疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!  RSSを登録する

今ある「健康法」に不満・「呼吸法」についての明確な方法論を知りたい・現代というストレス社会の中で「本当の自分」を取り戻したい。そんな悩みを抱えている方々に解決法を実践する場が「湧気塾」です。塾長のインタビューや稽古内容をお届けします。

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2009/08/14

身体哲学からの提言(旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」)

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身体哲学からの提言



身体哲学研究所
http://body-mind-philosophy.org/

湧氣塾
http://www.you-ki-juku.co.jp/

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<身体哲学研究所通信第7号>

□■―目次―――――――――――――――――――――――――――――――

1.所長と研究員との対談 <研究員:錦織法晴>2
2.湧氣塾からのお知らせ
3.塾長の著書の紹介

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みなさんこんにちは。
身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。
本日もメルマガをお楽しみください。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.所長と研究員との対談 <研究員:錦織法晴>2
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このコーナーでは、所長とともに
身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、
所長との対談をお送りします。
今月はスポーツトレーナーの錦織研究員との対談です。

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錦織研究員
幼少より、肉体と精神の関係性に非常なる興味と関心を持ち、
自身の武道や競技スポーツの実践と共に今に至る。
また、そういった趣向性から、日本的軍隊教育を体感すべく
中学卒業後に陸上自衛隊生徒に入学した経緯を持ち、
その裏付けを取るべく、筑波大学および大学院にて
専門教育を受けた。現在は、その集大成である身体哲学を
コーチングの機軸に据え、一般の方々から学生、アマチュア・プロにいたる
様々な競技者の心身サポートをする。

<所長からの一言>
錦織君は高校生の時から、自衛隊、筑波大学大学院、アメフトプロ選手、
プロトレーナー(アメリカで筋トレ修行、東ドイツでメンタルトレーニング)と
身体一筋に生きてきた熱血漢である。
ここ数年、彼は古武道や東洋的身体技法を検証すべく
いくつかの道場をいくつか廻り、最後に私の『「阿修羅」の呼吸と身体~身体論の彼方へ』に
出会ったという。
私には最初、筋肉を落としに来たといっていた。
実は筋トレには早くから疑問を抱いていたというから頭も身体のセンスもなかなかいい。
いや、はっきりいえばスポーツの世界でやや難解な私の身体哲学に高いレヴェルで理解を示した最初の人である。
子供たちや学生の身心を健全に育てる体育の世界の再建、ケガが少なく長い寿命で能力を発揮するアスリートの養成など、彼には多くのことを期待したい。
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K:「あらためてお聞きします。
錦織さんは長くスポーツの世界にいますが、
現在の日本スポーツ界にはどんな問題があるのですか。」

錦織研究員:「まずプロに行くような選手は、
中学から実業団に至るまで、
ほとんどスポーツ推薦で行くことが多いんです。
それでどのスポーツかによりますが、
30歳ぐらいで引退を迎えるわけです。
そうした場合、驚くほど自分を振り返るということがないんです。
そして引退して我にかえった時、
そのスポーツ以外なにもできない自分に
はたと気づくのです。」



K:「それは、スポーツ業界全体にとって
大変大きな問題ではないですか。
特に、スポーツを単なる娯楽以上の、
社会を活発化する身体文化ととらえると。」

錦織研究員:「まったくその通りです。
最近よく“セカンド・キャリア”というフレーズを耳にしますが、
私の感覚では、この問題は全然解決していませんね。」

所長:「それもやはり指導者の問題が大きいでしょう。
ただこれはスポーツ界に限らず、私の知る限り、
大学(アカデミズム)の世界でも同じです。
日本の社会は相変わらずの縦社会ですから、
上に立つ教授たちもむちゃくちゃで、
専門以外のことに関してはびっくりするぐらい
幼稚な人が多い。
社会全体のことを眺めて人を育てることなど、
およそ考えていない。
スポーツと大学の世界の2つは、
このディスクロージャーが叫ばれる時代に、
最後に残された閉鎖的で利権的封じ込めが横行する
大変問題が多い世界です。」


K:「なるほど。
本日はスポーツ界にしぼって、話を進めたいと思いますが、
例えば旧共産圏の国では、オリンピックで金メダルを取ったら、
一生遊んで暮せるぐらいの褒章があったといいます。
それはしかし、人格形成上、問題はないのでしょうか。」

所長:「それは問題があるでしょう。
ポリーニというピアニストは、1960年18才で
ショパン国際ピアノコンクールで、審査員全員一致で優勝したとき、
審査委員長が、
“今ここにいる審査員の中で、
彼より巧く弾けるものが果たしているであろうか”
と言った程、抜群のテクニックと才能に溢れていました。
ところが、そのポリーニが、突然ピアノをやめて、
ミラノ大学に入ったんです。
ポリーニの名前はたちまち有名になり、
いつ、どこで演奏しても観客は大喝采を送りました。
ポリーニはそのことに疑問を感じ出したのです。
自分では不本意な演奏をしても観客は無条件にほめてくれる。
ポリーニは音楽以外のもっと広い観点から
自分を見つめなおしてみたくなったのです。」

錦織研究員:「なるほど。
それに対して日本のスポーツエリートたちは、
自分を見つめなおす機会がない。」

所長:「そういうことです。
サッカーの中田なんかが例外的な存在だと思います。」


K:「中田英寿さんの場合、選手時代にマスコミになまいきだと
かなりたたかれた時期があったと思いますが、
かえってそれがよかったのでしょうか。」

所長:「結果的にそういうことはいえるかもしれません。
知的な人間、強い人間はたたかれるとそれに反発するために
より知的に、あるいは強くなりますから。
でも、日本のマスコミは、日本の縦社会の権力のわきに立って
けっこう傍若無人ですから、これも何とかしたいですね。
マスコミは大きな文化的に影響力をもっていますから。
少なくとも、欧米並みに閉鎖性を解き放つ役割を
しなければならないでしょうね。」


錦織研究員:「マスコミもそうかもしれませんが、
まず私の領域の話として、日本のスポーツ界の閉鎖性は
とても大きな問題です。
それを打破する意味でも、私は、人間の大元にある総合的な知、
リベラル・アーツと呼ばれるものの身体版に取り組みたいと思っています。」

K:「それって、つまり身体哲学ってことですね(笑)。」

錦織研究員:「そういうことです(笑)。」

所長:「錦織君の考えは素晴らしいと思いますよ。
とくに実際の現場から出てきた発想だから。
普通現場、とくに身体の現場から出てくる発想は知的になりにくい。
いわんや総合知などという哲学的な
抽象度の高いレヴェルにはなりにくいんです。
だから錦織君にはガンバッテほしい。
具体的なことをいいましょう。
どんなスポーツにもそれに適した形や動きというものがあります。
しかし、あるスポーツに適した身体というのは、
逆にいえばあるスポーツに限定された身体ということにもなる。
つまり、他のスポーツにはむしろ不利になるということがあるのです。」


錦織研究員:「バスケットボールの走り方に慣れると、
陸上短距離走の走り方はしにくくなるというようなことですね。」

所長:「そうです。
いつでも止まれたり、機敏に方向を変えたりしなければならない
バスケットボールでの走り方と真っすぐにひたすら速く走る
陸上短距離走の走り方が異なった身体の使い方を要求するからです。」


K:「なるほど。」

所長:「しかし、全盛時の千代の富士やイチローのレヴェルになると
オールマイティーに近い身体というものもある。
いや、近年になって個別スポーツを超える
オールマイティーの身体という概念が出てきたのです。
バレエなんかは、そうした身体の普遍性に向ったものだともいわれ出した。」


K:「バレエの身体も大切なのは骨ですね。」

所長:「そう、バレエの発達は骨の解剖学を
参考にしていることが大きいんです。
つまり、大切なのは総合的で普遍的な身体ですね。
でも、日本のスポーツ界は総じて小さな型にはめて指導してしまう。
高校野球のピッチャーでも、
みんな一見バランスのいい投げ方をしていますが、
プロになって通用する人は少ない。
いわんやメジャーで通用する人は…。」



K:「なにごとも、大きな流れを小さくある型に分断してしまうと、
大きな力が出ませんね。」

所長:「例えば、野球でもバスケットボールでも、
アメリカではプロになるような選手にはほとんど指導しないんです。
好きなようにやらせておく。」


K:「そういえば、メジャーでは、ピッチャーの投げ方でも、
バッティングでも、凄いかっこうの人がいますよね。」

錦織研究員:「日本だったらたちまち直されてしまいます。」

所長:「能力のある奴にはほとんど好きなようにやらせています。
舌を出しながらプレーをする元NBAのスーパープレーヤー
マイケル・ジョーダンはさすがに高校時代にコーチから
危険だからやめるようにと注意されましたが、ききませんでした。」


錦織研究員:「日本だと監督やコーチの注意をきかなかったら
ハズされてしまいます。」

所長:「選手の身体のことは、選手自身が一番知っている
ということが日本では見失われているんです。
経験はもちろん大切ですが、スポーツは進化の速い文化ですから、
30才年上のコーチの身体と頭では理解できないことが
現に進行しているのです。
あらゆる意味で選手を型にはめないことが大切です。
それに…。」


錦織研究員:「一人一人の身体がみな違うということ。」

K:「おっ。
錦織さん、所長のいうことを先取りしていますね(笑)。」

所長:「日本人の身体性を西洋のスポーツに、
テクニック的な表面の部分だけで
無理やり合わせてしまっては、
トップになれるはずがない。
私は、文化は表面からだけ見てはダメだといっている。
例えば、骨の構造から見れば、筋肉は表層なんです。
最近、深層筋(インナーマッスル)なんていっている人もいますが、
深層筋も骨から見れば所詮表層です。」


錦織研究員:「スポーツの教師は、運動学のベースとして
運動生理学を教えられます。
その運動生理学の中心は筋生理学なんです。
だからスポーツ関係者は骨について
本格的に勉強したことがほとんどないんです。」

所長:「簡単な話、アフリカのサバンナを疾走している
チーターの身体を見て、骨格の躍動感を見るか、
筋肉のパワフルさを見るかの違いです。」


K:「ありのまま見て、筋肉だという人はいないですね。」

所長:「だから、身体の表面ではなく
内部の構造を考えろというんです。」


錦織研究員:「そのとおりなんです。
先の話につづければ、だから私は表面的な(筋肉的な)テクニックよりも、
(骨に根ざした)基礎的身体能力の向上をはかるほうが、
はるかに大切だと。」

所長:「そう、それこそが日本に限らず
世界のスポーツ関係者が今見直すべき最大のポイントです。
“基礎的な身体能力”ということをほとんどのスポーツ関係者は
正しく理解していないんです。」


錦織研究員:「基礎的な体力は筋肉だ。
だから筋トレをしろと(笑)。」

所長:「そう、そして筋トレが終ったら、細かい技術練習があり、
団体競技ならフォーメーションプレーの練習がある。
アメリカの場合、野球であれ、バスケットであれ、アメフトであれ、
プロ選手をめざすプロ予備軍の数が非常に多いので、
実際はあまり細かい技術指導なんてされていないと思いますよ。」


錦織研究員:「そうなんです。
私の考えでは、スポーツ指導に関しては
アメリカはまだ後進国レヴェルだと思っています。
ドイツなどのヨーロッパの方がスポーツ指導に関しては
断然進んでいます。
特に個別指導やメンタルトレーニングに関して。」

所長:「だから、アメリカの場合は
大したスポーツ指導をしていないから弊害は少ないんです。
でも、日本は指導がうるさいくせに、
ヨーロッパ並に進歩もしていないからタチが悪い。」


K:「だんだん所長の言葉が厳しくなってきましたね(笑)。」

所長:「本質的なことをいおうとするとどうしても言葉が
少しキツくなってしまうようですね。」


K:「でも、そういうことは誰かが厳しくいってくれないと
世の中なかなか変わりませんから(笑)どんどんいってください。」

所長:「それで話をつづけると、
この話は今日のまとめのようなことにもなりますが、
身体の能力はその骨の内部に秘められている
基礎的な力の掘り起しがもっとも大切なんです。
後の技術や応用は本当に基礎的な能力を
十分に引き出しておけばだまってついてくる。」


錦織研究員:「そのことは本当に呼吸身法を実践して痛感しています。」

所長:「先にもいったようにアメリカでは数が多いことと、
個人の自由度が高いこと、文化的な繊細さが
多少不足することなどの点から、例外的なケースは除いて
細かいスポーツ指導は進んでいないと思います。
だから、この問題にはまだ直面していないでしょうが、
いずれそういう状況がくるでしょうからはっきりいっておきましょう。
身体を基礎力と応用技術力といった
概念的(言語的)な分け方をすることによる
身体の分裂についてよく考えておく必要があるということです。」


K:「少し難しくなってきましたが、
身体の総合知はあくまで所長のいう
骨の構造に根ざした基礎能力だということですね。」

所長:「はい、そういうことです。
最後にもうひとつ話をしておきます。
私の知っている名古屋の医師が、大変なテニスファンで、
プロ選手の育成にいろいろと尽力しているのですが、
15年ほど前に選手につきそってウィンブルドンまで行ったのです。
その時の話を私は聞かされたのですが、
食事の際、日本人選手たちは、
みんな揃ってコーチにつきそわれてテーブルについて、
訓辞を受けながら同じものを食べていたそうです。
ところが、他の国の選手は、みなそれぞれに
自らのコンセントレーションを高めながら、
一人で食事をしていたそうです。」


錦織研究員:「それは象徴的です。
それでは絶対日本人選手は勝てませんね。」

所長:「その医師も、あれじゃあウィンブルドンの予選に
勝ち残れるわけがないだろうといっていました。」


K:「先ほど錦織さんがおっしゃったように、
身体は1人1人違うわけですからね。」

錦織研究員:「そう。
身体はすこぶる個別的なものです。」

K:「なんだか錦織さんには所長がのりうつったようですね(笑)。」

所長:「いや、錦織君も本当にそう思っているのでしょう。
みんな一緒でという発想は、
身体に限ってありえないということなんです。
身体の領域ほど、自分自身の発想、
つまり自分の哲学が必要なものはない。」

錦織研究員:「ええ。
私はあるスポーツの指導者育成プログラムに参加したことがありますが、
そこには自分の身体について自律的にとらえるという観点も
身体についての根本的な掘り下げ、つまり哲学はまったくありませんでした。
まずは人間とは何か、身体とは何かに立ち戻ることから
始める必要があります。」

K:「今回はこの辺で終らせていただきたいと思います。
お二人ともありがとうございました。
次回はメンタルトレーニングについてお二人に話していただく予定です。」

所長:「身体哲学はトポス(場)の哲学ですから、
その場になってみないと分りませんが(笑)。」



<次回につづく>



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2.湧氣塾からのお知らせ
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3.塾長の著書の紹介
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『「阿修羅」の呼吸と身体-身体論の彼方へ』(現代書林)
詳しくはこちら
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●発行者
身体哲学研究所
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身体哲学道場 湧氣塾
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