2009/08/07
身体哲学からの提言(旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*==*=*=*= 身体哲学からの提言 (旧 「疲れた身体、疲れた心を癒す呼吸法!」) 身体哲学研究所 http://body-mind-philosophy.org/ 湧氣塾 http://www.you-ki-juku.co.jp/ =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*==*=*=*= <身体哲学研究所通信第6号> □■―目次――――――――――――――――――――――――――――――― 1.所長と研究員との対談 <研究員:錦織法晴>1 2.湧氣塾からのお知らせ 3.塾長の著書の紹介 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― みなさんこんにちは。 身体研究所研究員兼湧氣塾塾生のKです。 本日もメルマガをお楽しみください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.所長と研究員との対談 <研究員:錦織法晴>1 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― このコーナーでは、所長とともに 身体哲学に取組もうと研究所に参画した研究員と、 所長との対談をお送りします。 今月は錦織研究員との対談です。 ****************************************** 錦織研究員 幼少より、肉体と精神の関係性に非常なる興味と関心を持ち、 自身の武道や競技スポーツの実践と共に今に至る。 また、そういった趣向性から、日本的軍隊教育を体感すべく 中学卒業後に陸上自衛隊生徒に入学した経緯を持ち、 その裏付けを取るべく、筑波大学および大学院にて専門教育を 受けた。現在は、その集大成である身体哲学をコーチングの 機軸に据え、一般の方々から学生、アマチュア・プロにいたる 様々な競技者の心身サポートをする。 <所長からの一言> 錦織君は高校生の時から、自衛隊、筑波大学大学院、 アメフトプロ選手、プロトレーナー(アメリカで筋トレ修行、東ドイツでメンタルトレーニング)と 身体一筋に生きてきた熱血漢である。 ここ数年、彼は古武道や東洋的身体技法を検証すべく いくつかの道場をいくつか廻り、最後に私の『「阿修羅」の呼吸と身体~身体論の彼方へ』 に出会ったという。 私には最初、筋肉を落としに来たといっていた。 実は筋トレには早くから疑問を抱いていたというから 頭も身体のセンスもなかなかいい。 いや、はっきりいえばスポーツの世界で やや難解な私の身体哲学に高いレヴェルで理解を示した 最初の人である。 子供たちや学生の身心を健全に育てる体育の世界の再建、 ケガが少なく長い寿命で能力を発揮するアスリートの養成など、 彼には多くのことを期待したい。 ****************************************** K:「錦織さん、よろしくお願いします。」 錦織研究員:「よろしくお願いします。」 K:「早速ですが、錦織さんは 自衛隊にいたことがあるそうですね。」 錦織研究員:「いきなりその話ですか(笑)。」 所長:「前回までの堀井研究員との対談では、 哲学や言語という普遍的、抽象的な話をしてきましたが、 身体哲学のもうひとつの大事な側面が 具体的、個人的、個別的な側面です。 その意味でも、まず始めになぜ錦織研究員が 身体をはったスポーツやアスリートの世界にのめり込み、 後にトレーナーとして身体解明の道を歩み、 そこにライフワークとしての生き方をかけるようになった ということは一般のスポーツ愛好家にも 非常に参考になると思いますよ。」 K:「きっとメルマガの読者も興味があるでしょう。」 所長:「錦織君、是非自衛隊時代の話を少し聞かせて下さい。」 錦織研究員:「わかりました(笑)。」 K:「自衛隊にはどのくらいの期間在籍 されていたんですか。」 錦織研究員:「中学を卒業してすぐ入隊して、 3年間いました。」 所長:「錦織君とK君はたまたま同学年なんですよね。 今年確か38才。」 K・錦織研究員:「はい。」 所長:「二人が中学を卒業したのは何年ですか。」 錦織研究員:「1987年です。」 所長:「80年代の後半ですか。 二人共なかなか興味深い時代に思春期を迎えているんですね。」 錦織研究員:「そうなんですか。」 所長:「そうですよ。 世界的に見ても80年代後半は大きな変り目の時期です。 何といっても戦後の米ソ冷戦といわれた世界の体制が崩れましたから。」 K:「ベルリンの壁が崩壊したのは1989年でしたね。 高校3年の時でした。 僕もこれぐらいは記憶にあります(笑)。」 所長:「89年というのは大変な年で、 新年そうそうに昭和天皇が崩御されて、 6月には天安門事件が起きたと思ったら、 8月に東ドイツの市民が1000人規模で西側に脱出を開始し、 11月にはついにベルリンの壁が取り壊され、 ルーマニアではチャウシェスク政権がつぶれた。 戦後が完全に終り、新しい時代が始まりかけたという時期ですね。」 錦織研究員:「今所長がいった89年に何かが大きく変わり始めたというのは 思い当たることがあります。 入隊して2年間の訓練はともかくキツかったんです。 基本的には旧関東軍のやり方を引き継いでいましたから。 それが89年、3年生になった時、急に訓練全般がゆるくなったんです。」 所長:「いろいろな時代の変化を考慮して、 自衛隊の上層部が方針を変更したのでしょう。 社会学や思想史的な領域でも80年代後半から 日本の社会や大人が決定的に軟弱になった、甘くなった、 とよくいわれるんです。 私なんかの実感だと小林秀雄が死んだ1983年以降、 世の中に対してはっきりものをいう知識人がいなくなり、 子供や若者に対しても厳しく導く大人がいなくなったという感じがするのです。 おそらく時代の雰囲気がこうしたことに関係していると思いますよ。」 K:「錦織さん、そもそもの入隊のきっかけは、 なんだったのでしょうか。」 錦織研究員:「実は祖父と曾祖父が職業軍人だったので、 言ってみれば、血の影響でしょうか(笑)。」 K:「なるほど(笑)。 それで、その3年間は、 どのような感じで過ごされたのでしょうか。」 錦織研究員:「そうですねえ、とにかく最初の1年半は、 とてもキツかったです。 毎日辞めようと思ってましたね。」 所長:「そのキツさというのが、普通の体育会系の クラブのキツさなんかと比べものにならないそうです。 ともかく、軍隊というのは命をかける所ですからそれはよく分ります。 (もちろん制度上、法律上、自衛隊と軍隊は違いますが、 実質的には同質の組織だといえましょう。)」 K:「僕の感覚では、体育系でさえ相当厳しい所はキツく見えますが。」 所長:「そう、早稲田大学のラグビー部の夏合宿なんか、 いつかテレビでやっていましたが、今の普通の人が見れば相当厳しく見える。 しかし、当然そんなものではないでしょう(笑)。」 錦織研究員:「はい。あんなものではないです。 例えば、毎日5時以降に行う五つの課業(食事、入浴、靴磨き、洗濯、ベッド取り) というのがあるのですが、これを合せて15分間で終えなければなりません。 食事と入浴は寝起きする宿舎から離れた建物で行います。 当然走って行くのですが、途中上官に会えば一人一人立ち止まって 敬礼をしなければなりません。 食事のテーブルに付いてもほとんど何も口に入れることもなく “ごちそうさまでした”といわなければなりません。 入浴もほとんどザブンとあびるだけ、もちろん石鹸を使って 身体を洗っている時間はありません。 ちなみに宿舎の中は夏は臭くて大変です。 靴磨きは顔の写るほど磨き上げなくては、検査にきた上官に 窓から外に放りなげ捨てられてしまうのです。 ベッド取りとはベッドメイキングのことですが、 5枚ある毛布をそれこそバームクーヘンのように 一枚一枚きちんときれいにたたんでないと、 これも窓から外に放り出されてしまいます。 雨の日に毛布を外に放り出された者は ぐしゃぐしゃにぬれた毛布で朝まで 寝なければならないことになります。 この五課業の試練のため、入隊した者たちは3ヶ月で ほぼ20kgほどやせます。」 K:「それは想像するだけでも、キツそうですね。 ところで所長、そもそも軍隊という組織は、 どのような性質をもつものなのでしょうか。」 所長:「大きく2つあります。 ひとつは、有事の時、国や社会や家族を 個人の身体(命)の犠牲を前提に守る人たちの集団、 現代風にいえば国家の要人やスターのボディーガードのような仕事 だといってもいいでしょう。 これはあくまで物理的な側面から見た、 いってみれば合理的な職業としての説明ですが、 ここにはもうひとつ非常に精神的な人間や民族の魂に通じる 重要な側面があります。 スピリチュアルな側面ですね。 例えば、昔の日本軍の特攻精神に象徴されるような、 自己犠牲の精神です。」 K:「自己犠牲の精神。 今の若い人に言ったら、“えー”っていわれそうですが、 人間にとって本当は非常に尊いものですね。 錦織さん、自衛隊では、そのあたりはどうだったんですか。」 錦織研究員:「う~ん、自衛隊全体がどうかは、 ちょっと私にもはっきりはわかりませんが、 とにかく在籍した3年間は、私にとって、 ほとんど“自分”しかない現代において、 自分じゃないものを意識して生きた、という意味で、 大変貴重な体験でした。」 所長:「そういう体験をしてきたからこそ、 錦織君は今身体哲学に向き合うことになった、 とも言えるでしょう。」 K:「そうしたモチベーションは非常に大切ですね。」 所長:「そうした点を生かして錦織君は これから身体哲学研究所の活動として、 主に青少年の新しい体育教育やアスリートの養成などの スポーツ部門で活躍してくれるのですね。」 錦織研究員:「はい。 私は現在のスポーツ界にある 身体観をあらためて確認したいんです。 私の今までの経験では、 そこに“身体とは何か”、そして当然“人間とは何か”という 哲学的な考察がまったく見受けられない。 それは大変重要な問題なので、東洋的なものや、 さらに言えば所長のいう身体哲学的なものを取り入れて、 多くの人に新たな身体性に目ざめてもらいたい。 そう思っています。」 所長:「選手はまだしも、コーチなどの指導者が、 しっかりした身体観をまったくもっていない、 ほとんどの指導方法が欧米の借り物だというのは、 本当に問題です。 日本人の身体観を持たずに、 いきなり筋トレやイメージトレーニングを選手に強いるのは、 植物の種類や産地を考えずにやたらに水をあげたり、 長い時間陽に当てたりするのと同じ無神経さでしょう。 人間の身体は、みな同じではありません。」 錦織研究員:「自分の身体と頭でしっかりと確認した 身体の発想が必要なんですね。」 所長:「そうです。 軍隊の話に引きつければ、 例えば日露戦争時の軍のトップの人には、 即興の身体知がありました。 圧倒的な軍の規模を誇ったロシアに、 曲がりなりにも日本が勝てたのは、 日本軍トップの人たちの、引き際がよかったからです。 戦争において、引き際が一番難しいとはよくいわれますが、 当時の日本人には、それを判断できる身体性と頭があったのです。」 K:「当時の日本人は優秀だったんですね。 それに対して、現代の日本は、スポーツ界に限らず、 問題がありそうです。」 所長:「身体的には、“失われた10年”どころか、 “失われた60年”です。」 錦織研究員:「本当にそう思います。 私が具体的にこれからやろうということでいえば、 まず、筋肉ではなく骨(所長の薫陶を受けた身体哲学研究所の研究員として)、 という身体観をアピールしていこうと思います。 現代のスポーツ界には、この点があまりにも欠けているということで、 この秋から来年の春に向けて“骨力塾”というプロジェクトを 立ち上げたいと思っています。」 K:「それは大変すばらしい試みですね。 私も全力で応援したいと思っています。」 所長:「もちろん私も支援しますよ。 今回の錦織君の話で一番興味深かったのは、 スポーツ、アスリートの世界の人たちが 実際に身体を日々使っているにもかかわらず、 その身体そのものを根本的に問うということを していないということですね。 以前にもいいましたが、身体は日常の中で“慣れ”てしまい、 惰性からのがれることが難しいという欠点があります。 コーチや監督の指導下におかれた選手自身に そのことに気がつけといっても無理かもしれません。 しかし、コーチなどの指導者に明確な身体観や身体哲学がなくては 有能な選手は育てられません。 私は単純に日本のスポーツ選手は日本人の本来もっている すぐれた身体性をほとんど発揮していない、 残念だなあと思っているだけです。」 K:「僕もそう思います。」 所長:「一番最初に錦織君やK君が思春期だった頃 という話をしましたが、1964年、私が思春期、中学3年の時、 東京オリンピックがありました。 その頃の日本はまだまだ貧しい国でしたが、 日本人選手は大変活躍しました。 男子体操では金メダルをほぼ独占し、 女子バレーボールでは“東洋の魔女”が完勝。 お家技である格闘技ではボクシングの桜井孝雄をはじめ、 レスリングでは吉田義勝、上武洋次郎、渡辺長武、 花原勉、市口政夫と5つの金、 柔道では無差別級で神永昭夫が オランダのヘーシンクに敗れ銀メダルに終ったものの、 軽量級、中量級、重量級では中谷雄英、岡野功、猪熊功が それぞれ金メダルを取っています。 この他、重量上げでは三宅義行が金、 マラソンでは円谷幸吉が銅メダルと健闘しています。 あれから45年、経済では世界第二位までいった日本が、 スポーツの世界では本来の実力を出しきっているとは とてもいえないでしょう。」 K:「そのためにも、ぜひ錦織研究員に ガンバってもらわなければなりませんね(笑)。」 錦織研究員:「はい、よく分っております(笑)。」 K:「では次回はもう少し突っ込んだスポーツ業界の批判を お願いしたいと思います。」 <次回につづく> ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.湧氣塾からのお知らせ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.湧氣塾からは、2本のDVDを発売しています。 ご興味のある方は是非お求めになって、 日常の中でご自身の身体を調整してみてください。 ・DVD 『坐禅身法』 『女性身法』 詳しくはこちら http://www.you-ki-juku.co.jp/dvd_info.html 2.女性身法チケット制導入ついて 購入後、二ヶ月間有効のチケット(4枚綴り)ができました。 忙しくて行きたいけど、なかなか時間が取れないという方、 この機会にぜひご利用下さい。 詳しくはこちら http://you-ki-juku.co.jp/femail.html ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.塾長の著書の紹介 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『脳ひとり歩き時代 ヴァーチャル脳を身体が救う』(河出書房新社) 『「阿修羅」の呼吸と身体-身体論の彼方へ』(現代書林) 詳しくはこちら http://www.you-ki-juku.co.jp/chosho_info.html ------------------------------------------------------------------------ ●発行者 身体哲学研究所 http://body-mind-philosophy.org/ 身体哲学道場 湧氣塾 http://www.you-ki-juku.co.jp/index.html ●バックナンバー http://blog.mag2.com/m/log/0000239398/ ●お問合せ:info@you-ki-juku.co.jp ----------------------------------------------------------------------------- この情報はまぐまぐの無料メルマガ配信システムを利用して、 ご希望いただいた方に配信しています。 万が一ご登録の覚えがない場合は、 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