはちょっと疑問ですね。
そう理屈通りに世界は動かないだろうと(笑)。」

所長:「アタリはマルクスを高くかっていますから(笑)。」

福守研究員:「柄谷行人氏はマルクスの予言は
当ったことがないといっていますよ(笑)。」

K:「確かにそのあたりはアタリにも甘い点はあるかもしれません。
しかしアタリはヨーロッパ人にはめずらしく
(正確にはアルジェ生れなので微妙ですが)
客観的にヨーロッパ(の歴史)を批判しているし、
フランスにもなかなか手厳しい。
知を相対化しているという意味では、
なかなかたいしたものだと思いますが。」

福守研究員:「私はこの本の国家についての記述を読みながら、
柄谷行人の『世界共和国へ』を思い起こしました。
いずれにしても単純にはいかないでしょうね。」

K:「アタリはとても高い視点から俯瞰して、
人類発祥の時から2060年の未来までを語ります。
<超帝国>、<超紛争>から<超民主主義>へと
語られる未来予想図は、確かに詰めの甘い点は
あるかもしれません。
しかし、僕はある一定以上の説得力を感じ、
また単純におもしろかったんです。
つまり、村上春樹の小説を読んだときと
ちょっと似ている気がするんです。」

所長:「村上春樹との類似性については後で述べますから
先を続けて下さい。」

福守研究員:「アタリも言っていますが、
大抵の世の中にある未来を語る物語が、
現在あるものから演繹的に考えたものにすぎないのに対して、
アタリはもちろん現在までの歴史を丁寧に捉えながらも、
未来をつかむときには、“発想を飛ばして”いるんでしょうね。」

K:「そうなんです。
つまりアタリは前回所長がいった心の無意識を働かせている
のではないでしょうか。」

所長:「そう。
つまり未来もまさしくオフラインの世界といえるということなんです。
アタリは現実をしっかり捉えながら、最後はある意味で
心の無意識をつかって未来というオフラインの世界を訪れ、
<超民主主義>の世界を見てきたともいえるでしょう。
しかし、アタリは本当の無意識ではなく、
(つまり、本当に行をして身体的に無意識を自分のものにしたのではなく)
実は普通の人に分らない形で二刀流を使っているのです。」

K:「二刀流というと…?」

福守研究員:「オンラインとオフラインの二刀流ですか。」

所長:「そうです。
オンラインとは現実の政治・経済の世界、そしてオフラインとは
空想の世界といっても小説の世界といってもいいでしょう。
アタリは小説や戯曲も書いているのは知っていますね。」

K:「あっ、そうか!」

所長:「小説や戯曲、つまり文学って人文の世界ですよね。
人文の世界の本質はオフラインです。
分りやすくいえば頭の中で空想を描くことです。
もちろん、それがどれだけ説得力をもつかはその人の能力次第ですが。
それに対して、政治や経済といった社会科学の基盤は
現実とのつながったオンラインの世界です。
では歴史学ってどちらだと思いますか。」

福守研究員:「歴史は事実や実証を柱にしているようですが、
学問の区分でいえば人文の世界ですよね。」

所長:「そう。
人文だから基本的にはオフラインの世界なんです。
アタリも“未来の前提となっている歴史を理解すれば未来への対処はできる”
とうまいいい方をしていますが、未来の前提になっているという歴史は
いわゆる客観的な事実ではなく、恣意的な解釈です。
小林秀雄は“歴史とは上手に思い出すことだ”といっていますが、
経験していないことを集団的無意識(ユング)として思い出すとは、
まだ見ぬ世界を“ありありと夢想する”ことと同じで、
いずれもオフラインの世界だということです。」

K:「なるほど…、アタリはGDPなど現実の経済の数字を多用して
オンラインの世界を示し、一方で歴史を理解したとして、
未来というオフラインにつなげていく。
つまり、武蔵並みの二刀流ということか(笑)。」

所長:「もっとはっきりいうとアタリはもともと純粋な人文学者なんです。
そこが、さっきいったアルビン・トフラーやフランシス・フクヤマ、
サミュエル・ハンチントンといったアメリカの社会科学のものより
『21世紀の歴史』がひとつの物語としておもしろいところなんです。」

K:「物語はもちろんオフラインですね。」

所長:「アタリの名前が世に知れ渡ったのは、
1981年に若干38歳でミッテラン大統領の特別補佐官、
経済顧問になった時ですが、人文学の世界で知られるもとになったのは、
1979年に出版された『カニバリスムの秩序 生とは何か/死とは何か』
(邦訳1984年)なんです。」

福守研究員:「カニバリスムって、あの人が人を食べるというやつですか。」

所長:「そうです。
第一章の世界中の古代社会で行われたという、
(そして中世にも近代にも部分的にひきつがれているという)
人が人を殺し、食べたという所だけでも大変な力作で
普通の人なら、読んだ晩はよく眠れないか、うなされるか(笑)。」

K:「そんなにリアルなんですか。」

所長:「ともかく表紙がゴヤの有名な
“聾者の家、サトゥルヌスわが子をむさぼり喰う”というグロテスクなやつで、
内容も本当によく調べてある。
今まで誰も書かなかったカニバリスムの歴史書として
フレーザーやレヴィ=ストロースのものよりもリアルによく書かれています。」

福守研究員:「でも、そのカニバリスムに込めたアタリの意味は
一体何なんですか。」

所長:「カニバリスムという言葉自体はスペイン人がカリブ海諸島と
その原住民につけたカリバルという名前に由来するのですが、
ル・カニバル(食人種)とは残忍で凶暴な野蛮人のことです。
でも、アタリがいうカニバリスムの意味はそこから大きく飛躍します。
人間は病気や死を悪の根源として恐れます。
普遍なら、その死んだ身体を忌避するものとして遠ざけますが、
アタリはそれをあえて食べること、自分の体中に入れることで
死の恐怖や悪を乗り超えようとするのだというのです。」

K:「ちょっと凄い逆接ですね。」

福守研究員:「そうしたリアリストであり、夢想家でもあるアタリが
二刀流を駆使して『21世紀の歴史』を書いたというわけですね。
少し話をもどして、明るい話にしたいと思います(笑)。
私も『21世紀の歴史』については個別の見解には
多少意見したいこともありますが、人類の未来は
明るくなることを信じている点では同じです。
アタリのいう<トランスヒューマン>な人が愛他主義であることは、
結局人類の利益になり合理的な選択だと思います。
これは所長も以前利他主義について仰っていたことでもあります。」


所長:「身体哲学でいえば、
身体自身はまったくもって生きることに前向きであり、
楽観的なものなんです。
現在から演繹的に考えて、
将来についてあれこれ悩み苦しむというのは、
完全に脳に支配されているから起きることですね。」

福守研究員:「アタリ風にいえば、
意識を超越した、“超意識”に目覚めて生きていければ
と思いますね。」

所長:「でも、<トランスヒューマン>も“超意識”も本当は大変むずかしい。
ここで、村上春樹の“1Q84”を思い出せば<トランスヒューマン>も”超意識“も、
“空気さなぎ”が生れるのと同じくらいむずかしいと思います。」

福守研究員:「オンラインの世界とオフラインの世界の
つなげ方のほとんど不可能に近いむずかしさということですね。」

K:「大変な結論が出ましたが、アタリは、
アジアは自らの欲望から自由になることを望み、
西洋は欲望を実現するための自由を望んだと言っています。
これは<超民主主義>の実現を図る上で、
東洋的なるものの重要性を示唆しているように思います。」

所長:「そうですね。
いずれにしても楽観的な身体に立脚すれば、
必ず人類は苦難を乗り越えることができるでしょう。」




<次回に続く>


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2.湧氣塾からのお知らせ
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3.塾長の著書の紹介
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●発行者
身体哲学研究所
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身体哲学道場 湧氣塾
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